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Chapter4(Remember You編)
Chapter4-⑩【挑戦して行こう!】
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引き戸が開く度に、つい振り向いてしまう。
客は皆ゲイらしく、一瞥するくらいで、それ以上興味を示す者はいない。
四組の客でカウンターは一杯だ。
隣はスーツ姿の二人組で、日本酒を酌み交わしている。
サラリーマンの膝が剥き出しの腿に当たった。
横柄に広げられた足を睨む。
横目でサラリーマンを盗み見る。
営業マンらしく、この暑さにも拘わらずジャケットにネクタイをしていた。
ケンゴはイッキと話し込んでいる。
酔った勢いで膝を押し返す。
自分だけ窮屈にしているのが、酷く理不尽に思えた。
するとサラリーマンが更に股を開く。
タイトなパンツのフロントにクッキリとペニスが浮かび上がっていた。
サラリーマンは大袈裟なジェスチャーを交え、連れの視線を手元に留めている。
スラックスの異様な盛り上がりに、鼓動は高まる一方だ。
頬杖をつき、股間を広げる。
サラリーマンの視線が一瞬、その上で留まった。
スパッツからゲージの凹凸が透けて見えたからだろう。
膝がより強く当たり出した。
「イッキさん、いつものアレやらないのか?
今日はガタイ型が多いから、盛り上がるぜ。」
連れとの話が一段落ついたところで、隣の男が提案した。
「そうだな。一丁やるか!」
イッキがタカユキを見て、ニヤリと笑う。
大皿を持って、カウンターから出て来た。
客の数と同じ九つの握りが乗っている。
「この中にワサビがたっぷり入った握りがひとつある。
それを食った奴が本日のチャレンジャーだ。」
説明が終わるより早く、客達は握りを奪い合う。
勝手の分からないタカユキはそれをボッと見ていた。
「助かった!ワサビなしだ。」
「俺のも入ってない!」
あちらこちらから安堵の声があがる。
「ほらっ、あんちゃんのだ。」
イッキがひとつ握りの残った皿を差し出す。
ネタの下からワサビが見えていた。
他の客がニヤニヤしながら、タカユキの動向を見守っている。
余興だと諦め、手に取った握りを口に放り込む。
鼻がツンとし、涙が零れた。
慌ててビールで流し込む。
「チャレンジャーはあんちゃんに決まりだな。」
イッキに肩を叩かれた。
「勝負は簡単だ。
六尺を締め込んだあんちゃんをあの滑車で吊すんだ。」
イッキが店の隅を指差す。
天井に滑車が括り付けてあり、今は井戸桶がぶら下がっている。
「ギリギリ爪先立ちになる位置で調整する。
その体勢で30分堪えたら、今日の会計は皆タダだ。」
説明は続く。
「おう、あんちゃん頑張れよ!」
客の歓声と指笛が鳴り響く。
「但しギブアップしたら、会計は倍付けだぜ。」
イッキがほくそ笑む。
「あんちゃんはガッツありそうだから、気合いで頑張れよ!」
隣の男がタカユキの尻を叩いた。
呆気に取られ、ケンゴに救済の視線を送る。
「ドMのタカユキなら30分くらい楽勝だ。
俺、ボトル入れちゃおう!
それとネギマ10本追加!」
ケンゴは只を見込んで追加注文をしていた。
「ケンゴいいのか?
