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雨のち嵐 6
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陽が暮れる前にチョリさんが戻って来れた。
街灯がないので暗くなる前に来れればいいなと思っていたらちゃんと明るいうちに戻って来てくれてオリヴィエが嬉しそうにふくよかなお腹に抱き着いていた。
『マサタカ遅かったよ!』
弾むような嬉しい声はそれなりに寂しかったと言う所だろうかと言うか当然だ。全く知らない人と怪しげなフランス語を操り、隙あらば知らない国の言葉で話しをされる環境、そして人っ子一人いない周囲、さらに言えば文明もないのだから不安にならないわけがない。可哀想にと思いながらもさっきまですぐそばをまとわりつくようなオリヴィエを他所に飯田さんは離れの竈オーブンでご飯を作っていた。それはもううきうきと楽しそうな顔で、オリヴィエも引くぐらいに。うん、その気持ちよくわかる。だからこっちに来なさいと土間を挟んだ板の間で竈オーブンが良く見える場所に移動してオリヴィエにチョリさんとの約束のバイオリンの練習をさせるのだった。その間俺は先生所の三人組用にテスト対策の練習問題を作って連絡用にパスワード付きの無料アカウントのブログを使って自分で勉強できる仕様にしている。
もうね、悪いけど優秀な子達ってめんどくさいのね。
陸斗も園田もやる気もあるけどあの子たちは何て言うか根本的な部分が違う。
園田、陸斗は知らない事を知る好奇心でどんどん身に着けて行くタイプだけど三人組は掘り下げて行く研究肌の分類だから応用問題とかめんどくさい問題をどんどん欲しがって……俺も嫌いじゃないんだけど問題と作るのと解くのとでは雲泥の差があり、俺だって解く方が良いよと泣き言を言いたくなったので、一定の問題の後にはご褒美と言わんばかりのめんどくさい問題を作って当面俺が苦労しないだけの問題を用意するのだった。
三人組に合わせて作った問題を園田と陸斗にも挑戦させてるけどさすがに苦戦していた。ゴールデンウィークでは確かに二人の方が三人組よりも問題は楽勝と解いていたが、下地が違うのだ。今学んで覚えている二人と置いて行かれたけど一度学んでいるのとでは全く違う。さらに俺が基本を徹底的に仕込んで基礎が出来たから解き方さえ判れば後はパズルみたいなものだ。
勉強が楽しい。
この家に来た頃の自信のない顔を思い出せば今はどうだろう。
声には張りがあるし、それは自信さえ感じさせる。アプリ越しの彼らの顔は生き生きとしていて、タイミングが良いのか悪いのか判らないが中間テストの結果を写真を撮って見せてくれるくらいの余裕と言うかLIMEでわざわざ報告をしてくれるのだった。
「俺学年で初めて一位になれました!」
その報告の日に初めて父親がネット越しに挨拶に来て
「まさか君のネット越しの勉強法でここまで成績が変わるとは正直思わなかった」
驚きだと挨拶をしてくれたのは弁護士家系の石岡の父親。今はラフな姿をしているけどスーツが良く似合いそうな人だと太枠の眼鏡の奥から覗く品定めをする視線にヘラりと愛想よく笑い
「今まで頑張って来たからですよ。僕はただ自信を付けさせたにすぎません」
お行儀よく僕と言えば画面の隅っこに居る石岡が横を向く当たり笑いたいのだろうが、笑いたければ笑えと社会人(?)としてのマナーだと言う様に話しを続ければ
「それから今後の予定を聞いてもいいかな?」
今後とは言えども
「とりあえずブログを作ったのでそちらから自分でダウンロードしてもらって勉強してもらえればと準備してます。判らない事はLIMEで解説、これは今までどおりでいいかと思ってます」
「それだけか?」
驚く瞳に何を期待していると言う様に小首かしげて
「無償で勉強を教える程度なので」
言えば驚きに目を見開き
「中間考査はまずまずの成績なのでこのまま期末考査を待つ前に地元の大手の学習塾をお勧めします。出来れば司法試験向けが強い所が良いですね……」
「ちょっと待ってくれ。今無償と言ったか?」
「言いましたよ?」
だから何だと言えば
「妻が何も言わなかったのだが、お礼も何も……か?」
あー、めんどくさいと言うか、今更かと言う事が発生したと思うも
「一応教師が生徒をこんな山奥まで連れて来て特別授業何て学校にはとても言える事ではないので。先生がこれ以上不利になるような事は一切する予定はありません」
言えばさすが弁護士さん話が早い問う様に頷いてくれた。
