空の歌(スカイ・ソング)

碧桜 詞帆

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七章 空の歌が見える時

心を吹き抜ける風

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 そしてそれは、古城の闇すら浄化し、光を届けた。
「いいのか? まだ戦えたんだろ?」
 テイトは石壁に身体を預けながら、その正面で空を仰ぐ者の背中に問いかけた。
 彼――ガリルフはテイトの声に振り返る。
「失敗した時は軍師返上でも結構って言い出すから、俺はてっきり決死の覚悟なんだと思ってたぜ?」
 そこに責めの意はない。なんとなく今なら彼の本音が聞ける気がしたのだ。この静穏に包まれている間なら。
「ふ……。私にも解らんな。なぜ彼女がそばに来た時、剣を上げなかったのか。たった一振りだったというのに」
 珍しく彼は自嘲の笑みをこぼした。しかし、それもどこか柔らかい。
「……だが、私もこの光景を見たかったのかもしれんな」
 その時、テイトは口を噤んだ。空を仰ぐ彼が、本当に笑ったのだ。
 何にも染まっていない心の綻びを、テイトは垣間見た。
「おかしくなったと思うか」
 無言でいるテイトへ、彼は今までになく穏やかな様子で問いかけた。テイトも微笑みを返す。
「いいや。納得してるならいいんだ。俺も死ぬ前に一度見れて良かったよ。連れて来てくれたこと、感謝すんぜ。軍師殿」
「ふ……」
 ガリルフは曾祖父が残した言葉の意味をようやく理解し、心のしこりがすっと消えていくのを感じた。
 そして、その隙間を吹き抜けていく風もまた感じながら、ガリルフは囁いた。
 ――これがグリームランドか、と。
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