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#1 中世 イリア編
#1.4 魔王軍襲撃〜12人の美少女親衛隊 (2/2)
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思案に暮れていると、おっちゃんが、はよ帰れと五月蝿い。もう、もう、もう、もう、もう。俺は牛になったのか?
その時、ラッパの音が鳴り響いた。とても五月蝿い。すると、このおっちゃんも”ちっ”と舌打ちしやがった。何だよ、俺も真似ればいいのか? おっちゃん、『俺は知らん、好きにしろ』と言って部屋から出て行った。部屋の外では、数人が走っている靴音が聞こえてくる。なんか起きた。イベント発生の予感。
部屋を出て通路の先を進む。イリアはケンジと一緒なら上にいる。煙と偉い人は高い所が好きだ。とにかく上を目指す。途中、2人組と出くわす。戦闘か? するとまた、舌打ち攻撃を食らう。『いいから放っておけ。先に行こう』それが奴らの捨て台詞だった。俺も真似てみよう。”チっ”。とにかく上を目指す。上のどこだ? エレベーターとか無いのか?
イリア達が部屋の中というのは考えていなかった。いちいち部屋を確認するのは面倒だ。それに、さっきからラッパの音がうるさい。イライラする。
もうダメってくらい階段を登った。イリアを連れて帰る。おやっさんとの約束だ。しかし、約束は破ることもあるから約束するんだ。そう教わった。
イリアの声が聞こえる。運の良い奴だ。それと、別の声も。ケンジ様だな。近寄って柱の影に隠れ、様子を伺う。何故かって? 相手はケンジ様だ、勇者だぞ。勝てる訳がこれっぽちも、無い。俺はユウキ。普通の人である。
「ついて来いって」
「嫌よ、離して!」
強引な奴だ。
「どうして身を引いてくれないんだ?」
はあ? イリアはまだ、あいつのことが、あれ? なのか?
「ケンジを待ってたのに」
このまま、帰るか。お邪魔のようだ。
ラッパの音でよく聞こえないが、さすがに経験の無い俺でも理解はできる。幸せに暮らすが良い。俺は旅に出るのさ。新たな可能性を求めて。俺の勘違い野郎め!
ラッパの音が止まった。やけに静かだ。俺の心も穏やかだ。はっきりしないで、モヤモヤするより1000倍いい。イリア、お前なんか、お前なんか、嫌いになってやる!
ドカーーーーーーーーン。ドドンパ。ドーン、ガシャポン。
目の前のものがなくなった。ついでに、俺がどこにいるのかも分からない。大きな衝撃で吹き飛んでいるようだ。死を覚悟した。これが決死の覚悟なんだろう。そういえば、異世界で死んだらどうなるか、まだ聞いていなかった。まあ、死んでみれば分かる。いっぺん、死んでみよう。
神はそれを許さなかった。
別に許しを請うつもりはない。面倒くさいだけだ。俺は広い部屋に吹き飛ばされたらしい。それもドアからじゃなく、壁をぶち破って。俺の目の前にイリアとケンジが仲良く倒れている。こんな時でも仲良しなのか!
「イリア、大丈夫か? まだ生きてるか?」
「ユウキ? なんでここに?」
「迎えに来たりして、なんだけど」
「うう、なんだお前は。誰だ?」
「チッ」おお、自然にできた。俺もやっとこの世界の住人になれた。
「お前、ケンジだな」
「勇者ケンジ様だ。平民、口の利き方に気をつけろ」
「旅行者のくせに」
「な? お前もか?」
「教えてやるもんか」
「まあいいさ。時期ここに魔王軍が攻めてくる。勝手に逃げろ」
「魔王軍が? 倒したんじゃないのか」
「魔王は何度でも復活するんだよ」
「それで誰もいないのか?」
「そうだ。俺達以外、魔王軍の相手が出来る奴はいないからな。いるだけ邪魔だ」
「部屋がめちゃくちゃなのは、魔王軍の攻撃か?」
「いちいちうるさい。さっさと消えろ」
「言われなくてもそうするさ。巻き込まれたら馬鹿らしい。イリアはどうする、のかな?」
「私はね、こいつを一発殴ってやらないと気が済まないのよ」
「しつこい女だ。こんなことなら、もっと早く追い出してればよかったよ」
「なんですって!」
イリアはケンジに手を挙げたが、いとも簡単にその手を掴まれてしまった。そりゃ無理だろう。相手は勇者様だぞ。俺だって無理だよ。それにしてもこの二人、仲が良いのか悪いのか、どっちだ?
何かが大きな音を立てながら近づいてくる。魔王軍が来たのか? ドーン、ドーンと、壁が崩れるような音をさせながら近づいてくる。俺は震えていた。それは命の危機が迫ってきたからじゃない。音が、このドーンという鈍い音が苦手だ。俺のトラウマが体を縛りつける。
最後の壁を突き破った”それ”は、ケンジに向かって一直線で襲い掛かろうとしている。”それ”は背中に黒く大きな翼を持った異形の姿。その手に剣か鎌のようなものを持ち、多分、軽々と振り回しながら飛んでくる。映画でしか見たことのない”それ”だ。”それ”が魔王なのか、はたまた、ただの下っ端なのかは知らないが、ケンジだけを狙っているようだ。
トラウマが俺を震えさせると、それは怒りに変わる。憎悪と言ってもいいかもしれない。”それ”がケンジに敵対するのなら、やってしまえと思った。
ケンジは、邪魔だと言わんばかりにイリアを振り払うと、右手を前に突き出した。魔法か? 魔法を使うのか? ”それ”がケンジに近づいた時、突然、光の玉が現れ、中らか美少女剣士が出てきた。何故、急に現れたのが美少女と分かったのか? それは愚問だ。そうと相場は決まっている。でなければ異世界が成立しない。
その時、ラッパの音が鳴り響いた。とても五月蝿い。すると、このおっちゃんも”ちっ”と舌打ちしやがった。何だよ、俺も真似ればいいのか? おっちゃん、『俺は知らん、好きにしろ』と言って部屋から出て行った。部屋の外では、数人が走っている靴音が聞こえてくる。なんか起きた。イベント発生の予感。
部屋を出て通路の先を進む。イリアはケンジと一緒なら上にいる。煙と偉い人は高い所が好きだ。とにかく上を目指す。途中、2人組と出くわす。戦闘か? するとまた、舌打ち攻撃を食らう。『いいから放っておけ。先に行こう』それが奴らの捨て台詞だった。俺も真似てみよう。”チっ”。とにかく上を目指す。上のどこだ? エレベーターとか無いのか?
