自己犠牲者と混ざる世界

二職三名人

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3-2: 殺し、救い、嘆いて、覚悟して業を背負い進め

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「あら、よいっしょっと」

 新たに襲撃した研究所。の可能性中田文兵が軽いノリでロロ=イア人員。最後の一人の息の根が頭を踏みつぶす。

「もういないな? そんじゃあいつも通り、死体は地下の焼却炉へ放り込むか。燃やし尽くすこの作業が一番時間がかかるんだよなぁ。放り込んで灰にして、一杯になったら掻き出して。また放り込む。この繰り返しがどんどん億劫おっくうになるんだよなぁ」

「文句言わないでください。研究所をこうやってきれいにするのがジブンたちの役割なんですから。それではジブンは地下の人たちに安全が確保できたことを報告してきます」
「あいよ」

 編成された舞台はいまだに天月博人と中田文兵の2人だけだが。順調であった。方や素早く動き、いざ失敗しても甦ることができる天月博人。方や瞬間移動する全耐性持ちの中田文兵である。ただの人間の集団を相手にするのなら戦力として十二分であるだろう。
 また、これは喜び難いことではあるのだが。天月博人は襲撃のたびに肉を切るのが、拳銃を撃つ事が素人よりもマシになり、上手くなっている。昨日よりも強くなったジブンはきっと明日にはもっと上手く人を殺せるようになっているだろう。





「天月氏! 拳銃に限らず銃の引き金には撃つ時以外は指を引っ掛けてはいけない!」
「そ、そうなんですか……えっと。こうやって構えるんですか?」

 いままで、助けた人の中で天月博人に技術、知識を享受しようと動き出した人がいた。鉄田大樹テツダ ダイキと言うぽっちゃりとした男である。

「腕は伸ばして……うむうむ、最低限の姿勢はできましたな。後は……銃の点検や修復のやりかた。サバイバルの為に必要な知識を叩き込むますかな」
「うへぇ……まだ覚えることがあるんですか?」

「持ちの論! ロロ=イア勢力が総力を挙げて我々を潰しに来たのなら現状の我々では太刀打ちもできずに潰される小さな存在。分があるのは未だにあちらで、我々はこうやって隠れながらどんな形でもレベルアップして力を付けるべきなのですぞ。その年にして戦う身体と精神が出来ている天月氏は、強い。それは、天月氏に助けられた我々が形だけながらもよく知っていること。故に誰もが天月氏に思っても言わぬことを俺が言いましょうぞ」

「自惚れることなかれ。慢心する事無かれ。常に最悪を想定しろ。天月氏は強い。だけれど、最強でも無敵でもない事を知れ。助けられておいて何を言うかと思うかもしれませぬが。どうか俺の言葉を受け取っていただきたい所存ですぞ」

 天月博人はその言葉から、こちらは数は少なく場所が知られれば殴殺されるだろう。そんな高い可能性の最悪が脳裏によぎる。誰かが死ぬ恐怖が背を凍らせる。なるほどと納得して「わかりました」と受け入れた。すると鉄田大樹はその発言に喜んだような表情になった。
 その表情で天月博人は気が緩んだのかお腹の虫が鳴いた。

「おっと。お腹が空いたのですかな? ですが昼食までには時間がありますな…………ふむ、天月氏はカエルなどのゲテモノを食べることに抵抗はありますかな?」
「ない。昔、友人の家の人に遊び半分で、友人と一緒に山へ放り込まれたからその時に。あの頃はまともな生活が出来なかった頃なので貴重な肉料理の材料なんですよ」

「友人の家の人は鬼か何かですかな? ですが、それならば話は早いですぞ。この時期、外で冬眠している輩を狩りに行きましょうぞ」

 天月博人はお腹を空かせたことによって、鉄田大樹に連れられ食ベル為に拠点の付近で小さな生き物を狩りに行った。拠点を出る前に中田文兵に見つかり、どうして出るのかを尋ねられたのでその旨を伝えると「俺も腹減ったから行く」と言って、着いて来た。




「えっ君たち何を食べてるの?」
「カエルです」
「カエルですな」

 天月博人と鉄田大樹、中田文兵が占領した研究所で、皮を剥がし内臓をとった後に洗いまくった蛙の丸焼きにかぶりついて居ると。居ないことに心配したのか屋宮亜里沙と鉄田大樹と同じ研究所で救出した針城誠子ハリシロ セイコと言う無口な女の子がやってきた。

