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#1 中世 イリア編
#1.4 魔王軍襲撃〜12人の美少女親衛隊 (1/2)
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男二人で仁王立ち。
「戻ってこないですね」
「そうだな。ちと、遅いな」
「俺が行って、様子を見てきますか?」
「いや。もう少し待とう。それが男ってもんだ」
「戻ってこないですね」
「そうだな。遅いな」
「俺が行って、様子を見てきますか?」
「いや。もう少し待とう。それが親ってもんだ」
「戻ってこないですね」
「行け! ユウキ。イリアを守れ!」
「はい! お父さん」
「いや、お前の父さんじゃない」
俺は走った。イリアが暴れている光景を想像しながら。
市場に着くと、静かなものだった。もう、修羅場は終わってしまったらしい。じゃあ、何処にいるんだ? 何処かで泣いているのか?
俺は市場関係者らしきおっさんを捕まえて聞いてみた。
「イリアなら憲兵に捕まって、ああ、今頃、お城じゃないか」
あっさりと、衝撃の事実。
「何があったんですか?」
「ああ、ここに来た途端、誰彼構わず怒り散らすからな、それで憲兵騒ぎになって御用さ」
「あの、それって、市場側に問題があったからじゃないですか」
「ん? お前さん、何もんだい?」
「俺は、イリアさんのところで働いてるものです」
「あー、そうかい。それなら、そうだろうな。なら、お城の方に行ってみな」
「あのー。うちだけ仕入れ価格が不当に釣り上げれてるって聞いたんですけど」
「誰に聞いたか知らんが、俺は知らんよ」
知っている人はみんな、そういうんだよな。
「お願いします。俺、何にも分かんなくて。でも力に、イリアの力になりたいんです。お願いします。この通りです」
俺は深々と頭を下げた。何、熱くなってるんだ、俺。
「にいちゃん。あの娘に惚れてるね」
こういう時の質問は、肯定を催促してるんだよな。
「はい!」
「嫌いじゃないな、そういうの。まあ、話してどうこうなる事でもないし、教えてやるか」
「有り難う御座います」
「まあ、頭を上げな、にいちゃん。こっちが恥ずかしくなっちまうから」
「はい」
「そうだな。実はな、上の方から圧力が掛かってな。俺達も、好きでこんな事をしたんじゃないって事を分かってくれよ」
「やっぱり。それで、上の方って?」
「それはな…俺が言ったって、誰にも言わないって約束できるか?」
「いいません」
「なら、しょうがないな。その上の方ってのはな」
おっさんは俺の耳元で小声で言った。口臭が酷いぜ。歯を磨け。
「勇者ケンジ様付きの従者だ」
あの野郎。今度会ったら一発ぶん殴ってやる。
◇
城の前に来た。探したぜ、お城。
大きな城だから近くに感じたが、実際行ってみると、すごく遠かった。おかげで、もう日が暮れそうだ。全く、イリアがあんなオテンバさんだとは思わなかったな。癇癪持ちは面倒だ。
身元引き受け人がいれば、大概すぐに釈放されるらいい。城の門番に事情を話すと、舌打ちしながら付いて来いという。この世界は舌打ちが習慣なのか? 城の入り口に着くと、今度は待てと言いながら、別の門番と話をしている。目の前には大きな扉がある。これが、ギーと鳴って開くんだな。
さっきとは違う門番が大きな扉横の小さな扉を開き、ついて来いと手招きする。俺はがっかりしながら付いて行く。城の中に入ると、人影がない。というか、誰もいないんじゃないかと思うぐらい静かだ。もしかして、この城、張りぼてなんじゃないかって思えた。
松明のある廊下を付いて歩く。ここに来て初めて観光らしいことをしている気がする。門番が立ち止まった部屋を指差し、中に入れという。中に入ると、ここで暫く待てとのお達しだ。そう言うと門番は部屋から出て行った。もしかして閉じ込められた? そう思って扉を引くと簡単に開いた。
随分と待たせてくれる。腹が減ったじゃないか。雰囲気的にカツ丼が食べたくなった。
扉が開くと、また違うおっさんが入ってきて、イリアは今日は返せないと、言ってきた。だから、お前はすぐに帰れと。何でだと聞くと、今、勇者ケンジ様と謁見中だという。そうですか。それじゃ仕方ない。
イベント発生の予感。
ここは、このおっちゃんを倒し、イリアを奪還する。それには、どうやって、このおっちゃんを叩きのめすかが問題だ。何だかんだ言っても、このおっちゃん、少なくても俺より強そうだ。いや、かなり強そうだ。このイベントをクリアするには…方法が思いつかない。
「戻ってこないですね」
「そうだな。ちと、遅いな」
「俺が行って、様子を見てきますか?」
「いや。もう少し待とう。それが男ってもんだ」
「戻ってこないですね」
「そうだな。遅いな」
「俺が行って、様子を見てきますか?」
「いや。もう少し待とう。それが親ってもんだ」
「戻ってこないですね」
「行け! ユウキ。イリアを守れ!」
「はい! お父さん」
「いや、お前の父さんじゃない」
俺は走った。イリアが暴れている光景を想像しながら。
市場に着くと、静かなものだった。もう、修羅場は終わってしまったらしい。じゃあ、何処にいるんだ? 何処かで泣いているのか?
