自己犠牲者と混ざる世界

二職三名人

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EX1-11:大沢先生と変わり行く日常

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『見えて来たよ』
『……もしかしてあの、空に浮いている街のような影がか?』

 2画面になった内の1つ、イヴァンナ・マハノヴァ達を映し出す映像には海のど真ん中に上空にそびえる都市があった。あそこに僕が居るのか? ……帰るのは無理だな。と言うか、イヴァンナ・マハノヴァ達はどうやって上がるつもりなのだろうか。

『うん、そうだよ・あそこがわたし達の故郷』
『あんなに高いと……俺なら跳躍し槍を使えば……問題なく届くだろうが。お前らはどうやって行くつもりなんだ?』
『えっ、届くのか!? じゃなくて……コホン、方法はある。無ければ魚を獲る時に水に関した擬人と空中に関した擬人。2人で1組作らねばならない事に成るからな。 ではどうするのか? 少し待てそろそろ見えてくると思うが……あっでも、私たちが来ることを知っていたから片付けられたかも……よかった。あった。影が見えたぞ』

 見えるのは、上空都市から垂れさがる2本の鎖、片方は海の底へと下降し続け、もう片方は上空都市に向かって上昇し続けている。そんな鎖が2本1組と言える形で幾つもそこに在った。

『アレは漁業をする際に用いるエレベーター代わりのものだ。網を幾つも持ち、捕えて一杯になったものを取り付ければ1人で多くの魚を上へと送ることができ。掴まっているだけで上から下へ、下から上へと行ける寸法だ。構えていくぞ。指揮官たちが出迎えの準備とやらをしているはずだ』

 イヴァンナ・マハノヴァたちが鎖を掴んで上へと昇って行く。僕を目指してやってくる。

『やぁ、お帰り。そして1人はようこそ。我が愛しのわが家へ。さぁある者と正面衝突をしよう。ゲリラ戦をしよう。戦いを通じて永遠にも思えるピークエクスペリエンスの彼方へといこう』

 そこに居たのは海に配置された軍勢をはるかに超えた人海の如き軍隊が。上空都市の地に空に集っていた。そして変わらず全身メタリックな空の指揮官と思われるやつがそこに居た。
 ウー・チーが腕輪を構えて大群に大打撃を与えることが出来る伸出た突起物が無数に枝分かれして襲い掛かる。殆どの兵隊が穿たれていく中、その攻撃をひらりと躱す者、さっさと建物の中へと身を隠した者、真正面から受け止めた者。自身の攻撃で相殺する者など、各々のやり方で対処する者が多くあらわれた。

「陸がある戦は良い。どんな兵士にもこのようにして運命を変えゆる選択肢が多く残されているからな。
 それと引き換え、出迎えに海上部隊を出したが、悲しいかな辺り一面海であると、身を隠すことも盾となる障害物も期待できない。たとえその攻撃に自身に備わった装甲で耐えられたとしても、擬人ゆえに、質量、浮力が足りず実りの民にの攻撃で海の底へと沈め押し付けてしまえる。海の私は初めから極力己1人で戦いたかったと見えるな」

 何所までも戦いしか求めず。自身を慕う者たちを道具としてしか見ていないような男が映像への感想を送る。これが普通であるなら、ウー・チーが言っていたようにカジリカン人っというのはこの世に厄介しかもたらさない人種なのだろう。……そんな種族なら滅んでくれないだろうか? 心の底からそう思う。

『うむ、連絡通り私との会話に応じる気は無い様だ。では皆の者、開戦だ』

 突起物が引き抜かれたその時、空の指揮官はそう言って待機していた各々を行動させる。
 するとウー・チーが槍を引き戻しながら、背負っている鞄から小さな袋を1つ取り出し、狩盾と口を起用に使って引きちぎり、中身の土と思わしきものを地面に撒く。するとそこから何本も赤い竹が壁になるように生え、ウー・チーたちに降りかかろうとした弾丸の雨を防ぐ。

『おい、今の内に地上に居りて大沢先生を救出しに行動しろ。俺は本拠地にやってきた以上ここを破壊しつくし指揮官とやらのカジリカン人を打ち倒すことに専念する』
『お、おう。わかった! いくら君が強いとはいえ油断して死ぬなよ。君には生活費の恩が有る』
『桃花さんも悲しむしね』

『……ふん、お前たちがカジリカン産と考えるとき悲観を覚えるが、それはこっちの台詞だと言ってやる。桃花が悲しむから死ぬんじゃないぞ。大沢先生ともども生き残れ』
『へへへ。勿論だよ。……兵器なのにって変に思われそうだけどね。すごく死ぬのが怖いからそのつもりはないよ。それじゃあお互い頑張ろうね』

