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身体が動く季節なので皆さん働こうではないか 5
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上島さんの車に乗ってやっと人心地着いたと言う様にペットボトルのお茶を飲んでぐったりとしていれば
「やっぱり子供達って言うのは元気だね」
俺の虫嫌いはあいつらでなくとも有名なので苦笑しっぱなしなのが癪に障るも
「上島家はいきなり二人とも家を出て行ったからほんと静かでね。
大和君から野犬を貰わなかったらほんと寂しかったよ」
それなりに子供の笑い声を聞けて楽しかったのだろう。俺の情けない悲鳴も合わせて。そんなんで笑ってもらえるなら大いに笑ってくれとふてくされたくなる物の
「ああ、大和さんから帰国後すぐ捕まえた野犬の子犬が産まれたって聞いたけど、上島さんちに貰われて行ったのですね」
「離乳が始まってすぐに母親から引き離したからね。ほら、まだ捕まえてすぐの出産だったから母犬の病気とかダニとかまだ何もできなかったから。
ご飯の時に離れた時に一匹ずつ里親先に減らして行ったんだけど、うちに来てから母犬求めてきゅーんきゅーん鳴いてさ、奥さんがもうお母さんになっちゃってね」
苦笑。
きっとここぞとばかり構い倒して一時も離れない状況になっているだろうことは目に見えてわかりほっこりとする。
「ありがたい事に配達のついでに家のまめに躾を教えてくれてね、ああ、まめって名前なんだ。大きくなったらまめじゃないのにね」
言いながらまめの事を思い出してデレデレと言う顔を隠せないでいる上島さんも散々可愛がっている様子がよく理解できる。
「ちょうど達弥が高校に戻るのと入れ替えでやって来たからね。颯太が構い倒して、達弥にビデオ送り続けて達弥に俺がマジ切れされてさ。何で達弥がいない時に一番可愛い時なんだよって。
ああ、綾人君の家の所にも連れて烏骨鶏達と遊ばせていたけど大丈夫だった?」
「きいてねー」
「ああ、それは済まない。綾人君の家の烏骨鶏は食用なのに他の動物を連れて行くなんてって後から叱ってやったんだが」
済まない、済まないと平謝り。まぁ、今更だよなとそう言うのは早く言ってくれと伝えておく。
「まぁ、ひと月以上たってるし家に帰ってから死んでる事もないので問題はないでしょう」
「すまないね、気を付けさせるよ。
だけど烏骨鶏って言うのは臆病だと思ってたけど、好奇心も旺盛なせいか鳥小屋に潜り込んだまめが烏骨鶏にかこまれて寝かされてて、ほんと可愛いんだ!あ、颯太からビデオ送られ来たやつあるから後で見せますね」
「あ、ありがとうございます」
ヤバい、これ話しが長い奴だと上島家までの道のり約十五分延々とまめの話しを聞く姿勢を取る。
虫と戯れるのと愛犬自慢を聞くのをどちらがましかとの選択だが、少なくとも苦手な芋虫の話しよりはまだましだと思うのも一瞬だった。
「うわぁ!おまえがまめかぁ!
ぅおっ!顔ペロはやめろよっ!舐めてもおいしくないぞぉ」
何がミックスしてるのかわからないが子犬らしい毛玉は警戒する事無く伸ばした手を舐めた瞬間が俺の脳内が崩壊した瞬間だった。
誰が愛犬自慢が嫌だと言った。
こんなかわいいサイズならデレるしかないじゃないか!
「あ、おばさんお邪魔してます!噂のまめを見に来ました!
ホントちっちゃいのに人懐っこいですね!」
生暖かい視線の夫妻に見守られる中今更だけどきりっとした顔で挨拶をするも直ぐにメロメロになってしまうのはこの無防備に愛想を振りまく無邪気さだろう。
「そうなの!
もうね、颯太も達弥もいつの間にかおっきくなっちゃったでしょ?
