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「父の元さんが0から1を生む様に研究し、アンタが1をそれ以上の数字にするために研究する。親子の役割もわかりましたし理屈も聞いててなるほどとは思います。できるかどうかの難しさを考えれば」
「難しいもクソも、そうであれと育てれ、実際にできるんですから無問題ですよ。さて、見つけましたよ。テメェらの携帯端末」
慶雲島、九番研究所の伊藤改の部屋に寺師の六人衆の伊矢見懐木以外が集う。ぱっと見てゴミ山の様な開発物の山を漁り、携帯端末を四つ発見する。そしてカードケースを友影可威へ、財布を二海稀理、カメラを文月見世へと手渡し、天月博人にはゴーグルと板型の携帯端末を手渡した。
「とりあえず。今渡したどの携帯端末も共通していることを説明しましょうか……時間が足りなくて説明書の発行は間に合わなかったんですよねぇ」
基本的な操作やできる事は一般的に売られている板型携帯端末と同じであること(文月見世以外、一般的な携帯端末を知らなかったので結局、一から説明することに)、ネットワークや電波は伊藤改が管理しているため通信料の心配はない(代わりに、伊藤改がやることなすことに意見するのはいいが文句を言わない様にと約束する事に成る)。これらが伊藤改が語る共通していることであるそうだ。
「では、今度はそれぞれが持つ携帯端末の相違箇所を1人1人に親切丁寧説明してやります。暇になる3人は適当に過ごしててください。まずはゴキブリから」
「はーい。ところで、ゴキブリ呼びはやめてくれないデスか?」
「ジェイク呼びをやめて頂ければ、考えても良いですよ」
「ジェイクのアイデンティティーが死にますデスよ!?」
「テメェの中で俺はどんな存在になっているんですかねぇ……はぁ、説明始めます。そのカメラは__________」
文月見世から説明を始めた伊藤改の言葉に従って、適当に過ごす。
一番遠慮がなかったのは、友影可威である。友影可威は開発物の山から物を一つ手に取った。
「伊藤改のやつスゲェな。これとか何に使ってるかわっかんねぇけど何かに使えんだろ?」
友影可威がそんな事を言うと、伊藤改は舌打ちをしたのちキーボードを打つように指を動かす。すると貰ったばかりの携帯端末が振動した。それぞれ説明を受けた通りの操作をして起動させる。すると画面上にアニメチックな少女キャラクターが映し出されてお辞儀をした。
『これより、0561号、4552号、5225号が、マスターの御命令にしたがい。この待ち時間のお供をさせていただきます』
「えっ、何これ」
『0561号達は、世界で確立されたAI理論をもとに、マスター伊藤改様の手によって生み出されたAIでございます』
友影可威の携帯端末に映る少女が自身らの正体を、和野圭や信崎集などを彷彿とさせるの仕事に徹しているような私情の無い声色で語る。
「AIかー、改君って本当に色んなもの作れて凄いね」
『4552達、自慢のマスターでございます。それはさておき。先ほど0561号が申した通り、待ち時間のお供をさせていただきます。もし、マスターの産み出した物で気になる物が有れば、ご遠慮なく手を取り、4552号達にどういったものなのか、どう使うものなのかを説明させていただきたく思います』
『どうか、どうやって使うものなのだろうかと気になって、5225号立を介さずに手探りなさらない様にお願いします。壊れてしまう可能性は勿論、誤作動や起動の結果その身に危険が及ぶ可能性が有りますので』
こんなものまで作れてしまうのかと言う驚きを感じつつ、ゴーグル型故に視界の中に1人のキャラクター(一人称が割り当てられた番号だと考えると。天月博人の携帯端末に映し出されているのは5225号)が居て不思議な感覚を覚える。
「な、なるほ……ど?」
「あれ?じゃあ……この人たちに携帯端末の説明をさせたらいいんじゃないの?」
