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あの時カイ様の逃げろと叫ぶ声に私は答えることはなかった。今更ながらに、逃げれば良かったのかもしれないと思ってしまう。私はカイ様より強いわけでもない。父と同じ職でもない。逆にカイ様の負担になってしまったのだから。
赤い目には魔力が宿ると聞いている…でもその力の引き出しかたさえわかっていないし…私もわからない。
「カイ様…。」
私は首にかかるネックレスにてをかけて…じっとそこに輝く小さな宝石を見つめれば…思い浮かぶ、幼き日のカイ様との記憶、そしてお城でのカイ様との記憶だ。髪を撫でられたことにドキリとしたことが何度もあった。時々くれた、高価なお菓子は…口を開けるよう言われて…カイ様の手から直接いただいたこと…他の人にはやらないことだと…侍女仲間に言われて…あまり信じていなかっだけど…
ネックレスをもらったあの時からカイ様は私を気にかけていてくれるのかもしれない。あの方に兄のように慕う気持ちが大きくて、優しくされるぶん、嬉しくてそれに甘えてしまって……ああ、今思えば、ネックレスを持つ私が、カイ様に優しくされるのは…もしかしたら、花嫁候補だと私を認識されているからではないかと…
私は花嫁になりたいなんて…否、夢は見ている。ただし現実にはあり得ないだろうと思っていて…でも私はカイ様は大好き。ネックレスだって、約束を守ってずっと身に付けている。これはカイ様との唯一繋げてくれているものだから……。
+
そんなことを考えていたら、ちゃりと音がして…檻の扉が開かれた。
「へぇー居たんだ?紅い目の女。」
私は立ち上がろうとして足枷に動きを抑えられ、間近にきた私と年の近い白い髪の少年に手を引っ張られるように引き寄せられた。
息のかかる距離にきた彼の手は私のネックレスに伸びて、引っ張られて襟首のボタンがひとつ飛んでしまい、私は怒りを覚えた瞬間、瞳に集まる魔力を感じ…白い髪の少年より強くなる自分が脳内で描かれてゆき…それが目の前で実現された。
ネックレスはジリジリと熱を放つ。
「あちっ!」
少年が離したと同時に私のビンタが頬を直撃、少年が弾かれぶつかった衝撃で接触した檻の一部がグニャリと歪んだ。
「いてぇ~!怪力女!」
私は怒りマックス。収まらない怒りは脳内で新しい技として描かれてゆき…私が伸ばした手から現れた炎が、蛇のように渦を巻くようにうねりながら勢いよく少年にぶつかった。
「私を連れさって、どう言うつもり?」
足枷はいつのまにか焼き消えて、私は…倒れ込んだ少年の頭上…間近で怒りが収まらずにバンバンと足をならして、少年の返事をまっていました。
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