 攻撃を遮断している間に、上陸。イヴァンナ・マハノヴァと紅茶々はウー・チーと別れて物陰へと姿を隠す。ウー・チーがそれを確認すると壁となって居た赤い竹の上の部分が腐り落ちて土となり、短くなる。そして元々手に持っていた恐らく赤い竹の腕輪を手元で槍、竹やりの形状に変更して構える。

『おや、2人が居ないようだがどうしたのかね? 彼女らが居らず実りの民1人だけとなるとスーツを着用した我々カジリカン人1人と同等程度の戦力だろう? ただでさえ物量差による一の可能性すら薄くなるのではないかね?』
『ふー……我、ヌアウフ族のウー・チー也。いざ……参る』

 ウー・チーは我はここにありと言わんばかりの鼓舞をして、天敵とそれが率いる軍勢を相手に立ちはだかり挑戦する。




『ヴァーニャ。どうするの?』
『武器防具だ。まずは武器庫へと向かう。私の能力は元の兵器の性質上、壁にはなるが移動力が終わっている。また戦闘面でも終わって居ると来た。であれば私の能力の代わりの火力になる武器と防御となる装備を調達したい。茶々が戦えるというのなら変更するがどうだ?』

『……了解、わたしも装備が欲しいかな』
『決まりだな、行こうか』

 ……装備ならウー・チーが倒した奴から装備を奪えばいいのではないだろうか? あっ、いや、駄目だ。奴らの装備は奪われることを警戒してかやられてからすぐに消滅している。と言うかもう元同胞と言う認識なのか、切り捨て速いな。……いや、あの日常の中で迷いながらもゆっくりと切り離したのか。わからん、と言うかどっちみち人の心境なんてわかっている気になって居る奴なんてロクでもないか。考えるのを止めよう。

『武器庫の場所わかる?』
『訓練生の頃、休み時間に地図を眺めていたからな。場所の把握は完ぺきだ』

『えっ、あぁうん…………頼もしいね! ナビゲートは任せるよ』
『うむ、任せるが良い』

 酷くどうでもよく、聞きたくも知りたくもなかった情報を聞いた。休み時間、誰かに構い構われたい人だろうに友達いなかったのかイヴァンナ・マハノヴァ……紅茶々がどことなく哀れみの目を向けているような気がする。おい、陸の指揮官、口元だけ開けてポップコーン食ってんじゃねーよ。
 それから2人は物陰に隠れ、ウー・チーに集中しやすい敵の目を掻い潜って、銃声に足音を消してもらいながら、僕が知る由もない武器庫へと向かう。

『……スムーズにいけたな。私たちのようなのには興味ないと言う事か? 悲しくも喜ばしい結果だな。さて、入るぞ』
『うん』

 イヴァンナ・マハノヴァが扉に手を掛け開こうとするが、当然と言えば当然なのだが鍵のかかっていた扉はガァンと悲鳴を上げて抵抗をした。

『そりゃあそうだよヴァーニャ……』
『む……えぇい! 迅速に持ち出すぞ』

『えっ』

 イヴァンナ・マハノヴァがそう言うと開くことを拒んでいた扉が。ウー・チーと同じ人種の能力が混ざっているからかそれとも他の要因からか引き上げられた腕力で無理やりぶち開けられた。君はそこまで力があればすべてが解決する力至上主義思想だったか?

『ちょ!?』
『ほら急げ急げ! さっさと装備を頂戴するぞ』

 その中は確かに武器庫であったのだろう。僕ではわからない銃器の数々と弾薬が丁寧に積まれ、並んでいたのだ。

『な、何をとればいいの?』
『う、うーむ、私もその実、銃器に詳しくなくてな……この62式7.6mm機関銃とかどうだろうか?』

『62式……それはやめた方がいいよ?』
『何故だ?』

『その兵器の擬人がわたしと仲が良くてね……その、何で仲良くなったかって言うと……ある種ネタ兵器扱いされている仲間として……』

『お、おぉ……茶々はネタ兵器なのか?』
『らしいよ……うん、わたし自身そう思うし……じゃなくて、さっさと選ぶんだよ!? どれが良いのか悪いのかよくわかんないのにどうすんの!?』

『うぅむ』
『武器庫、と言うよりも指揮官の装備の保管庫だがな。色々あるぞ?』

 武器選びに悩む2人に、後から入ってきた男が1人、声をかける。銃を構え案に動くなと脅しながら、此処は武器庫、火薬はたんまりとそこにあり、万が一着火しようものなら助からないだろう。

