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足跡は残すつもりがなくとも残っていく 7
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件の方は前回アメリカにいた時に一度植草さんの事を知っていたようで、この対応を体験してすぐさまスカウトされたとか。
植草さんは夢の旅館経営に少し思いを馳せていたらしいが、人との出会いと出会いに夢を望む方には圧倒的来客の少なさに物足りなさはジレンマとなり、ひょっとした俺はここで終わるのか、終わるつもりはないと言ってこのままでは不貞腐れる人生になるかもしれないとすぐに残りの人生を想像してお受けしたというその判断力俺は大好きです。
むしろ最初からこうなる事が分かっていただけにチャンスをものにする貪欲さを俺はこの話を聞いた時何も考えずに頑張ってくださいと背中を押すように応援する言葉が出来たのだ。
申し訳なさそうにこの企画を始まる前から終わらせてしまう事に顔色悪く三つ指ついて頭を下げながらフランスに行く前に話してくれたけど、俺は心地よい時間をいつも提供してくれた植草さんの応援をすることに決めていたので渡米に対する援助を申し出るのだった。
急な話なのでこれから暮らす住まいの援助をお願いしたいと言う植草さんなりのジョークだったのだろうが、俺は幸先がよくなるようにと彼が希望したアパートメントの賃貸ではなく希望した近所にあったセントラルパークを見下ろす一室を購入して餞とするのだった。
植草さんが紹介してくれた仲間も結局の所孫が、持病がと自然崩壊してしまったので今回は本当に縁がなかったかという事で先行投資の難しさを改めて思い知った。
「それでですね、爺さんの家だけど」
「もう綾人の家だろう?」
なんて言葉は会うたびに繰り返す言葉。
だけど俺は言い続ける。
法律的に俺の名義だとしてもあの家はどこまでも爺さんの家だと家自体が訴えているのでいくら爺さんが訂正しても俺は「爺さんの家」だと言う。
爺さんもいちいち訂正するくらいに付き合ってくれるけど、それももう時間の問題。
「来年の秋には売りに出そうと思っています」
この言葉に少し寂しそうに目を伏せて
「もっと早く売ればいいものを……」
きっといつまでも残してほしいのだろう。
言葉と裏腹な思いは少しだけ寂しそうな色合いが俺の耳にそう届けるも俺は首を横に振って
「俺の我が儘です。
爺さんの初盆を勝手にあの家で俺がしたいだけなので」
ここまでが俺の供養の仕方。
他人にとやかく言われるつもりはない。
爺さんも自分の残り時間の事は当人が一番知っていると言うようにここはあっさりとスルーして
「他人の爺に時間をかけるより先祖を敬え」
「爺ちゃん達とはこれからもずっと一緒だから……
だから一回ぐらいは気にしませんよ」
うちのジイちゃん達はその程度ですねたりしない。
むしろ親しい友人をないがしろにするなと言って怒りに来るくらいの気性。
孫バカだったけど鉄二さんと長沢さんを見ていればこれくらい理解できる。そして誰も知らない所で少し拗ねていたりしてかわいいなジイちゃんと思っているなんては今となっては知らないだろう。知っていたらマジこわいけど。
「なら、今回だけは甘えさせてもらおうか。盛大に花を飾ってくれよ」
肩をすくめる爺さんはそんな未来さえ建設的に話を進めてみせる、きっと俺が目指すべき姿なのだろう。
次の年のお盆、言われた通りかつて仏壇があった所に爺さんの写真を飾り、これでもかと言うくらい壁一面に色とりどりの花を飾った。
花は主に奥様が好きだった花を花屋に無理を言って取り寄せてもらった。
そこは東京。
早くから企画しただけに生産者と打ち合わせをして見事集めきってくれたプロ根性に拍手喝采。
病室で遺影用にと撮った満面の笑みの写真と一人向き合って初盆を過ごすつもりでいたのに
「ああ、綾人。薫から聞いていたが……」
飯田さんのお父さんが割烹着を片手に青山さんと飯田さんは段ボール箱を抱えてやってきた。
何をと思ったが
「台所借りるぞ」
その一言だけを残して二人を連れて引きこもってしまった。
何が起きたんだと言うようにそっと一階の料理人を呼んで料理をさせるための青山さんのレストラン顔負けの調理場に潜り込んで親兄弟揃って料理を始めるのだった。
何か俺の知らない所で動いている事はわかったが、この夏一番のかきいれ時だと言うのに飯田さんのお父さんが来る事にドアにへばりついて固まって覗いてしまったまま身動きできないでいればピンポーンとチャイムが鳴る。
そこで我に返ってお出迎えに行けばなぜかそこには植草さん。
「あれ?」
ニューヨークにいるのでは?と思うも
「お盆なので夏休みを貰って帰ってきました」
向こうにはお盆と言うイベントがないので気軽に夏休みを頂けるのですよと言う姿はこの家全館冷房なのでピシッとしたスーツ姿のままでもむさくるしさはない。飯田一家に挨拶をしたのちにバックヤードに荷物をさっと片付ければすぐにまたピンポーンとなる。
何事?!