こんな風に甘えて来てくれないから可愛くって仕方がないのよ!」
「あ、颯太から動画見せてもらったけど達弥もでっかくなりましたね」
「少し目を離しただけだと思ってたのにもう身長百七十越えたとか言ってたわ」
「俺よりでかい奴なんてかわいくねー」
と言うか僅か数ヶ月で伸びすぎだろうと思う。羨ましくなんてないからねとスマホを取り出してまめの動画を撮って達弥に送っておいた。
直後
『綾っちまでまめの動画止めて!!!
俺教室で号泣してるよ!!!』
タイミングよく放課でスマホを弄ってたらしいところにまめとイチャイチャする俺の動画。ペロリストの破壊力に涙するがいいと今まで動画を撮り続けた努力からいかに対象物を可愛く見える角度とか距離とかフォーカスとかを駆使してなるべく俺の顔が見えないような濃厚なシーンを作ったらの涙。
LIMEのメッセージからすぐに映像に変り
「綾っちひどい!
みんなしてまめの可愛い所ばかり送りつけて来るなんて!」
ガチで泣いてて笑ってしまう。
「仕方がない。幼獣は正義だ。
俺よりでかくなった奴が今でも可愛いと思ってもらえるかどうかまずそこを考えろ」
「ひでえwww
あ、九月の身体測定で俺百七十一になりました。兄貴は百八十いったとか言ってたから俺もあと三年で追いつく予定です。綾っちを越えたからすぐですね」
ぶちっと通話を切ってやった。
と言うか背後にやたらの覗きこむクラスメイトの好奇心もすごかったが俺も負けじとまめを肩に乗せてぺろぺろ攻撃にあっている所をわざと見せて煽ってみせたもののこの敗北感。もう伸びない身長をでかくするすべはないのかとググってしまう。
とりあえず整体にでもかようか?
姿勢が正されれば瞬間的に数センチぐらいは伸びるだろうと謎の期待をして現実的じゃないと肩からまめを犬小屋のサークルの中に降ろし、さすがに顔が獣臭いから庭の水道で顔を洗うのだった。
「上島さん、手伝いますよ」
「あ、思い出してくれた?」
どこか諦めてたような顔に
「すみません、すぐ手伝います!!!」
トラックに乗って一輪車にチップを乗せて畑の隅に置き、もう一台の一輪車を回収してそこからまたチップを盛っての繰り返し。
どっちが大変か何ては考えない。何しろ上島さんは畝に盛るように、そして芽吹いた野菜を傷つけないようにと調整をしているのだ。俺とは違い仕事にして商品を卸すのだから少しでも傷つけないように、良い品にしなくてはいけないように気配りする苦労に比べたら肉体的な苦労なんてあってないようなもの。
足と腕を止める事無くくりかえされる作業は多分もう一人連れて来てもはかどらない。なんせ一輪車は数が限られているのだから。
いや、颯太と達弥兄弟がいればどちらかが一輪車にチップを積んで、どちらかが運ぶと言う分担からの休憩時間も取れるかもしれない間が生まれるのかもしれない。
親子で作業していたのが今は一人なのは大変だな。まあ、俺は家に帰ればそれに家事も加わるとはいえ規模は小さいし育った野菜で生活しなくてはいけない事はないのでそこまでの苦労はない。
黙々と仕事を済ませて最後の一杯を上島さんの居る畝の所まで運べば
「綾人君お疲れさん。手伝ってもらえてすごく助かったよ」
「あー、久しぶりにきっつー」
ぺたりと座り込んだ俺におばさんがお茶を淹れたから飲んで行ってと声をかけてくれてありがたく梨と一緒に頂くのだった。
シャリシャリと食感を楽しみながら縁側で齧っていればスマホが静かに騒ぐ。まるでこの見透かしたようなタイミングで送られたメッセージにはそろそろご飯だけどどうすると言う一文。
予想通りの先生からのメッセージだからそんな大した事じゃないだろうからと気にした事はなかったが時計を見て圭斗にスマホを繋げる。
『綾人か?そっちはもう終わりそうか?』
「今終わった所。それより弁当屋で人数分買わせに行ってもらえる?
