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第三十六話『私だけの居場所2』
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身なりを正してテーブルに座り直すと後ろにルルニアが立った。対面に座らないのかと聞くと、返事代わりに俺の両肩に巨大な胸がのしかかった。
何の前置きもなく大人になられて虚を突かれる。今回の身長は俺と同じ百七十そこそこ、乳房の膨らみは頭一つ分に迫る大きさにまでなっている。
「……このデカくて柔らかい物は何だ」
「どうせなら楽しみながらと思いまして」
乳房で耳が圧迫されて声がくぐもって聞こえる。ルルニアは自分の手を使って胸を揉んで寄せて押しつけ、一度は沈静化した俺の性欲を煽ってきた。
(……くそ、簡単に勃つんじゃない)
勃ち上がる陰茎を気合で押しとどめ、昨夜にミーレと交わした話をした。定期的に村に通うことになると言うと、右左右の間隔で乳房が肩に落ちた。肩叩きならぬ乳叩きをされた。
「ん……私は構いませんよ。ですが村で何を……すればいいんでしょう? 散歩していても目立つだけですし、農作業でも手伝えばよろし……ん、ですか?」
「ミーレにルルニアの説明をする時、酒場で働いた経験があると伝えておいた。村全体が慢性的な人手不足だから、女性の働き手は喜ばれるはずだ」
ゴブリンの襲撃を退けた後に確認したが、酒場で寝ていた者たちの記憶は朧気だった。一人二人女性給仕の話をしたものの、「夢の見過ぎだ」と他の者に笑い飛ばされていた。
「そう言う割には自信が……んっ、無さそうですね」
「ルルニアの髪は特徴的だし、綺麗な顔立ちだ。実物を見たら思い出しても不思議じゃなさそうでな。女日照りで無駄に目が冴えてそうなのも厄介だ」
「まぁ……ん、そこはどうとでも……なりますね」
そう言って乳落としを中断し、俺の頭を腕で抱いた。視界の端に髪が垂れ下がるが、その色が桃色からどこにでもいる茶色へと変わり始めた。
「容姿の偽装はサキュバスの十八番です。これに加えて髪をおさげに結えば、この通り目立つことはありません。そこらにいる村娘です」
「町にいた時もこんな風にしてたのか?」
「あの時はこんな大人しい見た目じゃありませんでしたね。頭の両脇を長めに結って、いかにも元気そうな見た目で走り回っていました」
町娘風のルルニアを見たかったが、相変わらず乳房に圧迫されて首が動かせない。身じろぎすると乳に顔をうづめようとしたと勘違したのか、強めにギュッとされた。
「あ、乳首舐めます?」
「……今はいい」
「ふふ、ちょっと迷いましたね」
ずっと挟まっているせいか耳と後頭部が汗で蒸れ始めていた。
「……さすがのロアも人を襲わず人の営みに紛れたサキュバスを見抜けるとは思えない。木を隠すなら森の中、村にいる方が安全という考えもある」
俺の不在時にロアが家に突入してきたらどうなるかと、気が気でない時があった。騎士団の面々はそれなりの家格があるため、ド田舎の酒場になど顔を出さないはずだ。
「希望的観測ですね」
「家が安全ってのもそうだけどな」
「そう言われればそうですね」
それはそれとして家事以上の負担を強いることになるため謝罪した。ルルニアは何も言わず乳房を頭から離し、手招きで身体の向きを変えるよう言った。
「そこ座ります。前を開けて下さい」
言われるまま従うと今度は幼い身体になった。膝に置いていた俺の手をテシッと払って太ももにまたがり、胸板に後頭部を預ける形で足に座った。
「おにぃちゃ……今は普通の話し方にしましょうか」
一度払った俺の腕を持ち上げ、乳首を摘まめる位置に配置した。
何もしないでいると先端をイジるように指示された。普通とは何だ。