振り返れば植草さんがすぐに迎えに行けばそこには桜井さんを連れた楓雅さんが立っていた。
「親父に手を合わせに来ました」
葬式依頼久しぶりに顔合わす楓雅さんは神妙な顔をしていたものの俺はすぐに案内すればその間に植草さんは飯田さんにお茶をお願いに足を運んでいた。
仏壇もなく、ただ写真と花を飾った元仏間。
噎せ返る様な花の香りは主にユリから。
どれだけ使ってるのかなと真っ白なユリはすでに開花しているものはちゃんと雄蕊を取ってある気遣い。この季節このまま花を開き切らずに終わってしまうのがもったいなく思うもそれでも美しく咲き誇っていた。
案内したのは爺さんお気に入りの客間の理由は奥様の写真を飾っていたため。
いろんな部屋にも飾ってあったがやっぱり仏壇が一番心を寄り添える場所だったのだろう。
お線香もおりんもないメモリアル仕様な部屋だがそれでも手を合わせて亡き父親の写真と向かい合い挨拶をする。
かつてはここにあった仏壇は今では楓雅さんのご自宅に移られていて、あとから知った事だが木下家は新盆なのでひと月前にとっくに終わっていた。
いいじゃん。
俺の勝手だしと少し爺さんには申し訳なく思ってしまったがこの写真を見てどうでもよくなったステキな笑顔は少し意地が悪い笑みに見えるのだから不思議だ。
「遅れましたが、これはおふくろが好きな菓子で」
ここで何度も食べた栗羊羹を頂いた。
爺さんが好きだとか俺が好きだとかそう言うものではなかったらしい。
この家は奥様が中心となって成り立っていた事をどこかわかっていたにもかかわらずなるほどと納得しながら
「ありがとうございます。今用意してもらうのでどうぞおくつろぎ下さい」
そう言って足を崩しながら飯田さんに渡せばすぐ横の給湯室で改めてお茶から準備をし直してくれた。
その間ずっと無言の時間が流れた後新た淹れてくれたお茶を頂いた所で
「改めて、この家に久しぶりに来ましたがずいぶんと寂しい、そう思ったけどこうやって親父と顔を合わせることが出来て……」
あとは言葉にならなかった。
だけど時間を置けば冷えたお茶と少し乾いてしまった栗羊羹を頂きながら話を交わす。
会社を受け継いだものの爺さんがいた時ほどスムーズに事は運ばなくなり、事業もいくつか縮小したと聞く。
何より今まで取り持っていた縁は総て爺さんの縁。
代が変わっても同じように、とはいかずずいぶん苦労しているさまは噂の届かない遠く離れた深山でも株の変動を見ただけでも様子はよくわかる。
苦労は顔ににじみ出ていて、疲れ切ったその様子に不安を覚える中
「綾人さん。お食事が用意できましたがどちらにしましょうか」
飯田さんが廊下に正座して顔を上げずにご実家の料亭の制服を着ての言葉に
「ここでお願いします」
言えばそのまま深く頭を下げてから足音を立てずに去っていく姿に何が起きているのか俺だけがパニックになっていた。
植草さんは夢の旅館経営に少し思いを馳せていたらしいが、人との出会いと出会いに夢を望む方には圧倒的来客の少なさに物足りなさはジレンマとなり、ひょっとした俺はここで終わるのか、終わるつもりはないと言ってこのままでは不貞腐れる人生になるかもしれないとすぐに残りの人生を想像してお受けしたというその判断力俺は大好きです。
むしろ最初からこうなる事が分かっていただけにチャンスをものにする貪欲さを俺はこの話を聞いた時何も考えずに頑張ってくださいと背中を押すように応援する言葉が出来たのだ。
申し訳なさそうにこの企画を始まる前から終わらせてしまう事に顔色悪く三つ指ついて頭を下げながらフランスに行く前に話してくれたけど、俺は心地よい時間をいつも提供してくれた植草さんの応援をすることに決めていたので渡米に対する援助を申し出るのだった。
