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一日一歩、欲張ったら躓くだけなので慌てる事は致しません 5
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一カ月の間綾人はひたすら国語を集中して勉強させた。古文は基本だけを教え、最低限文を読む練習と漢字を書けるようにしていた。気分転換に時々小学生の算数の復習をさせながらアルファベットも教えて行く。
それぐらいは判ると言うが、なら書いてみろと言えば書けずにいる浩志にせめて自分の名前ぐらい書けるようになれと言う所からのスタートになった。
とりあえず一日八時間労働の後に五時間の勉強時間。三時間と二時間に分けて二時間は自主勉をさせる。睡眠時間を削ってまでと言うのは綾人が嫌だったのでその間三食作るのは綾人がする事にした。何分料理を教える必要はなかったのでその分時の時間を睡眠と勉強に当てる事にした。とは言え率先して手伝おうとするので台所の年季の入った机でテキストをさせると言う小学生の宿題かって言う風景に圭斗も宮下もそこは黙っていた。
そして件のテキストはイギリス大学生にも好評だったう〇こドリル。
浩志もパートのおばちゃんの間で話題にもなったので知っていたらしく何とも言えない顔で俺から受け取ったのをいい仕事したなと自分を褒め称えた瞬間だった。
そんな感じで勉強のルーティンも出来、浩志自身のやる気のおかげで順風満々に事が運び……
「じゃあ、圭斗。浩志の面倒宜しく」
「まぁ、車校通わせるのにうちの方が便利だよな家の前まで迎えに来てくれるし。短期講習だから朝から晩まで車校だし、朝と夜に飯食わせて風呂入らせて寝かせる位なら問題ないしな」
「お世話になります」
相変わらず荷物の少ない浩志はバッグ一つ分の着替えと車校に行かせる為に買ったデイバッグを肩に引っ掛けてお世話になりますと頭を下げていた。まるで初めてのバイトに出勤しているようだと思ってなんだかモヤモヤするが
「いいか。圭斗の家じゃ朝五時起きだからな。もう慣れたとは思うが店舗兼住宅だから店の顔となる門と駐車場兼庭の掃除をしろよ」
「はい。出来る事はお手伝いさせてください」
「いや、ありがたいけど。とりあえずその都度教えるから順々に覚えてくれ」
ちょくちょく様子を見に来てくれたから軽く話もする仲となったおかげでそこまでの緊張はしていないようだ。そこそこの緊張はしているものの他所様の家に三週間ほどお世話になるのだから当然だろう。
「じゃあ、そろそろ電車の時間だからな。フランスでは自重しろよ」
「まるで向こうに行ったら俺がやりたい放題みたいな言い方止めてくれ」
「何か違ったか?」
「良き出会いに感謝の現われだ」
「お前の場合それをやりたい放題って言うんだ」
だから城何て買ったんだろとむすっとする圭斗から慌てて視線を反らして浩志に視線を合わせ
「一応食費とかお世話になるお金は既に圭斗に渡してある。遠慮する必要はないけど一人暮らしの大変さを知っているのならしっかり圭斗を助けてやってくれ」
「はい」
「あと昨日渡した小遣いとスマホに振り込んでおいたお金で十分昼食代とおやつ、後車校でテスト落ちた時の追加代金も何回か分ぐらいはあるから無駄使いするなとは言わんがちゃんと計画的に使う様に。これはお前の金銭感覚を養うための社会勉強だからお昼はおにぎり一個とペットボトル一本って言うのはなしだぞ」
一緒に暮らす前の食事事情がそれだった。
引き取った頃はガリガリの体だった頃から約ひと月をかけて少しふっくらとして来た体が求めていたようにそれだけのエネルギーを必要としているのは言うまでもない。ただでさえ山の生活は生きていくだけでも肉体労働なのだ。それなのに筋肉痛にうなされながらも畑仕事や山仕事をさせて辛うじて細マッチョと言うまではいかないがそれなりの筋肉も付いてバランスも良くなってきている上に日焼け止めを渡さなかったのでお肌も健康的な色合いになって来た。