お金はとりあえず立て替えてくれるとありがたいんだけど」
『了解。何か食べたい物は?』
「かつ丼みたいなガッツリ形であとおまかせ。とりあえず期待裏切ったら金取るって言っておけ」
『ああ、食べもを侮辱する奴に食べさせてやる物はないからな』
食べ物に誰よりも厳しい圭斗のガチな声の奥では
『俺カルビ焼肉弁当と特から揚げ弁当の二つ』
『チキン南蛮と親子丼で』
『カツカレーとカットステーキ重はダブルの方で。後チキンバスケット二つぐらいでいいか?』
『スープとか欲しいな』
『あ、味噌汁ぐらいなら作りますよ』
『よし、陸斗の味噌汁なら他はいらないな。
じゃあ三年は弁当屋で他は家に戻って昼の準備だ。
水野さんはどうします?』
『ああ、俺は家で婆さんがご飯作って待ってるから帰るよ』
あまりの食欲に失笑しながら午後は綾人君にも言ったけど用事があるから失礼させてもらうよと帰る挨拶をしていた。
「なぁ圭斗、あいつらメニュー全制覇するつもりか?」
『安心しろ、米一粒残さずに全部食べさせるから』
そうじゃないだろう。余裕に成人一日のカロリーオーバーしてるぞとつっこみたかったが
『綾人よ、たまには夢の弁当食べ放題やらせてやれ。
昼代五百円でヒーヒー言ってる奴らのパラダイスなんだから』
「せんせー、高校生のパラダイスって言うのが分りません」
素直な疑問に先生は笑い
『先生は綾人の担任なる前まで毎日弁当屋に通って全商品制覇したか……』
「綾人、悪いが移動するから電話切るな」
「うん、上島さんが送ってくれるって言うから直接圭斗の家に行くわ」
じゃあと通話を切れば
「やっぱり男の子だね。うちの子もお弁当二つが標準だった時があって奥さん毎朝ブチ切れてたね」
えー……
「綾人君は細いからお昼お弁当一つでたりたんじゃない?」
「足りない時はパンを買った程度で十分でした」
「それだけでたりたの?!」
驚く上島さんに、俺の背が伸びなかった理由は俺よりちょっと視線が上の上島さんを眺めながらたんに遺伝だけではないのを理解するしかないと自分に言い聞かせるのだった。
「やっぱり子供達って言うのは元気だね」
俺の虫嫌いはあいつらでなくとも有名なので苦笑しっぱなしなのが癪に障るも
「上島家はいきなり二人とも家を出て行ったからほんと静かでね。
大和君から野犬を貰わなかったらほんと寂しかったよ」
それなりに子供の笑い声を聞けて楽しかったのだろう。俺の情けない悲鳴も合わせて。そんなんで笑ってもらえるなら大いに笑ってくれとふてくされたくなる物の
「ああ、大和さんから帰国後すぐ捕まえた野犬の子犬が産まれたって聞いたけど、上島さんちに貰われて行ったのですね」
「離乳が始まってすぐに母親から引き離したからね。ほら、まだ捕まえてすぐの出産だったから母犬の病気とかダニとかまだ何もできなかったから。
ご飯の時に離れた時に一匹ずつ里親先に減らして行ったんだけど、うちに来てから母犬求めてきゅーんきゅーん鳴いてさ、奥さんがもうお母さんになっちゃってね」
苦笑。
きっとここぞとばかり構い倒して一時も離れない状況になっているだろうことは目に見えてわかりほっこりとする。
「ありがたい事に配達のついでに家のまめに躾を教えてくれてね、ああ、まめって名前なんだ。大きくなったらまめじゃないのにね」
言いながらまめの事を思い出してデレデレと言う顔を隠せないでいる上島さんも散々可愛がっている様子がよく理解できる。
「ちょうど達弥が高校に戻るのと入れ替えでやって来たからね。颯太が構い倒して、達弥にビデオ送り続けて達弥に俺がマジ切れされてさ。何で達弥がいない時に一番可愛い時なんだよって。
ああ、綾人君の家の所にも連れて烏骨鶏達と遊ばせていたけど大丈夫だった?」
「きいてねー」
「ああ、それは済まない。綾人君の家の烏骨鶏は食用なのに他の動物を連れて行くなんてって後から叱ってやったんだが」
済まない、済まないと平謝り。まぁ、今更だよなとそう言うのは早く言ってくれと伝えておく。
「まぁ、ひと月以上たってるし家に帰ってから死んでる事もないので問題はないでしょう」
「すまないね、気を付けさせるよ。
だけど烏骨鶏って言うのは臆病だと思ってたけど、好奇心も旺盛なせいか鳥小屋に潜り込んだまめが烏骨鶏にかこまれて寝かされてて、ほんと可愛いんだ!あ、颯太からビデオ送られ来たやつあるから後で見せますね」
「あ、ありがとうございます」
ヤバい、これ話しが長い奴だと上島家までの道のり約十五分延々とまめの話しを聞く姿勢を取る。
虫と戯れるのと愛犬自慢を聞くのをどちらがましかとの選択だが、少なくとも苦手な芋虫の話しよりはまだましだと思うのも一瞬だった。
「うわぁ!おまえがまめかぁ!
