76 / 91
#9 未来 リリス編
#9.2 痛恨の人選ミス
しおりを挟む
猫型異星人。それは地球の猫と見分けが付かない程、よく似ている。唯一の違いは目付きだそうだ。それも、良い悪いではなく。異星人の目付きだとういう。
彼等の目的は人類を家畜化し、この地球を乗っ取ることにある。既に人類の99.999999%が、彼等が振りまくウィルスにより感染し、彼等の忠実なる僕となってしまった。
彼等が活発に活動する夜には、地球救世軍のある建物が攻撃され、今も激しい衝撃音が、中にいる俺達のところまで響いてくる。更に、我々を攻撃してくるのは彼等だけではなかった。我々の組織を快く思わない、全世界の人、組織、国が、ついでに攻撃してくるのだ。
だが、我々地球救世軍の建物は、周囲をシールドと呼ばれるもので守られているらしく、持ち堪えている。
もしかしたら、シールドとは、心の壁のことかもしれない。我々の、人類を救うという神聖なる志が、その壁を形作っているのだ。しかし、それがいつまで保つのかは、誰にも分からない。我々の、運命やいかに。
◇
第二回救世作戦。
我々地球救世軍は、昨日の戦闘により、大幅に数を減らした。正直に言おう。残存戦力は隊長と俺、そしてクミコの3名だけである。勇敢にして果敢な兵士だった46名が、彼等の忠実なる僕となった。
我々は急遽、体制を立て直し、奴らと遭遇した公園に向かった。新米である俺達にも新たなる武器が与えられ、奴らとの戦闘に備えた。
そうだ。今日の俺達は昨日までの俺達とは違う。強力な武器で奴らを蹴散らしてくれる。それが、散っていった仲間達への餞だ。
「お前達! 警戒を怠るな」
「イエス・マム」x 2
俺達は、公園のベンチに座っている。周囲を見渡すと、とてものどかだ。公園の遊具は点検済み。砂場の砂も整えた。人影も、奴らの気配も無い。順風満帆。一撃必殺。
風が、秋の到来を告げるかのように、爽やかな空気を運んでいる。その中に混じって、シャカシャカと機械音が聞こえてきた。それは次第に大きくなり、近づいてくる。
「総員、第一種警戒態勢!」
「イエス・マム」x 2
俺達は襲撃に備えた。耳を澄ませ周囲を警戒し、武器の最終確認をする。
「来た!」
隊長が吠える。
「総員、第一種攻撃態勢!」
「イエス・マム」x 2
「これは、演習ではない。繰り返す。これは演習ではない」
奴らの第一陣が現れた。シャカシャカ音の正体が判明。ドローン部隊だ。ドローンと合体した奴らが、編隊で向かってくる。
「迎撃用意! 迎撃始め!」
俺は、飛行編隊に向かって突進。俺の武器”じょうろ”を振り回す。しかし、上空の敵に対して”じょうろ”では、何の役にも立たない。痛恨の選択ミスである。
クミコは、飛行編隊に向かって突進。クミコの武器”手動式噴射機”で液体を噴射する。しかし、8個のプロペラを持つドローンの風圧は強烈で、噴射した液体がクミコの顔に吹き返される。想定外の選択ミスである。
隊長は、自慢の銃で、一発撃っては逃げ、逃げては一発撃つ、を繰り返している。痛恨の人選ミスである。
俺は、翻訳機のスイッチを入れた。
ネコ語0 > ニャーニャニャ。
日本語0 > こちら、キャット・ファイター・ルナ。敵を撃退。
ネコ語1 > ニャニャニャーニ。
日本語1 > こちら、キャット・ファイター・アルテミス。敵を撃退。
ネコ語2 > ニャニャニャーニニ。
日本語2 > こちら、キャット・ファイター・ダイアナ。敵を撃退。
ネコ語3 > ニャニャニャーニニニャ。
日本語3 > こちら、キャット・タンク・炎の戦士。敵を発見。攻撃する。
戦車の形をした段ボールに身を包んだ敵が、その砲身を俺に向けている。気が付いたら、もうそこに、いたんだ。
俺は、”じょうろ”で応戦。これが役に立つ時が来た。思う存分、戦車に損害を与えた。敵は迷走を始める。
ネコ語4 > ニャニャニャーニニニ。
日本語4 > こちら、キャット・ファイター・マモル。援護する。
新たな敵のドローンが突如出現。俺の頭上でホバリングをしている。それを見上げる俺。どんな手を使ってくるか、要注意だ。その時、雨が降ってきた。天の恵み。晴れ渡る空に雨。運命は俺に味方した。
「ユウキ! 逃げろー。それは、
ファイナル・キャット・オシッコ・シャワー・タイム・アタックだー」
大口を開けて見上げていた俺は、のたうちまくった。一生後悔しそうだ。
「総員、撤退!」
俺達は、戦場を逃れ、退散した。完敗である。
◇
地球救世軍の本部に戻った俺達。誰も語ることもなく、沈黙が続いた。初めて味わった敗北。いろんな意味で塩っぱい。
「クミコ、大丈夫か? …クミコ!」
クミコの胸から白い猫が這い出てきた。そんな場所に隠れていたとは。もともと巨乳だったから、今ままで気が付かなかったぜ。クミコは、その猫を抱きかかえて、ご満悦だ。
「隊長! クミコが」
「どうしたのかな~。クミコ!」
「隊長! どうしましょう?」
「…仕方ないな~。放っておくのニャ」
「隊長!」
「大丈夫だよ~。大丈夫~」
「隊長まで失ったら、俺は、俺は」
「人類よ。我等と和解せよ」
「クミコ!」
「え? 私は今、何を言ったのだ?」
「心配ないよ~。侵略された人間は、時々変なことを言うだけで、害はないよ~」
