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ソサエティーでの特訓
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一緒に魔法の研究をしているのだから、是非『お話の学び舎』ソサエティーの会員になって欲しいとのロッテの希望を受けてナオは、『お話の学び舎』ソサエティーに入会試験を受けています。
なんといっても識字グループ全員の推薦状があるのですから、めったなことで不合格になることはないだろと、ロッテもメラニーも太鼓判を押してくれました。
しかしマクギネス公爵夫人は、そんな縁故などばっさりと切り捨ててしまいそうな、厳しい表情を見せています。
「アイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人。随分多くの推薦状が届いていますね。全部識字グループの若いメンバーのものね。あなたにはきちんとした後ろ盾がないのかしらね」
ずばりと言われてナオは震え上がってしまいました。
本当ならお母さまにお願いして、その伝手で年配の貴婦人の紹介状を手に入れるべきでしたが、今のお母さまは、お兄さまの病状が芳しくないので、若い後嗣を支えながらリード侯爵家を守っているのです。
ナオはそんなお母さまを煩わしたくなかったのです。
「申訳ございません」
ナオは小さくなって、やっとそれだけを口にしました。
正直ディーたちの仲間には入りたいけれども、どうしてもソサエティーに入会したいという、強い想いも持っていなかったのです。
そんなナオをマクギネス公爵夫人は呆れたように見つめています。
「アイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人。このソサエティーに入会したいという人は、それこそ沢山いるんですよ。それだというのに貴女ときたら意欲の欠片も感じられません。けれど、まぁいいわ。あなたがソサエティーでどんな活躍をするか、それを楽しみにしていますよ」
そう言われても、ナオはぽかんとしています。
マクギネス公爵夫人は、舌打ちをしたいような顔になりました。
「合格だと言っているのよ。アイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人。バッジをつけて差し上げるわ」
マクギネス公爵夫人が手ずから、ナオの胸に『お話の学び舎』ソサエティーの本とペンを模した銀バッジをつけてくださいました。
ナオは深々と礼をとると、しっかりとした声でお礼をのべます。
「ありがとうございました。マクギネス公爵夫人。私もディアーナ・ベル・ストークス伯爵令嬢たちの識字グループに入って、しっかり頑張ります」
こうして無事にナオはロッテたち識字グループの一員になりました。
そこでロッテはナオと共にジェシカにお願いして『癒しの手』ソサエティーで治癒魔法を教えてもらえるように交渉することにしました。
『癒しの手』ソサエティーは王宮のすぐ近くにある、白亜の離宮です。
ロッテたちが到着すると、十字とハートを組み合わせた銀バッジをつけた女性がジェシカのところまで案内してくれました。
「いらっしゃい、ロッテ、ナオ。どうぞこちらに掛けて頂戴」
「ごきげんよう、ジェシカ。今日は無理なお願いを聞いて頂いてありがとう」
「いいのよ。前線がきな臭いことになっているって噂は聞いているもの。 アトラス王国の国王が亡くなって、まだ幼子の王子を擁立したバルザック将軍が、隣国を併合し始めているそうね。気の毒にあの美しいマール公国は、この間滅んだと聞いたわ」
ナオは平然としていましたが、ロッテは真っ青になってしまいます。
どうやらロッテは何も知らなかったようです。
ジェシカもそれがわかったらしく、心底呆れたような顔をして言いました。
「まったく、セディってよほどあなたを大事にしているのね。でもずっと隠しておける訳じゃないのに。セディは国一番の魔術師よ。戦争になったら真っ先に派遣されることになるわ」
