7 / 49
#6 笑顔の裏側
#6 笑顔の裏側
しおりを挟む
ミハイルの部屋には、ミズキの知らないものがたくさんだ。
例えば、食べ物を極めて短時間であっためてくれる「レンジ」と呼ぶ機械。魚や生物は外に出しておくと腐ってしまう。それを防ぐための箱「冷蔵庫」。氷を溶かさないようにする「フリーザー」。しかもここには、果物を絞ったジュースを凍らせた、甘くて冷たい「アイスキャンディ」なるものも入っている。
さらには「テレビ」には、番組を見るほかに、なんとゲームが出来る機能があるという。
ゲームとは暇な時間に楽しむ娯楽だと教えてもらった。
「あなたはスナイパーでしたね。どうです? 自らが潜入して敵地を攻撃するゲームでもやってみますか?」
ミハイルにゲームのコントローラーを渡されたものの、どうやって持つかもわからなかった。使い方を一通り教えてもらったが、すぐに夢中になってしまった。
「まるで小さいころの弟を見ているようです」
ミハイルはくすくす笑っていた。
ゲームはグラフィックも美しく、音声やフィールドの雰囲気など、臨場感があり、まるで実戦を行っているようだ。すぐそばにあるスピーカーから響く爆音にびっくりして、コントローラーを放り出しその場に伏せたが、ミハイルの部屋だと思い直して、またコントローラーを握るのだった。
ディスタンシアでは見たことがないものばかり。
こんなものが溢れているクラリスという国は、夢の世界ではないのか。
時間の流れすら気づかず、ミハイルから「あまり遊ぶと、目を悪くしますよ」とくすくす笑われてしまった。
「さて夕食の時間ですよ。ディスタンシアの方の口に合うかどうかはわかりませんが。出かけましょうか」
「出かけるってどこへ?」
「夕食を食べに行くんですよ。さ、着替えて」
ミハイルは言いながら、クローゼットを開け、紙袋を取り出す。少し大きめのショッピングバッグだ。どこか外国の文字が書かれているそれを押し付けられ、ミズキが受け取ると、ミハイルは開けろとばかりに顎をしゃくった。
「あなたのサイズに合うといいのですが」
袋を開けると、中にはチノパンやGパン、パーカー、カットソーなどシンプルなデザインの洋服が数点入っている。
「さすがにパジャマではレストランには連れていけませんからね」
「レスト……ラン?」
「ええ。あなたにこのクラリスの街を案内しましょう。お腹もすいたでしょう?」
「でも…夕食を食べに行くんですよね?」
「ええ」
「レストラン…って、ランって走るっていう意味ですよね。走りながら食べるお店なんですか?」
「……あなた、もしや」
なにやらミハイルが目を丸くして固まった。
何か妙なことでも訊いただろうか。
ミズキは疑問を素直にぶつけただけだ。
二人の間の空気がなんともいえない雰囲気になる。
ややあって、ミハイルがぷっとふきだした。
「本当にディスタンシアという国は不思議ですね」
****
レストランというところは、自由に、そして気軽に食事をとる店なのだと、ミハイルが教えてくれた。
なにせディスタンシアにいたときは、軍の施設から外に出ることはミッションの時だけだったし、ディスタンシアの国土はあらかた破壊されつくしているから、華やかな街なみなど見たことがない。
それにいつもシュトラウスの監視がついていた。「おまえの腕でなら、このミッションは数分だ。午後にはここに戻ってこれるだろう」――それは時間の予測ではなく、シュトラウスから言い渡された門限のようなものだった。
そんな風にすべてを管理されてきたから、ミズキには「平穏」や「自由」がわからない。
「さあ、ここがクラリスの繁華街ですよ」
ミハイルがくれた洋服の中から、薄手の青いパーカーとジーンズを身に着け、エスコートされるままついていく。
夕暮れのプロムナード。花を売る店、服を売る店、様々な商店が道の両脇に並んでいる。中にはオープンカフェの店もあり、そこではカップルが何やら楽し気に話をしていたり、読書にふける老婦人がいたり、皆、思い思いに自分の時間を過ごしていた。