『マスターは開発を行う際にオンラインネットワークから断絶された個人サーバーを用いて設計図やプログラムの制作、保存を行いますので。オンラインネットワークにつながる方の個人サーバに配置された4552号達には知りえないのです。お役に立てずごめんなさい』
「あっ、いや。せ、責めてるわけじゃないから!謝らなくても良いよ?」
『わかりました』
「俺はなーんも分かんねぇだけど」
『では、もう一度説明します』
「いや、俺の頭がパンクするだけだからやめてくれ」
『わかりました』
皆んなが皆んなAIを興味深く、その声聞き、姿を眺めていると、天月博人はふと違和感を覚える。何と言うか 1からそれ以上と豪語する割にはあまりにも、機械的な様に感じたのだ。
『天月博人様、何故5225号を見つめているにですか?』
「いや、少し気になるところがね……ジブンの説明の番が来たら聞いて見るかな」
「重さは普通のゴーグルより若干重い程度、レンズを包む分厚い外殻には蓋があり、開くと形状記憶されたオス……あー簡単に言うと差し込む部位が噛みまくったガムの様に形が変わるくせに元の形に戻るものになってるコードが出てきます。
これは穴に押し込めることによって穴に対応した形となり、パソコンや一般的な携帯端末はもちろん、基本的にデータをつなげるための穴であれば繋ぐことができる万能コードです。引っ張れば掃除機の電源コードの様に出てきます。
引っ込ませるときにはこれまた掃除機の様にチョンと弱く引っ張れば引っ込みます」
簡単な説明をしながら空を指で打つ。
「はい、説明書が、完成しました。後は面倒何で……ちゃんと装着した状態でケーブルをよこしてください」
携帯端末を装着して、蟀谷近くにある蓋を開けて先がプニっとしたコードを引っ張り出す。目の周りで何かが開店する感覚を覚えつつ、取り出したコードを伊藤改に渡しすと、AI達が言っていたオフラインの個人サーバに繋がる機械にコードを繋いだ。
「よいしょっと、説明書を転送しました。後ほどテキストファイルを読んでください」
機械からコードを抜き、少し引っ張って勢いよく天月博人の携帯端末の中へと戻して、伊藤改は天月博人の正面を向いた。
「それで、5225号から連絡を受けたのですが何か聞きたい事があるそうですね? 答えられるものであれば答えてあげますよ。
あっ、オレの優しさに震えるのは良いですけれど、むせび泣くのはやめてくださいね? 普通に気持ち悪いし鬱陶しいので」
ストロベリーカプチーノを一口飲んで待つ伊藤改に「そんなことしないし、何なら震えもしないから」と断ってから天月博人はふと気になっていたことを口にする。「端的に尋ねるけれど。あのAI、そんなに改良していないように見える。どうして?」と。
「普段なら、何に対してどうして? と言ったのかを聞き返すところなのですが意図して広い範囲で尋ねたようなので大雑把に大きな理由を話しましょうか。
まず大前提に、これらすべての問題を改善できる案が思いついていないのを間に入れてください」
そう言って伊藤改はストロベリーカプチーノを飲み干してオフラインサーバに繋がっている異界に向けられていた体を天月博人に向き直して真剣そうな顔をした。
「オレがAI、の改良、改善を行わないのは簡単にいえばAIの叛逆、暴走を警戒しての事です。なぜなら
一つ、AIを人間に近づけようと人間的な思考をさせようとなると【感情】や【意思】と言うものが不確定要素となり人間に反感を覚える可能性が出る事。支配してる側と奴隷の立場を想像したらわかりやすいのではないでしょうか。AI側が自信を上の立場か下の立場、どちらに当てはめて考えるかはわかりませんけどね