それを聞いたロッテはたちまち現状を把握してしまったようです。
すぐさまナオに激をとばしました。
「ナオ、私たち陰陽の姫がこの国に召喚されたのは、このためだったのかもしれないわ。ひとりでは守り切れなくても2人の魔法をあわせれば……」
皆まで言わせず、ナオもすぐさま賛同します。
「複合魔法ね。ロッテ。私たち、絶対にそれを身に付けましょう。だって私たちには2人とも、守りたい男がいるんだから」
ナオの目も決意に溢れています。
そうです。
ナオたち陰陽の姫の共通項は、どちらも守られるだけの姫君ではなかったことです。
「困った人たちね。前線に出る気満々じゃない。これじゃ後で私が、ロビンやセディに恨まれることになりそうだわ。でもあなた達のそういうところ、気に入ったわ。ビシバシ仕込むから覚悟なさい」
確かにジェシカは天才的な治癒魔法使いで、そしてスパルタ教師でした。
ナオとロッテは『癒しの手』ソサエティーの救護室で、ありとあらゆる病気やケガの治療に当たりましたから、とうとう『癒しの手』ソサエティーの正式メンバーに選ばれてしまった程です。
「いいこと、ナオ。いきなり傷の治療を始めるのじゃなくて、患者の様子をよく観察するのよ」
「ロッテ、やみくもに魔法を使わないで。魔力切れをおこしたら、場合によっては二度と魔法を使えない身体になるかもしれないのよ」
「ナオ、戦地では次々と怪我人が運ばれてくるのよ。少ない魔力で最良の治癒を与えなさい。何度も言わせないでね。魔力は有限なのに、治癒が必要な人はそれこそきりがないくらいいるのよ」
ジェシカの治癒魔法は、どこまでも実践に即したものでした。
たった1人を完全に治癒させるよりも、百人を回復させる。
ジェシカは、最初にそれを徹底させました。
やがてナオ達が、無意識に魔力量を制御できるようになると、今度は完全な治癒を求め始めます。
「ロッテ、足が繋がっても、後遺症が残ったら何のための治癒魔法かわからないわよ。丁寧な観察をおろそかにするから、完全治癒していないのよ」
「ナオ、気が付いていないの。この患者は腕を怪我した時に片方の鼓膜を破っているでしょ。鼓膜再生ができていないわよ。あなたの目は節穴かしら?」
そんなスパルタ特訓を受けた後の、ティータイムは2人揃ってへとへとで、何かを食べることもできないぐらい疲れ切ってしまいます。
本来なら休息時間であるこのティータイムですら、ジェシカの厳しい指導は続きました。
「ロッテ、ナオ。戦場では食べ物は貴重ですし、私たちだっていつ食事にありつけるかわからないの。徹夜で治療にあたることもあるのよ。食事できるチャンスがあれば、きちんと栄養補給しないと体力が持ちませんよ」
それにしてもジェシカはどうやって、この凄い治癒魔法を身に着けたのでしょうか。
それを質問すると、ジェシカは朗らかな顔になりました。
「ヒル家の領土はエマージング大草原と接しているの。遊牧の民との小競り合いや、草原を闊歩する魔獣たちからの攻撃から領地を守って来たのがお父さま率いるヒル騎士団なのよ」
「ヒル騎士団の兵たちが、毎年どれだけ負傷してきたと思っているのかしら。私たちヒル家の女は、即死ででもないかぎり、絶対に兵を死なせないし、必ず元の健康な身体に戻すことをモットーに治癒してきたのよ。あなた達とは年季が違うわ」
それを聞いて目を輝かせたのはナオでした。
「まぁ、ではヒル伯爵家では治癒魔法の使い手が組織されているのですね。プレシュス辺境伯家では魔法使いや魔術師は王都から派遣されてきているのです。自前の治癒軍団なんて持っていなくて……」
「それは、プレシュス辺境伯の政治的な判断でしょうね。建前上は魔術師や魔法師は全部王都の魔術塔や魔法塔が管理することになっているもの。私たちだって表立っての活動はしていないのよ。ヒル家の女たちはあくまでも自称魔法師に過ぎないの」
自称魔法師という言葉に食いついたのはロッテです。