思考放棄して乳首を触っていると、ルルニアは黒々とした角を手に持った。
「……これは?」
「サキュバスの角です。前に欲し……っ、ふっ、ってたので差し上げます」
「どこからこんな物を」
「はふっ……ん、別のサキュバスの……です。……同族のサキュバスと戦った後、その戦利品……あっ、としていただきました」
金貨数十枚はくだらない一品に目の輝きを抑えられなかった。ふと我に返って乳首を強めにつねり、角を折られたサキュバスの詳細を聞いてみた。
「ひゃうん!? つ、角を一本折られたサキュバスはまともに術が……あひっ?! 使えなくなりま、す。両方折られたら思考力まで低下……ひぎっ!? まともな生活が送れなくなり……ます」
角を両方失うのは死と同義という。初めて角を見た時の無神経な発言を思い返して血の気が引き、失言をしたと謝罪した。だがルルニアは気にした様子なく話を継いだ。
「あなたは削りたいと言っただけじゃないですか。ずっと生やしていたら汚れが溜まりますし、変な形に生えたりします。削るだけなら手入れの内です」
「……なら良いんだが」
「他の同族に目をつけられるのが嫌だったので殺しても良かったんですが、昨夜はやめました。あのサキュバスが私の噂を広めたら厄介ですね」
魔物側に居場所が無くなったと、から笑いして言った。
「もう人間側にすり寄るしかないかもしれませんね……」
そんな呟きを俺は聞き逃さなかった。
「この家がルルニアの居場所だ。もしここに居られなくなったとしても、次の居場所を俺が用意する。二人で暮らせる場所を何度でも探してやる」
「……グレイゼル」
「どうしても我慢できなくなったら喰い殺していい。俺に失望したなら家を出たっていい。人間と魔物が暮らすのはそういうことだ。覚悟はある」
確固たる意志で言い切り、遅れて「俺を殺したとしても村の人だけは……」とまごついた。それを見てルルニアは噴き出し、元の体型に戻って言った。
「────ではあなたを殺すまでの間だけ、ここを私の居場所にします。飽きたらすぐに食べちゃいますから、末永く私好みでいて下さいね?」
何の前置きもなく大人になられて虚を突かれる。今回の身長は俺と同じ百七十そこそこ、乳房の膨らみは頭一つ分に迫る大きさにまでなっている。
「……このデカくて柔らかい物は何だ」
「どうせなら楽しみながらと思いまして」
乳房で耳が圧迫されて声がくぐもって聞こえる。ルルニアは自分の手を使って胸を揉んで寄せて押しつけ、一度は沈静化した俺の性欲を煽ってきた。
(……くそ、簡単に勃つんじゃない)
勃ち上がる陰茎を気合で押しとどめ、昨夜にミーレと交わした話をした。定期的に村に通うことになると言うと、右左右の間隔で乳房が肩に落ちた。肩叩きならぬ乳叩きをされた。
「ん……私は構いませんよ。ですが村で何を……すればいいんでしょう? 散歩していても目立つだけですし、農作業でも手伝えばよろし……ん、ですか?」
「ミーレにルルニアの説明をする時、酒場で働いた経験があると伝えておいた。村全体が慢性的な人手不足だから、女性の働き手は喜ばれるはずだ」
ゴブリンの襲撃を退けた後に確認したが、酒場で寝ていた者たちの記憶は朧気だった。一人二人女性給仕の話をしたものの、「夢の見過ぎだ」と他の者に笑い飛ばされていた。
「そう言う割には自信が……んっ、無さそうですね」
「ルルニアの髪は特徴的だし、綺麗な顔立ちだ。実物を見たら思い出しても不思議じゃなさそうでな。女日照りで無駄に目が冴えてそうなのも厄介だ」
「まぁ……ん、そこはどうとでも……なりますね」
そう言って乳落としを中断し、俺の頭を腕で抱いた。視界の端に髪が垂れ下がるが、その色が桃色からどこにでもいる茶色へと変わり始めた。