ぅおっ!顔ペロはやめろよっ!舐めてもおいしくないぞぉ」
何がミックスしてるのかわからないが子犬らしい毛玉は警戒する事無く伸ばした手を舐めた瞬間が俺の脳内が崩壊した瞬間だった。
誰が愛犬自慢が嫌だと言った。
こんなかわいいサイズならデレるしかないじゃないか!
「あ、おばさんお邪魔してます!噂のまめを見に来ました!
ホントちっちゃいのに人懐っこいですね!」
生暖かい視線の夫妻に見守られる中今更だけどきりっとした顔で挨拶をするも直ぐにメロメロになってしまうのはこの無防備に愛想を振りまく無邪気さだろう。
「そうなの!
もうね、颯太も達弥もいつの間にかおっきくなっちゃったでしょ?
こんな風に甘えて来てくれないから可愛くって仕方がないのよ!」
「あ、颯太から動画見せてもらったけど達弥もでっかくなりましたね」
「少し目を離しただけだと思ってたのにもう身長百七十越えたとか言ってたわ」
「俺よりでかい奴なんてかわいくねー」
と言うか僅か数ヶ月で伸びすぎだろうと思う。羨ましくなんてないからねとスマホを取り出してまめの動画を撮って達弥に送っておいた。
直後
『綾っちまでまめの動画止めて!!!
俺教室で号泣してるよ!!!』
タイミングよく放課でスマホを弄ってたらしいところにまめとイチャイチャする俺の動画。ペロリストの破壊力に涙するがいいと今まで動画を撮り続けた努力からいかに対象物を可愛く見える角度とか距離とかフォーカスとかを駆使してなるべく俺の顔が見えないような濃厚なシーンを作ったらの涙。
LIMEのメッセージからすぐに映像に変り
「綾っちひどい!
みんなしてまめの可愛い所ばかり送りつけて来るなんて!」
ガチで泣いてて笑ってしまう。
「仕方がない。幼獣は正義だ。
俺よりでかくなった奴が今でも可愛いと思ってもらえるかどうかまずそこを考えろ」
「ひでえwww
あ、九月の身体測定で俺百七十一になりました。兄貴は百八十いったとか言ってたから俺もあと三年で追いつく予定です。綾っちを越えたからすぐですね」
ぶちっと通話を切ってやった。
と言うか背後にやたらの覗きこむクラスメイトの好奇心もすごかったが俺も負けじとまめを肩に乗せてぺろぺろ攻撃にあっている所をわざと見せて煽ってみせたもののこの敗北感。もう伸びない身長をでかくするすべはないのかとググってしまう。
とりあえず整体にでもかようか?
