怪談

馬骨

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がしゃがみシリーズ

悪夢

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 念仏のような声が聞こえる。

「バンザイ、バンザイ」

必死に叫んでいる。

「バンザイ、バンザイ」

玄関先まで歩いていく。

「バンザイ、バンザイ」

磨りガラスの扉に手をかける。

「バンザイ、バンザイ」

扉越しに、誰かが立っている。

「バンザイ、バンザイ」

ゆらりと伸びる人影が、異様に高い位置から俺を見下ろしている。

「バンザイ、バンザイ」

吐きそうなほどの怖気を感じながら、それでも俺は、勢いよく扉を開けた。

「開けた。」

誰もいない。安堵する。――その瞬間。

「開けたよ。」

吐いた。怖気のせいじゃない。

「開けたね。」

口の中になにか詰まっていた。どろりと吐き出される黒々とした塊。

「開けたってことは、入れるね。」

虫だ。手のひらいっぱいの。
胃袋の奥から、まだまだ出てくる。まだまだ、食べられる。

「美味しいね」

美味しい。

「バンザイ」

万歳。

「がしゃがみ、万歳。がしゃがみ、万歳。」

涎と涙と血が混ざった泡を撒き散らしながら、気づけば、俺もそう叫んでいた。

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