後は圭斗のツンデレ攻撃に自分が一人ぼっちじゃない事を知ればいいと願ってしまう。俺だとどうしてもわだかまりが取れなくて距離を取ってしまうから、圭斗のように不器用でも優しくもしてやれない。圭斗と比べると俺の優しさは単なる義務だと言う事を嫌でも理解してしまう。
そうしているうちに電車がやって来て俺は乗り込み
「じゃあ、悪いが浩志の事よろしく。あと宮下にもまたお世話になりますって言っておいて」
「ああ、宮下今日ちょっと遠くに長沢さんと仕事に行ってるからそれぐらい任せとけ」
「後先生もよろしく。もしこいつが使えそうなら先生のお世話の仕方も覚えさせてくれ」
「まぁ、修行の場とするのなら一番やりがいがあるだろうな」
ぶるりと身震いする圭斗の気持ちもわからないでもないトラウマは今となっては笑い話にもなるし教訓にもなる良い思い出だ。先生はいじけるけど自業自得なので無視しておく。
綾人がフランスに向かう為に乗り込んだ電車が見えなくなるまで見送り
「さてと、車校は明日からだったよな。とりあえず今日は家を案内して顔合わせしようか」
「よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる姿に一時期働きに出て久しぶりに顔を合わせた時の陸斗を思い出した。苦い思いに思わず舌打ちをしてしまうが、びくりと震える浩志に俺は自分にしっかりしろと言って
「今日は竹藪の手入れをする事になる。
この間ススキを刈った時に人がたくさん来たけど今日のメンツはそれ以外だ。この間とはかなり雰囲気が変わるが怪我をしないように注意しろ。ちなみに保険証は?」
「財布の中に入ってます。綾ちゃんが自分の所の会社にパートとして雇ってくれたので……」
俯いた浩志を車に乗せて家へと向かう。
走り出して直ぐ
「綾ちゃんの周りってこんなにも賑やかなのですか?」
沢山の人に囲まれて幸せそうに見えるのだろう。実際楽しそうだし高校時代の一番荒れていた頃を思えば随分と丸くなったと思う。いや、猫をかぶってたと言うのが過日の松茸事件の折りに見せた本性は高校時代よりパワーアップしていた姿だった。いや、あの沢の事件からずっと誰も悟られずにふつふつと育てていた復讐心だったのだろうと思えばどうしてそこまで気が付かなかったのか、そこまで心の傷が深かった綾人に気付かなかった為に寄り添えなく、そしてここまで来たのなら巻き込めよと散々優しくしてくれたくせにと少しだけ寂しく感じてしまった。
だけどそこは綾人の心のあり所の問題なので浩志には関係ないと割り切り
「綾人があの山の家を大切にしようって言う思いが世代を超えて綾人の為にって手を貸してくれているんだ。当然綾人も手を貸してくれる人を大切にするからまたみんなも綾人を大切にしてくれる。
これはごく当たり前の人との付き合い方だ。
だけどあいつはお節介だからついつい首を突っ込むから周りはひやひやして目が離せないんだ」
次何をやるのかビクビクしている自分もいるが、その中にはどんな結果を生み出すのかドキドキしている心に綾人を止める事が出来ない自分もいる。
「普段はあの風と山の木々の音しかしない場所で一人寂しい思いをしてすごしているけど、それでも色々思い出の詰まったあの家を守る為に頑張っているんだからな」
なんて話をしている間に家に着いた。
綾人を朝一の始発に乗せてやっと明るくなったこの世界の中で俺は浩志にお茶を飲もうと誘って台所に向かう。
朝ご飯を食べたままの流しを見て直ぐに洗い物をしてくれるこいつをそこまで嫌う理由はもうないと思う。それでもいくら用事があったとはいえフランスに行って離れ離れになる事に満面の笑顔を浮かべるのは違うだろうと思う。
だけど浩志の顔もホッとしているのを見て今だ二人の間には緊張が張り巡らされているのが判ってしまう。
約ひと月の時間をかけて車校に通えれるレベルまでの国語力を付けさせたお互いなのにまだ何も歩み寄れていない事にらしくもないと苛立ちを覚えながらもだ。
ゆっくりと息を吸ってそっと吐き出す。
ふわりと香る緑茶の爽やかな香りをまた胸いっぱい吸って
「綾人の努力はあの家だけでもましてやお前らの祖父母の存在があったからだけじゃない。賑やかで羨ましいと思うそれが綾人が積み重ねてきた努力の証だ。あいつの側にいるからってその恩恵が丸々自分にも受け入られると思うな。
