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6 <王の新しい姿>①
しおりを挟むラーズは今まで人前にその素顔を見せずにいた。周りからは父と母に対する偏見の目があったため、二人の子供である自分を強く見せようと自分の持つ立派な角を活かすため羊の仮面をつければ、周りの目は悪魔だとラーズを怖がるようになった。
強くあるために、魔法の才能のあったラーズは国内でも優れた魔導師となり、剣術も努力して腕をあげてきた。
力を振るい暴君になれば皆が恐れ王に従うだろうと思ったが、暴君にはなりきれず、身よりの無い子供達が奴隷商に売られるのを阻止するためにも資金がないためになかなか進まずにいた孤児院建設へ多額の寄付金を送り、施設と教会も建設された。
他にも国の繁栄のために、見えないところで国民のために様々なことを支援した。
そんな国王は婚約者を迎えた初めての誕生日。悪魔な印象そのままに素顔の自分を見せる決意をした。
* *
広間に集まる貴族達はラーズの登場を待った。
そこへサリアと手をとり現れたラーズは玉座へと座った。
仮面をはずしたラーズは乳白色の髪を後ろに束ねた青年だった。
「国王陛下より挨拶があります。」
「今日より仮面をつけることをやめる。変わりに分身を側につけることにした。」
玉座から貴族を見下ろす冷たい表情のラーズは銀色の指揮棒を手から出現させ空間をなぞる。
すると玉座の前、1段低い場所に、3メートルはある黒い煙の毛皮を纏い黒く立派な角を持つ
青白く燃える瞳を持つ黒い羊が現れた。
吐く息は黒い煙となり剥き出した白い歯は不気味にひかる。
とんとんと足踏みしたその足元から黒い煙が舞い上がる。
素顔のラーズに一瞬だけ拍子抜けした観衆は一気に青ざめいつも以上に辺りを緊張感が支配した。
「無礼があれば分身の餌食になるとおもえ。」
ラーズにつけられた、悪魔の王様の別名は継続された。さらに恐れられる事になり、後に遠方にある国では『魔王が君臨している国』だと噂が伝わる事になるのだった。
* * *
一方、ラーズが素顔をさらす少日前に反対勢力が起こした1つの事件をきっかけに、その反対勢力の者達は姿を消した。
そして遠方にある冒険者が多い国で動きがあった。
<遠方の国に魔王が支配する国がある。その婚約者はあわれな贄と呼ばれ、命を危ぶむ日々を過ごしている。>
そんな100%デマの噂が遠方の国に届いていた。噂の原因は、現在の国王とその母を敵対する一部のもの達によるものだった。
数ヶ月前敵対勢力は、中立派だった宰相の娘であるサリアの命をも狙った。そのため国王の怒りに触れ…彼らは遠方へと逃げてきた。そして冒険者が集まるジェラル国にて反対勢力は救いを求めた。勿論、婚約者の命を狙ったことは伏せて。
真実を知らないジェラル国は幾つかの国を跨いでおり、国同士の条約に反してしまうため国として動く事ができない。そのために、ジェラルで腕のたつ青年を中心とした5人組の冒険者をミュリ国に派遣する事にした。
勇者、神官、剣士、幻獣使い、魔導師の5人の男女の若い冒険者達は依頼人の案内で旅立った。
案内人は…ミュリ国の反対勢力の中心人物で、人の姿に羊の角を持つ羊の獣人、ミュリ国の元外務事務次官かつて将来を有望視された男、ナギ・ランキリュだった。
しかし、ランキュリ率いる反対勢力派が母国を離れている間にミュリ国では以前より国王への印象が変わり…国民に愛される『悪魔の王様』となっていた。しかし、ランキュリはその事を知らず、冒険者をつれマントで姿を目立たなくした一行は今、国境の検問を受け…ミュリ国に入国した。門で検問をしている役人は、旅の冒険者の入国を笑顔で迎えた。
「ようこそ、ミュリ国へ。旅の冒険者を歓迎いたします。」
彼らは緊迫した兵士達をイメージしていただけに、脳内は?マークが広がり、冷や汗をかく吟遊詩人に変装したランキュリは冒険者達に耳打ちした。
「こ、これは悪魔に従順になるよう洗脳を受けているのです…」
「そうなんだ。」
職業勇者の青年は仲間達と不思議そうに首をかしげながらも、ランキュリを信じて歩き始めた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
6話は①②③に分けています。まずは今回1700字以内に収まっています。
(①②で収まりそうになくなりました!追加③もあります。)
よろしくお願いいたします。
*yu-kie*
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