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~大学生編~
第37章 クリスマスに降る雪
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11月末、国内最大級と称される大学祭が盛大に催されました。前夜祭には有名アーティストのライブがあり、テレビニュースでもその様子が放送されます。模擬店やライブ演奏やミスキャンパスの選考会などなど豪華なイベントが盛り沢山。華やかなお祭り騒ぎだけじゃなくゼミの論文発表もあるので準備のために毎日頭を悩ませました。私も大学生としてやるべきお勉強もがんばっているのです!
大学祭実行委員のお手伝いもちょこっとだけ参加しました。高校の行事委員会で文化祭を運営した経験はありましたが、規模が全然違う!一佳と過ごした高校時代を思い出し、とても懐かしい気持ちになりました。
大学祭が終わって、街がクリスマス色に染まり、つられて心がウキウキと踊ります。だけど一佳の顔色が最近めっぽう悪いのです。彼が家庭教師のアルバイトで教えている生徒の一人の成績が伸び悩んでいるんだって。あの一佳が、誰かのことで頭を悩ませるなんて!
「どうしたもんかな……俺の教え方が悪いのかな……」
カフェのバイトのあと、何度もため息を吐く一佳が気の毒になって来ました。
「どんな子なの?」
「真面目なヤツだよ。つか、4月から面倒みているのにいまだに俺が怖いみたい。優しくしているつもりだけど。」
決してやる気の無い子ではなく、受験勉強にも熱心に取り組んでいるのに成果が出ないので、本人も沈みがちなのだそうです。
「私、逢ってみたいな。」
「そうか、じゃあ今度逢ってみてよ、七海の方が話しやすいかも。」
さっそく土曜日、カフェのアルバイトに行く前の午前中、その生徒さんと逢うことにしました。
高校時代、一佳と良く受験勉強をして過ごした市立図書館で待ち合わせしました。一佳と一緒に、妹の瑠佳ちゃん、それから去年の教え子の祐典くんも来ました!
教え子の啓司くんは、大人しそうな、メガネを掛けた色白の少年でした。
「こ、こんにちわ……」
消え入りそうな声で啓司くんは私に挨拶しました。
「こんにちわ!突然お邪魔してごめんね!」
私が微笑みかけると、彼ははにかんだように微笑み返しました。わあ、なんだか自分を見ているよう!思わず親近感を覚えてしまいます!
「つか、なんでお前らが来るんだよ。」
一佳はさっそく瑠佳ちゃんと祐典くんを睨みつけました。
「だって、七海に逢いたかったんだもん!」
「だってぇー、一佳センセの彼女に逢いたかったんだもーん!」
「祐典、キモい!」
瑠佳ちゃんは遠慮無く後輩の祐典くんを殴っていました。二人とも私たちの母校の生徒で、しかも行事委員会のメンバーだそうです。瑠佳ちゃんは二年生で会計をつとめ、9月にあった文化祭では同じ委員のメンバーと学校中を飛び回っていました。まるで高校時代の私たちを見ているようでした。
「啓司、今日は勉強って言うよりも、お前の目指す高校の先輩たちに話しを聞いて、気持ちを固めてみろ。」
「は、はい…」
一佳は優しく話し掛けているけれど、やっぱり威圧感を感じるのですよ。
「啓司くんもN高校を目指しているんだ。」
「は、い、母が、そうしろと…」
お母さんに言われて進学先を決めるのでは、意志が弱くなるかも……
「お兄ちゃんって、すっごく意地悪じゃない?私が聞いても自分で考えろって教えてくれないんだよ。分からないから聞いているのに!」
「そうそう、めちゃくちゃスパルタでした。」
「祐典は、イギリスの首都はパリとか抜かして元々が悪過ぎだったから鞭打つしか無かったんだよ。」
「一佳にスパルタで教えられて良く堪えたわね!」
「そうですよ七海さん、怖くても逃げられなくて、無理やり詰め込んで……でも少しずつ分かるようになったら、センセの教えることが理解出来るようになりました!」
「分かるー!一佳は教え方が上手いもの!」
「えー、私には最後まで教えてくれなかったよ!」
「瑠佳は甘え過ぎだ。」
ワイワイ言い合っていたら、啓司くんは可笑しそうに微笑みながら私たちの話を聞いていました。私も一佳も高校の思い出を語り、瑠佳ちゃんや祐典くんは今の高校の話をして、啓司くんの気持ちを盛り立てました。
瑠佳ちゃんと祐典くんは傍らで期末テストの勉強を始め、学年は違うけどとっても仲良さそうでした。凄く微笑ましいです!