クラリスは快進撃を続けている。ミズキは時折空を見上げているが、遠くで響く爆音も、近づいてくる航空機の気配もない。
ここには、ディスタンシアでは日常的となっている空襲警報の心配もなく、本当に戦争中なのか疑いたくなる。
日が沈みかけ、店じまいをする店もある中で、飲食店街は活気づいている。軍人などを相手に夜の営業の準備をする店が多く目立ってきた。
「私の行きつけの店です」
ミハイルはミズキの手を取り、通りのはずれにあるガラス張りのレストランへと案内した。
そこからはなにやらいい匂いが漂ってきて、ミズキの腹が早くも我慢できずにキュウと鳴る。
「この店はパスタがおいしいんです。イタリア料理の店でしてね。食べたことは?」
「ぱす、た?」
「……食べたことも見たこともないという顔をしていますね。大丈夫、期待していいですよ」
ミハイルがドアを開けると、店の中の喧騒が塊のように押し寄せて二人を出迎える。驚いてミズキが身を固くすると、ミハイルは「大丈夫」とばかりにミズキに軽くウインクをして、店内へエスコートする。
店の一番奥の席がミハイルのいつもの特等席だという。彼に椅子を引いてもらい、向かい合わせで座ると、ほどなく闊達そうな女性が「いらっしゃい」と注文を取りに来た。
「あら、ミハイル。今日は新顔を連れているね。新兵の子かい?」
「やあジュリア。この子は訳ありの子なんです。ディスタンシアの子でね」
ジュリアと呼ばれた長い髪に緩いソバージュをかけた女性は、ディスタンシアという名前を聞いた途端、その美しい眦をわずかに吊り上がらせた。
「ディスタンシア人なのかい、あんた?」
「……たぶん」
「たぶん?」
瞬間的に友好的ではない空気を察知し、ミズキは思わず目を伏せる。
「……あんた、名前は?」
「……ミズキ」
「ミズキ……いい名前だね。でもこのあたりの名前じゃない。リーベットでよく聞くような名だ。それによく見るとあんたの瞳は色が違うね。とはいえ、ディスタンシア人には見えないけど」
女性は名前を聞いてにっこり笑ったが、その目は笑っていない。
敵国の名に反応したか、客席に不穏な空気が流れているのを感じる。さっと視線を走らせると、周囲の客席からも何人かがちらちらとこちらを見ている。
ミズキに興味がある、そんな温度ではない。このまま取り囲まれて私刑でも受けるんじゃないか。そんな恐怖に苛まれ、ミズキは座ったまま、わずかに身構える。
テーブルの上に武器になりそうなものはないから、何とか自力で切り抜けなければ。
「目が据わってますよ。ここはレストランなのですから、戦地の感覚はお忘れなさい。ここで大暴れしたら、営倉よりひどいところに放り込まれますよ」
「だけど……周りが」
「皆、あなたの異色光彩を見てるだけですよ。なにせあなたは可憐な人だから」
「だから、そういう扱いは――」
「だったら大人のマナーを身に着けることです。周囲の視線など無視しておきなさい」
ミズキの抗議をさらっと流し、ミハイルは女性店員にあれこれオーダーを出していく。それはどれも聞いたことがない名前ばかりだった。
本当に食べ物なのか、まさかその食事の中に薬でも入れる合図なのかと訝ってしまうが、どのみち逃げられないし、逃げたところでどうにもならない。
ここはクラリスだ。ディスタンシアとは交戦中。そしてミズキはクラリス軍人を何人も殺したのだ。
今、ここで働いている人が、その遺族だってあり得るのだ。
任務とはいえ、自分のしでかした罪の大きさを知る。平和な場所であるほど、自分の身体から漂う、犠牲者の血の匂いが濃くなるような気がする。
戦争だったから仕方ないと、そう割り切れるほど心は強くない。
ミズキの今いる場所は、非戦闘員が集まる場所。つまり戦争において、いちばん戦地から遠い場所にいるのに、いちばん戦争の大きな害を被る人たちということになる。
そんな人たちを前に「仕方なく殺した」なんて言えない。
これから食事だというのに、気分が一気に重くなるが、身体は正直に空腹だと告げている。
「ほら、きましたよ」