急な話なのでこれから暮らす住まいの援助をお願いしたいと言う植草さんなりのジョークだったのだろうが、俺は幸先がよくなるようにと彼が希望したアパートメントの賃貸ではなく希望した近所にあったセントラルパークを見下ろす一室を購入して餞とするのだった。
植草さんが紹介してくれた仲間も結局の所孫が、持病がと自然崩壊してしまったので今回は本当に縁がなかったかという事で先行投資の難しさを改めて思い知った。
「それでですね、爺さんの家だけど」
「もう綾人の家だろう?」
なんて言葉は会うたびに繰り返す言葉。
だけど俺は言い続ける。
法律的に俺の名義だとしてもあの家はどこまでも爺さんの家だと家自体が訴えているのでいくら爺さんが訂正しても俺は「爺さんの家」だと言う。
爺さんもいちいち訂正するくらいに付き合ってくれるけど、それももう時間の問題。
「来年の秋には売りに出そうと思っています」
この言葉に少し寂しそうに目を伏せて
「もっと早く売ればいいものを……」
きっといつまでも残してほしいのだろう。
言葉と裏腹な思いは少しだけ寂しそうな色合いが俺の耳にそう届けるも俺は首を横に振って
「俺の我が儘です。
爺さんの初盆を勝手にあの家で俺がしたいだけなので」
ここまでが俺の供養の仕方。
他人にとやかく言われるつもりはない。
爺さんも自分の残り時間の事は当人が一番知っていると言うようにここはあっさりとスルーして
「他人の爺に時間をかけるより先祖を敬え」
「爺ちゃん達とはこれからもずっと一緒だから……
だから一回ぐらいは気にしませんよ」
うちのジイちゃん達はその程度ですねたりしない。
むしろ親しい友人をないがしろにするなと言って怒りに来るくらいの気性。
孫バカだったけど鉄二さんと長沢さんを見ていればこれくらい理解できる。そして誰も知らない所で少し拗ねていたりしてかわいいなジイちゃんと思っているなんては今となっては知らないだろう。知っていたらマジこわいけど。
「なら、今回だけは甘えさせてもらおうか。盛大に花を飾ってくれよ」
肩をすくめる爺さんはそんな未来さえ建設的に話を進めてみせる、きっと俺が目指すべき姿なのだろう。
次の年のお盆、言われた通りかつて仏壇があった所に爺さんの写真を飾り、これでもかと言うくらい壁一面に色とりどりの花を飾った。
花は主に奥様が好きだった花を花屋に無理を言って取り寄せてもらった。
そこは東京。
早くから企画しただけに生産者と打ち合わせをして見事集めきってくれたプロ根性に拍手喝采。
病室で遺影用にと撮った満面の笑みの写真と一人向き合って初盆を過ごすつもりでいたのに
「ああ、綾人。薫から聞いていたが……」
飯田さんのお父さんが割烹着を片手に青山さんと飯田さんは段ボール箱を抱えてやってきた。
何をと思ったが
「台所借りるぞ」
その一言だけを残して二人を連れて引きこもってしまった。
何が起きたんだと言うようにそっと一階の料理人を呼んで料理をさせるための青山さんのレストラン顔負けの調理場に潜り込んで親兄弟揃って料理を始めるのだった。
何か俺の知らない所で動いている事はわかったが、この夏一番のかきいれ時だと言うのに飯田さんのお父さんが来る事にドアにへばりついて固まって覗いてしまったまま身動きできないでいればピンポーンとチャイムが鳴る。
そこで我に返ってお出迎えに行けばなぜかそこには植草さん。
「あれ?」
ニューヨークにいるのでは?と思うも
「お盆なので夏休みを貰って帰ってきました」
向こうにはお盆と言うイベントがないので気軽に夏休みを頂けるのですよと言う姿はこの家全館冷房なのでピシッとしたスーツ姿のままでもむさくるしさはない。飯田一家に挨拶をしたのちにバックヤードに荷物をさっと片付ければすぐにまたピンポーンとなる。
何事?!
