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前編 少年と精霊
15,こんなの要らないわよ!
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そうしてその日もライアが指示するままにアーロルは森を整備し、そして夜は人間界ではやっているジャンケンなどいくつかのゲームをして遊んだ。
新鮮な楽しさにライアは心を躍らせるが、同時に寂しさも湧き上がってくる。
「ねえ、アーロル、次はいつ来れるの?」
「また1か月後かなぁ。俺も忙しくてさ。それにここに来るだけで2日かかるし。」
「ええ? そんなにかかるの? アーロルよく来れたわね。」
「ライアの蜜が良すぎるんだよ。
まあそういうわけで俺は町を出る1週間以外は休みなしで働いたわけ。」
「じゃあ1ヵ月のなかでアーロルが自由に行動できたのはこの3日だけってことなのね……」
「まあライアは気にしなくて大丈夫さ。ほら、もう寝よう?」
「う、うん……」
ライアの想像以上に大きな労力かけて森に来ていると分かり驚きつつ、申し訳ない気持ちになってくる。
「あれ? 今晩は蜜とらないの?」
「採ってほしいの?」
「……」
コクリと小さくうなずくライア。
翌日にはいなくなってしまうアーロルに強烈な寂しさを覚えていたのだった。
「仕方ない。ライアがそういうならしてあげよう」
と言いつつ元からそうするつもりだったのだが。
「あ……♡ んっんっ」
その後何回か頂点に達し、そのまま幸せに包まれてライアは眠った。
今回はアーロルもしっかり寝た。後ろから抱きかかえて寝るのはさすがに無理だったためライアの真横にアーロルが横たわることにした。
ライアはどうやら人の体温があると安心してよりよく眠れるようだ。
――朝。
「んん~~。ん? んふふ♪」
すっきり目が覚めたと思ったら、目の前に寝顔がある。
ライアはアーロルの寝顔をまじまじと見た。
(んふふっ。かわいい……)
いつも自分の恥ずかしいところを触ったり舐めたり、さんざん責めているのにいまのアーロルは無防備に寝ている。
そんなことを考えていると少しライアもイタズラしたくなってしまう。
しかし、彼女はあまりに素直すぎて全くイタズラが思いつかなかった。
仕方なく鼻を突っつく。
「朝よ~~。」
アーロルは起きない。
「抱き着いちゃうわよ~」
すでに腕が密着していたが、ライアはアーロルに上に覆いかぶさるようにして抱き着いた。
「温かい……」
アーロルのぬくもりを享受するライア。
「ああ、幸せ……」
「ライア、自分から抱きついてきてどうしたの?俺のこと好きなの?」
「いやあああ! 起きてたの? 起きてたんなら言いなさいよ!!!」
急いでガバッっとアーロルから離れるライア。
そのまま石台から降りた。
「ちょっと、寝たふりするなんてひどいじゃない! そんな……っ……」
半泣きになっているライア。ライアはアーロルが起きたら「抱き着いてこないでよ!」というつもりだったようだ。
しかし自分から抱き着きに行ったことがバレてしまった。
「ごめんって。許してくれよ、ほら、これあげるから……」
「なにこれ……ええ、木の精霊に花の形の髪飾り渡すわけ?? 嬉しくないわよこんなの!!」
「あ、そうか、すまん……」
「ふんっ」
「じゃあこれは捨ててまた今度別の……」
「ちょっとお! そんなことしたらこの髪飾りがかわいそうでしょ!」
そういいながらライアはパシッっと彼の手から金属製の赤色の花の髪飾りを奪い取った。
「これは私が預かっておくわ。」
「受け取ってくれてありがと。」
「……預かるだけだからね! 嬉しくないんだから!」
「はいはい。じゃあ、俺は帰るから、また1か月後!」
「気を付けて帰んなさいよ~!」
こうしてアーロルは帰っていった。
「嬉しくなんか……ないけど……」
手にある真っ赤な髪飾りを見ると、ライアはそれを頭につけた。
「アンタが見てくれなきゃ、似合ってるのかわからないじゃない……」
誰にも聞こえないような小声で、ライアはそうつぶやいた。
新鮮な楽しさにライアは心を躍らせるが、同時に寂しさも湧き上がってくる。
「ねえ、アーロル、次はいつ来れるの?」
「また1か月後かなぁ。俺も忙しくてさ。それにここに来るだけで2日かかるし。」
「ええ? そんなにかかるの? アーロルよく来れたわね。」
「ライアの蜜が良すぎるんだよ。
まあそういうわけで俺は町を出る1週間以外は休みなしで働いたわけ。」
「じゃあ1ヵ月のなかでアーロルが自由に行動できたのはこの3日だけってことなのね……」
「まあライアは気にしなくて大丈夫さ。ほら、もう寝よう?」
「う、うん……」
ライアの想像以上に大きな労力かけて森に来ていると分かり驚きつつ、申し訳ない気持ちになってくる。
「あれ? 今晩は蜜とらないの?」
「採ってほしいの?」
「……」
コクリと小さくうなずくライア。
翌日にはいなくなってしまうアーロルに強烈な寂しさを覚えていたのだった。
「仕方ない。ライアがそういうならしてあげよう」
と言いつつ元からそうするつもりだったのだが。
「あ……♡ んっんっ」
その後何回か頂点に達し、そのまま幸せに包まれてライアは眠った。
今回はアーロルもしっかり寝た。後ろから抱きかかえて寝るのはさすがに無理だったためライアの真横にアーロルが横たわることにした。
ライアはどうやら人の体温があると安心してよりよく眠れるようだ。
――朝。
「んん~~。ん? んふふ♪」
すっきり目が覚めたと思ったら、目の前に寝顔がある。
ライアはアーロルの寝顔をまじまじと見た。
(んふふっ。かわいい……)
いつも自分の恥ずかしいところを触ったり舐めたり、さんざん責めているのにいまのアーロルは無防備に寝ている。
そんなことを考えていると少しライアもイタズラしたくなってしまう。
しかし、彼女はあまりに素直すぎて全くイタズラが思いつかなかった。
仕方なく鼻を突っつく。
「朝よ~~。」
アーロルは起きない。
「抱き着いちゃうわよ~」
すでに腕が密着していたが、ライアはアーロルに上に覆いかぶさるようにして抱き着いた。
「温かい……」
アーロルのぬくもりを享受するライア。
「ああ、幸せ……」
「ライア、自分から抱きついてきてどうしたの?俺のこと好きなの?」
「いやあああ! 起きてたの? 起きてたんなら言いなさいよ!!!」
急いでガバッっとアーロルから離れるライア。
そのまま石台から降りた。
「ちょっと、寝たふりするなんてひどいじゃない! そんな……っ……」
半泣きになっているライア。ライアはアーロルが起きたら「抱き着いてこないでよ!」というつもりだったようだ。
しかし自分から抱き着きに行ったことがバレてしまった。
「ごめんって。許してくれよ、ほら、これあげるから……」
「なにこれ……ええ、木の精霊に花の形の髪飾り渡すわけ?? 嬉しくないわよこんなの!!」
「あ、そうか、すまん……」
「ふんっ」
「じゃあこれは捨ててまた今度別の……」
「ちょっとお! そんなことしたらこの髪飾りがかわいそうでしょ!」
そういいながらライアはパシッっと彼の手から金属製の赤色の花の髪飾りを奪い取った。
「これは私が預かっておくわ。」
「受け取ってくれてありがと。」
「……預かるだけだからね! 嬉しくないんだから!」
「はいはい。じゃあ、俺は帰るから、また1か月後!」
「気を付けて帰んなさいよ~!」
こうしてアーロルは帰っていった。
「嬉しくなんか……ないけど……」
手にある真っ赤な髪飾りを見ると、ライアはそれを頭につけた。
「アンタが見てくれなきゃ、似合ってるのかわからないじゃない……」
誰にも聞こえないような小声で、ライアはそうつぶやいた。
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