ミハイルがにっこり笑って、給仕から皿を受け取った。丸い木製の皿の上には、トマトやアスパラガス、ハムなど色鮮やかな野菜の上に、白くとろりとしたものがたっぷりとかかり、湯気が立ち上っている。食欲を刺激するいい香り。重くなっていたはずの胃が、興味も手伝って、少しだけ軽くなる。
「これ…は?」
ミズキが皿を指さしながら聞くと、ミハイルは丸いカッターを手に、その皿の上に載っているものを8等分に切り分けた。その中の一つを小皿にとりわけ、ミズキに差し出す。
「食べてごらんなさい。熱いから気をつけて」
「どうやって?」
「手に持ってかぶりついてもいいでしょうし、ナイフやフォークを使って切って食べてもいいですよ。ご自由に食べやすい方法でどうぞ。冷めないうちに」
ミハイルから言われて、ミズキはしばし悩んだが、それをくるくると丸めてみる。
横から零れ落ちる真っ赤なソースと格闘しながら、かぶりついた熱々の初めての味に一気に心を奪われる。
「あ……」
「おいしいですか?」
放心したようにミズキが頷くと、ミハイルは「そう、よかった」と満足げに笑う。
「それはピザという料理です。イタリアの料理だとか。なんでもイタリアではこれは母の味なのだそうですよ」
「お母さんの味?」
「ええ。女の子はこれが作れないといけない。そしてこの味は家庭によってこだわりがある。だから作る人の数だけのピザがある……と聞いたことがあります。その赤いトマトソースなどは特にうるさいそうですよ」
野菜の甘み、トマトの酸味、そしてこの白くとろとろしたものがそれらを包み込んでいる。野菜がのる、薄く香ばしい生地も小麦の味がして、ほんのり甘くておいしい。
「この白くとろりと伸びる食べ物は?」
「これはチーズといいます。牛のミルクから作られますが、ほかにもヤギの乳などから作られるものもあります。作る乳によって風味もコクも違ってくるんですよ」
「ミルク……」
「ええ。まさかミルクすら飲んだことないとか?」
「さすがにそれはない。ミルクくらい知ってる」
ディスタンシアではまともな食べ物などめったに入らないから、野菜といえば草のつるとか、何かの根っことかそんなものだ。毒の見極めだって必要だし、ミルクも最後に飲んだのはいつだったか。
ディスタンシアでは、どのようなものであれ、食べ物を得るのは命がけだ。
それなのに。
物資の違いとはこういうものなのか。
クラリスでこんなごちそうを毎日食べることができているのなら、食糧不足で体力的にも精神的にも参っているディスタンシアが、戦争で勝てるわけがない。
捕らえられ、捕虜になり、こうして敵国の物量の豊かさを見せつけられる。自分のしたことは、クラリスにとって本当に「打撃」となりえたのか、考えたくもない。
無駄弾を撃っただけなのではないか。
「食事の時に暗い顔をするものではありませんよ」
ミハイルに言われ、ミズキがハッと顔を上げる。頬杖をつくミハイルと視線がぶつかる。
「故郷に思いでも馳せていたのですか?」
「そうじゃない」
「では何を考えているんです?」
「……いや。ぼーっとしてただけ」
「まあいいでしょう。ほら、メインディッシュが来ましたよ」
見れば、先ほどオーダーを取りに来たジュリアが丸い器を二つ持ってやってきた。
それをミズキの前に一つ置く。
ほわんと湯気の立つ麺がこんもり盛られている。それにとてもいい匂いだ。
「にんにくと唐辛子のペペロンチノだよ。冷めないうちに召し上がれ」
ミズキは目を丸くして女性に聞き返す。
「ぺぺろんちの?」
「あんたまさか、ペペロンチノを知らないのかい? まさか、ほかの料理も口に合わなかった?」
「ううん、とっても美味しい。ただ、ここで出される料理は、いろいろと初めてなのでびっくりしてしまって……すみません」
「初めて?」
「料理自体も、食べ方も。すべてが初めてで気後れしてしまって」
ミズキが頭を下げて謝ると、女性はミズキを指さし、ミハイルに向かって大げさにため息をついた。
「ちょっとミハイル、あんた、とんでもない田舎の子を連れてきたもんだね?」
ジュリアが呆れていると、ミハイルははははと笑った。