「容姿の偽装はサキュバスの十八番です。これに加えて髪をおさげに結えば、この通り目立つことはありません。そこらにいる村娘です」
「町にいた時もこんな風にしてたのか?」
「あの時はこんな大人しい見た目じゃありませんでしたね。頭の両脇を長めに結って、いかにも元気そうな見た目で走り回っていました」
町娘風のルルニアを見たかったが、相変わらず乳房に圧迫されて首が動かせない。身じろぎすると乳に顔をうづめようとしたと勘違したのか、強めにギュッとされた。
「あ、乳首舐めます?」
「……今はいい」
「ふふ、ちょっと迷いましたね」
ずっと挟まっているせいか耳と後頭部が汗で蒸れ始めていた。
「……さすがのロアも人を襲わず人の営みに紛れたサキュバスを見抜けるとは思えない。木を隠すなら森の中、村にいる方が安全という考えもある」
俺の不在時にロアが家に突入してきたらどうなるかと、気が気でない時があった。騎士団の面々はそれなりの家格があるため、ド田舎の酒場になど顔を出さないはずだ。
「希望的観測ですね」
「家が安全ってのもそうだけどな」
「そう言われればそうですね」
それはそれとして家事以上の負担を強いることになるため謝罪した。ルルニアは何も言わず乳房を頭から離し、手招きで身体の向きを変えるよう言った。
「そこ座ります。前を開けて下さい」
言われるまま従うと今度は幼い身体になった。膝に置いていた俺の手をテシッと払って太ももにまたがり、胸板に後頭部を預ける形で足に座った。
「おにぃちゃ……今は普通の話し方にしましょうか」
一度払った俺の腕を持ち上げ、乳首を摘まめる位置に配置した。
何もしないでいると先端をイジるように指示された。普通とは何だ。
思考放棄して乳首を触っていると、ルルニアは黒々とした角を手に持った。
「……これは?」
「サキュバスの角です。前に欲し……っ、ふっ、ってたので差し上げます」
「どこからこんな物を」
「はふっ……ん、別のサキュバスの……です。……同族のサキュバスと戦った後、その戦利品……あっ、としていただきました」
金貨数十枚はくだらない一品に目の輝きを抑えられなかった。ふと我に返って乳首を強めにつねり、角を折られたサキュバスの詳細を聞いてみた。
「ひゃうん!? つ、角を一本折られたサキュバスはまともに術が……あひっ?! 使えなくなりま、す。両方折られたら思考力まで低下……ひぎっ!? まともな生活が送れなくなり……ます」
角を両方失うのは死と同義という。初めて角を見た時の無神経な発言を思い返して血の気が引き、失言をしたと謝罪した。だがルルニアは気にした様子なく話を継いだ。
「あなたは削りたいと言っただけじゃないですか。ずっと生やしていたら汚れが溜まりますし、変な形に生えたりします。削るだけなら手入れの内です」
「……なら良いんだが」
「他の同族に目をつけられるのが嫌だったので殺しても良かったんですが、昨夜はやめました。あのサキュバスが私の噂を広めたら厄介ですね」
魔物側に居場所が無くなったと、から笑いして言った。
「もう人間側にすり寄るしかないかもしれませんね……」
そんな呟きを俺は聞き逃さなかった。
「この家がルルニアの居場所だ。もしここに居られなくなったとしても、次の居場所を俺が用意する。二人で暮らせる場所を何度でも探してやる」
「……グレイゼル」
「どうしても我慢できなくなったら喰い殺していい。俺に失望したなら家を出たっていい。人間と魔物が暮らすのはそういうことだ。覚悟はある」
確固たる意志で言い切り、遅れて「俺を殺したとしても村の人だけは……」とまごついた。それを見てルルニアは噴き出し、元の体型に戻って言った。
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