私と一佳は啓司くんが問題を解くのを見守っていました。時々迷うけれど何の問題も無くスラスラ解くのですよ。でも模試ではイージーミスを繰り返し点数に繋がらないそうです。
「啓司くん、こんなに出来るんだから、きっと大丈夫!」
「そう、ですか?」
「うん、一佳が教えてくれるんだもの、絶対大丈夫!」
私が励ますと、啓司くんは初めて明るく表情を輝かせました。
「……啓司、七海に惚れるなよ。」
憮然として一佳が唸りました。
「そんなこと、ある訳ないでしょ?」
ポンポンと一佳の肩を叩いたら、なぜかキッと睨まれてしまいました。
「あの、七海さん、また勉強を教えてもらっていいですか?」
「うん、いいよ!」
「ダメだ、もう七海は来るな。」
「お兄ちゃん、ヤキモチ妬かないの!」
「そうですよー、一佳センセ、大人げなーい!」
瑠佳ちゃんと祐典くんにからかわれた一佳は反撃していました。うん、本当に大人げないですよ!
クリスマスが間近になって、私のバイト先のカフェは一気に忙しくなりました。冬休み期間は毎日バイトを入れて朝から夜まで働きまくりました。裏方ばっかりでは無く、人手が足りない時はフロアにも出ます。でも制服はギャルソン仕様なんですよー、ワンピースが着てみたいです。
家庭教師に専念している一佳とも顔を合わせなくなって、どうしているかなーって気になっていたら、一佳が啓司くんを連れてお店に現れました!
「わあ、啓司くん、来てくれたんだ!」
「こ、こんばんは……」
彼はモジモジと顔を赤らめました。
「今日、この近くの会場で全国模試があって、がんばったご褒美に連れて来たんだ。疲れているだろうから好きなものを喰え、俺のおごりだ。」
「ありがとうございます。」
一佳と啓司くんはペスカトーレとチョコレートケーキと紅茶を頼んでいました。
「どうだったの、模試の方は?」
「自己採点では、今までで一番良かったと思います。」
「今から一緒に見直しするんだ。」
「そっかー!がんばって!」
テーブルにテスト問題を広げて、二人で頭をくっつけるように採点をしていました。
「何よ一佳くん、こんなところで浮気して!ウチのお店に出てくれないの?」
いずみさんが紅茶を運んできてブーっと頬を膨らませました。
「すみません、ちょっと忙しくて……」
「女の子のお客さんに毎日10回は聞かれるのよ、藤原さんはいつ出勤なんですかって!」
「そーなんすか、すみません!」
確かに、最近一佳はバイトを入れていないので、彼目当てのお客さんが減ったと店長が嘆いていました。
「一佳くん、これ、差し入れ!」
店長がミニサイズのホールケーキを持ってきました。上に乗っていたチョコプレートに、私と一佳の似顔絵がデコレーションされていました!わー素敵!
「お持ち帰りにしておくから、七海ちゃんと二人で食べてね!」
「ありがとうございます!」
その日はラストまで働いて、閉店後の作業を終えてお店を出たら、従業員通用口で一佳が待っていました。啓司くんは先に帰ったそうです。模試の結果は今までで一番良く、なぜか私にお礼をしてくれと何度も言っていたんだって。
「ね、ケーキは?」
「あるよ、どこかで食べるか?」
「すぐに食べたい!」
私たちは駅まで行き、ベンチに座ってケーキをいただきました。苺のケーキで生クリームがまろやかでとっても美味しい!