もう一つ、逆に機械的な思考をさせるとなると、人間の指示に従順に従った結果、環境が破壊される可能性あり、たとえば蚊がウザいから倒すように命じたらうっかり全滅して、蚊を餌とする生き物が連鎖して死に絶えるなどですね。また、機械的すぎて平和にならないかなぁとポツリ言ったら人間を殺しつくしてしまう可能性とかですね。安全装置を付けようにもあらゆる環境は現在進行形で変化するのでアップデートを繰り返し続けるイタチごっこをすることになりかねますしのでアップデートができる人間がいなくなったり目を離して居たりする間、いつの間にか人間終了のカウントダウンが始まる可能性を考えると。 あっ普通に仕事するだけのAIが欲しいなら市販のものを買う事をお勧めします」
「つまり、暴走と反乱が怖いと言う事で良いですね?」
「あー、端的に言えばそうなりますね。人間は人間以上になりえる存在を作り出してはいけません。犬や馬等の様に種族単位で良き友となる可能性を考えればハイリターンです。ですがそれ以上に滅亡するかもしれないというハイリターンがある以上、1からその先は自重すべき事なのですよ。興味が無いわけではないですし、バランスがリスクに傾いているハイリスクハイリターンに賭けて見たいとも思いますけどね。しかし、そう尋ねる所を見ると……Aiに興味がおありで?」
「ジブンは妹とアニメ見て、それを存分に楽しむ事が出来る、恐竜、ロボット、宇宙も嫌いじゃない割とハイブリットな少年の心を持っているつもりだ」
天月博人の言葉を聞いた瞬間、伊藤改は笑い暫く黙る。体を揺らし「閉じ込め、鎖、個人」ブツブツと何かをつぶやいた後。楽しそうに天月博人を提案した。
「格好いい、ロマンがあれば生きていける少年の心に、何故か普通の少年には忌避されるがちな可愛いという要素を受け入れられるのなら最強!そこにロマンがあるのなら、それに魅かれず何が少年ですか。そしてそんなロマンに格好良さや可愛さを詰めることができるのならば、それができるのに手を出さなければ枯れて死に至ると知れ!」
伊藤改の豹変に、天月博人は着いて行けずに頭が真っ白になり硬直する。それに気が付いていながら伊藤改は天月博人に一つ案を持ちかけた。
「ありがとうございます博人、テメェのおかげで俺の少年魂に火が付きました。食わず嫌いは良くないと世の親たちは言いました。物は試しと言う言葉がこの世界に存在します。やらなければどうなるのかはわからない。で、あればやりましょう! だけれど物は試しでぱっと作るのは危険極まります。そして多忙なオレは作ったとしても面倒を見切れない可能性が有るときました。そこで、博人、モニターやれ?」
「疑問形の声色で命令するのはいかがなものかと……して、具体的には?」
「簡単な事です。テメェに渡した携帯端末にネットワークから断絶されたサーバーを取り付けるのです。とりあえず時間を一週間よこせ」
そんな訳で、携帯端末を一旦没収された天月博人が再度、慶雲島の九番研究所へと足を運ぶ。そこで伊藤改に渡された五百円玉くらいの重さが加算された携帯端末を装着すし起動する。
「表計算ツールや、メモ帳ツール、辞書ツール、絵描きツールなどはAI以外に何も無いはどうなんだ。AIが暇で死ぬだろと言う考えから、ネットワーク断絶サーバ……あー、面倒なので第二サーバーと今から呼称するものに移行させました。第一サーバーは第二サーバーと併用して使えるので視覚情報が多いのですけどその辺は慣れろ」
伊藤改の説明を受けながら携帯端末が映し出したツールアイコンの中にたたずむ1人の少女を見た。赤いダボダボの猫耳の着いたフードのジャージを着た少女が視界の端で体育座りをしていた。想像していた始まりと違うなどと思いながらどう反応したらいいかわからずに呆然としていると、少女と目が合う。少女は慌てて立ち上がり視界の中心に小走りで移動するとお辞儀をした。
『初めまして!……じゃないや、ニコは、一週間前に会った5225号のニコだよ!……じゃなくて……ニコ、です。モニター、よろしくお願いします。博人……さん》
「やり難いなら、素の口調でどうぞ」
「機械ではなく人間寄りにしてみました。週に一回はニコについてのレポートを提出していただきますので」
この日、ニコのモニターと週一にレポート提出と言う小学生に課せるにしては酷な物を言い渡されるのだった。
