11 / 19
恋愛編
11話・猫になる前の過去を回想して居ます。
リュイは近づく子守唄に、脳への痛みを感じ…猫になるきっかけを思いだしかけていた。
(私を抱いていたあの人は…あともう少しであの頃の記憶が…)
「痛い!ふくぅ!」
そしてリュイは気を失い、ハリスの肩から落ち、ハリスは慌ててその腕に抱き止めた。
そしてリュイは過去の記憶が蘇り始めた。
*
《悲しい記憶》
「可愛い私の娘。」
「お母様、リュイは今日、魔法をお勉強しました!」
どこかの屋敷の広い庭には手入れされた木々や、花壇があり、吹き抜けの小屋がある。そこには木材で作られたベンチがあり、リュイの母はそこに座り読書をしていた。
幼い5歳の少女はふわりとしたワンピースドレスを身に付け、白いタイツのしたには黒い革靴を履いて、芝生を駆け抜け母親のもとへとやって来た。
リュイは身重の母の胸に抱きつく。一旦離れ、ベンチの空いてるスペースに手をかけると母の隣にちょこんと座りそのままコテンとと母の膝に耳を寄せるように横になり、足を伸ばして仰向けになった。
手を伸ばせばリュイを見下ろす母の顔があり、金色の瞳を細め笑顔を向けている。紅葉のように小さなリュイの手は母の頬にそっと触れた。
「あなたはもうすぐお姉さんになるのに、仕方がない子ね。」
母は、囁くように子守唄を歌い始めた。同じフレーズを何度も繰り返す歌にリュイはうとうとと、眠り始めた。
*
リュイが目覚めた時、ベンチにはリュイだけが残されていた。小屋から屋敷の方を見れば屋敷から来た使用人と話をする母がいた。
「お母様?」
「私たちの村は魔法で見えなくしているのだけど…困った事が起きたわね。」
「奥様、旦那様は兵を連れて侵略者と戦っています。」
リュイの母は難しい顔をした後、使用人たちに指示を出した。
「敵は盗賊、私たちはエルフの国を出たはぐれもの、これ以上は隠れられそうにないわね、最後まで戦いましょう。リュイあなたは逃げなさい。一族の血を絶やさないためにも逃げるのよ!」
「嫌です!お母様!」
リュイは逃げるように駆け出し、屋敷の騒がしいほうへと様子を見に行けば、剣を交える父親と兵士の姿が目に入り立ち尽くした。
「ああわあ~!!」
怖くて言葉にならない声で唸り続けた。
駆けつけた使用人と母親の姿を間近にリュイは母の足元にしがみついた。
「ひっく、えっぐ。」
母はリュイを抱き締め、側にいた魔法使いに目配せすると、魔法使いはリュイの手を取り聞き取れない言語の呪文を唱えた。
「やあー!!」
体は軋みだし、小さく縮まり、白い毛に覆われリュイは意識を手放した。
次に目覚めた時、そこは檻の中。
ショックで記憶をなくしたリュイは自分の名だけは覚えており、リュイは新たな人生を歩み始めたのだった。
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?
由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。
皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。
ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。
「誰が、お前を愛していないと言った」
守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。
これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。