イリア達が部屋の中というのは考えていなかった。いちいち部屋を確認するのは面倒だ。それに、さっきからラッパの音がうるさい。イライラする。
もうダメってくらい階段を登った。イリアを連れて帰る。おやっさんとの約束だ。しかし、約束は破ることもあるから約束するんだ。そう教わった。
イリアの声が聞こえる。運の良い奴だ。それと、別の声も。ケンジ様だな。近寄って柱の影に隠れ、様子を伺う。何故かって? 相手はケンジ様だ、勇者だぞ。勝てる訳がこれっぽちも、無い。俺はユウキ。普通の人である。
「ついて来いって」
「嫌よ、離して!」
強引な奴だ。
「どうして身を引いてくれないんだ?」
はあ? イリアはまだ、あいつのことが、あれ? なのか?
「ケンジを待ってたのに」
このまま、帰るか。お邪魔のようだ。
ラッパの音でよく聞こえないが、さすがに経験の無い俺でも理解はできる。幸せに暮らすが良い。俺は旅に出るのさ。新たな可能性を求めて。俺の勘違い野郎め!
ラッパの音が止まった。やけに静かだ。俺の心も穏やかだ。はっきりしないで、モヤモヤするより1000倍いい。イリア、お前なんか、お前なんか、嫌いになってやる!
ドカーーーーーーーーン。ドドンパ。ドーン、ガシャポン。
目の前のものがなくなった。ついでに、俺がどこにいるのかも分からない。大きな衝撃で吹き飛んでいるようだ。死を覚悟した。これが決死の覚悟なんだろう。そういえば、異世界で死んだらどうなるか、まだ聞いていなかった。まあ、死んでみれば分かる。いっぺん、死んでみよう。
神はそれを許さなかった。
別に許しを請うつもりはない。面倒くさいだけだ。俺は広い部屋に吹き飛ばされたらしい。それもドアからじゃなく、壁をぶち破って。俺の目の前にイリアとケンジが仲良く倒れている。こんな時でも仲良しなのか!
「イリア、大丈夫か? まだ生きてるか?」
「ユウキ? なんでここに?」
「迎えに来たりして、なんだけど」
「うう、なんだお前は。誰だ?」
「チッ」おお、自然にできた。俺もやっとこの世界の住人になれた。
「お前、ケンジだな」
「勇者ケンジ様だ。平民、口の利き方に気をつけろ」
「旅行者のくせに」
「な? お前もか?」
「教えてやるもんか」
「まあいいさ。時期ここに魔王軍が攻めてくる。勝手に逃げろ」
「魔王軍が? 倒したんじゃないのか」
「魔王は何度でも復活するんだよ」
「それで誰もいないのか?」
「そうだ。俺達以外、魔王軍の相手が出来る奴はいないからな。いるだけ邪魔だ」
「部屋がめちゃくちゃなのは、魔王軍の攻撃か?」
「いちいちうるさい。さっさと消えろ」
「言われなくてもそうするさ。巻き込まれたら馬鹿らしい。イリアはどうする、のかな?」
「私はね、こいつを一発殴ってやらないと気が済まないのよ」
「しつこい女だ。こんなことなら、もっと早く追い出してればよかったよ」
「なんですって!」
イリアはケンジに手を挙げたが、いとも簡単にその手を掴まれてしまった。そりゃ無理だろう。相手は勇者様だぞ。俺だって無理だよ。それにしてもこの二人、仲が良いのか悪いのか、どっちだ?
何かが大きな音を立てながら近づいてくる。魔王軍が来たのか? ドーン、ドーンと、壁が崩れるような音をさせながら近づいてくる。俺は震えていた。それは命の危機が迫ってきたからじゃない。音が、このドーンという鈍い音が苦手だ。俺のトラウマが体を縛りつける。
最後の壁を突き破った”それ”は、ケンジに向かって一直線で襲い掛かろうとしている。”それ”は背中に黒く大きな翼を持った異形の姿。その手に剣か鎌のようなものを持ち、多分、軽々と振り回しながら飛んでくる。映画でしか見たことのない”それ”だ。”それ”が魔王なのか、はたまた、ただの下っ端なのかは知らないが、ケンジだけを狙っているようだ。
トラウマが俺を震えさせると、それは怒りに変わる。憎悪と言ってもいいかもしれない。”それ”がケンジに敵対するのなら、やってしまえと思った。
ケンジは、邪魔だと言わんばかりにイリアを振り払うと、右手を前に突き出した。魔法か? 魔法を使うのか? ”それ”がケンジに近づいた時、突然、光の玉が現れ、中らか美少女剣士が出てきた。何故、急に現れたのが美少女と分かったのか? それは愚問だ。そうと相場は決まっている。でなければ異世界が成立しない。
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