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獅子騎士の恋編(1)
14.
しおりを挟むラパスは許嫁に恋をした。
ラパスは27歳でクランより1ヶ月後には28歳を迎える。二人は10歳の差があり、歳よりも幼く見えるクランにラパスはまだ…可愛い子供だと思っていた自分に恥じた。ラパスの周りの18歳の女性たちは皆大人びた妖艶な危険な色香を漂わせているように思えていて…近づいてはいけないと常に警戒していた。しかし、クランは同じ18歳でもふわふわとした…妖精のようで癒される存在。そんな彼女が誰かにもらった花束を大事に抱えた姿に嫉妬したのだ。
今まで持ったことの無い感情にラパスは戸惑い、遠征から戻り今日は城の任務も終わったため、服を着替え、護衛をつれ、王族御用達の店へむかったのだった。女王の呼出しなどすっかり忘れて。プレゼントを買いに…。その日の夜は女王にお叱りを受けたそうな……。
その日帰りの馬車の中、クランはラパスに大胆な発言をしたと、後から恥ずかしさが込み上げていた。
兎の縫いぐるみと花束を抱え…そこにかおを埋めた。
(私…なんて恥ずかしいお願いしてしまったの!でも、でも!ラパス様の瞳が今までになく甘いお顔をしていたから…私、ドキドキして…男の人の匂いっって苦手だったのに…ラパス様からは違う匂いがしたの、安らぐ…のと…ずっとこうしていたいって思いで…)
「いやあ~ん!」
思わずこぼれた声にクランは更に顔を赤くし帰路についた。
馬車の外、馬を並走させるアルトはクランの声を耳にし、ようやくクランの中に恋が芽生えたのだと安堵したのだった。
「良かったですね、姫様。」
外は日も傾きはじめ…馬車は国境を超え、ハミン国へと入り…アルト達は途中現れた夜盗を難なく打ちのめし、お城へ無事に到着。
城内、王たちの部屋…この日の夜は…賑やかにクランの誕生日のお祝いをしたのだった。
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