「つか、七海、なんでバイトばっかりしているんだよ。」
「あ、あの、冬休み、旅行に行こうと思って……それで今のうちにバイトして稼いでおこうと思って……」
「旅行?」
「うん、薫ちゃんに誘われてハワイに行くことになって……向こうの別荘で一緒に遊ぼうって、だから往復の飛行機代と食費は自腹なんだ……それで、明後日出発するの……」
「な、ん、だと……!明後日って、クリスマスイブじゃねーか!」
「う、うん。」
「クリスマスは?」
「ハワイにいるよ。」
「正月は!?」
「だから、薫ちゃんとハワイで過ごすの……」
「いつ帰って来るんだよ!?」
「1月の7日、かな?」
「なんで俺に一言も言わねーんだよ!」
「あの、その、一佳、家庭教師が忙しそうだったから、悪いかなって……」
一佳はベンチに座ったまま、頭を抱え込みました。
「ご、ごめんね、黙ってて。」
「……いいよ、別に……」
だけど、一佳はムッとしたまま口をきいてくれません。私の家まで送ってくれて、一佳はグイっとケーキの箱を私に押し付けました。
「じゃ、ハワイ、楽しんできて。」
「うん、お土産買ってくるね!」
ハーっとため息を吐くと、一佳はとぼとぼと帰って行きました。
「一佳も、家庭教師、がんばってー!」
すると彼は振り向きもせず、手を上げバイバイと振りました。
やっぱり、先に言っておけばよかったかな……でも、初めてのハワイは楽しみです。クリスマスやお正月に盛大なイベントがあるんだって!薫ちゃんといっぱい遊ぼうっと!
私はウキウキしながら家に帰って残りのケーキをお母さんやお姉ちゃんに見せびらかしました。似顔絵のついたチョコプレートはお姉ちゃんがパキンと真ん中で割ってしまい、一佳と私が離れ離れになってしまいました。
「ヤダ!割らないでよー!」
「だって、彼氏に断りも無く、クリスマスもお正月も置いてきぼりなんて!アンタたち、付き合う前から危機だね!一佳くん、きっと今頃心の中は猛吹雪だよ!」
そ、そうかな?ハワイの誘惑に負けたことを、その時ちょっとだけ後悔しました……
大学祭実行委員のお手伝いもちょこっとだけ参加しました。高校の行事委員会で文化祭を運営した経験はありましたが、規模が全然違う!一佳と過ごした高校時代を思い出し、とても懐かしい気持ちになりました。
大学祭が終わって、街がクリスマス色に染まり、つられて心がウキウキと踊ります。だけど一佳の顔色が最近めっぽう悪いのです。彼が家庭教師のアルバイトで教えている生徒の一人の成績が伸び悩んでいるんだって。あの一佳が、誰かのことで頭を悩ませるなんて!
「どうしたもんかな……俺の教え方が悪いのかな……」
カフェのバイトのあと、何度もため息を吐く一佳が気の毒になって来ました。
「どんな子なの?」
「真面目なヤツだよ。つか、4月から面倒みているのにいまだに俺が怖いみたい。優しくしているつもりだけど。」
決してやる気の無い子ではなく、受験勉強にも熱心に取り組んでいるのに成果が出ないので、本人も沈みがちなのだそうです。
「私、逢ってみたいな。」
「そうか、じゃあ今度逢ってみてよ、七海の方が話しやすいかも。」
さっそく土曜日、カフェのアルバイトに行く前の午前中、その生徒さんと逢うことにしました。
高校時代、一佳と良く受験勉強をして過ごした市立図書館で待ち合わせしました。一佳と一緒に、妹の瑠佳ちゃん、それから去年の教え子の祐典くんも来ました!
教え子の啓司くんは、大人しそうな、メガネを掛けた色白の少年でした。
「こ、こんにちわ……」
消え入りそうな声で啓司くんは私に挨拶しました。
「こんにちわ!突然お邪魔してごめんね!」
私が微笑みかけると、彼ははにかんだように微笑み返しました。わあ、なんだか自分を見ているよう!思わず親近感を覚えてしまいます!