『暗視装置付きHMD 通信機。
 手榴弾はもちろん発煙はつえん弾と焼夷しょうい弾 25番から80番の爆弾ばくだん懸架けんか装置  超振動刀 銃剣
 19連70mmロケット発射機 ヘルファイヤ対戦車ミサイル TOW AIM-9X AIM-120  04式空対空誘導弾  99式空対空誘導弾 バックパック  携帯燃焼 予備弾薬 戦闘糧食 エンピ ジェットパック 小銃用弾倉 スラスター 火炎放射器。
 装填数30と1が基本である三八式実包の改良型6.5mm自動小銃 通常弾、徹甲弾、曳光弾、焼夷弾、徹甲焼夷弾、徹甲焼夷曳光弾が使用可。弾倉をボックスマガジンに変更した装弾数25と1の7.7mm自動小銃。
 通常弾、徹甲弾、曳光弾、焼夷弾、徹甲焼夷弾、徹甲焼夷曳光弾が使用可。200発ベルト給弾、グリップと肩当てを木製にし着剣装置を取り付けた7.7mm汎用機関銃。
 通常弾、徹甲弾、曳光弾、焼夷弾、徹甲焼夷弾、徹甲焼夷曳光弾.7、7mm狙撃弾 が使用可。スコープ変更可。ボルトアクション式7.7mm狙撃銃。
 通常弾、徹甲弾、曳光弾、焼夷弾、徹甲焼夷弾、徹甲焼夷曳光弾、焼夷榴弾、徹甲焼夷榴弾が使用可。12.7mm重機関銃 12.7mm狙撃銃。
 通常弾、徹甲弾、曳光弾 榴弾、焼夷榴弾、徹甲榴弾、徹甲焼夷榴弾、徹甲焼夷(曳光えいこう)榴弾、劣化ウラン又はタングステン製のAPDSが使用可。20mm機関銃。
 通常弾、徹甲弾、曳光弾 榴弾、焼夷榴弾、徹甲榴弾、徹甲焼夷榴弾、徹甲焼夷(曳光)榴弾、劣化ウラン又はタングステン製のAPDSが使用可。25mm機関銃。
 榴弾、空中炸裂可能多目的榴弾使用可40mm擲弾発射機。
 榴弾、空中炸裂可能多目的榴弾使用可。66mm擲弾てきだん発射機。
 火炎放射器。
 使用弾薬は20mm機関銃と同じの20mm機関砲
 使用弾薬は上の25mm機関銃と同じ25mm機関砲
 使用弾薬は上の25mmと同じの30mm機関砲。
 使用弾薬 焼夷曳光えんこう榴弾、焼夷榴弾、徹甲弾、徹甲焼夷弾曳光弾使用可。35mm機関砲。
 空中炸裂可能多目的榴弾、徹甲弾。使用可能40mm機関砲。
 徹甲弾、榴弾、対戦車榴弾使用可能50mm砲。
 徹甲弾、徹甲榴弾、榴弾、硬芯徹甲弾、APDS、対戦車榴弾使用可能。75mm砲 。
 装弾筒付翼安定徹甲弾、多目的榴弾、榴弾、粘着榴弾、白燐焼夷弾使用可。105mm低圧砲。
 射程7000m 色は黒銀銀銀の順がある弾頭45㎏高性能爆薬を用いた324mm短魚雷。  プラズマカッター ウォーターカッター ポンプと研磨剤が入った箱。
 ほらほら色々あるぞ? 手を取らないのか? ん?』

 ……何を言っているのか理解できなくなって途中から聞くのをやめていたが、2人が現在、この男に命を握られたのは事実で絶体絶命。僕を助けに来たばっかりに死んでしまうのかと心の中に酷く、淀みが溜まっていくのを感じる。酷く気分が悪い。

「先ほど、私の配下と実りの民が1人の原住民を介して手を組むに値する縁を結んでいたようだが。それは配下同士にもあったようだな」

 陸の指揮官がそう言ったとたん、余裕をかましていた男は背後からほぼゼロ距離で銃弾を浴びて倒れた。男が倒れたことにより姿を見せたのは短髪黒髪の少女で、少女は入念に死体撃ちして、息絶えたことを確認すると息も絶え絶えにイヴァンナ・マハノヴァ達を見た。

『亜美ちゃん!?』
『亜美ちゃん?』

『さっき言ってた62式7.6mm機関銃の擬人! 名前は河村亜美カワムラ アミ、わたしの仲良しの子なんだけど……何で仲間を……?』
『はぁ…………。決まってんじゃん。こっちよりお前を選んだの。事情、聞かせてくれるよね? せめて助けた分とお前を探して走り回った労力分の対価は欲しいんだけど』

 河村亜美と呼ばれた女はそう言って二カッと笑った。
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