異世界召喚に巻きこまれたらスマホがバグって騎士団団長の妻になるそうです

雪那 由多

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子供とは成長する物なのです

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 その後はもう昼下がりの情事に耽る気分にはならず服を着てお茶を飲むアレックスと俺。
 少し考えたいからと言ってアレックスは自らお茶を淹れて俺にご馳走してくれたのだ。
 なんというかロイヤルなお味でと言いたかったが、正直俺のザーメンを美味しく頂くバカ舌では茶の良し悪し何て判る分けしない。自分で言うのもなんだが本当に残念だと言いたくなる。
 アレックスはさっきの俺の言葉を吟味するように考え込むも、正直その姿は通常モードの俺でも一枚の絵画のような姿で見惚れてしまう。
 背景が紅玉の離宮の名前の通りルビーをふんだんに使った絵画や装飾に溢れている何とも贅沢なお部屋なのでまさに芸術だと関心をする。
 芸術何て高校の美術の授業が触れ合う最後の期会だった残念な俺の経歴でもアレックスの姿が見惚れるしかなく

「どうした。ずっと私の事を見ていて。惚れたか?」
「ええと、その……」

 クラエスがいると言う身なのでそこはノーコメントを通させてもらったがアレックスはくつくつと笑い

「意地悪すぎた質問だったな」
「まぁ、一応結婚しているので」

 言えば楽しそうにアレックスは笑う。

「さっきまで散々可愛がって悦んでいたくせに?」
「ええと、気持ちいいのは嫌いではないので?」

 ちょっと俺何言ってるのー?なんて恥ずかしくなって俯いてしまう。ビッチモードよこう言う時の対処お前の方が上手いだろ、なんで働かないんだよ!何て文句はきっと今アレックスが俺の事を性的な目で見ていないからなのだろう。そこはノルドシュトルム国魔法師団長エリエル・エルステラが証明してくれているので信用している。
 珍しくアレックスとお茶を飲んでいれば離宮の外が賑やかになって来た。
 何だろうかとアレックスに視線で問えば離宮の入り口で待機をしていた侍従の人が

「失礼してもよろしいでしょうか」

 部屋の外から扉を開けずに声をかけてきた。
 さりげなくベットルームの部屋の扉を閉ざして

「騒がしい。どうした」
 
 威厳ある声に先ほどまでの俺を愛でる声とは全く違い改めて王様だなあと感心してしまう。

「陛下にお目通りを!」
 
 何て聞こえてきたのはクラエスの物。
 侍従の人達が止めてくれてるのは俺の為ではなくアレックスを殴り飛ばさないための処置なのは理解できて、ビッチ俺がご迷惑かけておりますと心の中で謝り倒していればアレックスはすぐに立ち上がって扉の方へと向かい、騒がしいと言う態度を隠さずに自ら扉を開けて

「クラエス・グランデル騎士団団長、貴殿を招いたつもりはないが」

 あからさまに気分を害したと言う声にクラエスはハッと目を見開くも直ぐに恭しく頭を下げて

「すぐに報告に上がらなければならない事案が発生しまして」

 どこか落ち着いた、家では聞く事のない騎士としての声に俺よりも年下のあの若さで騎士団の長に上り詰めたクラエスは先ほどまでの動揺は一切見当たらなかった。 それだけにアレックスはどこかいらいらとしながらも

「して、何用だ」

 どこか棘のある声は俺との密会ではないがその邪魔をさせられた怒りだろうか。なんてバカな事を考えていれば

「あ、こら、もふ!
 陛下の御前、大人しく……!」

 途端に慌てる声のクラエスにアレックスもいぶかしんで扉の外を覗き込んだと思ったらすぐに壁際に隠れた。

「くるるるるる!!!」
「え?この鳴き方は……もふ?だけど声低くね?」

 俺の呼びかけにクラエスを踏みつけて乗り越えて室内に姿を現せた成人男性ほどの大きさの翼としっぽのあるトカゲ属性のもっふもっふな鬣と翼と、何よりも印象の深い黄金の瞳が俺をとらえて駆けだしたかと思えば

「アトリぃー!」

 一瞬その姿が輝いたかと思えば少年の体で翼としっぽをはやしたまま服を纏う事のない姿で母親を求める子供の如く甘える声で一直線に俺に飛びついて来た。

「え、え?本当にもふ?!」
「そうだよー!アトリ―!」

 走ってジャンプして俺の胸の中に着地!
 ごふっ!と肺からすべての酸素を吐きだし辛うじて受け止めた物の結局バランスを崩して
 
 ゴッ!

 かなり無防備に頭をぶつけるように倒れた俺に

「アトリ大丈夫?」

 倒れた俺の上にまっぱのまま座るもふが俺の顔を覗き込むのを理解できないと言うように意識を飛ばすのだった。

 




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