「つか、なんでお前らが来るんだよ。」
一佳はさっそく瑠佳ちゃんと祐典くんを睨みつけました。
「だって、七海に逢いたかったんだもん!」
「だってぇー、一佳センセの彼女に逢いたかったんだもーん!」
「祐典、キモい!」
瑠佳ちゃんは遠慮無く後輩の祐典くんを殴っていました。二人とも私たちの母校の生徒で、しかも行事委員会のメンバーだそうです。瑠佳ちゃんは二年生で会計をつとめ、9月にあった文化祭では同じ委員のメンバーと学校中を飛び回っていました。まるで高校時代の私たちを見ているようでした。
「啓司、今日は勉強って言うよりも、お前の目指す高校の先輩たちに話しを聞いて、気持ちを固めてみろ。」
「は、はい…」
一佳は優しく話し掛けているけれど、やっぱり威圧感を感じるのですよ。
「啓司くんもN高校を目指しているんだ。」
「は、い、母が、そうしろと…」
お母さんに言われて進学先を決めるのでは、意志が弱くなるかも……
「お兄ちゃんって、すっごく意地悪じゃない?私が聞いても自分で考えろって教えてくれないんだよ。分からないから聞いているのに!」
「そうそう、めちゃくちゃスパルタでした。」
「祐典は、イギリスの首都はパリとか抜かして元々が悪過ぎだったから鞭打つしか無かったんだよ。」
「一佳にスパルタで教えられて良く堪えたわね!」
「そうですよ七海さん、怖くても逃げられなくて、無理やり詰め込んで……でも少しずつ分かるようになったら、センセの教えることが理解出来るようになりました!」
「分かるー!一佳は教え方が上手いもの!」
「えー、私には最後まで教えてくれなかったよ!」
「瑠佳は甘え過ぎだ。」
ワイワイ言い合っていたら、啓司くんは可笑しそうに微笑みながら私たちの話を聞いていました。私も一佳も高校の思い出を語り、瑠佳ちゃんや祐典くんは今の高校の話をして、啓司くんの気持ちを盛り立てました。
瑠佳ちゃんと祐典くんは傍らで期末テストの勉強を始め、学年は違うけどとっても仲良さそうでした。凄く微笑ましいです!
私と一佳は啓司くんが問題を解くのを見守っていました。時々迷うけれど何の問題も無くスラスラ解くのですよ。でも模試ではイージーミスを繰り返し点数に繋がらないそうです。
「啓司くん、こんなに出来るんだから、きっと大丈夫!」
「そう、ですか?」
「うん、一佳が教えてくれるんだもの、絶対大丈夫!」
私が励ますと、啓司くんは初めて明るく表情を輝かせました。
「……啓司、七海に惚れるなよ。」
憮然として一佳が唸りました。
「そんなこと、ある訳ないでしょ?」
ポンポンと一佳の肩を叩いたら、なぜかキッと睨まれてしまいました。
「あの、七海さん、また勉強を教えてもらっていいですか?」
「うん、いいよ!」
「ダメだ、もう七海は来るな。」
「お兄ちゃん、ヤキモチ妬かないの!」
「そうですよー、一佳センセ、大人げなーい!」
瑠佳ちゃんと祐典くんにからかわれた一佳は反撃していました。うん、本当に大人げないですよ!
クリスマスが間近になって、私のバイト先のカフェは一気に忙しくなりました。冬休み期間は毎日バイトを入れて朝から夜まで働きまくりました。裏方ばっかりでは無く、人手が足りない時はフロアにも出ます。でも制服はギャルソン仕様なんですよー、ワンピースが着てみたいです。
家庭教師に専念している一佳とも顔を合わせなくなって、どうしているかなーって気になっていたら、一佳が啓司くんを連れてお店に現れました!