「それだけディスタンシアは食べるものがないのですよ。おそらくこの子もパンと水、もしくはわずかな野草の薄いスープくらいの食事が常だったのでしょう。だから色々食べさせてやりたいと思ってここに連れて来たんです。おいしいものを食べれば、身体だけじゃなく心が満たされる。彼はいろいろあって、心身ともに疲れ切ってしまっているから、ジュリア姉さんの料理で彼を元気づけてやりたいのですよ」
「ふうん……」
ジュリアは何か訝しがりつつも「ま、そんなことなら、あたしが腕を揮うしかないね」といい、厨房へ戻っていった。
その後ろ姿を見ながら、ミハイルが呟く。
「あれは私の姉です」
「中将のお姉さん? それにしてはあなたと全く似ていない」
「姉といっても義理の姉。私の兄、ヘンドリックの妻でした。クラリスが本格的に交戦状態になる前は、世界中を飛び回って料理の修行に明け暮れていたんですよ」
店の奥、客と客の間から、垣間見える厨房がぼっと明るくなり、その周囲の客が「おおう!」と感嘆の声を上げる。油が弾ける大きな音、そして香味野菜の何とも言えない香りが漂ってくる。
「料理上手でしてね。口癖は『料理は実験』でした。レストランでおいしいものを食べては、家でその味を再現して、私や兄にごちそうしてくれました。世界中を飛び回っていたから、家にはいないことのほうが多かった。それでも兄は『そのほうがジュリアらしい』といって、軍の仕事をこなしていました」
「軍人の給金なんてしれてるでしょうに」
ミズキ自身は給金をもらったことなどないが、アルベルトがよく「軍人は安月給で命を懸けてる」とぼやいていたことがある。
「よく奥さんの我が儘を通せましたね」
「有能な人で、軍での地位も高かった。ジュリアが留守がちだったので、ほぼ独身みたいでしたが、幸いにしてお金には事欠かなかった。すれ違いの多い二人でしたが、夫婦仲はとても良かったんですよ。戦争が終わったらジュリアと一緒に料理店を開くのが夢だと、私にいつも話してくれました」
「あなたのお兄様はどちらに?」
フォークでパスタをすくいながらミズキは訊ねた。
「兄は戦死しました。二年ほど前に」
「亡くなった?」
「ええ。敵の狙撃による暗殺です」
ミズキは思わずフォークを取り落とした。喧騒の中から自分だけ切り取られたように、ゆっくりと床に落ちるカトラリー。かしゃんという音を合図に、ミズキの周囲の景色を過去へと塗り替える。
「あ…」
動揺を隠したくて、フォークを拾おうとしたミズキをミハイルは手で制した。
「落ちたカトラリーは自分で拾う必要はありませんよ。新しいのを持ってきてもらいましょう」
「え、う、うん…」
ミハイルの鋭い刃の如き視線とかち合う。それは罪の槍となり、ミズキの心臓をザクリと正確に貫いた。
狙撃で命を落としたのなら、やったのは間違いなくミズキだ。
不意にミッションの風景が頭をよぎった。狙いはいつも正確だ。ロックオンしてターゲットを追い、速やかに射殺して離脱する。その時の自分は殺戮機械だ。
スコープの向こうで絶命するターゲット。
たった一発の銃弾で、クラリスの要人や軍の関係者を次々と天国へと送った。
できるだけ苦しまないで済むように、全員頭を吹き飛ばしてやったけれど、その中にミハイルの兄も入っていたのだろう。
ミズキはターゲットの背後にいる人々の笑顔まで撃ち砕いたのだと思うと、両手がぶるぶる震えてくる。
その人はどんな人だろう。無性に知りたくなる。
「あの……」
「すみませんでしたね」
開きかけた口をミハイルが止めた。
「食事中にする話ではない。私が無粋でした。兄の死はあなたのせいではない。今は戦時中、悲しいことは日常茶飯事です。早く平和が来ることを祈るだけです」
「でも」
言いかけたミズキの口を手で軽く抑え、ミハイルは「何も言わなくていい」とばかりに、横に首を振る。
「さあ、温かいうちに食べてしまいましょう。残すのは、作ってくれた人に対するマナー違反ですよ」
ミハイルは言いながら、ピザをミズキに取り分けた。