俺は市場関係者らしきおっさんを捕まえて聞いてみた。
「イリアなら憲兵に捕まって、ああ、今頃、お城じゃないか」
あっさりと、衝撃の事実。
「何があったんですか?」
「ああ、ここに来た途端、誰彼構わず怒り散らすからな、それで憲兵騒ぎになって御用さ」
「あの、それって、市場側に問題があったからじゃないですか」
「ん? お前さん、何もんだい?」
「俺は、イリアさんのところで働いてるものです」
「あー、そうかい。それなら、そうだろうな。なら、お城の方に行ってみな」
「あのー。うちだけ仕入れ価格が不当に釣り上げれてるって聞いたんですけど」
「誰に聞いたか知らんが、俺は知らんよ」
知っている人はみんな、そういうんだよな。
「お願いします。俺、何にも分かんなくて。でも力に、イリアの力になりたいんです。お願いします。この通りです」
俺は深々と頭を下げた。何、熱くなってるんだ、俺。
「にいちゃん。あの娘に惚れてるね」
こういう時の質問は、肯定を催促してるんだよな。
「はい!」
「嫌いじゃないな、そういうの。まあ、話してどうこうなる事でもないし、教えてやるか」
「有り難う御座います」
「まあ、頭を上げな、にいちゃん。こっちが恥ずかしくなっちまうから」
「はい」
「そうだな。実はな、上の方から圧力が掛かってな。俺達も、好きでこんな事をしたんじゃないって事を分かってくれよ」
「やっぱり。それで、上の方って?」
「それはな…俺が言ったって、誰にも言わないって約束できるか?」
「いいません」
「なら、しょうがないな。その上の方ってのはな」
おっさんは俺の耳元で小声で言った。口臭が酷いぜ。歯を磨け。
「勇者ケンジ様付きの従者だ」
あの野郎。今度会ったら一発ぶん殴ってやる。
◇
城の前に来た。探したぜ、お城。
大きな城だから近くに感じたが、実際行ってみると、すごく遠かった。おかげで、もう日が暮れそうだ。全く、イリアがあんなオテンバさんだとは思わなかったな。癇癪持ちは面倒だ。
身元引き受け人がいれば、大概すぐに釈放されるらいい。城の門番に事情を話すと、舌打ちしながら付いて来いという。この世界は舌打ちが習慣なのか? 城の入り口に着くと、今度は待てと言いながら、別の門番と話をしている。目の前には大きな扉がある。これが、ギーと鳴って開くんだな。
さっきとは違う門番が大きな扉横の小さな扉を開き、ついて来いと手招きする。俺はがっかりしながら付いて行く。城の中に入ると、人影がない。というか、誰もいないんじゃないかと思うぐらい静かだ。もしかして、この城、張りぼてなんじゃないかって思えた。
松明のある廊下を付いて歩く。ここに来て初めて観光らしいことをしている気がする。門番が立ち止まった部屋を指差し、中に入れという。中に入ると、ここで暫く待てとのお達しだ。そう言うと門番は部屋から出て行った。もしかして閉じ込められた? そう思って扉を引くと簡単に開いた。
随分と待たせてくれる。腹が減ったじゃないか。雰囲気的にカツ丼が食べたくなった。
扉が開くと、また違うおっさんが入ってきて、イリアは今日は返せないと、言ってきた。だから、お前はすぐに帰れと。何でだと聞くと、今、勇者ケンジ様と謁見中だという。そうですか。それじゃ仕方ない。
イベント発生の予感。
ここは、このおっちゃんを倒し、イリアを奪還する。それには、どうやって、このおっちゃんを叩きのめすかが問題だ。何だかんだ言っても、このおっちゃん、少なくても俺より強そうだ。いや、かなり強そうだ。このイベントをクリアするには…方法が思いつかない。
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