「ただ、今のままでは限界は来るので今言ったような条件の学習塾に早く放り込んでもらえると俺の負担も減ります」
限りある時間、一日数時間ほどを無償でいつまでも譲るつもりはないと遠回しに自分の子供の世話位自分でしろと言うも
「良ければ住所を教えてもらえないだろうか……」
「いえ、手紙も贈り物は勿論直接来てもらうのも困るので。もし何か心遣いを頂けるとしたら智弘が希望大学に進学したらバレンタインにデパチョコを贈れと言ってもらえればいいです。あ、これ、教え子に全員やらせている事なので内容は深く突っ込まないでください」
「綾っち、ちょっと待て!何て苦行なんだよ!!!」
父親を押しのけて慌てる様子に俺は笑い
「ただより高い物はないって言うだろ?」
「いや、だって、デパチョコって、バレンタイン特設会場の事でしょ?!」
「皆案外楽しんでるぞ。ちなみにゴ●ィバで良いから」
「高い奴じゃん!」
「高いだけあって美味いんだな」
「俺だってもらった事ないのに!」
「人に買ってもらうチョコは美味いぞー」
なんてやり取りを父親は呆れていたが、見守る視線は優しくて。ああ、ちゃんと親子してるんだと少しだけ羨ましく思いながら
「投資だと思ってください。青田買いですが、損はしないように育ててるつもりなのでもし謝礼とか考えているようなら卒業後に智弘から何かお菓子でも贈らせてください」
無言になる父親は警戒をするように
「君はそれでいいのか?」
と聞くも
「うち、冬季は宅急便は勿論郵便局も来れない地域なので。どっちにしても何をするにも春を待ってください」
「いや、送金と言う手も……」
「税理士が色々煩いので出来れば物資で頂ける方がありがたいです」
言えば家の特殊性を理解する息子さんが何やら父親に説明をしだして、その内容に困ったと言う顔をしているが
「それよりも今は先の話しより次の期末考査の対策をしましょう。
中間の結果でどこの塾でも受け入れてくれると思います。ですが、さぼればまた最下位になります。判っている通り学校は教科書の内容に沿ってでしか勉強を教えられない場所です。塾は万遍なく教える場ではなく、学びに来る子供を選びます。塾内の順位に過信すれば間違いなく志望大学には受からないので補助教材として僕から高山先生に問題を渡してあるので学校の空いた時間に指導をお願いしてあります。後は家での空いた時間用に、今ブログを用意しています。そこで自分で勉強できるように問題を用意してあるので。
ライバルは学校の順位ではありません。同じ目的を持った人達がライバルです。
自分同等以上の人達と競い合わないといけないので、クラス順位一位、学年順位一位でも全国から何番目かを数えれば多分かなり厳しいと思ってます」
こればかりはどうしようもない現実を正面からぶつければ、それを乗り切った父親も力強く頷く。
「一番ダメなのは目的の大学に対するノウハウのない僕にいつまでも頼ってはいけないと言う事を知る事です。最低限塾に入る為の準備は出来たと思うので、後はそちらの情報収集力や統計を頼ってください」
その部分はどうする事も出来ないのでと言えば納得と言う様に頷く父親に俺も理解しえ貰えてホッとすれば
「本当にありがとう。何と言えばいいか判らないくらい感謝している。
成績の順位が落ちていく一方だった智弘はノイローゼ気味になっていたから……
吉野君の家にお邪魔させてもらってから表情が明るくなって、本当にありがとう」
深く頭を下げられてしまった。
こんなにも感謝されるとは思わなかった。
短期間に結果が出せたのは本人の努力があって…… 俺は少ししっかりしろと言った程度でしかない。
だけど折角頭を下げてくれてまで感謝してくれた人にそんな事を言うつもりはなく
「受験は大学が決まるまで続きます。
これからも一緒に頑張っていきましょう」
無難な挨拶で締めくくれば通話も終えて一息をつく。
そうすれば小さなお椀に鰹の香る……
「だし汁?」
「もうすぐご飯です。
お茶をお出ししたい所ですが、こちらの方が体が温まるでしょう」
窓の外は何時しか霧が降りてきて雨が降り出していた。通りで冷えるわけだと口を付ければ薄い塩味の本当にただのだし汁。風味は鼻孔を刺激して、舌の上をくすぐる味は喉を通り胃袋を温める。ほぅ、と自然に零れ落ちた吐息は空腹を自覚させ、これからご飯と言う言葉を期待せずにはいられなくなってしまう。
「まさか飯田さんからこんなシンプルな物を貰うとは」
「だけどそのシンプルさが美味いのですよ」
「確かに!」
そう言ってゆっくりと啜る間に飯田さんはご飯をどんどんこの板間の部屋に置かれた机に並べ、オリヴィエも飯田さんの作る晩御飯に目をキラキラとさせて手伝うと言いながらいつの間にか俺のク●ックスを履いて警戒に土間を行き来するのだった。