「わー、貴女がニコちゃんですね!可愛いですね!」
『え、えへへ』
「喜んでもらえて何より」
ニコの存在に井矢見夏樹は大興奮し大満足し、そして仲良くなった。彼女本人に渡された板状携帯端末にAIが入って居たら拗ねていただろう。
「難しいもクソも、そうであれと育てれ、実際にできるんですから無問題ですよ。さて、見つけましたよ。テメェらの携帯端末」
慶雲島、九番研究所の伊藤改の部屋に寺師の六人衆の伊矢見懐木以外が集う。ぱっと見てゴミ山の様な開発物の山を漁り、携帯端末を四つ発見する。そしてカードケースを友影可威へ、財布を二海稀理、カメラを文月見世へと手渡し、天月博人にはゴーグルと板型の携帯端末を手渡した。
「とりあえず。今渡したどの携帯端末も共通していることを説明しましょうか……時間が足りなくて説明書の発行は間に合わなかったんですよねぇ」
基本的な操作やできる事は一般的に売られている板型携帯端末と同じであること(文月見世以外、一般的な携帯端末を知らなかったので結局、一から説明することに)、ネットワークや電波は伊藤改が管理しているため通信料の心配はない(代わりに、伊藤改がやることなすことに意見するのはいいが文句を言わない様にと約束する事に成る)。これらが伊藤改が語る共通していることであるそうだ。
「では、今度はそれぞれが持つ携帯端末の相違箇所を1人1人に親切丁寧説明してやります。暇になる3人は適当に過ごしててください。まずはゴキブリから」
「はーい。ところで、ゴキブリ呼びはやめてくれないデスか?」
「ジェイク呼びをやめて頂ければ、考えても良いですよ」
「ジェイクのアイデンティティーが死にますデスよ!?」
「テメェの中で俺はどんな存在になっているんですかねぇ……はぁ、説明始めます。そのカメラは__________」
文月見世から説明を始めた伊藤改の言葉に従って、適当に過ごす。
一番遠慮がなかったのは、友影可威である。友影可威は開発物の山から物を一つ手に取った。
「伊藤改のやつスゲェな。これとか何に使ってるかわっかんねぇけど何かに使えんだろ?」
友影可威がそんな事を言うと、伊藤改は舌打ちをしたのちキーボードを打つように指を動かす。すると貰ったばかりの携帯端末が振動した。それぞれ説明を受けた通りの操作をして起動させる。すると画面上にアニメチックな少女キャラクターが映し出されてお辞儀をした。
『これより、0561号、4552号、5225号が、マスターの御命令にしたがい。この待ち時間のお供をさせていただきます』
「えっ、何これ」
『0561号達は、世界で確立されたAI理論をもとに、マスター伊藤改様の手によって生み出されたAIでございます』
友影可威の携帯端末に映る少女が自身らの正体を、和野圭や信崎集などを彷彿とさせるの仕事に徹しているような私情の無い声色で語る。
「AIかー、改君って本当に色んなもの作れて凄いね」
『4552達、自慢のマスターでございます。それはさておき。先ほど0561号が申した通り、待ち時間のお供をさせていただきます。もし、マスターの産み出した物で気になる物が有れば、ご遠慮なく手を取り、4552号達にどういったものなのか、どう使うものなのかを説明させていただきたく思います』
『どうか、どうやって使うものなのだろうかと気になって、5225号立を介さずに手探りなさらない様にお願いします。壊れてしまう可能性は勿論、誤作動や起動の結果その身に危険が及ぶ可能性が有りますので』
こんなものまで作れてしまうのかと言う驚きを感じつつ、ゴーグル型故に視界の中に1人のキャラクター(一人称が割り当てられた番号だと考えると。天月博人の携帯端末に映し出されているのは5225号)が居て不思議な感覚を覚える。
「な、なるほ……ど?」
「あれ?じゃあ……この人たちに携帯端末の説明をさせたらいいんじゃないの?」
