妄想日記1<<ORIGIN>>

YAMATO

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Chapter20(陰月編)

Chapter20-②【潮風にちぎれて】

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本来は沖縄で撮りたいのだが、予算の関係で伊豆か千葉で撮影すること。
撮影に二日間要するので、一泊すること。
日焼けしているが必須だが、これが足りないらしい。
以上の事柄を一方的に告げられた。
「出来ればゴールデンウイーク中に撮りたいんだ。
それまでタンニングしておいてくれ。
連休中のヤマトさんのスケジュールは?」
ゼロが手帳を出す。
『まだ了承してないけど…。
結局、こうなってしまうのか…。』
心中で愚痴を溢す。
ユーキとセイジを睨みつけるが、二人は違う話で盛り上がっていた。
「土日は休み?祭日は?」
なし崩しに話は進み、昭和の日と振り替え休日の月曜日に日程が決まってしまう。
「水着はこちらで用意する。
一泊出来る荷物だけ持ってきてくれ。
出来るだけ日焼けしておくんだぞ。」
最後に念を押すと、ゼロはとっとと帰ってしまった。
やり場のない愚痴は怒りに代わる。
「ねえ、これってどういう事!
沖縄向けの撮影なのにどうして関東の海なの?
話を聞いた上で判断するって言ったよね!」
二人に不満をぶちまけた。
 
昭和の日は快晴だった。
待ち合わせの駅に6時に着く。
ロータリーに出ると、黒いエルグランドが停車していた。
メタリックのボディに太陽が反射する。
ゼロが運転席から出てきた。
今日もレザーだが、フェイクの様で暑苦しさはない。
サングラスとキャップは相変わらずだった。
「アシスタントが遅れているんだ。
少し待ってくれないか。」
ゼロはそう言うと、煙草に火を点けた。
『禁煙じゃなくて、良かった。』
安堵し、タバコを咥える。
「無理言って悪かったな。
本当に助かったよ。」
ゼロが缶コーヒーを差し出す。
態度は横柄だが、意外といい奴かもしれない。
 
『コン、コン。』窓が鳴った。
スモークを張ったウインドウが下がる。
「寝坊しちゃった、ゴメン!」
能天気な声が聞こえてきた。
「アシスタントって、まさか…。」
覗いた顔を見て、言葉が続かない。
「ああ、予算の関係でセイジとユーキに頼んだ。」
ゼロが頭を掻きながら言った。
高速道路に出ると、西を目指す。
ユーキのおかげで、車内は笑いが絶えない。
タイで買ったDVDを流し、好き放題言い合った。
「だいたい外人のチンコって、デカいだけでフニャフニャ過ぎるよ。
こんなので掘られても、気持ち良くないよな。」
ユーキが画面を指差して文句を言う。
「俺のはどうだ?デカいだけか?」
セイジが突っ込む。
こんな調子で、あっという間に西伊豆に着いた。
本線を外れ、細い坂道を下って行く。
車一台がやっと通れる幅だ。
そこを10分程度走ると、急に視界が開けた。
小さな入江だ。
漁船が数隻係留されているだけで、人影はない。
 
「じゃあ、器材を運んでくれ。」
エンジンを切ると、ゼロが命じた。
器材を日陰に運搬する。
全て運び終わると、汗だくになった。
「ヤマトさん、先ずはこれに着替えてくれ。」
ゼロがジーンズ地の水着を出す。
「セイジとユーキはレフ板を水際に移動しておいてくれ。
間違っても濡らすな。」
ゼロの三人に向けた指示は止まらない。
競パンに着替えると、テスト撮影が始まった。
立て続けにシャッター音が鳴る
数枚撮ったところで、チェックが始まった。
「何か物足りねぇな。
もっとインパクトが欲しいよな。
思わず水着を着て、海に行きたくなるような…、何かが足りない。
ヤマトさん、マラおっ起ててくれ。」
真顔のゼロが新たな指示を出す。
「そんなこと急に言われても、無理だよ。
健全な撮影じゃなかったけ?」
文句が勝手に口を吐く。
「しょうがねぇな。」
水着を引きずり落とされた。
唖然と立ち尽くす。
「案の定、あんまりデカくないな。
これでいいか。
んー、ないよりマシか。」
ゼロはマラに太めのコックリングを嵌めると、水着を元に戻した。
「多少、ボリュームが出たな。
じゃあ、、テスト再開だ。」
ゼロはカメラを持つと、どんどん歩き出す。
『何だ、今の行動は!
デリカシーがなさ過ぎる!』
カッカしながらも、ゼロの後を追った。
 
 
(つづく)
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