怪談

馬骨

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丹後新太シリーズ

伊藤康太の遺書

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どうも、みなさん。
出席番号四番。伊藤康太です。

最初に言っておきますが、このメッセージに返信、または何らかの反応をする必要はありません。

なぜならこれは、遺書だからです。

これを目にするとき、恐らく私は死んでいるのでしょう。

ですが私は、ただ知っておいてほしいのです。普段騒ぐことしか頭にないあなた方が私に対して行った、精神的な侵害行為の数々を。俗称「いじめ」ってやつです。

その告発を、一生残り、かつ、誰にも隠蔽されることの無いこの電子の海の一端に、放流します。

これは、呪いです。

あなた方に対する、私の復讐です。

始まりは些細な事であったと記憶しています。今やクラスの中心人物(笑)の出席番号六番、宇田川正平君(@UDA)。

君とは二年二組が始まった当初、仲良くしていたと思います。ただ今考えれば君は、その人懐っこい顔の裏で、私のことを心底あざ笑っていたのでしょうね。

その下劣な精神性を見抜けなかったのは、私の唯一の責任です。

知り合ってしばらくしてから、あなたは何かにつけて私の言うことに口答えするようになりましたね。

挙句の果てには、気に入らないなら気に入らないと言えばいいのに、露骨に僕のことを避けるようになった。

私はあなたのくだらないバスケやら、俗物にすぎないアーティストやらの話を、心底興味がなかったにもかかわらず聞いてやっていたというのに。

それどころかあなたは、高校生活にも慣れ始めたころ周りに人を囲ってひそひそと何事か話すようになりました。断言できますが、大方僕の悪口を言っていたに違いないのです。

私はあなたとかかわるのを止め、他の友人を作るようになりました。そうして次に話しかけたのが、クラスで二番目に人気があると思われる出席番号十四番、河合義人(@ヨシ)君と、金魚の糞のように引っ付いている二十四番、中井正章(@正章)君、以上の二人組でした。

ただ、この二人とは短い付き合いとなりました。

それというのも、宇田川と亀裂が生じた後、卑劣な彼は私のありもしない悪口を周囲に吹聴するようになったのです。

そのせいで私は彼らだけでなく、八番小田啓介(@オダケ―)君にも、三十番吉野一郎(@吉野家)君にも、挙句の果てには、クラスカースト最下位の二番青木(@YUSEI)、十一番柿本(@そうた)、十九番佐々木(@りょりょー)以下略のヲタク連中にすら、拒まれたのです。

半月もたたないうち、彼らの、僕を悪者に仕立て上げるための卑屈で陰湿な工作は成功しました。私はみるみる内に、二年二組という愚か者の群れの中でつまはじきに遭いました。

書いている今も、怒りで指先が震えてうまく打てないです。タイピングを何度もやり直しているはめに。つくづく思う。なんで僕がこんな目に遭わなければならないんでしょうか。

石橋薫も許せない。あの気弱な女教師。僕がこんなに苦しんでいるのに。何もせず見て見ぬふりしてしまいには「僕が孤立しているのは僕自身のせい」だと?何もわかっちゃいない。ナンセンスだ。どいつもこいつも。くそだ。糞の肥溜めだ。肥溜めって読めるか?(笑)どうせ読めやしないだろうな。そもそも僕は君たちとは何もかも違っているのに、なぜ僕はこんな烏合の衆の中に、放り込まれたんだ。

取り乱してしまい、申し訳ありません。でも、これはあなた方が選んだ選択です。

思春期だの、青春だのとくだらないあなた方が、それら俗物的な価値観を何としてでも死守したいがために、そういった社会で自分たちが生きていくための生贄として、無垢の民の一人である僕を選んだ。

今日、僕は死にます。二年二組一同の、すべてを恨みながら。

ここに表記はありせんが、僕が一番恨んでいる方は自分でご存じのはずでしょうから、明言は致しません。

そうすることであなた方は未来永劫、僕の影に怯え、そして僕の言葉に怯えるのです。また僕は、僕の死に様が伏せられることを避けるため、実家に火を放つことにしました。

いじめに、首つりに、大火事。これだけセンセーショナルな事件であれば、恐らくあなた方の仕打ちは全国に知れ渡るでしょう。

こうして僕は、何時までもあなた方の中で、爪痕を残し、傷跡を抉り、あなた方はそのたび、そこから噴き出たおぞましく穢れた血をまざまざと眺める羽目になるのです。

これが僕があなた方に送る、呪いです。

それでは皆さん、さようなら。
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