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最終章 ~それぞれの道~
30,出会い
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ギルド内がざわついた。
「おいおい、ウソだろ、Aが一番簡単だと思ってんじゃねえのか??」
完全に見下したような発言がどこからともなく飛び交う。
ラネルはそれを完全に無視して案内されるままに試験会場に向かった。
筆記試験に関しては全く問題がなかった。
第一王女に近侍として使えるくらいだ。彼女がこれまで身に着けた教養の範囲であっさり合格できてしまった。
そして試験官との模擬試合。
低ランクの模擬試合はほかの人の観戦は許されていないのだが、Aランクはそれが許されている。
突然Aランクを受けに来た美少女。
まだラネルがギルドに来てから数時間しかたっていないが、その噂は広まっていた。
世間に一切顔を見せない第一王女クラリスの近侍であるラネルもまた世間には顔を明らかにしていない。
つまり、彼女の素性を知るものはほとんどいないのだ。
ちなみにラネルは一応今後のことを考えて軽い変装はしている。
「それでは、試験を開始します!!!」
地下にある試験場でパンッという激しい炸裂音が鳴り響く。
直後、剣と盾を持った試験官がラネルに向かって襲い掛かってくる。
この試験場では特殊な魔法陣により人体に重大な損傷を与えるような攻撃があった瞬間に両者とも強いマヒ状態になり、同時に回復魔法がかかるようになっている。
この魔法が発動したら決着だ。つまり、相手に重大な攻撃を加えればいい。
ラネルは魔法を唱えた。
黒ずんだ紫色の霧が地面に沿うように猛烈な速さで試験官へと進んでいく。
「むっ!?!?」
試験官はかわすことができずにその霧を浴びるが、しかし何も起こらなかった。
観客も何が起きたか全くわかっていない。
そしてラネルは何も起きていない試験官から逃げ続けるように走り回った。
「おいおい、お嬢ちゃーん、ここは追いかけっこする場所じゃないですよ~~」
おっさん騎士が野次を飛ばす。
まだ学生であってもおかしくない年齢の女子が、ただ試験官から逃げ回るだけ。
そんな戦闘に見飽きた数人の女魔法師と女騎士が試験会場から出て行った。
「なによあれ、なんにも面白くないじゃない。」
一方、よくわからないがかわいい女の子が走っているからといって男は誰も会場から出ていかない。
15分が経過した頃。
一応ルール上30分が経たないと試験は終了にならないため仕方なく試験官は場内でラネルを追い続けた。しかし彼女の足は速く、かりに追いつけそうになっても足止めの闇魔法を使うため追いつけなかった。
試験官が「早く家に帰ってシコりてぇ」と思った瞬間だった。
急に体が重くなり、そのまま全身が痙攣し始めた。
「ぐっ……!?」
ラネルの足がとまり、試験官のほうをみた。彼女の口角は上がっているものの、目は真っ黒のまま。
「……試験は合格です。お疲れさまでした。」
ラネルが使ったのはただの状態悪化魔法だった。闇属性の上級魔法で、効果を発揮するまでにかなり長い時間を要するもののその時間を過ぎれば急速に体力を削っていくというもの。
ラネルは護衛として働いていたため攻撃魔法が得意ではないし、攻撃手法を人に見せるわけにはいかない。それでこのような方法で試験を突破することにしたのだ。
よくわからないが、とりあえずすごい、そう思った多くの野郎が会場から出てきたラネルに声をかける。
空港から出てきた著名人のように一斉に話しかけられるクレナ。
面倒くさいと思いながら無視して突き進んでいき、なんとか出口につこうとしたとき、ある一人に声を掛けられた。
「一緒に来てくれないか」
ほかの男連中と言っている内容は全く同じだ。
だが、彼らとは明らかに違う点があった。
「ええ。行きます。よろしくお願いします‼」
