幽霊祓い

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第3章 約束編

第174話 氷鳩②

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俺らがGEAに入ってから、約1ヶ月が経った頃、士郎は蒼雲師匠に次ぐ『最強』と呼ばれるようになっていた。士郎は『最強』と呼ばれていたが、俺は何とも呼ばれていなかった。皆が士郎に注目した。

「士郎さん、スゲーよな」

「蒼雲さんに次ぐ最強って称号、マジでかっこいいよな」

「それに比べて、もう片方は・・・」

そんな言葉をGEA内でよく聞くようになった。悔しかった、悲しかった。士郎が俺の兄弟だから比べられるのか?何だ、この気持ちは。今まで嫉妬することはなかったが、この頃から、俺は士郎に嫉妬するようになっていた。

「氷河、最近元気ないよな。大丈夫か?」

「・・・別に何にもないよ。寝不足ってとこかな、はははっ。少し疲れているだけだよ。そう、少し疲れているだけ・・・」

「あ、2人ともこんな所にいたのか。ちょっと来てくれ」

蒼雲師匠にそう言われ、俺らは一帝の部屋ここに連れてこられた。

「お前たちに一帝の跡継ぎのことで話しておきたいことがあってな」

「一帝の跡継ぎ?」

「もし、私に何かあって、一帝が継続できないという状況になった時、氷河には申し訳ないが、士郎に新・一帝を任そうと思うんだ」

「・・・俺もその方がいいと思いますよ・・・」

その日以来、士郎はさらに努力するようになった。その姿を見て、蒼雲師匠は士郎に夢中だった。

「蒼雲さんのところの士郎君、あれは次期一帝で確定やな」

「そうやね~。そういえば、もう1人の方は?」

「あ~、片山  氷河、やったか?あいつは師帝にも入れんやろ。アハハッ」

皆、師帝やら一帝やらうるせぇんだよ。言いたきゃ勝手に言え。俺は師帝にならなくったって、強くなれるんだよ。強く・・・なる。・・・何なんだよ、クソくらえ。

「氷河のことを悪く言わないでくれ、俺のなんだ」

士郎がそう言っている場面を何度か見かけた。士郎、それで俺を助けたつもりか?火に油を注ぐだけだぞ?士郎、お前があの日、あの日、お前が蒼雲師匠に連れてこられなければ・・・。この時、俺は士郎のことが嫌いになっていた。
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