全ては、皆んなの為に、、、そして、彼女を好きになる

霜月麗華

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助け合い編

6

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6-1

鉄次は、大咲舞の入院している病院の屋上の椅子に座って居た。
「、、、やる事がない、どうしよう」
鉄次は涙を少し流した。
「クソ、、、なんで、」
鉄次は涙を拭くが、更に出る。
「あぁ、畜生!」
その時、屋上のドアが開いた。鉄次は涙目でドアの方を見た。そこには、よくわからないおじさんが居た。
「大丈夫かね?」
「、、、1人にしてくれ」
鉄次はキッパリ言ったが、おじさんはそれを聞かずに、鉄次の隣に座った。
「聞こえてんのか?戻ってくれ」
「君、大切な人を失った様だね?」
おじさんは鉄次の目を見て言った。
「、、、なんでわかんだよ」
「ワシは今の君みたいな目を何十回と見てきた。だからわかるんじゃ」
「どう言う理屈だよ、それ」
鉄次は呆れて、こう言った。
「、、、俺目当てでここに来たんだろ?」
と言い、手を組んだ。
「よくわかったな?そうだ、君目当てで来たのじゃ」
「アンタ誰だ?」
「ワシか、」
おじさんはとぼけながら言った。
「おっさんしか居ないだろ?」
「まぁな。ワシは上野浦林蔵わのうらりんぞう。ちょっとしたお年寄りじゃよ」
おじさんは鉄次の肩をポンと叩き、言った。
「君は知ってるか?」
「何をだ?」
「タイムリープじゃよ」
鉄次は立ち上がり、
「は?」
と言った。
「君、大切な人を助けたいんじゃろ?だが無理だと考えておるな?」
林蔵は鉄次に聞いた。すると、鉄次は頷き、
「そうだ」
と言った。
「ニューヨークに、ちょいとした化物人間がいるのじゃよ。そいつに会うんじゃ。話はそれからじゃ」
鉄次は林蔵が意味不明な事を言っていると考え、
「何言ってんだ?おっさん」
と、聞いた。
「少年、君の願いを叶えたいだけなのじゃよ。せめて、ニューヨークに行って、化物人間達に会うだけでいい。ワシは、君の願いを叶えたいのじゃよ!」
林蔵は鉄次に強く言った。鉄次は少し考え、
「わかった、行ってみる」
と言った。
「よかったぞ、少年。さぁ、戻ろう」
林蔵が言った時、鉄次が急に倒れたのだ。


「ん?!少年!大丈夫か?!少年!」


「う、うん?」
気がつけばそこは病室だった。
「鉄次!」
目の前には遥と早苗が居た。
「2人共、何を?」
「君が急に倒れたのじゃよ?分からんか?」
そこには林蔵も居た。
「おっさん!」
「起き上がらないで」
遥はそっと鉄次を寝かせる。
「はぁ、ビビらせおって。ラーメンしか食べていなかったのか?よく、あんだけ立ってられたのう?」
「うん」
鉄次は頷き、3人を少し、困らせた。
「栄養失調よ、、、まったくもぅ」
鉄次は手を合わせた。
「すまん!」
「、、、決心したのじゃろう?」
鉄次は林蔵の言葉に戸惑った。
「、、、あぁ」
「聞いたわよ、行くんだってね?ニューヨーク」
どうやら2人も知っていたようだ。
「なんで知ってるんだ?」
「ワシがさっき教えたんじゃよ」
林蔵は鉄次に忠告した。
「奴らは普通の人間じゃーない、くれぐれも死なぬ様にな。後、タイムズスクエアに着いたら、アレックスって言う人に会うのじゃ」
林蔵はそう言い、鉄次に飛行機のチケットを渡し、病室を後にした。
「ホントに、行くんだね」
遥は聞き、鉄次は頷いた。
「死なないでね?」
早苗は鉄次の肩をポンと叩いた。
遥は鉄次に抱きついた。
「頑張ってね?」
「あぁ、」
2人は立ち上がり、病室を出た。