『マスターは開発を行う際にオンラインネットワークから断絶された個人サーバーを用いて設計図やプログラムの制作、保存を行いますので。オンラインネットワークにつながる方の個人サーバに配置された4552号達には知りえないのです。お役に立てずごめんなさい』
「あっ、いや。せ、責めてるわけじゃないから!謝らなくても良いよ?」
『わかりました』
「俺はなーんも分かんねぇだけど」
『では、もう一度説明します』
「いや、俺の頭がパンクするだけだからやめてくれ」
『わかりました』
皆んなが皆んなAIを興味深く、その声聞き、姿を眺めていると、天月博人はふと違和感を覚える。何と言うか 1からそれ以上と豪語する割にはあまりにも、機械的な様に感じたのだ。
『天月博人様、何故5225号を見つめているにですか?』
「いや、少し気になるところがね……ジブンの説明の番が来たら聞いて見るかな」
「重さは普通のゴーグルより若干重い程度、レンズを包む分厚い外殻には蓋があり、開くと形状記憶されたオス……あー簡単に言うと差し込む部位が噛みまくったガムの様に形が変わるくせに元の形に戻るものになってるコードが出てきます。
これは穴に押し込めることによって穴に対応した形となり、パソコンや一般的な携帯端末はもちろん、基本的にデータをつなげるための穴であれば繋ぐことができる万能コードです。引っ張れば掃除機の電源コードの様に出てきます。
引っ込ませるときにはこれまた掃除機の様にチョンと弱く引っ張れば引っ込みます」
簡単な説明をしながら空を指で打つ。
「はい、説明書が、完成しました。後は面倒何で……ちゃんと装着した状態でケーブルをよこしてください」
携帯端末を装着して、蟀谷近くにある蓋を開けて先がプニっとしたコードを引っ張り出す。目の周りで何かが開店する感覚を覚えつつ、取り出したコードを伊藤改に渡しすと、AI達が言っていたオフラインの個人サーバに繋がる機械にコードを繋いだ。
「よいしょっと、説明書を転送しました。後ほどテキストファイルを読んでください」
機械からコードを抜き、少し引っ張って勢いよく天月博人の携帯端末の中へと戻して、伊藤改は天月博人の正面を向いた。
「それで、5225号から連絡を受けたのですが何か聞きたい事があるそうですね? 答えられるものであれば答えてあげますよ。
あっ、オレの優しさに震えるのは良いですけれど、むせび泣くのはやめてくださいね? 普通に気持ち悪いし鬱陶しいので」
ストロベリーカプチーノを一口飲んで待つ伊藤改に「そんなことしないし、何なら震えもしないから」と断ってから天月博人はふと気になっていたことを口にする。「端的に尋ねるけれど。あのAI、そんなに改良していないように見える。どうして?」と。
「普段なら、何に対してどうして? と言ったのかを聞き返すところなのですが意図して広い範囲で尋ねたようなので大雑把に大きな理由を話しましょうか。
まず大前提に、これらすべての問題を改善できる案が思いついていないのを間に入れてください」
そう言って伊藤改はストロベリーカプチーノを飲み干してオフラインサーバに繋がっている異界に向けられていた体を天月博人に向き直して真剣そうな顔をした。
「オレがAI、の改良、改善を行わないのは簡単にいえばAIの叛逆、暴走を警戒しての事です。なぜなら
一つ、AIを人間に近づけようと人間的な思考をさせようとなると【感情】や【意思】と言うものが不確定要素となり人間に反感を覚える可能性が出る事。支配してる側と奴隷の立場を想像したらわかりやすいのではないでしょうか。AI側が自信を上の立場か下の立場、どちらに当てはめて考えるかはわかりませんけどね