姿勢が正されれば瞬間的に数センチぐらいは伸びるだろうと謎の期待をして現実的じゃないと肩からまめを犬小屋のサークルの中に降ろし、さすがに顔が獣臭いから庭の水道で顔を洗うのだった。
「上島さん、手伝いますよ」
「あ、思い出してくれた?」
どこか諦めてたような顔に
「すみません、すぐ手伝います!!!」
トラックに乗って一輪車にチップを乗せて畑の隅に置き、もう一台の一輪車を回収してそこからまたチップを盛っての繰り返し。
どっちが大変か何ては考えない。何しろ上島さんは畝に盛るように、そして芽吹いた野菜を傷つけないようにと調整をしているのだ。俺とは違い仕事にして商品を卸すのだから少しでも傷つけないように、良い品にしなくてはいけないように気配りする苦労に比べたら肉体的な苦労なんてあってないようなもの。
足と腕を止める事無くくりかえされる作業は多分もう一人連れて来てもはかどらない。なんせ一輪車は数が限られているのだから。
いや、颯太と達弥兄弟がいればどちらかが一輪車にチップを積んで、どちらかが運ぶと言う分担からの休憩時間も取れるかもしれない間が生まれるのかもしれない。
親子で作業していたのが今は一人なのは大変だな。まあ、俺は家に帰ればそれに家事も加わるとはいえ規模は小さいし育った野菜で生活しなくてはいけない事はないのでそこまでの苦労はない。
黙々と仕事を済ませて最後の一杯を上島さんの居る畝の所まで運べば
「綾人君お疲れさん。手伝ってもらえてすごく助かったよ」
「あー、久しぶりにきっつー」
ぺたりと座り込んだ俺におばさんがお茶を淹れたから飲んで行ってと声をかけてくれてありがたく梨と一緒に頂くのだった。
シャリシャリと食感を楽しみながら縁側で齧っていればスマホが静かに騒ぐ。まるでこの見透かしたようなタイミングで送られたメッセージにはそろそろご飯だけどどうすると言う一文。
予想通りの先生からのメッセージだからそんな大した事じゃないだろうからと気にした事はなかったが時計を見て圭斗にスマホを繋げる。
『綾人か?そっちはもう終わりそうか?』
「今終わった所。それより弁当屋で人数分買わせに行ってもらえる?
お金はとりあえず立て替えてくれるとありがたいんだけど」
『了解。何か食べたい物は?』
「かつ丼みたいなガッツリ形であとおまかせ。とりあえず期待裏切ったら金取るって言っておけ」
『ああ、食べもを侮辱する奴に食べさせてやる物はないからな』
食べ物に誰よりも厳しい圭斗のガチな声の奥では
『俺カルビ焼肉弁当と特から揚げ弁当の二つ』
『チキン南蛮と親子丼で』
『カツカレーとカットステーキ重はダブルの方で。後チキンバスケット二つぐらいでいいか?』
『スープとか欲しいな』
『あ、味噌汁ぐらいなら作りますよ』
『よし、陸斗の味噌汁なら他はいらないな。
じゃあ三年は弁当屋で他は家に戻って昼の準備だ。
水野さんはどうします?』
『ああ、俺は家で婆さんがご飯作って待ってるから帰るよ』
あまりの食欲に失笑しながら午後は綾人君にも言ったけど用事があるから失礼させてもらうよと帰る挨拶をしていた。
「なぁ圭斗、あいつらメニュー全制覇するつもりか?」
『安心しろ、米一粒残さずに全部食べさせるから』
そうじゃないだろう。余裕に成人一日のカロリーオーバーしてるぞとつっこみたかったが
『綾人よ、たまには夢の弁当食べ放題やらせてやれ。
昼代五百円でヒーヒー言ってる奴らのパラダイスなんだから』
「せんせー、高校生のパラダイスって言うのが分りません」
素直な疑問に先生は笑い
『先生は綾人の担任なる前まで毎日弁当屋に通って全商品制覇したか……』
「綾人、悪いが移動するから電話切るな」
「うん、上島さんが送ってくれるって言うから直接圭斗の家に行くわ」
じゃあと通話を切れば
「やっぱり男の子だね。うちの子もお弁当二つが標準だった時があって奥さん毎朝ブチ切れてたね」
えー……
「綾人君は細いからお昼お弁当一つでたりたんじゃない?」
「足りない時はパンを買った程度で十分でした」
「それだけでたりたの?!」
驚く上島さんに、俺の背が伸びなかった理由は俺よりちょっと視線が上の上島さんを眺めながらたんに遺伝だけではないのを理解するしかないと自分に言い聞かせるのだった。
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