「それ、美味しいの?」
「味が薄いのと身が少ないのに目をつぶれば意外といける。外で大量発生してんのかってくらいにいるから数は有るぞ」

「お昼のご飯足りなかったから、ちょうだい」
「いいぞ。待ってろ今、博人と大樹が今のを食い終わったら焼くから」
「初めて食べる物なら、少しは躊躇しようよ。警戒しなさすぎは危ないよ? でも、んー、ウチも小腹が空いて居るんだよねぇ……よっし、分かった。食わず嫌いはダメだもんね。ちょっとカエルのお肉を貰っていい? それと厨房があるなら使いたいから案内してほしいかな」

 中田文兵にためらう事もなくカエル肉を要求する針城誠子にちょっとした驚きを覚えつつ、屋宮亜里沙は厨房とカエルを要求した。

「ふーん、臭みは意外とないのね。丸焼きにしてあるカエルを一寸いただくね」
「どうぞどうぞ」

 天月博人がそう言うと、では早速と言わんばかりに屋宮亜里沙は焼いただけのカエル肉を少し躊躇した後に派手すこし肉をちぎって頬張る。口の中でっその肉の転がし味を確かめる。

「あっ美味しい……ちょっと味付け濃いけど」
「ジブンが味付けしました。味付けが濃いのはごめんなさい。生まれが濃くて、ねちっこい物を好む場所でして」
「おや? 味が濃くてねちっこい? 天月氏はもしかして大いなる田舎出身ですかな?」
「大いなる田舎? がや、がん、にゃあ、なも、もん、とかの変な語尾のとこ?」

「おみゃっ……アンタな、ジブンはあんまり気にせんけど。訛りとかどこにでもあるんだから。変だとか損な言い草はしんでくれると嬉しいかな」
「訛ってる。少し訛っておりますぞ天月氏」
「おめぇもしかして。お前って言おうとすると『おみゃあ』って言いそうになるのか?」

 天月博人は言い淀み、少し照れ臭そうにして頷く。

「えっ博人君ってあそこの出身なの!? だったらあそこの言葉で喋ってみてよ!」

 調理器具と残っていた材料をもって準備を始める屋宮亜里沙がこれに食いついた。天月博人は顔を少ししかめた後。観念したように砕けた姿勢をした。

「別にいいけど、言っても何がどう訛ってるか。ジブンはあんまりわかってにゃーよ。結構長いこと標準語で喋ってるつもりの言葉がしみついてどう言ってたかほとんど忘れとるんだもんで。おみゃーらが満足できるかもわかりゃーせんよ?」
「うむ、理解できましたぞ。天月氏。訛れております」

「嬉しくにゃー! こちとら昔に、地元に遊びに来た人に道を尋ねられて。答えたら、幾つか通じんくってな、恥ずかしくてでらえらい思いをしたんだがや。今度からそう言うのが無くなるようにちょっとずつ直して行ったんだで」
「何つーか。猫みてぇだな」

「怒る人がいるからその言い草はやめときゃーな」
「そ、そうなのか…………屋宮、おめぇ何で悶えるのを我慢してるような表情をしてんだ?」

「えっ!? こ、これは何と言うか……猫みたいな感じが……ツボに入ったと言うか……琴線に触れたというか」
「萌えましたな?」
「猫とはちぎゃーて。亜里沙さんは速く飯をつくりゃー」

「つくりゃー? 作れってことかな? はいはい……ショウガよし……卵は一個割って中身を確認……おっ黄身がふっくら、まだまだいけるね。じゃあカリカリにしちゃおうかな」
「今のは声の調子で二通りの意味がありまして、今のは作れってことじゃなく作ったら? って感じです。強く言えば作れ。並程度なら作ったら? そんな感じですよ」
「なるほどなるほど、ところで屋宮氏、今作ろうとしているのは唐揚げですかな!?」

「ウチ、知ってるよ。ネタバレっていう奴だよね。中田さん鉄田さんを部屋から追い出して」
「あいよー」
「ちょっ!? おまっ!? ご、ごめんて」

「お楽しみを分かって居ない人は、料理ができるまで、部屋に入れないでよ」

 水が沸騰する音が聞こえる。油が弾ける音が聞こえる。静かな空間で、食欲をそそる音が聞こえる。

「鍵が無い! って言っとるとなー。ジブンの妹は耳が良いのか、それを聞いとったのか。一階からトテトテとのーなっとる鍵を見つけ出してな。ジブンに持って来てな。それがどえりゃあ可愛くてなー」
「できたよー。中田さん。鉄田さんを入れていいよ」
「へいよー」