「わあ、啓司くん、来てくれたんだ!」
「こ、こんばんは……」
彼はモジモジと顔を赤らめました。
「今日、この近くの会場で全国模試があって、がんばったご褒美に連れて来たんだ。疲れているだろうから好きなものを喰え、俺のおごりだ。」
「ありがとうございます。」
一佳と啓司くんはペスカトーレとチョコレートケーキと紅茶を頼んでいました。
「どうだったの、模試の方は?」
「自己採点では、今までで一番良かったと思います。」
「今から一緒に見直しするんだ。」
「そっかー!がんばって!」
テーブルにテスト問題を広げて、二人で頭をくっつけるように採点をしていました。
「何よ一佳くん、こんなところで浮気して!ウチのお店に出てくれないの?」
いずみさんが紅茶を運んできてブーっと頬を膨らませました。
「すみません、ちょっと忙しくて……」
「女の子のお客さんに毎日10回は聞かれるのよ、藤原さんはいつ出勤なんですかって!」
「そーなんすか、すみません!」
確かに、最近一佳はバイトを入れていないので、彼目当てのお客さんが減ったと店長が嘆いていました。
「一佳くん、これ、差し入れ!」
店長がミニサイズのホールケーキを持ってきました。上に乗っていたチョコプレートに、私と一佳の似顔絵がデコレーションされていました!わー素敵!
「お持ち帰りにしておくから、七海ちゃんと二人で食べてね!」
「ありがとうございます!」
その日はラストまで働いて、閉店後の作業を終えてお店を出たら、従業員通用口で一佳が待っていました。啓司くんは先に帰ったそうです。模試の結果は今までで一番良く、なぜか私にお礼をしてくれと何度も言っていたんだって。
「ね、ケーキは?」
「あるよ、どこかで食べるか?」
「すぐに食べたい!」
私たちは駅まで行き、ベンチに座ってケーキをいただきました。苺のケーキで生クリームがまろやかでとっても美味しい!
「つか、七海、なんでバイトばっかりしているんだよ。」
「あ、あの、冬休み、旅行に行こうと思って……それで今のうちにバイトして稼いでおこうと思って……」
「旅行?」
「うん、薫ちゃんに誘われてハワイに行くことになって……向こうの別荘で一緒に遊ぼうって、だから往復の飛行機代と食費は自腹なんだ……それで、明後日出発するの……」
「な、ん、だと……!明後日って、クリスマスイブじゃねーか!」
「う、うん。」
「クリスマスは?」
「ハワイにいるよ。」
「正月は!?」
「だから、薫ちゃんとハワイで過ごすの……」
「いつ帰って来るんだよ!?」
「1月の7日、かな?」
「なんで俺に一言も言わねーんだよ!」
「あの、その、一佳、家庭教師が忙しそうだったから、悪いかなって……」
一佳はベンチに座ったまま、頭を抱え込みました。
「ご、ごめんね、黙ってて。」
「……いいよ、別に……」
だけど、一佳はムッとしたまま口をきいてくれません。私の家まで送ってくれて、一佳はグイっとケーキの箱を私に押し付けました。
「じゃ、ハワイ、楽しんできて。」
「うん、お土産買ってくるね!」
ハーっとため息を吐くと、一佳はとぼとぼと帰って行きました。
「一佳も、家庭教師、がんばってー!」
すると彼は振り向きもせず、手を上げバイバイと振りました。
やっぱり、先に言っておけばよかったかな……でも、初めてのハワイは楽しみです。クリスマスやお正月に盛大なイベントがあるんだって!薫ちゃんといっぱい遊ぼうっと!
私はウキウキしながら家に帰って残りのケーキをお母さんやお姉ちゃんに見せびらかしました。似顔絵のついたチョコプレートはお姉ちゃんがパキンと真ん中で割ってしまい、一佳と私が離れ離れになってしまいました。
「ヤダ!割らないでよー!」
「だって、彼氏に断りも無く、クリスマスもお正月も置いてきぼりなんて!アンタたち、付き合う前から危機だね!一佳くん、きっと今頃心の中は猛吹雪だよ!」
そ、そうかな?ハワイの誘惑に負けたことを、その時ちょっとだけ後悔しました……
応援ありがとうございます!
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