妄想日記8<<FLOWERS>>

YAMATO

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Chapter2(蒼空編)

Chapter2-⑥【青春コンプレックス】

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ドアの開く音がした。
足音が真っ直ぐにこちらへ向かってくる。
饐えた臭いは言い逃れ出来るレベルではない。
先程のスタッフだろうと、覚悟した。
「お客様、ザーメン臭が濃厚すぎます。」
その声音にダンベルが止まる。
肘が曲がったまま、伸びきらない。
「おらっ、気合いであげろ!」
目の前が真っ暗になった
ダンベルと共に顎を上げる。
ぶつかった肉襞から猛烈な臭気が雪崩れ込んできた。
新鮮な花と雄の匂いが雪崩れ込んでくる。
呼吸が乱れ、視界がぼやけた。
肘が不十分に伸び、ダンベル同士が当たる。
バランスを崩し、落としてしまう。
「おっと、危ない!」
深呼吸を繰り返す。
徐々に視界が開けていく。
 
「狂暴な変態ですね。」
転がるダンベルを太い脚が止める。
「来てたの?」
突然明るくなり、何度も瞬きをした。
「ええ、明日会う前に追い込もうと思いまして。
同じ考えの様ですね。
やはり運命を感じませんか?」
立体的な大胸筋に隠れて、表情が分からない。
股の間からイラストが覗く。
『ショーンがモデル?』
そうとしか思えない程、そっくりだ。
素性の知れない男に猜疑心を抱く。
発言を額面通りに受け取らない方が良さそうだ。
俺が今日、ここにいる事は知らない筈だ。
運命の出会いと言いながら、別の奴を探しに来たのだろう。
『調子のいい事、言いやがって。』
頭の中の天秤はヒロム側に傾いた。
 
はだけた浴衣から下半身が覗く。
今日はグレーの下着を穿いている。
その盛り上りは緩やかだ。
女性的な股間に少しばかり安心する。
ヒョウガのコンプレックスはこじんまりしたマラだった。
ソラの半分程度しかない。
発展場で堂々とフルチンで歩ける男が羨ましい。
そしてそういう男達の前で裸になる事に抵抗を覚えた。
少し気が楽になり、起き上がる。
運命の出会いは別にしても、話し相手には申し分ない。
淫らに発達した筋肉はゲイ達の羨望の的だ。
ショーンが歩くと、多くの視線が後を追う。
アイドル的な人と話せる事で、自分の価値が上がった気がした。
月とスッポンなのは分かっている。
ただ近くにいて、モチベーションを与えてくれればいい。
様々な刺激を与えてくれる事は間違いない。
 
「ヒュウガってルックスはイケてるけど、素チンなんだね。
ちょっと意外。」
初体験の相手の言葉だった。
酔った勢いでの過ちだ。
大学の講義でたまたま隣に座ったマサミチだった。
彼は講義中、ずっと漫画を読み続ける。
ヒュウガも読んだばかりの漫画だった。
「くそっ、続きが気になる。」
12巻を読み終えたマサミチが呟く。
どうやら13巻は持っていない様だ。
「良かったら読むか…。」
ヒュウガは最新刊を彼の前に置いた。
その後、漫画談で意気投合する。
居酒屋だけでは物足りず、マサミチのアパートでも飲み続けた。
酔いが互いの自制心を奪っていく
「ヒュウガはBLに興味ある?」
突然の質問に狼狽える。
「アニメあるんだ、見てみるか?」
「ないことはないけど…。」
ヒュウガは経験はなかったが、BL漫画を読み耽っていた。
そしてヒュウガのボクサーパンツを下ろした時にマサミチが言ったのだ。
泥酔のマサミチは本心を隠さなかった。
その言葉はずっと頭から離れない。
 
(つづく)
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