平静を装っているのに、その視線は翳っている。
彼らの大切な人を、夢を、希望を、明日を、未来を壊したのはミズキだ。
ここで激しく詰ってくれればどんなにか楽なのに、ミハイルは何も言わない。
それが逆につらい。罪悪感に苛まれ、いっそ今すぐここを飛び出したい衝動に駆られる。
ミハイルの元から逃げてしまえば、ミズキはこの場で銃殺だ。
ミズキが死ねば、少なからずジュリアの恨みも悲しみも和らいでいくに違いない。
美味しいものがたくさん並んでいるテーブルは、とても豪勢なのに、とてつもない悲しみに彩られた食卓になっている。
食欲などとうに吹き飛んだ。だけど、ジュリアは怨嗟を胸の奥に閉じ込めて、ミズキのために こんなおいしい料理を作ってくれた。
――憎きディスタンシア人のために。
残さず食べることが、彼女への最大限の礼儀だ。
ミズキは冷めかけたピザをかじり、その平和の味をかみしめた。
例えば、食べ物を極めて短時間であっためてくれる「レンジ」と呼ぶ機械。魚や生物は外に出しておくと腐ってしまう。それを防ぐための箱「冷蔵庫」。氷を溶かさないようにする「フリーザー」。しかもここには、果物を絞ったジュースを凍らせた、甘くて冷たい「アイスキャンディ」なるものも入っている。
さらには「テレビ」には、番組を見るほかに、なんとゲームが出来る機能があるという。
ゲームとは暇な時間に楽しむ娯楽だと教えてもらった。
「あなたはスナイパーでしたね。どうです? 自らが潜入して敵地を攻撃するゲームでもやってみますか?」
ミハイルにゲームのコントローラーを渡されたものの、どうやって持つかもわからなかった。使い方を一通り教えてもらったが、すぐに夢中になってしまった。
「まるで小さいころの弟を見ているようです」
ミハイルはくすくす笑っていた。
ゲームはグラフィックも美しく、音声やフィールドの雰囲気など、臨場感があり、まるで実戦を行っているようだ。すぐそばにあるスピーカーから響く爆音にびっくりして、コントローラーを放り出しその場に伏せたが、ミハイルの部屋だと思い直して、またコントローラーを握るのだった。
ディスタンシアでは見たことがないものばかり。
こんなものが溢れているクラリスという国は、夢の世界ではないのか。
時間の流れすら気づかず、ミハイルから「あまり遊ぶと、目を悪くしますよ」とくすくす笑われてしまった。
「さて夕食の時間ですよ。ディスタンシアの方の口に合うかどうかはわかりませんが。出かけましょうか」
「出かけるってどこへ?」
「夕食を食べに行くんですよ。さ、着替えて」
ミハイルは言いながら、クローゼットを開け、紙袋を取り出す。少し大きめのショッピングバッグだ。どこか外国の文字が書かれているそれを押し付けられ、ミズキが受け取ると、ミハイルは開けろとばかりに顎をしゃくった。
「あなたのサイズに合うといいのですが」
袋を開けると、中にはチノパンやGパン、パーカー、カットソーなどシンプルなデザインの洋服が数点入っている。
「さすがにパジャマではレストランには連れていけませんからね」
「レスト……ラン?」
「ええ。あなたにこのクラリスの街を案内しましょう。お腹もすいたでしょう?」
「でも…夕食を食べに行くんですよね?」
「ええ」
「レストラン…って、ランって走るっていう意味ですよね。走りながら食べるお店なんですか?」
「……あなた、もしや」
なにやらミハイルが目を丸くして固まった。
何か妙なことでも訊いただろうか。
ミズキは疑問を素直にぶつけただけだ。
二人の間の空気がなんともいえない雰囲気になる。
ややあって、ミハイルがぷっとふきだした。
「本当にディスタンシアという国は不思議ですね」
****
レストランというところは、自由に、そして気軽に食事をとる店なのだと、ミハイルが教えてくれた。
なにせディスタンシアにいたときは、軍の施設から外に出ることはミッションの時だけだったし、ディスタンシアの国土はあらかた破壊されつくしているから、華やかな街なみなど見たことがない。
