帰還

Tro

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#17 魔法少女の涙

第3話 10年と2時間前

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さて、お話を若者三人組に戻して参りましょう。途中、何度も死を覚悟した三人でしたが、何とか無事、目的地に辿り着いたようです。この、ようです・・・・と言うのは、タカ、トビ、ワカの三人とも目的地がここ・・そこ・・だと知らず分からず、地図を指差したワカ自身も分からないままだったからです。「多分、この辺だろう」とタカが言えば、トビとワカの二人もここだと思う始末。ですが、運が良いのか悪いのか、偶然にも目指す場所に無事到着した、ということにした三人です。

そうして車から降りた所とは、地図上では町の中心、かつ五つの神社をあーしてこーすれば、それらの中心となる所です。但し、中心は中心でも周囲は鬱蒼うっそうとした森の中、時刻はうに陽が暮れた後です。風でも吹けば、「お~こわぃ」と叫びたくなりそうな、現世が遠くに感じられる場所、といったところでしょうか。

そこで三人組は——細かいことは省略して、何やら両手をあげながら踊り始めました。タカを先頭にトビ、ワカと後に続きなながら同じところをグルグルと回り始めます。それは——、そう、この後に例のオジさんたちがクネクネと踊ることになるのですが、それと良く似ている、そっくりとまでは言えませんが、とにかく似たような踊り、ダンス・ダンスです。一体、三人組は何がしたいのでしょうか? 踊る以外に。

時間を一気に進めて参りましょう。踊る三人の中央付近が、何やら盛り上がってきました。それは……気分ではありません、そう、ズバリ、地面がモコモコと盛り上がるそれ・・です。そしてそしてそうして——

ドカーン・パラパラ・ヒュッヒュウゥゥゥ。

とうとう、というか遂にと言うべきか、火柱? いいえ、もっとデッカイ光の柱、のようなものが噴き上がって参りました。それを例えるなら噴水? いいえ、デッカイ間欠泉が噴き出たような、それはそれはものすごい勢いで、です。その高さ、遠くの方からも良く見える程、ご立派な光柱が地中から噴出です。これに一瞬腰を抜かした三人でありますが、それはすぐに歓喜の声に変わりました。

ではでは、一体これは何なのでしょうか。その正体とはぁぁぁ、——その前に、実はこの辺一帯の地下には、なんとっ! 魔力が埋まっているのです。と言っても容易に想像は出来ないことでしょう。そこで、『石油が埋まっている油田のようなもの』と考えてみましょう。地中深く埋まっている魔法の源、それが魔力です。ですが油田のように掘り出す必要はありません。そこに『ある』だけで良いのです。

とすると、地上に住む人たちは皆、その魔力の恩恵にあずかり、魔法が使えたりする——いいえ、残念ながらそんなうまい話はありません。ただ『魔力』というものが埋まっているだけ、それもどこにでも埋まっているという訳ではなく、ごく限られた場所にしか存在しないのです。そう、油田と同じように貴重な資源となっています。

ところがです、例の三人が踊るだけで掘り起こした魔力の源泉、その『踊るだけ』の正体そのもが魔法なのです。——おや? 話が矛盾してきましたね。先程、魔力は埋まっているだけで、誰もその恩恵に与れないと説明したばかりですが、——ええ、何事にも例外・・というものがあるのです、はい。それは例の三人組を含め、一部の住民たちは生まれながらにして不思議な力=魔力に反応する何か・・を持っているのです。しかし、その何か・・が何であるのかは当人たちも分からないのですが、ちっとも困らない状況なので、使えるならお得だなぁ、程度の代物となっております。で、その一部の人たち(一族と言っても良いでしょう)にとっては、まさしく特殊能力になる訳ですが、これには一つだけ仮説のようなものがあったりします。それは……例えるなら磁石? のようなものとお考え下さい。それを一般の、というか普通の人は持ち合わせていないのですが、稀に魔力(正確には魔力の源)のような性質を持った方がいます。これが地下に眠る魔力と反発し合うことで魔法と呼ばれる不思議な力が発揮される。ちょうど磁石の同極どうしが反発するのに似ている、といったところでしょうか。

さて、話題に上った魔力ですが、タカ、トビ、ワカの三人組が踊り狂っているその場所を囲むように五つの神社があります。というか、その中心となる場所に三人組が居る訳ですが、その五つの神社こそ、地下の魔力を管理? 調整? 祀る? ためのものなのです。それは、ある人たちにとっては貴重な資源であるのですから、それを守り? 称えるのは必然でしょう。そしてこの後、オジさんたちが踊っている場所といえば、そう、これら五つの神社、その地下になります。ということは、地上の神社はあくまで仮の姿、その実態は——になるでしょう。

さてさて、何事にも中心には何かが集まってくるもの。地下に埋まっているとはいえ、機会さえあれば地上に吹き出ようと虎視眈々に——ではありませんが、それなりの圧力? というか勢いというものがあります。そこに小さな穴でも開けようものなら破裂した水道管のごとく、となるでしょう。それを敢えて狙ったのが例の三人組です。どこまで計算ずくだったのかは分かりませんが、結果としてそれは成功し、今や世間から隠すことも出来ない程の光柱となって噴出してしまっているところです。

では、なぜ彼らはそんなことをしたのでしょうか。それは若さ故? それともアホだから? でしょうか、つまり、不思議な力を持つ若者たちは、それをもっと大きく、もっと強大に、とかなんとか、それとも世界征服でも企んだのか。ともかく欲望のまま突き進んだ結果、こうなったと言えるでしょう。そうして吹き出た魔力を——その先を考えていなかったのが例の三人組です。大量に噴出した魔力ですが、今までそれを見たり触れたりした者はいません。何故なら、魔力は存在してさえすればよく、それを加工したり燃料にするようなことは無いのです。……ですから、それを掘り出してどうするの? というのが今の状況です。

しかし、決して小さくはない穴から魔力が噴出し続ければ、いずれ枯渇してしまう、そんな可能性も考えられます。これは、ある一族(一層のこと魔族と呼んでも良いかもしれません)にとっては死活問題とも言える大事件、それも夜空に輝く光柱とあっては、今まで密かにご利益を受けていた者たちにとっては顔面真っ青事件なのです。

ということで、例の三人組は瞬時に拘束され、その罰として、踊るオジさんたちの脇で磔の刑に処せられました。そして流出する魔力を押さえ込むため、オジさんたちは懸命に、魔法でこしらえたバルブを踊りながら回している、というのが真相です。

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