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3.喜多村本家に居候
105.お部屋でバタンキュー
しおりを挟む「今さらですか?」
「もう、なんかこう頭が疲れて考えたくない、というか、なんというか……」
「はぁ……」
「ま、いいや……」
気更来さんの差し出すパンツを取る。
全部見られちゃったし、今は取り繕う元気が出ない。これって末期的?
ヒモビキニを脱いで、もらったパンツを着ける。
「お休み~」
「我らも寝ていいですか?」
羽衣さんが訊いてくる。
「そうだね。……しばらく、仕事なさそうだし寝てていいよ……」
「言いましたね。言質と取っていいですね」
「なんのこと?……」
「お、おい!」
なんか気更来さんが羽衣さんを止めてる。
「ちょっと~、なんでベッドに入ってくるのよ~?」
羽衣さんが肌着姿でベッドに入ってくる。
「一緒に寝てもいいと?」
「違うよ。自分の部屋で寝なよ。変な負荷をボクにかけないでよ」
「キョ~遊びに来たわよ~って。また浮気してる~」
なんか狙ったタイミングで来たね? タンポポちゃん。ボク、浮気した覚えはないよ。
「ゴメン、タンポポちゃん、疲れて相手できない……」
頭起こして見たらタンポポちゃんたちが部屋に突撃してきてる。
おまけに斎木さんが肌着になってるのが見えた。そばの歩鳥さんがジャケットに手をかけ、ためらってる。
視線を流すと気更来さんまで。
「あんたたち、キョウをタブラかさないで!」
「そうそう」
「かさない……」
「ボク、もう寝るから、静かにして。お休み~」
「妻が寝るなら夫も寝る」
「うん、ねる」
「ねる……」
「勝手に……すれ……ば……」
だめもう……。意識が途切れる……。
「う~~ん」
重い……。目が覚めたらアリサちゃんに乗っかられマナちゃん、タンポポちゃんに抱きつかれてた。
回りは護衛や警護も肌着姿で寝転んでる。仕事しろよ。
すっきり目は覚めた。重かった頭も直ってる。なんだったんだ?
「キョウよ。早う母屋に来ぬ、か?」
なんで皆、絶妙のタイミングで来るんだ。ドア近くのサキちゃんを見たら、しぶ~い顔してる。
後ろにサザレさんと知らない人、二人が控えてる。
サザレさんは、メイドをまとめるメイド長なんだって。
一度ここへ覗きに来たらしいけどボクが眠ってたのでそのまま返ったらしい。その時、部屋のカーテンを半分締めていってくれたとか。
ずいぶん長く眠っていたらしい。
「あ、サキちゃん。そんな早くに行かなきゃダメ?」
「向こうの準備もある。夜は向こうで食べるであろう?」
「そうなんだ~。お風呂入ってからでいいかな~っと思ってた」
なんか、頭が重くてダルくて、って訳を話した。
「黒メガネで初ダイブしたのじゃ。当然そうなる」と、こともなげに言う。
「──それより、も、昼日中からの濫行は、ほどほどにしておけよ?」
「……は?──」
言ってる意味が分からない。
「──ち、違うよ? み、皆が勝手に転がりこんで、ね?」
「そうは見えん」
サキちゃんの指さす先はボク。自身を見るとすっぽんぽん。え? 確か穿いた……はず。
「え、え、あれ?」
これは誰かに脱がされたに違いない。辺りを見るけど下着が見当たらない。
慌てて体を隠すけど、今さらだね。
「それで、そっちの二人は誰?」
「おお、そうじゃった。たっての頼みでそなたの護衛に志願した笹と打木じゃ」
「ああ、モール脱出ではお世話になりました。でも、特殊部隊的な仕事があるんじゃないの?」
「はい! 自分たちはキョウ様にお仕えするのが天職と感じました。どうぞお傍に侍らせてください」
「わたくしもそうです。よろしくお願いします」
「そうは言ってもマキナが付けてくれた護衛や喜多村の警護の人もいるし」
「我々ならもっとお役に立てます」
「肉の壁としてお使いください」
「…………」
そこまでのこと?
「まあ、そうじゃの~。気更来や羽衣を外しても良いか……」
「ちょちょちょっと待ってください!」
「そうですそうです!」
なんだよ、二人起きてたのかよ。気更来さんと羽衣さんが飛び起きる。
「貴様ら、キョウにべったりではないか? しばしキョウから離れて自分の責務を見つめ直す時ではないか?」
「そんな~、おや──サキ様、こんな機会はもうないかも知れないのです!」
「そうです、苦節……八年、やっと子種を授けてくれる男と巡り会ったのに。こんなゆるゆるな男子は、あとにも先にもキョウ様だけです!」
ええっと……それって褒められてるのか、な?
ぐだぐだな話し合いのすきにボクは普段着を準備して着付ける。
「──それで、どうなったの?」
「他人事じゃの~?」
「だって、ボクに決定権なんてないし」
「まあ……そう、じゃの~。分かった。警護の裁量はそなたに一任する。余裕ならあと、蓮見と池添も熱望しておる。考えてやれ」
「ああ、あの人たち? ボクのどこに惹かれたのか分かんないけど。そんなに警護に就かれても鬱陶しいので今の態勢がいいんだけど?」
「では、気更来と羽衣は解任、じゃな?」
「「え?」」
絶望するような二人。反して喜色満面の笹さん、打木さん。
「それもちょっと可哀想、かな?……」
途端に顔を紅潮させる気更来さんと羽衣さん、対して特別部隊な二人が崩折れ床に蹲る。
ど~すりゃい~のよ?
「ま、まあ、二人くらい増えても構わない、かな?」
「甘い、甘過ぎじゃ。しかし、六人くらいど~んと受け止めねば喜多村の妻は務まらん」
「うっ……急にお腹が……」
「だ、大丈夫ですか?」
駆け寄る笹さん、打木さん。
「あ!」って気更来さん、羽衣さんが歯噛みする。
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