異世界召喚に巻きこまれたらスマホがバグって騎士団団長の妻になるそうです

雪那 由多

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真打登場

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 花の名前は良く知らない。特に異世界の花なんて判るかという物だが、皆さん同じ花の色違いを胸元につけていた。どうやらそれが今までのお詫びと友情の印。どの世界もお揃いと言う物には特別な意味を持つらしいとその可愛らしさに確かな友情が出来た事を安心し、それが十年後となるとサバイバルレースのライフポイント的な騙し合いの世界になるのかと俺の職場が特殊だったことを切に願ってしまう。
 ともあれ、二人のあいだに聖華ちゃんが入り、エヴィリーナ・ブラフィルド侯爵令嬢の隣でそっと手を握って睨みつける様子にフレーデリク殿下とその仲間達も一瞬うろたえる様子が見てわかるもそこは王子様。
 むっとした顔をして

「セイカは騙されてる。
 セイカはこちらに来たばかりだからエヴィリーナのずるがしこさを知らないのだ!
 人を見下し、その地位から下の者を人と思わず、そんな小さなブローチ一つで懐柔できると聖女をバカにしているのだぞ!」

 顔を真っ赤にして聖華ちゃんに説明するわけでもなくエヴィリーナに向かって喚き、足を進め、威圧するように大声で叫ぶ様にさすがのエヴィリーナ嬢も顔色を悪く血の気が引くと言う様に唇を青くして、でも懸命に足を踏ん張っているものの堪える瞳に当人たちで解決できればと見守っていたがさすがにこれ以上はいけないと立ち上がれば

「両者そこまで」

 一人の男性の声が静かに辺りに広がった。
 誰もが振り向けばこの庭園の入り口には

「ノルドシュトロム国王陛下におかれましてはご機嫌麗しく」

 完全に固まって誰も言葉を発する事が出来ないこの状況で俺は視界の端のあんちょこ通りに挨拶とそして右手を左胸に沿えて頭を下げるのだった。
 そこで時間が動いたと言う様に一呼吸遅れて全員が揃って同じ言葉で挨拶をしていた。
 その様子に満足とは言わないがこちらへと足を運び

「定例の聖女殿の茶会に学友が参加と聞いていてな。
 レディ達の囀りに終わりはないだろうとちょうど午前の仕事も早く終わったからたまには迎えにこようと足を運んだまでは良いが、フレーデリク。
 これはどういう事だ」
 
 真冬の森のような、氷の世界でもなお耐えきるような冴え冴えとした瞳が息子へと向けられる。
 びくりと体を震わし視線を彷徨わせながら

「エヴィリーナは私の婚約者でもあるにかかわらず、何度忠告をしても聖女を貶める言動を止める事をせず、聖女に命じて王宮で茶会を開かせるなど王太子妃に相応しくない振舞い。まだ婚約者の身でありながら王族の一員のような態度を止めるべく足を運び聖女を守るべくこの場に参りました」

 そんな言い訳にそれ誰情報と問いただしたい。
 それに後ろの四人もその言葉を固く信じるかのように震えながらも正義は我にありと言わんばかりに力強く頷いていた。
 だけど国王陛下はまるですべて見ていたと言う様に溜息を吐き、何故かテーブルに着いて側に居た侍女に茶を用意させた。

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