「、、、行かなきゃか、、、」


6-2

鉄次は税関で少し、困っていた。
「何?!」
英語を勉強していなかった為、英語がわからない。どうにかして、税関を突破し、ニューヨークに降り立った。

タイムズスクエア

「ここが、ニューヨーク、、、」
鉄次は大変賑わっている、タイムズスクエアの人混みを押し除けながら、進んだ。鉄次はアレックスと言う人を探した。

30分後

ようやく鉄次はアレックスを見つけた。
「あなたがアレックス?」
うろ覚えの英語はギリギリ通じた様で、
「イエス!」
と返ってきた。その時、アレックスは鉄次の額に手を当て、何か呟いた。鉄次には聞こえなかった。
「ん?んん?!」
アレックスが額から手を離すと、急に日本語が聞こえる様になったのだ。
「はじめまして、私はアレックスです。よろしくお願いします」
「あ、松原鉄次です。よろしく、、、」
英語が日本語の様に聞こえる。というか、日本語そのものだった。
「今、私の力で外国語全てが日本語に聞こえる様にしています」
「そうなんですか!」
鉄次は驚き、アレックスは更に言った。
「日本語で問い掛けたら、日本語で返ってきますよ」
「うおーー!スゲ~~!」
鉄次は興奮した。人生でこんな事は初めてだからだ。
「あのおっさんが言ってたの。こういうのだったんだ、、、」
「上野浦林蔵か?私達の事を化け物人間と言う日本人か」
「あっ、はい」
鉄次は落ち着き、アレックスの話を聞いた。
「あれ、実はギャグなんだよ」
「はい?」
「ふざけて言ってるだけ。実際は私達の事、大切に思ってるのよ?」
「そうなんですか、、、」
(確実に貶してるじゃん!)
鉄次はそう思いながら、アレックスについて行った。
「こっち来て」
「はい」
アレックスは鉄次を裏路地の様な場所に誘った。
「ここは?」
「ここはチャイナタウン。心霊スポットの様な場所よ」
鉄次はゾッとし、アレックスの腕にしがみついた。
「大丈夫よ、」
アレックスはドアの暗証番号を解除し、中へ入った。
「来て」
鉄次はアレックスについて行った。中は階段で、地下に続いていた。2人は長い階段を降りていった。奥は鉄扉で頑丈だった。アレックスは鉄扉を軽々と開け、中に入った。すると、中には優しそうな人達が居た。
「やぁ、君が松原鉄次かい?歓迎するよ。私はグレッド。ようこそ、能力研究所へ!」
「、、、あっ、はい」
鉄次は能力研究所と聞いて、混乱した。
「能力研究所?へ?」
「超能力って信じるかい?」
グレッドはいきなり鉄次に聞いた。
「えっ、はい」
「なら話が早い。私達は能力者なのだよ」
グレッドは話を進めた。
「例えば、私は人の身体に乗り移ったり、アレックスは言語能力活性化みたいなもの。能力者の集まりだ。ここは、、、」
「そうなんですね、、、」
「集まっていないと、私達は死ぬ。奴らにな」
鉄次はグレッドに聞いた。
「奴らって?」
「魔女狩りの様な物凄くデカい集団だ。世界中にいる」
「身を潜めてる、て事か」
グレッドは逆に、鉄次に聞いた。
「君はタイムリープがしたいのだろう?」
「はい!」
鉄次が返答すると、グレッドは腕を組み、こう言った。
「いいのだが、君は能力を持っていないのだ」
と。
「、、、」
「君は、日本人だろう?」
鉄次は頷いた。
「日本人は、いないんだよ」
「え?いないって。能力者が?!」
グレッドは頷き、後ろに置いてあった、ファイルを鉄次に渡した。
「見てみなさい。全員、外国人だから」
ファイルには、日本人の名前はなかった。
「君が能力を持つと、色々ヤバいのだよ」
「でも、いい」
鉄次はキッパリと言った。
「ヤバくったって良い。馬鹿姉貴を取り戻したいんだ。自分で、、、」
グレッドは少し考え、許した。
「ホントに良いんだな?」
「うん」
鉄次はそう言い、アレックスについて行った。グレッドは椅子に座り、上野浦林蔵に電話した。
「林蔵か?」
「グレッドか?少年はどうだ?」
「やるってさ」
「そうか、、、少年に頑張れと言っておくれ」
「わかったよ」
グレッドは電話を切り、鉄次の後について行った。
「やるからには本気で挑んでもらうからな?」
「あぁ、、、もう俺は本気だ」
鉄次はグレッドとタイマン勝負がしたかった。
「君は、頭脳で犯人を追い詰めたそうだね?」
「、、、恥ずかしいからやめて下さい、」
「すまんな(笑)」
グレッドは笑い、鉄次を少し怒らせた。


「笑うなよ!」
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