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第4料理 ガースとアッシー

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「ここが調理室だ」

調理室の前に着き、キャロットがそう言った。

「中にガースがいるはずだ。アッシーよ、先程の無礼を許してくれ。あんなに嬉しそうな魔王様は初めて見た」

キャロットと和解し、俺は調理室に入った。

「おぉ、君が今日から魔王様の専属料理人になったアッシー君だねぇ?」

厨房に包丁を持って立っていたのは、コックコートを来た骸骨だった。

「あなたがガースさんですか?」

「えぇ、初めまして。私がガースです」


この時、ガースの心の中では・・・

この野郎がアッシーか。今まで、私が魔王様の料理を作っていたのに、こんな人間を、専属料理人にするなんて。魔王様、私の方が優秀だということを証明してみせましょう。

「あ、あの~」

「う、うん?どうしたのかね?」

「食材の場所とか教えて頂きたいな~と思いまして」

キーッ!!この野郎、私のことを差し置いて、食材の位置確認か。クソガキめ。こんなガキに何ができるって言うんだよ。私の作る料理の方が美味いに決まってる!!

「ガースさんッ!!」

「ん、あ、はいはい。何の話だった?」

「食材の場所です」

「あ~、そうでしたそうでした」

「あのー、何かありました?」

「ん?」

「いや、さっきからぼーっとしてるから」

その時、ガースの中で怒りの糸が切れた。

「貴様のせいだ、貴様のせいでッ、私はッ、魔王様の料理担当を降りることになったんだぞッ!!許せない、許さないッ!!貴様にある課題を出すッ!!これをクリアできなければ、調理室ここを出ていってもらうッ」

えぇ、また、なんかやらされるの、俺。めんどくせぇ~、なんで、そうなるんだよ。あんたの料理に満足しなかったから、魔王様が俺を専属料理人に選んだんじゃないのか?

「分かりましたよ。で、課題って何ですか?」

「これで何か作ってみろ」

そう言って、ガースは肉の塊と、食パン1枚と、卵1つを持ってきた。

「俺は普段、肉を焼き、卵も焼いて食べる。それ以外に、何かこの3つの食材を使って、何か作ってみろ」

この感じだと、この世界では、あまり料理というものが浸透していないんだな。なら、

「分かった。ガース、あんたのその口を黙らすような激うま料理を作ってやるよ」

俺は早速、フォークを手に取った。
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