四つ葉の白猫は討伐隊長の愛に溺れぎみ

yu-kie

文字の大きさ
6 / 19
恩返し編

6話・白猫は戸惑いながら猫で居ます。





 白猫は、討伐隊の移動先にたどり着き、茂みから彼らの様子を見守っていた。

(敵が何かみきわめなくては!)

 白猫は、討伐隊が何と戦い苦戦しているか知りたかった。恩人の腕に傷を付けた憎き敵の正体が何か、魔王の配下でないことを願いながら敵を確認した。

 彼らが来た場所は多くの遺跡が残るタナイ山。遺跡の地下入り口を往復するのは、人ではなく、魔王の配下の狼族の獣人。戦闘種族の彼らは遺跡から聖杯、聖剣を持ち出そうと、封じられた地下の財宝が眠る厳重な魔法が施された部屋の扉を開けるために奮闘していた。そこへ、何度目になるか、阻止しようと現れた討伐の部隊に苛立ちを露にしていた。

「また来たのか、人間。何度やっても同じだ!指をくわえて我々の作業を見守って居るんだな?」

 狼族のリーダー、片眼のダクラ。魔女リュイのよく知る獣人だった。

「我々は諦めない!大魔導士の施した術は容易くはないぞ。我々は何度負傷しようとも、力尽きるそのときまで戦いをやめない!」

 腕を負傷している討伐隊長ハリスはダクラと対峙し、互いに戦闘体制へと突入した。

 (私の知っているダクラは小さな子狼…拾われてきたのは確か同じ頃、魔王様が拐われて売り飛ばされた場所から連れ出してくれた。)

 リュイは懐かしむように魔王の寵愛を受けた頃を思い出した。

   ※   ※   ※   ※   ※


《過去の記憶・白猫が魔女になるまで…》

 私はあの頃、銀色の髪を伸ばす貴婦人の腕の中にいた。あの頃は確かに私は『人』だった。

 視界に広がる貴婦人の腕の中の私の手は紅葉のように小さな人の手を動かしていた。

 戦争で貴婦人は私に言った。

『この姿は危険。我慢してね。』
と。

そのあと、聞き取れない呪文により、私は猫へと姿を変えた。

気がつけば私は檻にはいって荷と一緒にどこかへ移動していた。檻には拐われた狼の子もいて、私たちは身を寄せあって寂しさをまぎらわした。あの時救いだしてくれたのが、魔王様と配下の者達だった。

 檻から救いだされて、魔王城で言われた。

『君たちは頑張り次第で人間以上の存在になれるのだ。強くなって、愚かな人間に力を見せつけてやろうじゃないか。』

その言葉をきっかけに、私と子狼は別々の者から訓練を受けた。ダクラは魔王様の片腕と称される骸骨武将から、私は魔王様の認めた最上級の老婆魔女から。

 訓練は過酷だったけど、頑張るといつも魔王様が特別に部屋に呼んで魔王様が金ぴかな縁取りの赤い布が張られた椅子に腰掛け、読書中の膝にのせてくれた。
 
 お菓子ももらったり。でも、老婆魔女から学んだ力で人の姿、魔女となってから、興味を無くした?魔王様からのお呼びはかからなくなって、魔王様の興味は他のモノへと奪われてしまった。だから私は決心した。

 美を磨き魔法も秀でていれば、魔王様は必ず振り向いてくれると。

 ダクラと私は同じような思いでずっと競いあった仲だった。



  ※   ※   ※   ※   ※



( そのダクラは今、私の恩人に害を与えようとしている。)

 リュイは恩人ハリスを守る決意を固めていたが、ライバルとも言える狼を前に今動揺していた。

 
感想 2

あなたにおすすめの小説

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。 夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。 社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。 ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。 「私たち、離婚しましょう」 アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。 どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。 彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。 アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。 こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?

由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。 皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。 ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。 「誰が、お前を愛していないと言った」 守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。 これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。