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《優しいレン君ルート》
【シーン13〔優〕】レーズィの成仏1
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静寂が戻ってくる。
これだけの騒ぎを起こせば、普通、町の人が家を飛び出してきてもおかしくないが、その辺は抜かりない。
昼間のうちに、イクスが町全体に消音の結界を張り巡らせている。
この一晩、音源の正体が分からない音は全て人間の耳には届かない。
街の住人はもちろん、隣家の住人でさえ、すぐそこで悪魔退治が行われたなど夢にも思わず眠り続けていることだろう。
それはそうと。
レーズィ「お父さん……」
地面に座り込んで放心している父親を、レーズィは少し遠いところから見つめていた。
本当ならそばに駆け寄りたいんだろうが、幽霊は見えないから、近づけば近づくほど幽霊と生者の埋められない溝を痛感することになる。
姉と再会した時のこともあって、なんとなく父に近づきにくいんだろう。
俺はレーズィと一緒にいた。
レーズィの父さんは、あれからずっと空を見上げたままぴくりとも動かない。
レーズィはその背中に声をかけることも叶わず、ただ顔を伏せた。
イクス「大丈夫です」
事後処理を終えて、イクスが戻ってくる。
イクスはいつもの、ちょっと気の緩んだ調子で柔らかく微笑み、レーズィの頭を撫でた。
イクス「人には自然治癒力があります。転んですりむいた膝がやがて治るように。心も一緒です」
これだけの騒ぎを起こせば、普通、町の人が家を飛び出してきてもおかしくないが、その辺は抜かりない。
昼間のうちに、イクスが町全体に消音の結界を張り巡らせている。
この一晩、音源の正体が分からない音は全て人間の耳には届かない。
街の住人はもちろん、隣家の住人でさえ、すぐそこで悪魔退治が行われたなど夢にも思わず眠り続けていることだろう。
それはそうと。
レーズィ「お父さん……」
地面に座り込んで放心している父親を、レーズィは少し遠いところから見つめていた。
本当ならそばに駆け寄りたいんだろうが、幽霊は見えないから、近づけば近づくほど幽霊と生者の埋められない溝を痛感することになる。
姉と再会した時のこともあって、なんとなく父に近づきにくいんだろう。
俺はレーズィと一緒にいた。
レーズィの父さんは、あれからずっと空を見上げたままぴくりとも動かない。
レーズィはその背中に声をかけることも叶わず、ただ顔を伏せた。
イクス「大丈夫です」
事後処理を終えて、イクスが戻ってくる。
イクスはいつもの、ちょっと気の緩んだ調子で柔らかく微笑み、レーズィの頭を撫でた。
イクス「人には自然治癒力があります。転んですりむいた膝がやがて治るように。心も一緒です」
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