異世界召喚に巻きこまれたらスマホがバグって騎士団団長の妻になるそうです

雪那 由多

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ばーれーたー……よな?絶対……

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 その間の無言の時間が悠久かと言うように長く続いたが、淹れられた紅茶を口元に近づけ、香りを楽しみながら

「この茶会は確か聖女殿が唯一の同郷の者との親睦を深め戻れぬ故郷を偲ぶ為の茶会と聞いている。
 今回は友人を紹介したいと聞いたからこの庭園を提供したのだが、なぜ招待されてもないのにお前はここにいる」

 怒りと呆れを含んだ声にフレーデリクはその、あの、と言葉を見つけれずに地面を見つめていた。

「そしてお前達もフレーデリクがこんな事にならないように諌める役として付けたと思ったのに何故フレーデリクと一緒になって聖女の騎士気取りをしている。
 お前達が守る相手はこの国とお前達の婚約者のはずだ。
 そのような騎士以前に貴族としての取り決めも守れぬ者は必要ない。
 フレーデリクの警護の任を解く」
 そんな、と言いかけた彼らだけど、その中の一人が前についと足を出して

「承りました。陛下の命を守れず申し訳ございませんでした」

 そう言って深く礼をする姿に誰もが言葉を失い、そして同じように謝罪と頭を下げた。

「今日中には家の方に連絡を入れておく。
 そしてフレーデリクは当面自室に謹慎だ。当然だが聖女との面会は許さん」
「……はっ」

 不満だらけの王子の返事に陛下は優雅に茶を傾ける。
 その結末は陛下の護衛が彼らを引き連れて退出をし、まるで何もなかったと言うように庭園の花々は咲き乱れていた。とても絵になると言うように誰もがその一枚の絵のような光景にそっと熱のこもったため息をこぼしてしまいそうになる視界の端で真冬の地へと赴くのかのような後ろ姿を黙って見送り

「ブラフィルド侯爵家令嬢、フレーデリクが申し訳ない事をした。
 こうなるとアレとの婚約も継続は難しくなるだろう。アレは王太子としての任は難しいだろうから望めば婚約の解消を受け入れよう。十年に渡る王太子妃としての務めに代わる望みは可能な限り要望に沿うつもりだ。侯爵とゆっくり話をすると良い」

 そんな大盤振る舞いなまでの提案は国を揺るがすのではと思い慌てて口を挟む。

「だったらアレックス、もし彼女が望めば聖女の側付きなんてどう?
 なんて言うの?専属侍女?よくわからないけど、折角王太子妃として、いずれ王妃として学んだ知識をただ野に放つなんてもったいない。
 聖女を王家が保護するのなら新たに雇う者よりよっぽどブラフィルド侯爵令嬢をあてがう方が聖女の為にもなる。
 この国の政治的なバランスはよくわからないけど、フレーデリク王太子とどんな理由であれ婚約解消となればみんなその知識を狙って令嬢が辛い目を見るのは考えるよりも容易い。
 だったら聖女と共に王家が保護する立場で簡単に言い寄る者がいない状況にする方がましだと思うんだ」

 ついにベットの上だけではなくこんな複数が見守る場でも俺はぺらぺらといっぱいな事を言う様になっていた。
 しかも視界の端には『シナリオモード中』なんて絶対俺の意志なんて関係ないと言う文字が躍り出る様になって自重する気は全くなくなったようだ。
 くっそーと思いつつもその提案は俺が思うよりは悪い物ではなく……

「なるほど、聖女付きの侍女か。
 だが何れ教会も聖女の身柄について乗り出して来るのだろうが……」
「そこは聖女様の言葉と意志ではねのけてもらうのがよろしいかと」

 聖華ちゃんのメンタルの強さと言うか、きっとこのシーンを乗り越える知識チートをお持ちだろうからそこは聖華ちゃんに任せようと思う。現になるほど、それだったら任してと両手を胸の前で合わせての逞しい宣言。
 この世界を盛大に楽しもうとする彼女の男前すぎる気合に皆さんなぜか一緒にがんばりましょうと全員侍女志望という仲間意識に何か違う方向に向かっているような気もするが……

「ならば本日は家で待機すると良い。後ほど全員の邸に書簡を届ける事になるから先に家族に話をしておくのも良いだろう」

 そう言って退出の許可を出した後

「なら我々は昼食に向おう」
「はい」
 
 と返事をした所でアレックスは俺の腰に手を回し、今日は翡翠の宮殿に向かうと案内をする俺達の背中を六人の少女の視線が突き刺さるのを俺はこれはばれたなと覚悟を決めるのだった。









 
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