「とうとう、クミコまで敵の手に落ちるとは」
◇◇
彼等の目的は人類を家畜化し、この地球を乗っ取ることにある。既に人類の99.999999%が、彼等が振りまくウィルスにより感染し、彼等の忠実なる僕となってしまった。
彼等が活発に活動する夜には、地球救世軍のある建物が攻撃され、今も激しい衝撃音が、中にいる俺達のところまで響いてくる。更に、我々を攻撃してくるのは彼等だけではなかった。我々の組織を快く思わない、全世界の人、組織、国が、ついでに攻撃してくるのだ。
だが、我々地球救世軍の建物は、周囲をシールドと呼ばれるもので守られているらしく、持ち堪えている。
もしかしたら、シールドとは、心の壁のことかもしれない。我々の、人類を救うという神聖なる志が、その壁を形作っているのだ。しかし、それがいつまで保つのかは、誰にも分からない。我々の、運命やいかに。
◇
第二回救世作戦。
我々地球救世軍は、昨日の戦闘により、大幅に数を減らした。正直に言おう。残存戦力は隊長と俺、そしてクミコの3名だけである。勇敢にして果敢な兵士だった46名が、彼等の忠実なる僕となった。
我々は急遽、体制を立て直し、奴らと遭遇した公園に向かった。新米である俺達にも新たなる武器が与えられ、奴らとの戦闘に備えた。
そうだ。今日の俺達は昨日までの俺達とは違う。強力な武器で奴らを蹴散らしてくれる。それが、散っていった仲間達への餞だ。
「お前達! 警戒を怠るな」
「イエス・マム」x 2
俺達は、公園のベンチに座っている。周囲を見渡すと、とてものどかだ。公園の遊具は点検済み。砂場の砂も整えた。人影も、奴らの気配も無い。順風満帆。一撃必殺。
風が、秋の到来を告げるかのように、爽やかな空気を運んでいる。その中に混じって、シャカシャカと機械音が聞こえてきた。それは次第に大きくなり、近づいてくる。
「総員、第一種警戒態勢!」
「イエス・マム」x 2
俺達は襲撃に備えた。耳を澄ませ周囲を警戒し、武器の最終確認をする。
「来た!」
隊長が吠える。
「総員、第一種攻撃態勢!」
「イエス・マム」x 2
「これは、演習ではない。繰り返す。これは演習ではない」
奴らの第一陣が現れた。シャカシャカ音の正体が判明。ドローン部隊だ。ドローンと合体した奴らが、編隊で向かってくる。
「迎撃用意! 迎撃始め!」
俺は、飛行編隊に向かって突進。俺の武器”じょうろ”を振り回す。しかし、上空の敵に対して”じょうろ”では、何の役にも立たない。痛恨の選択ミスである。
クミコは、飛行編隊に向かって突進。クミコの武器”手動式噴射機”で液体を噴射する。しかし、8個のプロペラを持つドローンの風圧は強烈で、噴射した液体がクミコの顔に吹き返される。想定外の選択ミスである。
隊長は、自慢の銃で、一発撃っては逃げ、逃げては一発撃つ、を繰り返している。痛恨の人選ミスである。
俺は、翻訳機のスイッチを入れた。
ネコ語0 > ニャーニャニャ。
日本語0 > こちら、キャット・ファイター・ルナ。敵を撃退。
ネコ語1 > ニャニャニャーニ。
日本語1 > こちら、キャット・ファイター・アルテミス。敵を撃退。
ネコ語2 > ニャニャニャーニニ。
日本語2 > こちら、キャット・ファイター・ダイアナ。敵を撃退。
ネコ語3 > ニャニャニャーニニニャ。
日本語3 > こちら、キャット・タンク・炎の戦士。敵を発見。攻撃する。
戦車の形をした段ボールに身を包んだ敵が、その砲身を俺に向けている。気が付いたら、もうそこに、いたんだ。
俺は、”じょうろ”で応戦。これが役に立つ時が来た。思う存分、戦車に損害を与えた。敵は迷走を始める。
ネコ語4 > ニャニャニャーニニニ。
日本語4 > こちら、キャット・ファイター・マモル。援護する。
新たな敵のドローンが突如出現。俺の頭上でホバリングをしている。それを見上げる俺。どんな手を使ってくるか、要注意だ。その時、雨が降ってきた。天の恵み。晴れ渡る空に雨。運命は俺に味方した。
「ユウキ! 逃げろー。それは、
ファイナル・キャット・オシッコ・シャワー・タイム・アタックだー」
大口を開けて見上げていた俺は、のたうちまくった。一生後悔しそうだ。
「総員、撤退!」
俺達は、戦場を逃れ、退散した。完敗である。
◇
地球救世軍の本部に戻った俺達。誰も語ることもなく、沈黙が続いた。初めて味わった敗北。いろんな意味で塩っぱい。
「クミコ、大丈夫か? …クミコ!」
クミコの胸から白い猫が這い出てきた。そんな場所に隠れていたとは。もともと巨乳だったから、今ままで気が付かなかったぜ。クミコは、その猫を抱きかかえて、ご満悦だ。
「隊長! クミコが」
「どうしたのかな~。クミコ!」
「隊長! どうしましょう?」
「…仕方ないな~。放っておくのニャ」
「隊長!」
「大丈夫だよ~。大丈夫~」
「隊長まで失ったら、俺は、俺は」
「人類よ。我等と和解せよ」
「クミコ!」
「え? 私は今、何を言ったのだ?」
「心配ないよ~。侵略された人間は、時々変なことを言うだけで、害はないよ~」
「とうとう、クミコまで敵の手に落ちるとは」
◇◇
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる