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第5章 慈愛の聖女、クラリス
42,第一王女
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あっという間にタツシが第一王女に会う日になってしまった。
おそらく彼女は勇者としてのタツシと会いたがっているだろうと思いタツシも正装をする。
そして王城内の勇者様に与えられている部屋に転移した。
「うっ……緊張がやばい……この世界に来てからここまで緊張するのは初めてかもしれん。」
今までテキトーにやってきたタツシ。
魔王を倒したときも、初めてアメリアにイタズラをした時も、ここまでの緊張ではなかった。
一体、なぜこんな時に呼ばれ、そしてなぜ会いたがっているのか。
どんな相手かも全く知らないのに、おそらく相手には完全に知られているという恐怖。
そして、この三日間も恐ろしいことが他にもあった。
まず、スライムの調査が一切効かないのだ。
タツシは少しでも第一王女のことを調べようとスライム達に指示を出し、第一王女の行方を調べさせたのだが全く分からなかった。
その上、手紙にも指紋、DNA含め一切人の痕跡が見つからなかった。
どうなっているのか、タツシには全く分からなかった。
今の第一王女がダメなら、他の人からあたってみようと思い、王族の関係者に聞きもしたが、どこにいるか分からない、何をしているか分からないの一点張り。
おまけに前王(タツシを召喚したときの王様)は「ハッハッハ、アイツも色づいてきたころか、さてはお主に結婚でも申し込むのじゃろ、そういえばこないだそんな話をしておったわ」と言っていた。
それを聞いたタツシは「冗談じゃないですよ! 俺はもう心に決めた人がいるんですから! なんとか第一王女様に言ってやってくださいよ!」と言ったものの
「ぬふぉふぉ、アイツは恐ろしいほどの情熱を持っているからのう……こんな頑固ジジイの言うことなんて聞かんじゃろ。」
「そんな……」
タツシをからかうために言っているのか、本当なのかはよくわからないが結局王女が何をしたいのかは全く分からないでいた。
さらに、過去の文献を読んでみると、偶然なのかはわからないが、王女から求婚された男の話がでてきた。
その男はすでにほかに好きな人がいたのにも関わらず、王女から結婚しなければ国外に追放する、などと脅されやむなく婚約したようだ。
当然権力の乱用だとかの問題で王女自身が罰せられ婚約も破棄され、その男の結婚話は無くなったのだが、その間にその男が好きだった人が別の男を好きになり、結局男は一生独身……
タツシは怖くなってそこで本を閉じた。
そんなことを思い出しながらもタツシはついに第一王女室に来てしまった。
厳重な警備も勇者は顔パス。全く障害なしにここまでたどり着いてしまった。
両開きのドアの前で大きく深呼吸する。
いざとなったら、気絶すればいい。
それでもやばかったら、転移で逃げよう。
そう唱えて、重厚な黒茶色の扉を押し開けた。
おそらく彼女は勇者としてのタツシと会いたがっているだろうと思いタツシも正装をする。
そして王城内の勇者様に与えられている部屋に転移した。
「うっ……緊張がやばい……この世界に来てからここまで緊張するのは初めてかもしれん。」
今までテキトーにやってきたタツシ。
魔王を倒したときも、初めてアメリアにイタズラをした時も、ここまでの緊張ではなかった。
一体、なぜこんな時に呼ばれ、そしてなぜ会いたがっているのか。
どんな相手かも全く知らないのに、おそらく相手には完全に知られているという恐怖。
そして、この三日間も恐ろしいことが他にもあった。
まず、スライムの調査が一切効かないのだ。
タツシは少しでも第一王女のことを調べようとスライム達に指示を出し、第一王女の行方を調べさせたのだが全く分からなかった。
その上、手紙にも指紋、DNA含め一切人の痕跡が見つからなかった。
どうなっているのか、タツシには全く分からなかった。
今の第一王女がダメなら、他の人からあたってみようと思い、王族の関係者に聞きもしたが、どこにいるか分からない、何をしているか分からないの一点張り。
おまけに前王(タツシを召喚したときの王様)は「ハッハッハ、アイツも色づいてきたころか、さてはお主に結婚でも申し込むのじゃろ、そういえばこないだそんな話をしておったわ」と言っていた。
それを聞いたタツシは「冗談じゃないですよ! 俺はもう心に決めた人がいるんですから! なんとか第一王女様に言ってやってくださいよ!」と言ったものの
「ぬふぉふぉ、アイツは恐ろしいほどの情熱を持っているからのう……こんな頑固ジジイの言うことなんて聞かんじゃろ。」
「そんな……」
タツシをからかうために言っているのか、本当なのかはよくわからないが結局王女が何をしたいのかは全く分からないでいた。
さらに、過去の文献を読んでみると、偶然なのかはわからないが、王女から求婚された男の話がでてきた。
その男はすでにほかに好きな人がいたのにも関わらず、王女から結婚しなければ国外に追放する、などと脅されやむなく婚約したようだ。
当然権力の乱用だとかの問題で王女自身が罰せられ婚約も破棄され、その男の結婚話は無くなったのだが、その間にその男が好きだった人が別の男を好きになり、結局男は一生独身……
タツシは怖くなってそこで本を閉じた。
そんなことを思い出しながらもタツシはついに第一王女室に来てしまった。
厳重な警備も勇者は顔パス。全く障害なしにここまでたどり着いてしまった。
両開きのドアの前で大きく深呼吸する。
いざとなったら、気絶すればいい。
それでもやばかったら、転移で逃げよう。
そう唱えて、重厚な黒茶色の扉を押し開けた。
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