街灯がないので暗くなる前に来れればいいなと思っていたらちゃんと明るいうちに戻って来てくれてオリヴィエが嬉しそうにふくよかなお腹に抱き着いていた。
『マサタカ遅かったよ!』
弾むような嬉しい声はそれなりに寂しかったと言う所だろうかと言うか当然だ。全く知らない人と怪しげなフランス語を操り、隙あらば知らない国の言葉で話しをされる環境、そして人っ子一人いない周囲、さらに言えば文明もないのだから不安にならないわけがない。可哀想にと思いながらもさっきまですぐそばをまとわりつくようなオリヴィエを他所に飯田さんは離れの竈オーブンでご飯を作っていた。それはもううきうきと楽しそうな顔で、オリヴィエも引くぐらいに。うん、その気持ちよくわかる。だからこっちに来なさいと土間を挟んだ板の間で竈オーブンが良く見える場所に移動してオリヴィエにチョリさんとの約束のバイオリンの練習をさせるのだった。その間俺は先生所の三人組用にテスト対策の練習問題を作って連絡用にパスワード付きの無料アカウントのブログを使って自分で勉強できる仕様にしている。
もうね、悪いけど優秀な子達ってめんどくさいのね。
陸斗も園田もやる気もあるけどあの子たちは何て言うか根本的な部分が違う。
園田、陸斗は知らない事を知る好奇心でどんどん身に着けて行くタイプだけど三人組は掘り下げて行く研究肌の分類だから応用問題とかめんどくさい問題をどんどん欲しがって……俺も嫌いじゃないんだけど問題と作るのと解くのとでは雲泥の差があり、俺だって解く方が良いよと泣き言を言いたくなったので、一定の問題の後にはご褒美と言わんばかりのめんどくさい問題を作って当面俺が苦労しないだけの問題を用意するのだった。
三人組に合わせて作った問題を園田と陸斗にも挑戦させてるけどさすがに苦戦していた。ゴールデンウィークでは確かに二人の方が三人組よりも問題は楽勝と解いていたが、下地が違うのだ。今学んで覚えている二人と置いて行かれたけど一度学んでいるのとでは全く違う。さらに俺が基本を徹底的に仕込んで基礎が出来たから解き方さえ判れば後はパズルみたいなものだ。
勉強が楽しい。
この家に来た頃の自信のない顔を思い出せば今はどうだろう。
声には張りがあるし、それは自信さえ感じさせる。アプリ越しの彼らの顔は生き生きとしていて、タイミングが良いのか悪いのか判らないが中間テストの結果を写真を撮って見せてくれるくらいの余裕と言うかLIMEでわざわざ報告をしてくれるのだった。
「俺学年で初めて一位になれました!」
その報告の日に初めて父親がネット越しに挨拶に来て
「まさか君のネット越しの勉強法でここまで成績が変わるとは正直思わなかった」
驚きだと挨拶をしてくれたのは弁護士家系の石岡の父親。今はラフな姿をしているけどスーツが良く似合いそうな人だと太枠の眼鏡の奥から覗く品定めをする視線にヘラりと愛想よく笑い
「今まで頑張って来たからですよ。僕はただ自信を付けさせたにすぎません」
お行儀よく僕と言えば画面の隅っこに居る石岡が横を向く当たり笑いたいのだろうが、笑いたければ笑えと社会人(?)としてのマナーだと言う様に話しを続ければ
「それから今後の予定を聞いてもいいかな?」
今後とは言えども
「とりあえずブログを作ったのでそちらから自分でダウンロードしてもらって勉強してもらえればと準備してます。判らない事はLIMEで解説、これは今までどおりでいいかと思ってます」
「それだけか?」
驚く瞳に何を期待していると言う様に小首かしげて
「無償で勉強を教える程度なので」
言えば驚きに目を見開き
「中間考査はまずまずの成績なのでこのまま期末考査を待つ前に地元の大手の学習塾をお勧めします。出来れば司法試験向けが強い所が良いですね……」
「ちょっと待ってくれ。今無償と言ったか?」
「言いましたよ?」
だから何だと言えば
「妻が何も言わなかったのだが、お礼も何も……か?」
あー、めんどくさいと言うか、今更かと言う事が発生したと思うも
「一応教師が生徒をこんな山奥まで連れて来て特別授業何て学校にはとても言える事ではないので。先生がこれ以上不利になるような事は一切する予定はありません」
言えばさすが弁護士さん話が早い問う様に頷いてくれた。
「ただ、今のままでは限界は来るので今言ったような条件の学習塾に早く放り込んでもらえると俺の負担も減ります」
限りある時間、一日数時間ほどを無償でいつまでも譲るつもりはないと遠回しに自分の子供の世話位自分でしろと言うも