あきらかに、周りの人たちより一段も二段も強そうだった。女性なのに。
ラネルは綺麗な細剣を持つその女性についていった。
「おいおい、ウソだろ、Aが一番簡単だと思ってんじゃねえのか??」
完全に見下したような発言がどこからともなく飛び交う。
ラネルはそれを完全に無視して案内されるままに試験会場に向かった。
筆記試験に関しては全く問題がなかった。
第一王女に近侍として使えるくらいだ。彼女がこれまで身に着けた教養の範囲であっさり合格できてしまった。
そして試験官との模擬試合。
低ランクの模擬試合はほかの人の観戦は許されていないのだが、Aランクはそれが許されている。
突然Aランクを受けに来た美少女。
まだラネルがギルドに来てから数時間しかたっていないが、その噂は広まっていた。
世間に一切顔を見せない第一王女クラリスの近侍であるラネルもまた世間には顔を明らかにしていない。
つまり、彼女の素性を知るものはほとんどいないのだ。
ちなみにラネルは一応今後のことを考えて軽い変装はしている。
「それでは、試験を開始します!!!」
地下にある試験場でパンッという激しい炸裂音が鳴り響く。
直後、剣と盾を持った試験官がラネルに向かって襲い掛かってくる。
この試験場では特殊な魔法陣により人体に重大な損傷を与えるような攻撃があった瞬間に両者とも強いマヒ状態になり、同時に回復魔法がかかるようになっている。
この魔法が発動したら決着だ。つまり、相手に重大な攻撃を加えればいい。
ラネルは魔法を唱えた。
黒ずんだ紫色の霧が地面に沿うように猛烈な速さで試験官へと進んでいく。
「むっ!?!?」
試験官はかわすことができずにその霧を浴びるが、しかし何も起こらなかった。
観客も何が起きたか全くわかっていない。
そしてラネルは何も起きていない試験官から逃げ続けるように走り回った。
「おいおい、お嬢ちゃーん、ここは追いかけっこする場所じゃないですよ~~」
おっさん騎士が野次を飛ばす。
まだ学生であってもおかしくない年齢の女子が、ただ試験官から逃げ回るだけ。
そんな戦闘に見飽きた数人の女魔法師と女騎士が試験会場から出て行った。
「なによあれ、なんにも面白くないじゃない。」
一方、よくわからないがかわいい女の子が走っているからといって男は誰も会場から出ていかない。
15分が経過した頃。
一応ルール上30分が経たないと試験は終了にならないため仕方なく試験官は場内でラネルを追い続けた。しかし彼女の足は速く、かりに追いつけそうになっても足止めの闇魔法を使うため追いつけなかった。
試験官が「早く家に帰ってシコりてぇ」と思った瞬間だった。
急に体が重くなり、そのまま全身が痙攣し始めた。
「ぐっ……!?」
ラネルの足がとまり、試験官のほうをみた。彼女の口角は上がっているものの、目は真っ黒のまま。
「……試験は合格です。お疲れさまでした。」
ラネルが使ったのはただの状態悪化魔法だった。闇属性の上級魔法で、効果を発揮するまでにかなり長い時間を要するもののその時間を過ぎれば急速に体力を削っていくというもの。
ラネルは護衛として働いていたため攻撃魔法が得意ではないし、攻撃手法を人に見せるわけにはいかない。それでこのような方法で試験を突破することにしたのだ。
よくわからないが、とりあえずすごい、そう思った多くの野郎が会場から出てきたラネルに声をかける。
空港から出てきた著名人のように一斉に話しかけられるクレナ。
面倒くさいと思いながら無視して突き進んでいき、なんとか出口につこうとしたとき、ある一人に声を掛けられた。
「一緒に来てくれないか」
ほかの男連中と言っている内容は全く同じだ。
だが、彼らとは明らかに違う点があった。
「ええ。行きます。よろしくお願いします‼」
あきらかに、周りの人たちより一段も二段も強そうだった。女性なのに。
ラネルは綺麗な細剣を持つその女性についていった。
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