高慢で素直になれない王女は、独占欲に駆られた腹黒騎士に、狂おしく愛される

ヨドミ

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22話 シャーロット、ジョナサンに愛の言葉を求められる♡

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 城塞の裏手に広がる森を進むこと、数十分。

 崖近く、森のはずれでジョナサンが立ち止まった。
 シャーロットは恐る恐る彼の胸から顔をあげる。
 木造の階段が、木の幹を中心に、らせん状に頭上へと伸びていた。
 ジョナサンはシャーロットを抱えたまま、階段を登る。
 階段の終着点には、板張りのポーチがあり、枝と枝の間に作られた小屋に繋がっていた。

「ここは一体……」
「俺とミアの秘密基地です」

 木造の小屋はこじんまりとしていながら、街中で見かける家屋にも引けを取らない出来である。

「素敵な隠れ家ね」
「二人でこそこそ材料を運んでいたら、城の職人に見つかりましてね。これほど立派な代物が出来上がりました」

 幼い二人がこっそり城を抜け出し、世話好きな大人たちに囲まれ小屋作りに夢中になっているさまを想像し、シャーロットはくすりと小さく笑みをもらした。

 ジョナサンはシャーロットをポーチに降ろし、空を仰ぎ見る。
 彼にならい、シャーロットも首を上向けた。
 視界いっぱいに満天の星が輝いている。
 微かに聞こえる虫の音をお供に、夜空を堪能していると、隣に並ぶジョナサンが呟いた。

「殿下は俺を、愛しておられますか?」
「……急に何よ」

 結婚式を控える花嫁に問うにしては不謹慎だ。
 またもやシャーロットの気持ちを試すつもりなのだろうか。
 胡乱げに隣を見遣れば、真剣なまなざしとかち合う。

「……この期に及んで、私の気持ちを疑っているのかしら?」
「いえ」
「だったらどうして――」
「殿下から愛の言葉をいただいた記憶がないなと、ふと思いまして」
「……」
「仰ってはいただけないのでしょうか?」

 ――そうだったかしら?

 愛の言葉を囁いた記憶が……確かにない。
 しかし似たような言葉は告げている。
 それに、浅ましく彼を欲しがり、ねだった夜は数知れない。痴態を晒す、すなわち、シャーロットはジョナサンに身体を許している。
 身をもって愛を示しているのに、今さら言葉を募る意味など、あるのだろうか。
 いやここで重要なのは、ジョナサンの気持ちである。

 ――欲しがっているものを出し惜しみしても、良い結果にならないものね。

 言葉足らずに意地を張り続けた結果、拗れに拗れたのである。
 素直になると決めたのだ。
 シャーロットは背筋を伸ばし、「……貴殿を愛しているわ」と、面と向かって伝えるのは気恥ずかしく、星空を見上げ言い放った。
 沈黙に虫の音が重なる。
 いつまで経ってもジョナサンは声を発しない。
 聞こえなかったのだろうかと、シャーロットは不安げに横目でジョナサンを窺う。
 彼は明後日の方向を向いていた。

 ――その態度は何なの?

 シャーロットは馬の尻尾のごとく垂れ下がる灰色の髪を睨み、「貴方が好きよ」と言葉を重ねる。
 けれど、ジョナサンは無反応。

「ちょっと聞いてるの?」

 シャーロットは肩を怒らせ反対側にまわり、ジョナサンの顔を覗き込んだ。
 星空のもとでもはっきりわかるほど、ジョナサンは赤面していた。

「……すみません。まさか、そう素直に仰っていただけるとは思わず……動揺してしまいました」

 ジョナサンは悔しげに歯を食いしばり、目を泳がせる。

 ――可愛らしいこと。

 飄々とした態度から一転、初々しい反応だ。
 シャーロットに羞恥心を抱かせてばかりの彼に、毎回己が受けている仕打ちを思い知らせてやろうと、畳みかける。

「私の最愛は貴方よ……ジョナサン」
「――っ」

 つま先立ち、耳元に唇を寄せ囁く。
 途端にジョナサンは、首筋や耳までを紅潮させた。

 ――まあ、愛らしいこと。

 胸のうちが甘酸っぱい気持ちで満たされる。
 シャーロットは両指で、自身の唇を押さえた。
 そうしなければ、ジョナサンを愛でる言葉の数々が、溢れてしまいそうだったのである。