だから少しずつでいい。お前もみんなに認められるように努力をしろ」
そんな忠告に浩志は息を飲んでゆっくりと頷くのを信じる事にした。
それぐらいは判ると言うが、なら書いてみろと言えば書けずにいる浩志にせめて自分の名前ぐらい書けるようになれと言う所からのスタートになった。
とりあえず一日八時間労働の後に五時間の勉強時間。三時間と二時間に分けて二時間は自主勉をさせる。睡眠時間を削ってまでと言うのは綾人が嫌だったのでその間三食作るのは綾人がする事にした。何分料理を教える必要はなかったのでその分時の時間を睡眠と勉強に当てる事にした。とは言え率先して手伝おうとするので台所の年季の入った机でテキストをさせると言う小学生の宿題かって言う風景に圭斗も宮下もそこは黙っていた。
そして件のテキストはイギリス大学生にも好評だったう〇こドリル。
浩志もパートのおばちゃんの間で話題にもなったので知っていたらしく何とも言えない顔で俺から受け取ったのをいい仕事したなと自分を褒め称えた瞬間だった。
そんな感じで勉強のルーティンも出来、浩志自身のやる気のおかげで順風満々に事が運び……
「じゃあ、圭斗。浩志の面倒宜しく」
「まぁ、車校通わせるのにうちの方が便利だよな家の前まで迎えに来てくれるし。短期講習だから朝から晩まで車校だし、朝と夜に飯食わせて風呂入らせて寝かせる位なら問題ないしな」
「お世話になります」
相変わらず荷物の少ない浩志はバッグ一つ分の着替えと車校に行かせる為に買ったデイバッグを肩に引っ掛けてお世話になりますと頭を下げていた。まるで初めてのバイトに出勤しているようだと思ってなんだかモヤモヤするが
「いいか。圭斗の家じゃ朝五時起きだからな。もう慣れたとは思うが店舗兼住宅だから店の顔となる門と駐車場兼庭の掃除をしろよ」
「はい。出来る事はお手伝いさせてください」
「いや、ありがたいけど。とりあえずその都度教えるから順々に覚えてくれ」
ちょくちょく様子を見に来てくれたから軽く話もする仲となったおかげでそこまでの緊張はしていないようだ。そこそこの緊張はしているものの他所様の家に三週間ほどお世話になるのだから当然だろう。
「じゃあ、そろそろ電車の時間だからな。フランスでは自重しろよ」
「まるで向こうに行ったら俺がやりたい放題みたいな言い方止めてくれ」
「何か違ったか?」
「良き出会いに感謝の現われだ」
「お前の場合それをやりたい放題って言うんだ」
だから城何て買ったんだろとむすっとする圭斗から慌てて視線を反らして浩志に視線を合わせ
「一応食費とかお世話になるお金は既に圭斗に渡してある。遠慮する必要はないけど一人暮らしの大変さを知っているのならしっかり圭斗を助けてやってくれ」
「はい」
「あと昨日渡した小遣いとスマホに振り込んでおいたお金で十分昼食代とおやつ、後車校でテスト落ちた時の追加代金も何回か分ぐらいはあるから無駄使いするなとは言わんがちゃんと計画的に使う様に。これはお前の金銭感覚を養うための社会勉強だからお昼はおにぎり一個とペットボトル一本って言うのはなしだぞ」
一緒に暮らす前の食事事情がそれだった。
引き取った頃はガリガリの体だった頃から約ひと月をかけて少しふっくらとして来た体が求めていたようにそれだけのエネルギーを必要としているのは言うまでもない。ただでさえ山の生活は生きていくだけでも肉体労働なのだ。それなのに筋肉痛にうなされながらも畑仕事や山仕事をさせて辛うじて細マッチョと言うまではいかないがそれなりの筋肉も付いてバランスも良くなってきている上に日焼け止めを渡さなかったのでお肌も健康的な色合いになって来た。
後は圭斗のツンデレ攻撃に自分が一人ぼっちじゃない事を知ればいいと願ってしまう。俺だとどうしてもわだかまりが取れなくて距離を取ってしまうから、圭斗のように不器用でも優しくもしてやれない。圭斗と比べると俺の優しさは単なる義務だと言う事を嫌でも理解してしまう。
そうしているうちに電車がやって来て俺は乗り込み