「良ければ住所を教えてもらえないだろうか……」
「いえ、手紙も贈り物は勿論直接来てもらうのも困るので。もし何か心遣いを頂けるとしたら智弘が希望大学に進学したらバレンタインにデパチョコを贈れと言ってもらえればいいです。あ、これ、教え子に全員やらせている事なので内容は深く突っ込まないでください」
「綾っち、ちょっと待て!何て苦行なんだよ!!!」
父親を押しのけて慌てる様子に俺は笑い
「ただより高い物はないって言うだろ?」
「いや、だって、デパチョコって、バレンタイン特設会場の事でしょ?!」
「皆案外楽しんでるぞ。ちなみにゴ●ィバで良いから」
「高い奴じゃん!」
「高いだけあって美味いんだな」
「俺だってもらった事ないのに!」
「人に買ってもらうチョコは美味いぞー」
なんてやり取りを父親は呆れていたが、見守る視線は優しくて。ああ、ちゃんと親子してるんだと少しだけ羨ましく思いながら
「投資だと思ってください。青田買いですが、損はしないように育ててるつもりなのでもし謝礼とか考えているようなら卒業後に智弘から何かお菓子でも贈らせてください」
無言になる父親は警戒をするように
「君はそれでいいのか?」
と聞くも
「うち、冬季は宅急便は勿論郵便局も来れない地域なので。どっちにしても何をするにも春を待ってください」
「いや、送金と言う手も……」
「税理士が色々煩いので出来れば物資で頂ける方がありがたいです」
言えば家の特殊性を理解する息子さんが何やら父親に説明をしだして、その内容に困ったと言う顔をしているが
「それよりも今は先の話しより次の期末考査の対策をしましょう。
中間の結果でどこの塾でも受け入れてくれると思います。ですが、さぼればまた最下位になります。判っている通り学校は教科書の内容に沿ってでしか勉強を教えられない場所です。塾は万遍なく教える場ではなく、学びに来る子供を選びます。塾内の順位に過信すれば間違いなく志望大学には受からないので補助教材として僕から高山先生に問題を渡してあるので学校の空いた時間に指導をお願いしてあります。後は家での空いた時間用に、今ブログを用意しています。そこで自分で勉強できるように問題を用意してあるので。
ライバルは学校の順位ではありません。同じ目的を持った人達がライバルです。
自分同等以上の人達と競い合わないといけないので、クラス順位一位、学年順位一位でも全国から何番目かを数えれば多分かなり厳しいと思ってます」
こればかりはどうしようもない現実を正面からぶつければ、それを乗り切った父親も力強く頷く。
「一番ダメなのは目的の大学に対するノウハウのない僕にいつまでも頼ってはいけないと言う事を知る事です。最低限塾に入る為の準備は出来たと思うので、後はそちらの情報収集力や統計を頼ってください」
その部分はどうする事も出来ないのでと言えば納得と言う様に頷く父親に俺も理解しえ貰えてホッとすれば
「本当にありがとう。何と言えばいいか判らないくらい感謝している。
成績の順位が落ちていく一方だった智弘はノイローゼ気味になっていたから……
吉野君の家にお邪魔させてもらってから表情が明るくなって、本当にありがとう」
深く頭を下げられてしまった。
こんなにも感謝されるとは思わなかった。
短期間に結果が出せたのは本人の努力があって…… 俺は少ししっかりしろと言った程度でしかない。
だけど折角頭を下げてくれてまで感謝してくれた人にそんな事を言うつもりはなく
「受験は大学が決まるまで続きます。
これからも一緒に頑張っていきましょう」
無難な挨拶で締めくくれば通話も終えて一息をつく。
そうすれば小さなお椀に鰹の香る……
「だし汁?」
「もうすぐご飯です。
お茶をお出ししたい所ですが、こちらの方が体が温まるでしょう」
窓の外は何時しか霧が降りてきて雨が降り出していた。通りで冷えるわけだと口を付ければ薄い塩味の本当にただのだし汁。風味は鼻孔を刺激して、舌の上をくすぐる味は喉を通り胃袋を温める。ほぅ、と自然に零れ落ちた吐息は空腹を自覚させ、これからご飯と言う言葉を期待せずにはいられなくなってしまう。
「まさか飯田さんからこんなシンプルな物を貰うとは」
「だけどそのシンプルさが美味いのですよ」
「確かに!」
そう言ってゆっくりと啜る間に飯田さんはご飯をどんどんこの板間の部屋に置かれた机に並べ、オリヴィエも飯田さんの作る晩御飯に目をキラキラとさせて手伝うと言いながらいつの間にか俺のク●ックスを履いて警戒に土間を行き来するのだった。
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