「……俺をからかって、楽しんでおられますよね」

 ジョナサンが目元を赤らめたまま、拗ねたような口調で言った。

「珍しい物を目にすれば、誰だって気分が良くなるものよ」

 シャーロットはふふっと微笑む。

 夜風が強く吹きつけ、月夜に銀色と灰色の髪が絡まり合う。

「私の可愛いジョナサン。……愛しているわ」

 囁けば囁くほど、仏頂面になっていくのが面白い。
 シャーロットは言葉を尽くし続けた。

「愛して――んぅ」

 ジョナサンがシャーロットの顎をすくい上げ、口を塞いだ。
 角度を変えて、舌を噛まれる。

「……はあ」

 シャーロットは菫色の瞳を潤ませた。
 指の腹でシャーロットの濡れた唇を拭いながら、ジョナサンが眉をしかめる。

「そんな顔を、他の男には見せないでくださいよ」
「貴方こそ、愛らしい姿は私にだけ見せるのよ」
「……仰せのままに」

 ジョナサンは人の悪い笑みを浮かべ、桃色の唇に唇をよせた。


 久方ぶりの二人きりの逢瀬。
 シャーロットは夢中でジョナサンの口づけを受け止めていた。
 けれど、吹きつける冷たい夜風には抗えず、肩を震わせ唇を離してしまう。

 「少し中で休憩をしていきましょうか?」

 ジョナサンがシャーロットの肩を抱き、小屋の中へと誘った。
 板張りの室内には、片隅にベッドが一台設えられている。
 それ以外に調度品の類はない。
 寝台には、たくさんの布地が敷き詰められていて、腰を下ろすと、布地が身体を包み込んだ。
 体感したことのない、ふんわりとした座り心地である。
 クッションもふわふわのモチモチで手にすれば最後、手放せない代物だ。

「布地は魔獣の毛を織ったものです。そしてこちらのクッションには、魔鳥の羽を詰め込んでおります」

 布地とクッション、どちらの表面も夢中で撫でていたシャーロットは、ハッと我に返る。

「お気に召したのなら、俺たちの寝室に取り入れましょうか?」

 ジョナサンが、シャーロットの頬を愛おしそうに撫でる。
 いつの間にか、彼の腕の中に囚われていた。

 ――まさか、ここで愛し合うつもりなの……?

 立派な小屋とはいえ、板きれ一枚を隔てた先は森だ。
 屋外と大差ない。
 目をそらし、そわそわとし始めたシャーロットにジョナサンは、
「お嫌ですか?」
「森の中でなんて、落ちつかなくってよ」
「以前、湖畔では大変乱れていらっしゃいましたが……」
「あ、あれは貴方が……」
「俺がなんですか?」

 ジョナサンは、笑みを絶やさない。
 彼の愛撫に溺れ、抵抗する気力を失ったなど、口が裂けても言うまい。

「……アネモネが心配しているでしょうし、城へ戻るべきだわ」
「もうしばし、二人きりの時間を楽しむことを、許してはいただけませんか?」

 ジョナサンがシャーロットの鼻先に、自身の鼻先を擦りつける。
 どうしたことか、彼がシャーロットにだけ懐く子狼に見えてしまう。

「……少しだけよ」
「ありがとうございます」

 ジョナサンはシャーロットを布地ごと抱きしめた。
 背中と正面があたたかいぬくもりに包まれる。
 気づけば、ジョナサンの背中に両手を回していた。
 ジレから漂う爽やかな香りが、鼻孔をくすぐる。