 食堂の卓に屋宮亜里沙が作ったカエルの唐揚げとお吸い物が並べられる。そこにこれはカエルだという嫌悪感は感じられず。香ばしい匂いが鼻をくすぐり。揚げられたばかりのジュワーっとかすかに聞こえる音が胃袋に響く。お吸い物の湯気が喉を湿気らせて唾液と混ざる。

「これは……唐揚げ、お吸い物と言う部類で考えても、中々の仕上がりですな……」

 鉄田大樹がそれを見てすぐに唾液を飲んだ。無理もない、これは美味しい物だと見て、嗅げばわかってしまうのだから。

「鶏や魚の要領でやってみたけど。美味しいって思ってくれたらうれしいな」
「よっしゃ、じゃあ食おうぜ! 小腹どころか本格的に腹が減って来てたんだ」

「ストップ。 まずは手を合わせてね」

 屋宮亜里沙の指示の意味を皆、すぐさまに理解して手を合わせる。

「いただきます」
「「「いただきます」」」

 サクリとした触感の後、肉汁が口の中に満たされる。お吸い物をすすれば口に残った油を洗い流し、さっぱりした美味しさだけが口に残った。気分が高揚する。味覚が喜びに踊る。頭では分かって居た。だけれどそれに触れたことで、深く美味しいと実感した。
 真に美味しい物は、理由をつらつらと並べて語るのは人にそれをすすめるときであって今ではない。では、今この時に思わず零してべき行動は何か。

「「「「美味い! (うみゃー!)」」」
「ふふふ。それは良かった」

 笑みを作って無言で二口目を頬張るか、「美味しい」とただ一言零すだけでいいのだ。

「カエルの塩焼きってさ。博人君が作ったんだよね?」
「はい」

 食事が終わり、いい加減話し方を戻した天月博人に屋宮亜里沙が声をかけた。

「なら、お腹を切って内臓を綺麗にとるだけの技術がある訳だね…………だったらさ、御飯の作り方。家が教えて上げよっか」
「えっ?」

 天月博人は首をかしげて状況に疑問を持っていると、屋宮亜里沙は「さっき食べたの、美味しかったよねと尋ねた。天月博人は頷く。「美味しい物を食べたら。元気になるでしょ?」 しばらく間をおいて天月博人は頷いた。

「なら、美味しい物を作れる人が何人いても良いとウチは思う。誰かを元気にできるかもしれないなら尚更ね。……どうかな?」

 屋宮亜里沙の言葉を天月博人は確かにと納得し、「時間があるときに、よろしくお願いします」と受け入れた。

「よかったぁ……ありがとね。ほんとにもー博人君は素青で可愛いなぁ」

 屋宮亜里沙はそれが嬉しかったのか、少し乱暴に天月博人の頭を撫でた。

「本当はにゃーにゃーって猫みたいな口調なのに、触れて見ると犬みたいに素直。そんな博人君はウチからしたら、撫でたくなるくらい最強にかわいい要素が詰まってるんだよ」
「猫ではないですって」

「そこは、猫じゃにゃー! じゃないの? こう、にゃーって」
「あの、勘弁してください」

 天月博人は屋宮亜里沙に弄られながら、やはりこの人は抵抗しにくい人だなと思うのだった。

「ところで食事をしてから、針城氏の姿を見かけませんが何所へ?」
「ん? ……確かにいねぇなちょっと待ってろ」

 中田文兵が瞬間移動を用いて全ての部屋を迅速に見て回ると、針城誠子はすぐに見つかる。中田文兵は針城誠子を視界にとらえたその瞬間。拠点へと連れ戻さんと動かそうとした体が止まる。
 針城誠子の周りには酒瓶が転がっていた。針城誠子の手にはバニラシャーベットの入ったコップを持ち、細いスプーンを顔を赤くしてくわえていた。

「子供が酒飲んでんじゃねぇぞ。おい、帰るぞ」
「嫌。久しぶりの甘いものなんだ。私は食べ終わるまでは絶対に帰らない」

「わがまま言うんじゃねぇよ」
「それと、私は大人だ。これでもな。これでも大人なんだ」

「は? どう見ても子供だろうが、その見た目で何歳だってんだ」

 針城誠子は視線を落とし、深く息を吐いて小さな声で答える。中田文兵にはそれが聞こえず「何だって?」と聞き返す。

「30歳だ! 今年で丁度アラサーだ! これで満足か! あぁ……本当に、世の中は子供体形のアラサーに優しくない……飲んでいないとやって居られない。それと、私は甘い物が好きなんだ。甘味が貴重になった今、食べれる時に食べさせてもらえないと。私は間違いなく全身全霊をもって駄々をこねるぞ」
「その、なんだ。すまんかった」