それはどういう意味かとしつこく食い下がってやっとジェシカはヒル家の女たちの全容を教えてくれました。
魔術師も魔法使いも、その才能が現れたら、必ず領主を通して王に報告する義務があります。
そしてその魔術師の卵たちは、王都で衣食住全て無料で魔法を学べるのです。
けれど全員が魔法使いや魔術師になれる訳ではありません。
次々にふるいにかけられ、毎年の試験をクリアできなければ、卵たちは魔法使いの資格を得ないまま故郷に帰ることになります。
こういった半端者は魔術師とも魔法師とも名乗れませんが、多くは呪術師と名乗って僅かな魔法を生活の糧としますし、正規の魔術師を雇うお金を持たない市井の者たちには、半端者の魔力だって大いに助かるのでした。
ここに目をつけたのが、先々代のヒル伯爵夫人で、彼女は出現した魔法使いの卵に因果を含めて、最終試験にわざと失敗させてヒル家の女たちを作り上げました。
ことがばれれば反逆罪にも相当する罪なのに、それでも協力してくれた女たちは身内を戦いで亡くしていたのです。
そこまで聞いてロッテもナオもこの話をジェシカにさせたことを後悔しました。
この話が外に洩れればヒル家は潰されてしまいます。
そんな2人の重い空気を打ち払うようにジェシカは言いました。
「そんな顔をしないで。この話は公然の秘密なの。王の密偵を全て排除できる訳はないし、王はいわばいつでもヒル家を潰せるネタを握っているわ。ヒル家が富を王家に流し続けるかぎり、王は金のガチョウを絞め殺したりしないわよ」
ヒル家は豊かな草原を使って、馬、牛、羊や山羊を放牧し、乳製品や肉、毛織物などの生産地として知られています。
豊かな伯爵家というイメージでしたが、その大部分は王家に吸い上げられているのでしょう。
それがわかって見れば、ジェシカの笑顔がとても健気に思えました。
ナオも理解しました。
それではプレシュス辺境伯家では、自前の治癒師軍団を組織することはできません。
それでなくともプレシュス辺境伯は、王家に睨まれているのですから。
でも、とナオは思いました。
治癒師軍団が作れないなら、私がひとりで治癒軍団に匹敵するだけの働きをすればいいのだわ。
こうしてナオとロッテの魔法の特訓は、更に熱がこもったものになっていきました。
なんといっても識字グループ全員の推薦状があるのですから、めったなことで不合格になることはないだろと、ロッテもメラニーも太鼓判を押してくれました。
しかしマクギネス公爵夫人は、そんな縁故などばっさりと切り捨ててしまいそうな、厳しい表情を見せています。
「アイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人。随分多くの推薦状が届いていますね。全部識字グループの若いメンバーのものね。あなたにはきちんとした後ろ盾がないのかしらね」
ずばりと言われてナオは震え上がってしまいました。
本当ならお母さまにお願いして、その伝手で年配の貴婦人の紹介状を手に入れるべきでしたが、今のお母さまは、お兄さまの病状が芳しくないので、若い後嗣を支えながらリード侯爵家を守っているのです。
ナオはそんなお母さまを煩わしたくなかったのです。
「申訳ございません」
ナオは小さくなって、やっとそれだけを口にしました。
正直ディーたちの仲間には入りたいけれども、どうしてもソサエティーに入会したいという、強い想いも持っていなかったのです。
そんなナオをマクギネス公爵夫人は呆れたように見つめています。
「アイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人。このソサエティーに入会したいという人は、それこそ沢山いるんですよ。それだというのに貴女ときたら意欲の欠片も感じられません。けれど、まぁいいわ。あなたがソサエティーでどんな活躍をするか、それを楽しみにしていますよ」
そう言われても、ナオはぽかんとしています。
マクギネス公爵夫人は、舌打ちをしたいような顔になりました。