二倍になっても知らねぇぞ。
週末のマッチョは足が攣って、10分持たなかったぜ。」
イッキが忠告する。
「アハハ。イッキさん、弱気じゃねえか。
タカユキのM振りに驚くなよ!」
ケンゴの高笑いが、タカユキにプレッシャーを掛けた。
「あんちゃんは六尺締めた事あるか?」
売上アップを目論んだイッキの口元が緩む。
黙ったまま顔を振る。
「ならオイラが締めてやるよ。
コウちゃん、ちょっと鍵を閉めてくれ。」
入口近くの客に声を掛けた。
身体が火照っているのは酔いの所為ではない。
ケンゴはニタニタしながら見守るだけだ。
「野郎同士だ。そんなスパッツ、とっとと脱いじまえ!」
六尺を手にしたイッキが唆す。
息を大きく吸い込み、スパッツに手を掛ける。
(つづく)
客は皆ゲイらしく、一瞥するくらいで、それ以上興味を示す者はいない。
四組の客でカウンターは一杯だ。
隣はスーツ姿の二人組で、日本酒を酌み交わしている。
サラリーマンの膝が剥き出しの腿に当たった。
横柄に広げられた足を睨む。
横目でサラリーマンを盗み見る。
営業マンらしく、この暑さにも拘わらずジャケットにネクタイをしていた。
ケンゴはイッキと話し込んでいる。
酔った勢いで膝を押し返す。
自分だけ窮屈にしているのが、酷く理不尽に思えた。
するとサラリーマンが更に股を開く。
タイトなパンツのフロントにクッキリとペニスが浮かび上がっていた。
サラリーマンは大袈裟なジェスチャーを交え、連れの視線を手元に留めている。
スラックスの異様な盛り上がりに、鼓動は高まる一方だ。
頬杖をつき、股間を広げる。
サラリーマンの視線が一瞬、その上で留まった。
スパッツからゲージの凹凸が透けて見えたからだろう。
膝がより強く当たり出した。
「イッキさん、いつものアレやらないのか?
今日はガタイ型が多いから、盛り上がるぜ。」
連れとの話が一段落ついたところで、隣の男が提案した。
「そうだな。一丁やるか!」
イッキがタカユキを見て、ニヤリと笑う。
大皿を持って、カウンターから出て来た。
客の数と同じ九つの握りが乗っている。
「この中にワサビがたっぷり入った握りがひとつある。
それを食った奴が本日のチャレンジャーだ。」
説明が終わるより早く、客達は握りを奪い合う。
勝手の分からないタカユキはそれをボッと見ていた。
「助かった!ワサビなしだ。」
「俺のも入ってない!」
あちらこちらから安堵の声があがる。
「ほらっ、あんちゃんのだ。」
イッキがひとつ握りの残った皿を差し出す。
ネタの下からワサビが見えていた。
他の客がニヤニヤしながら、タカユキの動向を見守っている。
余興だと諦め、手に取った握りを口に放り込む。
鼻がツンとし、涙が零れた。
慌ててビールで流し込む。
「チャレンジャーはあんちゃんに決まりだな。」
イッキに肩を叩かれた。
「勝負は簡単だ。
六尺を締め込んだあんちゃんをあの滑車で吊すんだ。」
イッキが店の隅を指差す。
天井に滑車が括り付けてあり、今は井戸桶がぶら下がっている。
「ギリギリ爪先立ちになる位置で調整する。
その体勢で30分堪えたら、今日の会計は皆タダだ。」
説明は続く。
「おう、あんちゃん頑張れよ!」
客の歓声と指笛が鳴り響く。
「但しギブアップしたら、会計は倍付けだぜ。」
イッキがほくそ笑む。
「あんちゃんはガッツありそうだから、気合いで頑張れよ!」
隣の男がタカユキの尻を叩いた。
呆気に取られ、ケンゴに救済の視線を送る。
「ドMのタカユキなら30分くらい楽勝だ。
俺、ボトル入れちゃおう!
それとネギマ10本追加!」
ケンゴは只を見込んで追加注文をしていた。
「ケンゴいいのか?
二倍になっても知らねぇぞ。
週末のマッチョは足が攣って、10分持たなかったぜ。」
イッキが忠告する。
「アハハ。イッキさん、弱気じゃねえか。
タカユキのM振りに驚くなよ!」
ケンゴの高笑いが、タカユキにプレッシャーを掛けた。
「あんちゃんは六尺締めた事あるか?」
売上アップを目論んだイッキの口元が緩む。
黙ったまま顔を振る。
「ならオイラが締めてやるよ。
コウちゃん、ちょっと鍵を閉めてくれ。」
入口近くの客に声を掛けた。
身体が火照っているのは酔いの所為ではない。
ケンゴはニタニタしながら見守るだけだ。
「野郎同士だ。そんなスパッツ、とっとと脱いじまえ!」
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