 中田文兵は少しの言葉を交わして針城誠子の一要素を垣間見た。彼女は基本無口だが、一度開けば相手を考えずに語り始めるような人なのだと。

「ところで、レモン酒と蜂蜜酒、カルーアミルクは無いか?」
「無かった」

「そうか……ラッシーでも作るか」
「ラッシーを飲むのか? 私にもくれないだろうか」

「やだよ。おめぇはとっととそれを食え」
「むぅ、やはり世界は幼稚体型のアラサーに優しく無い」

「いや、関係ねぇよ?」

 中田文兵は、針城誠子がバニラシャーベットを食べ終わるまでラッシーを飲んで待つことにした。




「通堂さん、このドラム缶一杯の液体にした土はどうすれば?」
「んー。あー君は昨日助けられた新人か。半世紀ちょっと生きてると覚えるのが億劫でね。うん、50人を超えるとなおさら覚えきれないし……おっと、そうだねー。ドラム缶の液体は外に撒いて元の場所においてくれるかな? 僕の力で液体にしたものなら、半日くらい置いておけば元に戻るから、何も気にしなくて良いからね」

「なるほど!わかりました!」

 天月博人達が食事をしている中でも、拠点では皆が今日を明日につなげるために働く。喜ばしいことだろうか、その空気感は楽善二治の政策によって張り詰めたものではない。
 それでも、辛くない訳ではない。悲しいことを知らなわけではない。泣いて居る子供の声が響き渡るのは珍しくないのだ。液体になった土を外に撒き散らし終わった空のドラム缶を運んでいる最中、子供が無く声を青年が効いた。

「子供が泣いてる?」

 青年にはその声がとても気になったのか、空のドラム缶をその場において子供な鳴き声に導かれるままに近づくと、親を呼んで泣き叫ぶ子供が心配そうに囲まれていた。いち早く楽善二治が駆けつけてあやしては居るが泣き止む様子はない。

「う、うーん。困りました……」
「楽善さん? どうしたんですか?」

「君は……あぁ、昨日の……【桑原真司[クワバラ シンジ】君だね。えっと見苦しいところを見せてごめんね。やっぱり慣れない環境だと頼りにしていた存在。子供たちは身近の年上を思い出しちゃうみたいなんだ。ごめんね。私では皆のお兄さんにもお父さんにも慣れなくて」

 泣いて居る子供につられて、囲んでいる子供たちも目に涙を浮かべ始めた。つぶやかれる声は全て、父、母、兄、姉。年上の身内ばかり。楽善二治が言うように大切な存在の代わりは居ない。大切にしていた存在はここには居ないのに、どんな存在でも代わりになることはできないのだ。青年、桑原真司は「少し、僕に任せてみてください」と言って楽善二治にどいてもらい。両手を縦横に合わせて泣いている子供たちに突き出した。

「指が…………無くなっちゃった!?」

 桑原真司が行ったのは。誰でも、どこでもできるヤケクソじみた手品であった。子供たちは呆然と桑原真司が次々繰り出す手品を見た。

「おっと。君の耳の後ろに小石があるね。ほらこれ。受け取ってよく見て……あれ? 小石が無くなちゃったね?」

 子供たちは泣き止んでいた。今この時だけは、悲しみよりも驚きが勝ったのだ。

「兄ちゃん凄っ! どうやってんの?」
「にひひ。いつか教えてあげるよ」

「すごいですね桑原真司さん」
「昔、好きで齧った程度ですけれどね」

 桑原真司はそう言いながら、自身の手品をすごいと言って笑う子供たちを眺めた。






「そうだ。天月氏。俺と針城氏と一緒に保護された。桑原真司氏を覚えていますかな?」
「ん? あーうん覚えているぞ」

「ではひとつ言いたい事がありますぞ。桑原氏は警戒した方が良いと思いますぞ」
「私もそう思う。彼は数日前にあの研究所に連れてこられた人。私や鉄田君と違って互いに天月君が襲撃を始めるよりも前に何もないと保証しあえない人なんだよ」

「疑うのは好きではないんだがなぁ」
「心の隅に不信感を置いておくだけでもいいのですぞ」

 天月博人はその助言を聞いて、心の隅に置いておきながら嫌だなぁと心底思うのだった。
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