「合格だと言っているのよ。アイリーン・ナオ・プレシュス辺境伯夫人。バッジをつけて差し上げるわ」
マクギネス公爵夫人が手ずから、ナオの胸に『お話の学び舎』ソサエティーの本とペンを模した銀バッジをつけてくださいました。
ナオは深々と礼をとると、しっかりとした声でお礼をのべます。
「ありがとうございました。マクギネス公爵夫人。私もディアーナ・ベル・ストークス伯爵令嬢たちの識字グループに入って、しっかり頑張ります」
こうして無事にナオはロッテたち識字グループの一員になりました。
そこでロッテはナオと共にジェシカにお願いして『癒しの手』ソサエティーで治癒魔法を教えてもらえるように交渉することにしました。
『癒しの手』ソサエティーは王宮のすぐ近くにある、白亜の離宮です。
ロッテたちが到着すると、十字とハートを組み合わせた銀バッジをつけた女性がジェシカのところまで案内してくれました。
「いらっしゃい、ロッテ、ナオ。どうぞこちらに掛けて頂戴」
「ごきげんよう、ジェシカ。今日は無理なお願いを聞いて頂いてありがとう」
「いいのよ。前線がきな臭いことになっているって噂は聞いているもの。 アトラス王国の国王が亡くなって、まだ幼子の王子を擁立したバルザック将軍が、隣国を併合し始めているそうね。気の毒にあの美しいマール公国は、この間滅んだと聞いたわ」
ナオは平然としていましたが、ロッテは真っ青になってしまいます。
どうやらロッテは何も知らなかったようです。
ジェシカもそれがわかったらしく、心底呆れたような顔をして言いました。
「まったく、セディってよほどあなたを大事にしているのね。でもずっと隠しておける訳じゃないのに。セディは国一番の魔術師よ。戦争になったら真っ先に派遣されることになるわ」
それを聞いたロッテはたちまち現状を把握してしまったようです。
すぐさまナオに激をとばしました。
「ナオ、私たち陰陽の姫がこの国に召喚されたのは、このためだったのかもしれないわ。ひとりでは守り切れなくても2人の魔法をあわせれば……」
皆まで言わせず、ナオもすぐさま賛同します。
「複合魔法ね。ロッテ。私たち、絶対にそれを身に付けましょう。だって私たちには2人とも、守りたい男がいるんだから」
ナオの目も決意に溢れています。
そうです。
ナオたち陰陽の姫の共通項は、どちらも守られるだけの姫君ではなかったことです。
「困った人たちね。前線に出る気満々じゃない。これじゃ後で私が、ロビンやセディに恨まれることになりそうだわ。でもあなた達のそういうところ、気に入ったわ。ビシバシ仕込むから覚悟なさい」
確かにジェシカは天才的な治癒魔法使いで、そしてスパルタ教師でした。
ナオとロッテは『癒しの手』ソサエティーの救護室で、ありとあらゆる病気やケガの治療に当たりましたから、とうとう『癒しの手』ソサエティーの正式メンバーに選ばれてしまった程です。
「いいこと、ナオ。いきなり傷の治療を始めるのじゃなくて、患者の様子をよく観察するのよ」
「ロッテ、やみくもに魔法を使わないで。魔力切れをおこしたら、場合によっては二度と魔法を使えない身体になるかもしれないのよ」
「ナオ、戦地では次々と怪我人が運ばれてくるのよ。少ない魔力で最良の治癒を与えなさい。何度も言わせないでね。魔力は有限なのに、治癒が必要な人はそれこそきりがないくらいいるのよ」
ジェシカの治癒魔法は、どこまでも実践に即したものでした。
たった1人を完全に治癒させるよりも、百人を回復させる。
ジェシカは、最初にそれを徹底させました。
やがてナオ達が、無意識に魔力量を制御できるようになると、今度は完全な治癒を求め始めます。
「ロッテ、足が繋がっても、後遺症が残ったら何のための治癒魔法かわからないわよ。丁寧な観察をおろそかにするから、完全治癒していないのよ」
「ナオ、気が付いていないの。この患者は腕を怪我した時に片方の鼓膜を破っているでしょ。鼓膜再生ができていないわよ。あなたの目は節穴かしら?」
そんなスパルタ特訓を受けた後の、ティータイムは2人揃ってへとへとで、何かを食べることもできないぐらい疲れ切ってしまいます。