もう一つ、逆に機械的な思考をさせるとなると、人間の指示に従順に従った結果、環境が破壊される可能性あり、たとえば蚊がウザいから倒すように命じたらうっかり全滅して、蚊を餌とする生き物が連鎖して死に絶えるなどですね。また、機械的すぎて平和にならないかなぁとポツリ言ったら人間を殺しつくしてしまう可能性とかですね。安全装置を付けようにもあらゆる環境は現在進行形で変化するのでアップデートを繰り返し続けるイタチごっこをすることになりかねますしのでアップデートができる人間がいなくなったり目を離して居たりする間、いつの間にか人間終了のカウントダウンが始まる可能性を考えると。 あっ普通に仕事するだけのAIが欲しいなら市販のものを買う事をお勧めします」
「つまり、暴走と反乱が怖いと言う事で良いですね?」
「あー、端的に言えばそうなりますね。人間は人間以上になりえる存在を作り出してはいけません。犬や馬等の様に種族単位で良き友となる可能性を考えればハイリターンです。ですがそれ以上に滅亡するかもしれないというハイリターンがある以上、1からその先は自重すべき事なのですよ。興味が無いわけではないですし、バランスがリスクに傾いているハイリスクハイリターンに賭けて見たいとも思いますけどね。しかし、そう尋ねる所を見ると……Aiに興味がおありで?」
「ジブンは妹とアニメ見て、それを存分に楽しむ事が出来る、恐竜、ロボット、宇宙も嫌いじゃない割とハイブリットな少年の心を持っているつもりだ」
天月博人の言葉を聞いた瞬間、伊藤改は笑い暫く黙る。体を揺らし「閉じ込め、鎖、個人」ブツブツと何かをつぶやいた後。楽しそうに天月博人を提案した。
「格好いい、ロマンがあれば生きていける少年の心に、何故か普通の少年には忌避されるがちな可愛いという要素を受け入れられるのなら最強!そこにロマンがあるのなら、それに魅かれず何が少年ですか。そしてそんなロマンに格好良さや可愛さを詰めることができるのならば、それができるのに手を出さなければ枯れて死に至ると知れ!」
伊藤改の豹変に、天月博人は着いて行けずに頭が真っ白になり硬直する。それに気が付いていながら伊藤改は天月博人に一つ案を持ちかけた。
「ありがとうございます博人、テメェのおかげで俺の少年魂に火が付きました。食わず嫌いは良くないと世の親たちは言いました。物は試しと言う言葉がこの世界に存在します。やらなければどうなるのかはわからない。で、あればやりましょう! だけれど物は試しでぱっと作るのは危険極まります。そして多忙なオレは作ったとしても面倒を見切れない可能性が有るときました。そこで、博人、モニターやれ?」
「疑問形の声色で命令するのはいかがなものかと……して、具体的には?」
「簡単な事です。テメェに渡した携帯端末にネットワークから断絶されたサーバーを取り付けるのです。とりあえず時間を一週間よこせ」
そんな訳で、携帯端末を一旦没収された天月博人が再度、慶雲島の九番研究所へと足を運ぶ。そこで伊藤改に渡された五百円玉くらいの重さが加算された携帯端末を装着すし起動する。
「表計算ツールや、メモ帳ツール、辞書ツール、絵描きツールなどはAI以外に何も無いはどうなんだ。AIが暇で死ぬだろと言う考えから、ネットワーク断絶サーバ……あー、面倒なので第二サーバーと今から呼称するものに移行させました。第一サーバーは第二サーバーと併用して使えるので視覚情報が多いのですけどその辺は慣れろ」
伊藤改の説明を受けながら携帯端末が映し出したツールアイコンの中にたたずむ1人の少女を見た。赤いダボダボの猫耳の着いたフードのジャージを着た少女が視界の端で体育座りをしていた。想像していた始まりと違うなどと思いながらどう反応したらいいかわからずに呆然としていると、少女と目が合う。少女は慌てて立ち上がり視界の中心に小走りで移動するとお辞儀をした。
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「やり難いなら、素の口調でどうぞ」
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『え、えへへ』
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