 ドク、ドク、ドク、と力強い鼓動がこめかみを通して、骨に響いた。

 安心しきっていると、首筋に何かが食い込んだ。
 続けてくちゅりと小さな水音がする。
 ジョナサンに甘噛みされ、くすぐったさに、背筋が震えた。
 執拗にうなじを愛撫され、シャーロットは「ん……」と鼻にかかった声を漏らす。
 宥めるような仕草で、ジョナサンの手が、ドレスの生地を優しく撫で上げた。

「……っ……はぁ……んぅ」

 甘噛みは首筋だけに留まらず、耳殻にまで及んだ。

「あ、はあ、う……」

 卑猥な水音が脳を震わせる。
 強い刺激に耐え切れず、シャーロットはジョナサンにきつくしがみついた。
 下腹部に硬いモノが当たる。

 「――っ」

 シャーロットはびくりと肩を跳ね上げた。

「……このままでは帰れませんね」

 ジョナサンは身体を起こした。
 ブリーチズの前立ては、大きく膨らんでる。
 シャーロットの熱っぽいまなざしは、布の下に滾る屹立に釘付けになった。
 ジョナサンは勝ち誇ったように、舌なめずりしている。

 シャーロットが欲しがるまで、焦らすつもりだ。

 ――すべて思い通りに行くと思ったら大間違いよ。

 シャーロットは姿勢を正し、ブリーチズの前ボタンに指を伸ばした。

「で、殿下?」

 戸惑う声が頭上から降ってくる。
 ボタンをすべて開けると、赤黒い屹立が目の前にそそり立った。

 ――大きいわ……。

 シャーロットは、立ちはだかる雄の証を前に、どうしたものかと戸惑いを隠せない。
 紅い瞳には、期待と戸惑いが同居しているような気がした。

 ――やるのなら、とことんやってしまわなくてはね。

 頬にかかる髪を耳にひっかけ、シャーロットは肉槍の先端を舌先で舐めた。
 石のように固いのかと思いきや、存外柔らかい。
 例えようのない食感に興味を引かれ、シャーロットは肉笠をパクリと口に含んだ。

「でんか、なんてことを……」

 ジョナサンが声を震わせるのに構わず、シャーロットは舌を竿に這わせた。
 雄茎がびくんびくんと口の中で痙攣する。しなやかな先っぽが上顎に擦れた。

 上目遣いにジョナサンを窺うと、悩ましげに眉をひそめている。
 王女に性器を咥えさせる背徳感にもだえているのだろうか。
 それとも抑えきれない支配欲に抗っているのだろうか。

 ――どちらにしろ、主導権は私にあるわ。

 散々いいように乱されてきたのだ。
 一度くらい、ジョナサンを翻弄させたい。

 血管の浮いた竿に舌を這わせながら、ゆっくりと首をのけぞらせた。
 シャーロットは教師に習った閨房術を記憶の底から引っ張り出して実践する。
 繰り返す度に、口の中がジョナサンでいっぱいになった。
 先端の割れ目を突く。
 苦い。

 ――殿方が果てる前兆だわ。

 つたない舌技に満足しているようだ。
 調子に乗ったシャーロットは、夢中で怒張にしゃぶりつく。

「――っ、だめだ……」

 ジョナサンの呻き声がした、その時。
 口の中に熱液が迸った。

「!」

 シャーロットは驚き、思わず嚥下してしまう。
 絶え間なく溢れるモノをどうすることもできず、喉を動かし続けた。
 しかし、すべては飲み込めず、口の端から白濁が伝い落ちる。

 「……これで、城へ戻れるわよ」

 大仕事を終えたシャーロットが呟くと、
「冗談だろ」
 ジョナサンが、紅い瞳に獣じみた狂気を孕ませ、シャーロットの顎に残る己の残滓を舐め取った。
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