振り返れば植草さんがすぐに迎えに行けばそこには桜井さんを連れた楓雅さんが立っていた。
「親父に手を合わせに来ました」
葬式依頼久しぶりに顔合わす楓雅さんは神妙な顔をしていたものの俺はすぐに案内すればその間に植草さんは飯田さんにお茶をお願いに足を運んでいた。
仏壇もなく、ただ写真と花を飾った元仏間。
噎せ返る様な花の香りは主にユリから。
どれだけ使ってるのかなと真っ白なユリはすでに開花しているものはちゃんと雄蕊を取ってある気遣い。この季節このまま花を開き切らずに終わってしまうのがもったいなく思うもそれでも美しく咲き誇っていた。
案内したのは爺さんお気に入りの客間の理由は奥様の写真を飾っていたため。
いろんな部屋にも飾ってあったがやっぱり仏壇が一番心を寄り添える場所だったのだろう。
お線香もおりんもないメモリアル仕様な部屋だがそれでも手を合わせて亡き父親の写真と向かい合い挨拶をする。
かつてはここにあった仏壇は今では楓雅さんのご自宅に移られていて、あとから知った事だが木下家は新盆なのでひと月前にとっくに終わっていた。
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俺の勝手だしと少し爺さんには申し訳なく思ってしまったがこの写真を見てどうでもよくなったステキな笑顔は少し意地が悪い笑みに見えるのだから不思議だ。
「遅れましたが、これはおふくろが好きな菓子で」
ここで何度も食べた栗羊羹を頂いた。
爺さんが好きだとか俺が好きだとかそう言うものではなかったらしい。
この家は奥様が中心となって成り立っていた事をどこかわかっていたにもかかわらずなるほどと納得しながら
「ありがとうございます。今用意してもらうのでどうぞおくつろぎ下さい」
そう言って足を崩しながら飯田さんに渡せばすぐ横の給湯室で改めてお茶から準備をし直してくれた。
その間ずっと無言の時間が流れた後新た淹れてくれたお茶を頂いた所で
「改めて、この家に久しぶりに来ましたがずいぶんと寂しい、そう思ったけどこうやって親父と顔を合わせることが出来て……」
あとは言葉にならなかった。
だけど時間を置けば冷えたお茶と少し乾いてしまった栗羊羹を頂きながら話を交わす。
会社を受け継いだものの爺さんがいた時ほどスムーズに事は運ばなくなり、事業もいくつか縮小したと聞く。
何より今まで取り持っていた縁は総て爺さんの縁。
代が変わっても同じように、とはいかずずいぶん苦労しているさまは噂の届かない遠く離れた深山でも株の変動を見ただけでも様子はよくわかる。
苦労は顔ににじみ出ていて、疲れ切ったその様子に不安を覚える中
「綾人さん。お食事が用意できましたがどちらにしましょうか」
飯田さんが廊下に正座して顔を上げずにご実家の料亭の制服を着ての言葉に
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