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最終章 ~それぞれの道~
29,魔法師ギルド
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「ここが……魔術師ギルドね。」
ラネルは魔術師ギルドに入っていった。
クラリスの護衛としての仕事が減ったラネルは、国に許可をもらってある程度まとまった休暇をもらった。
タツシが過剰にクラリスを守るせいでしばらく使っていない魔法の感覚を取り戻そうというのがラネルの狙いだ。
今、ラネルは近侍として働いているときのメイド服ではなく、一般的な下級貴族の私服を身にまとっている。
自身の黒髪に合わせるように上半身は黒色で固め、白色のタイトスカートですらりとした足を強調する、といった感じだ。
商店街や他の公共施設の中であれば全く浮かないその恰好も、魔法師ギルドの中となれば話は別である。
「おいおい、あの娘どうしたんだ??」
「へっ、魔法書館と間違えたんだろ」
濃い赤色、緑色、黒色……
様々な色のローブを身にまとった魔法師達が、明らかになんの装備もしていない彼女を好奇の目で見るのも仕方のない話だろう。
女性の魔法師もひそひそと指をさしながら話をしている。
「おい、そこの君、魔法を使うのは初めてか? 俺らが魔法について教えてやるからちょっとこっち来てくれよ~」
この世界に疎そうな美少女が魔法師ギルドを歩いている、そうばれば当然こういう輩も出てくる。結構年いっていそうなおっさんに声をかけられる女子。どの世界にも必ずいるものである。
だが、クラリスに突っかかるあまたの男を見てきたラネルからすればこの程度のことには本当によくあることだ。
ラネルは無視してそのまま歩き続けた。
「お、おい、聞こえてんだろ? 返事くらいしろよ! おれはB級魔法師の認定受けてるんだぞ!」
知り合いに勇者がいるともはや高々魔法師ギルドの認定など気にしようとも思わない。
そんなことを思いながらラネルは受付に行った。
「すみません、冒険者の認定が欲しいのですが……」
「はい、ですが認定には筆記試験、それに試験官との模擬試合が必須になりますが……」
受付嬢が不思議に思いながらもラネルにそう問いかける。
一般的に、魔法というのは魔道具があって初めて本領を発揮するものだ。タツシがクラリスにプレゼントした杖がそうであるように、たいていの場合魔力適正のある宝石があしらわれた魔道具を使うことによって魔力消費量も魔法の威力も向上するのだ。
だから魔法の試験を受けるときには当然皆杖を持ってくるし、防護のために魔法が付与されたローブを着る。
しかし、普段は普通の侍女のふりをしているラネル。今も無装備の私服姿だ。それを知らない人から見れば武器すら変えない貧乏な貴族とみられても不思議ではない。
「はい、わかっています。よろしくお願いします。」
ラネルは静かにそう答える。
「え、ええ。それでは、何級の試験を受けますか……?」
「Aで。」
ラネルは魔術師ギルドに入っていった。
クラリスの護衛としての仕事が減ったラネルは、国に許可をもらってある程度まとまった休暇をもらった。
タツシが過剰にクラリスを守るせいでしばらく使っていない魔法の感覚を取り戻そうというのがラネルの狙いだ。
今、ラネルは近侍として働いているときのメイド服ではなく、一般的な下級貴族の私服を身にまとっている。
自身の黒髪に合わせるように上半身は黒色で固め、白色のタイトスカートですらりとした足を強調する、といった感じだ。
商店街や他の公共施設の中であれば全く浮かないその恰好も、魔法師ギルドの中となれば話は別である。
「おいおい、あの娘どうしたんだ??」
「へっ、魔法書館と間違えたんだろ」
濃い赤色、緑色、黒色……
様々な色のローブを身にまとった魔法師達が、明らかになんの装備もしていない彼女を好奇の目で見るのも仕方のない話だろう。
女性の魔法師もひそひそと指をさしながら話をしている。
「おい、そこの君、魔法を使うのは初めてか? 俺らが魔法について教えてやるからちょっとこっち来てくれよ~」
この世界に疎そうな美少女が魔法師ギルドを歩いている、そうばれば当然こういう輩も出てくる。結構年いっていそうなおっさんに声をかけられる女子。どの世界にも必ずいるものである。
だが、クラリスに突っかかるあまたの男を見てきたラネルからすればこの程度のことには本当によくあることだ。
ラネルは無視してそのまま歩き続けた。
「お、おい、聞こえてんだろ? 返事くらいしろよ! おれはB級魔法師の認定受けてるんだぞ!」
知り合いに勇者がいるともはや高々魔法師ギルドの認定など気にしようとも思わない。
そんなことを思いながらラネルは受付に行った。
「すみません、冒険者の認定が欲しいのですが……」
「はい、ですが認定には筆記試験、それに試験官との模擬試合が必須になりますが……」
受付嬢が不思議に思いながらもラネルにそう問いかける。
一般的に、魔法というのは魔道具があって初めて本領を発揮するものだ。タツシがクラリスにプレゼントした杖がそうであるように、たいていの場合魔力適正のある宝石があしらわれた魔道具を使うことによって魔力消費量も魔法の威力も向上するのだ。
だから魔法の試験を受けるときには当然皆杖を持ってくるし、防護のために魔法が付与されたローブを着る。
しかし、普段は普通の侍女のふりをしているラネル。今も無装備の私服姿だ。それを知らない人から見れば武器すら変えない貧乏な貴族とみられても不思議ではない。
「はい、わかっています。よろしくお願いします。」
ラネルは静かにそう答える。
「え、ええ。それでは、何級の試験を受けますか……?」
「Aで。」
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