妄想日記7<<DAYDREAM>>

YAMATO

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Chapter2(テツオ編)

Chapter2-⑥【桜】

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「桜が咲き始めました。
好きなんです。」
ホクトがボソッと言った。
その視線の先を目で追う。
まだ三分咲きだろうか、空がうっすらとピンクに色付いていた。
「来週末は見頃だろうな。
俺も頑張ろうっと。」
「どうして桜を見て、頑張る気になるんだ?」
その思考が理解出来ずに聞いてみる。
「桜って、別に見られたくて咲いてる訳じゃない。
しかし結果的にはその美しさが人々を惹き付ける。
そんな男になりたいって事です。」
「確かにな。」言いたい事は分かった。
だが今でも充分に惹き付けてると思う。
湯船に浸かる男達の股間がどうなっているか、安易に想像出来た。
 
「俺、好きな人がいるんです。
その人が中々振り向いてくれなくて。
態々後を追って東京の大学に入ったのに。」
シオンは桜からホクトに視線を移す。
整った顔立ちに翳りがあった。
『好きな人って、まさかテツオ?』
風呂に誘った理由を理解する。
テツオとの仲を取り持って欲しいのだ。
 
「出身は何処なんだ?」
ストレートに聞きたい気持ちを抑え、違う質問をする。
「俺、沖縄なんです。」
「沖縄!」
「もしかしてシオンさんも沖縄なんですか?」
驚いたシオンを見て聞いてきた。
「いや、俺は違う。
ただ同僚が沖縄出身と最近知ってさ。
立て続けだったからびっくりしたんだ。」
驚いた理由を説明する。
 
「とすると、好きな人も沖縄の人?」
「はい…。」
テツオではなく、少し安心した。
テツオだったら、面倒に巻き込まれる事になる。
仕事以外のトラブルは御免だ。
 
「彼女が東京に就職活動すると聞いて、推薦蹴って、東京の大学に入ったんです。」
「なら沖縄でもアメフトをしてたのか?」
「アメフトなんてやってないです。
お陰で補欠始まりで苦労しっ放し。
推薦で入っていれば、今頃花形選手でしたよ。」
自虐話を聞いて、ホクトが少し身近に感じた。
 
『彼女って事は、こいつはノンケ?』
ホクトをまじまじと見る。
確かにこの開け広げな態度はゲイでは希少だ。
「サッカー部でした。」
偶然が続く物だと感心する。
「その彼女は東京でお兄さんと同居してないだろうな?」
「えっ!陽子を知っているんですか?」
ホクトは目玉が落ちそうな程、瞳を見開いた。
 
「さっき話した同僚が陽子さんだ。
それで俺の行ってるジムのトレーナーがツグムだよ。」
溜め息が溢れる。
やはり面倒から逃れられない運命らしい。
 
「シオンさんはゲイだから、女心が分かるのかと思って話しただけなのに。
こんな偶然ってあるんだ!」
ホクトは勝手にゲイと決めつけて話す。
『おい、俺は一言もゲイとは言ってないぞ。』
だが敢えて否定する気も起きない。
「何とかならないですか?
いつもツグムが出てきて邪魔するんですよ。」
露天風呂にいる事も忘れ、ホクトは真剣に話し出す。
「陽子さんは気があるのか?」
「多分…、いや、絶対に俺の事を好きだと思います。」
この間の話し振りではそれ程、気があるとは思えない。
「もし上手く行ったら、お礼に掘ってあげます。
こいつでね。」
ホクトが耳に口を押し付けた。
湯船の男達が息を飲むのが分かる。
それまで湯船に浸かっていたぺニスが頭を擡げた。
恥ずかしさに目の前で聳え立つぺニスから目を逸らす。
羨望の眼差しが自分に向いている事に初めて気付いた。
 
 
(つづく)
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