本来なら休息時間であるこのティータイムですら、ジェシカの厳しい指導は続きました。
「ロッテ、ナオ。戦場では食べ物は貴重ですし、私たちだっていつ食事にありつけるかわからないの。徹夜で治療にあたることもあるのよ。食事できるチャンスがあれば、きちんと栄養補給しないと体力が持ちませんよ」
それにしてもジェシカはどうやって、この凄い治癒魔法を身に着けたのでしょうか。
それを質問すると、ジェシカは朗らかな顔になりました。
「ヒル家の領土はエマージング大草原と接しているの。遊牧の民との小競り合いや、草原を闊歩する魔獣たちからの攻撃から領地を守って来たのがお父さま率いるヒル騎士団なのよ」
「ヒル騎士団の兵たちが、毎年どれだけ負傷してきたと思っているのかしら。私たちヒル家の女は、即死ででもないかぎり、絶対に兵を死なせないし、必ず元の健康な身体に戻すことをモットーに治癒してきたのよ。あなた達とは年季が違うわ」
それを聞いて目を輝かせたのはナオでした。
「まぁ、ではヒル伯爵家では治癒魔法の使い手が組織されているのですね。プレシュス辺境伯家では魔法使いや魔術師は王都から派遣されてきているのです。自前の治癒軍団なんて持っていなくて……」
「それは、プレシュス辺境伯の政治的な判断でしょうね。建前上は魔術師や魔法師は全部王都の魔術塔や魔法塔が管理することになっているもの。私たちだって表立っての活動はしていないのよ。ヒル家の女たちはあくまでも自称魔法師に過ぎないの」
自称魔法師という言葉に食いついたのはロッテです。
それはどういう意味かとしつこく食い下がってやっとジェシカはヒル家の女たちの全容を教えてくれました。
魔術師も魔法使いも、その才能が現れたら、必ず領主を通して王に報告する義務があります。
そしてその魔術師の卵たちは、王都で衣食住全て無料で魔法を学べるのです。
けれど全員が魔法使いや魔術師になれる訳ではありません。
次々にふるいにかけられ、毎年の試験をクリアできなければ、卵たちは魔法使いの資格を得ないまま故郷に帰ることになります。
こういった半端者は魔術師とも魔法師とも名乗れませんが、多くは呪術師と名乗って僅かな魔法を生活の糧としますし、正規の魔術師を雇うお金を持たない市井の者たちには、半端者の魔力だって大いに助かるのでした。
ここに目をつけたのが、先々代のヒル伯爵夫人で、彼女は出現した魔法使いの卵に因果を含めて、最終試験にわざと失敗させてヒル家の女たちを作り上げました。
ことがばれれば反逆罪にも相当する罪なのに、それでも協力してくれた女たちは身内を戦いで亡くしていたのです。
そこまで聞いてロッテもナオもこの話をジェシカにさせたことを後悔しました。
この話が外に洩れればヒル家は潰されてしまいます。
そんな2人の重い空気を打ち払うようにジェシカは言いました。
「そんな顔をしないで。この話は公然の秘密なの。王の密偵を全て排除できる訳はないし、王はいわばいつでもヒル家を潰せるネタを握っているわ。ヒル家が富を王家に流し続けるかぎり、王は金のガチョウを絞め殺したりしないわよ」
ヒル家は豊かな草原を使って、馬、牛、羊や山羊を放牧し、乳製品や肉、毛織物などの生産地として知られています。
豊かな伯爵家というイメージでしたが、その大部分は王家に吸い上げられているのでしょう。
それがわかって見れば、ジェシカの笑顔がとても健気に思えました。
ナオも理解しました。
それではプレシュス辺境伯家では、自前の治癒師軍団を組織することはできません。
それでなくともプレシュス辺境伯は、王家に睨まれているのですから。
でも、とナオは思いました。
治癒師軍団が作れないなら、私がひとりで治癒軍団に匹敵するだけの働きをすればいいのだわ。
こうしてナオとロッテの魔法の特訓は、更に熱がこもったものになっていきました。
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