狂戦士は可憐な花嫁を溺愛する

yu-kie

文字の大きさ
11 / 20

10

しおりを挟む


 宮殿内の王家の部屋。

ルイが飛び出した直後、国王は王子達と王妃に襲撃に関する書簡を兵に届けさせた時に起きたことを話始めた。

 バリージャの兵を向かわせた際、アイスの提案で忍者兎を同行させた。バリージャ王は捕らえた兵士を返すことを早く伝えることで、親交のあるユイフ王との関係を修復させたかった。まだ、裏切られたとは信じられなかった。しかし、忍者兎が瞬間移動で慌ただしく連れて帰ってきたバリージャの兵は殺されかけ、軽傷だが傷を負い、酷く怯えていたのだった。

王はルイが先ほど叫んでいた過去の話にあった…『ユイフ国王も王太子も大嘘つきよ!昔からあの人達の言葉なら信じて、皆!私の言葉は信じてくれなかったでしょ!』その言葉は確かに昔何度かルイから聞いた話で、確かにユイフ国王はルイと違うことを言い、バリージャ王はそちらを信じ、ルイはそのうちユイフ国王達が来る際は警戒するようになっていたのだ。

「私たちはユイフを信じすぎてしまったのかもしれない。真実が見えていなかったのか…幼い頃のルイの言葉に耳を傾けていたら、ユイフの企みに気付けたのかも知れないな。」

バリージャ王は決意した。

「ユイフ国王にルイとの縁談はお断りしてこよう。少し前に襲撃にあっているから少し心配はあるが、バリージャは侵略に来たもの達を何度も打ち負かして国を守ってきたのだ。逃げることはしてはならない。」

 そこへアイスとルイが部屋に戻り、キト王太子はアイスの腕に収まる、お姫様だっこのルイに驚き叫んだ。

「ルイ!」

 キトの第一声に続いてアイスが口を開いた。

「バリージャ王、よろしければ我々ディスカにも協力させてくれませんか?」

 アイスはルイを地上へと降ろしルイはぴょんぴょんと跳ねるように床に足を着地させた。

 「アイス王子、どうするつもりです?」

「バリージャ王、バリージャ国は最強の軍により国を侵略から守ってこられた。そして、隣国との友好を大切にされている。ユイフへはいつもと変わらないお心で向かってください。危険にさらされるようなことがあれば…私がそちらに馳せ参じましょう。」

「あなたは他国の王子、ユイフとバリージャのいざこざにこれ以上巻き込むわけには…」

「ご心配なく。トゥクル、いるか?」

 アイスの声に答えるように天井からポンっと忍者兎が出現して床に軽やかに着地した。

 そして、忍者らしく、ドロン!と効果音と共に白い煙に包まれて、現れたのは黒い帽子に耳を隠した、バリージャの兵士の服を着た人間の男の子が現れた。

「王子しゃま!これでいいでしゅ?」
「ああ、君には期待してる。」
「お任せあれでっしゅ!」

 ルイは目を輝かせて、少年に駆け寄ろうとし、アイスに行く手を遮られた。

「ルイ王女、駄目ですよ?」
「何故?」

 ルイは少し拗ねたように頬を膨らませて見上げればアイスは手を伸ばしルイの髪に触れそのままふくれた頬を指でつついた。

「あなたは私の未来の花嫁。彼も獣人、彼に飛び付くのは耐えられない。」
「でも、私よりも幼い少年ですよ?まだ子供ですよね?」

 ルイは引き留めるアイスに不思議そうな表情で首をかしげて問いかければ、アイスはまぶたを閉じ、溜め息をついた。

「王子しゃま…説明が必要かとおもいましゅ。王女しゃま!おいらは兎のじゅ~人の中でも小兎族の種類っしゅ。僕らはこれでもしぇいじん(成人)っしゅ!小兎族は代々王族にちゅか(使)えるっしゅ!瞬間移動はおいら達、小兎族の十八番おはこなんっしゅ!」

 アイスはルイをぎゅっと抱きしめその胸にルイは顔を埋めた状態で話始めた。

「バリージャ王、彼の活躍はご存知かと。兎の姿はばれてしまうので、小さな護衛兵として王の側においてはいただけないでしょうか?」

「うむ。兵士にしては小さすぎるな、そうだ、小姓こしょうとしてなら…ディスカ国に甘えてしまって本当によろしいのか?」
「ええ。未来の花嫁の国のためですから。明日、帰還しましたらディスカ王には報告いたします。それで…ひとつお願いがあります。」
「なんだね?」

アイスはルイの家族を前に深々と頭を下げた。

「父王から預かっているものがあります。」

アイスの一声に、控えていた豹獣人現在人の姿の兵がアイスを横切り、バリージャ王の前に膝をつくと、筒を手渡した。

「婚約の誓約書か…」

 バリージャ王は筒から紙を取り出し、テーブルに広げた。

 アイスの思いが通じたのか、もう反論するものは誰もいなかった。

 書面にはディスカ王のサインが既にあり、あとはバリージャ王のサインと、ルイとアイスのサインを書くのみとなり、静かに三人のサインが書面の空欄を埋めていった。ルイとアイスは婚約を成立させ、二人が喜びを共有するように微笑み合う。


 それを目にしたルイの家族は、これで良かったのだとそう思った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。 宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。 彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。 加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。 果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?

冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?

由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。 皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。 ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。 「誰が、お前を愛していないと言った」 守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。 これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました! ※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)  狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。  突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。  だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。  そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。  共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?  自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...