「じゃあ、悪いが浩志の事よろしく。あと宮下にもまたお世話になりますって言っておいて」
「ああ、宮下今日ちょっと遠くに長沢さんと仕事に行ってるからそれぐらい任せとけ」
「後先生もよろしく。もしこいつが使えそうなら先生のお世話の仕方も覚えさせてくれ」
「まぁ、修行の場とするのなら一番やりがいがあるだろうな」
ぶるりと身震いする圭斗の気持ちもわからないでもないトラウマは今となっては笑い話にもなるし教訓にもなる良い思い出だ。先生はいじけるけど自業自得なので無視しておく。
綾人がフランスに向かう為に乗り込んだ電車が見えなくなるまで見送り
「さてと、車校は明日からだったよな。とりあえず今日は家を案内して顔合わせしようか」
「よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げる姿に一時期働きに出て久しぶりに顔を合わせた時の陸斗を思い出した。苦い思いに思わず舌打ちをしてしまうが、びくりと震える浩志に俺は自分にしっかりしろと言って
「今日は竹藪の手入れをする事になる。
この間ススキを刈った時に人がたくさん来たけど今日のメンツはそれ以外だ。この間とはかなり雰囲気が変わるが怪我をしないように注意しろ。ちなみに保険証は?」
「財布の中に入ってます。綾ちゃんが自分の所の会社にパートとして雇ってくれたので……」
俯いた浩志を車に乗せて家へと向かう。
走り出して直ぐ
「綾ちゃんの周りってこんなにも賑やかなのですか?」
沢山の人に囲まれて幸せそうに見えるのだろう。実際楽しそうだし高校時代の一番荒れていた頃を思えば随分と丸くなったと思う。いや、猫をかぶってたと言うのが過日の松茸事件の折りに見せた本性は高校時代よりパワーアップしていた姿だった。いや、あの沢の事件からずっと誰も悟られずにふつふつと育てていた復讐心だったのだろうと思えばどうしてそこまで気が付かなかったのか、そこまで心の傷が深かった綾人に気付かなかった為に寄り添えなく、そしてここまで来たのなら巻き込めよと散々優しくしてくれたくせにと少しだけ寂しく感じてしまった。
だけどそこは綾人の心のあり所の問題なので浩志には関係ないと割り切り
「綾人があの山の家を大切にしようって言う思いが世代を超えて綾人の為にって手を貸してくれているんだ。当然綾人も手を貸してくれる人を大切にするからまたみんなも綾人を大切にしてくれる。
これはごく当たり前の人との付き合い方だ。
だけどあいつはお節介だからついつい首を突っ込むから周りはひやひやして目が離せないんだ」
次何をやるのかビクビクしている自分もいるが、その中にはどんな結果を生み出すのかドキドキしている心に綾人を止める事が出来ない自分もいる。
「普段はあの風と山の木々の音しかしない場所で一人寂しい思いをしてすごしているけど、それでも色々思い出の詰まったあの家を守る為に頑張っているんだからな」
なんて話をしている間に家に着いた。
綾人を朝一の始発に乗せてやっと明るくなったこの世界の中で俺は浩志にお茶を飲もうと誘って台所に向かう。
朝ご飯を食べたままの流しを見て直ぐに洗い物をしてくれるこいつをそこまで嫌う理由はもうないと思う。それでもいくら用事があったとはいえフランスに行って離れ離れになる事に満面の笑顔を浮かべるのは違うだろうと思う。
だけど浩志の顔もホッとしているのを見て今だ二人の間には緊張が張り巡らされているのが判ってしまう。
約ひと月の時間をかけて車校に通えれるレベルまでの国語力を付けさせたお互いなのにまだ何も歩み寄れていない事にらしくもないと苛立ちを覚えながらもだ。
ゆっくりと息を吸ってそっと吐き出す。
ふわりと香る緑茶の爽やかな香りをまた胸いっぱい吸って
「綾人の努力はあの家だけでもましてやお前らの祖父母の存在があったからだけじゃない。賑やかで羨ましいと思うそれが綾人が積み重ねてきた努力の証だ。あいつの側にいるからってその恩恵が丸々自分にも受け入られると思うな。
だから少しずつでいい。お前もみんなに認められるように努力をしろ」
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