それにいつもシュトラウスの監視がついていた。「おまえの腕でなら、このミッションは数分だ。午後にはここに戻ってこれるだろう」――それは時間の予測ではなく、シュトラウスから言い渡された門限のようなものだった。
そんな風にすべてを管理されてきたから、ミズキには「平穏」や「自由」がわからない。
「さあ、ここがクラリスの繁華街ですよ」
ミハイルがくれた洋服の中から、薄手の青いパーカーとジーンズを身に着け、エスコートされるままついていく。
夕暮れのプロムナード。花を売る店、服を売る店、様々な商店が道の両脇に並んでいる。中にはオープンカフェの店もあり、そこではカップルが何やら楽し気に話をしていたり、読書にふける老婦人がいたり、皆、思い思いに自分の時間を過ごしていた。
クラリスは快進撃を続けている。ミズキは時折空を見上げているが、遠くで響く爆音も、近づいてくる航空機の気配もない。
ここには、ディスタンシアでは日常的となっている空襲警報の心配もなく、本当に戦争中なのか疑いたくなる。
日が沈みかけ、店じまいをする店もある中で、飲食店街は活気づいている。軍人などを相手に夜の営業の準備をする店が多く目立ってきた。
「私の行きつけの店です」
ミハイルはミズキの手を取り、通りのはずれにあるガラス張りのレストランへと案内した。
そこからはなにやらいい匂いが漂ってきて、ミズキの腹が早くも我慢できずにキュウと鳴る。
「この店はパスタがおいしいんです。イタリア料理の店でしてね。食べたことは?」
「ぱす、た?」
「……食べたことも見たこともないという顔をしていますね。大丈夫、期待していいですよ」
ミハイルがドアを開けると、店の中の喧騒が塊のように押し寄せて二人を出迎える。驚いてミズキが身を固くすると、ミハイルは「大丈夫」とばかりにミズキに軽くウインクをして、店内へエスコートする。
店の一番奥の席がミハイルのいつもの特等席だという。彼に椅子を引いてもらい、向かい合わせで座ると、ほどなく闊達そうな女性が「いらっしゃい」と注文を取りに来た。
「あら、ミハイル。今日は新顔を連れているね。新兵の子かい?」
「やあジュリア。この子は訳ありの子なんです。ディスタンシアの子でね」
ジュリアと呼ばれた長い髪に緩いソバージュをかけた女性は、ディスタンシアという名前を聞いた途端、その美しい眦をわずかに吊り上がらせた。
「ディスタンシア人なのかい、あんた?」
「……たぶん」
「たぶん?」
瞬間的に友好的ではない空気を察知し、ミズキは思わず目を伏せる。
「……あんた、名前は?」
「……ミズキ」
「ミズキ……いい名前だね。でもこのあたりの名前じゃない。リーベットでよく聞くような名だ。それによく見るとあんたの瞳は色が違うね。とはいえ、ディスタンシア人には見えないけど」
女性は名前を聞いてにっこり笑ったが、その目は笑っていない。
敵国の名に反応したか、客席に不穏な空気が流れているのを感じる。さっと視線を走らせると、周囲の客席からも何人かがちらちらとこちらを見ている。
ミズキに興味がある、そんな温度ではない。このまま取り囲まれて私刑でも受けるんじゃないか。そんな恐怖に苛まれ、ミズキは座ったまま、わずかに身構える。
テーブルの上に武器になりそうなものはないから、何とか自力で切り抜けなければ。
「目が据わってますよ。ここはレストランなのですから、戦地の感覚はお忘れなさい。ここで大暴れしたら、営倉よりひどいところに放り込まれますよ」
「だけど……周りが」
「皆、あなたの異色光彩を見てるだけですよ。なにせあなたは可憐な人だから」
「だから、そういう扱いは――」
「だったら大人のマナーを身に着けることです。周囲の視線など無視しておきなさい」
ミズキの抗議をさらっと流し、ミハイルは女性店員にあれこれオーダーを出していく。それはどれも聞いたことがない名前ばかりだった。
本当に食べ物なのか、まさかその食事の中に薬でも入れる合図なのかと訝ってしまうが、どのみち逃げられないし、逃げたところでどうにもならない。
ここはクラリスだ。ディスタンシアとは交戦中。そしてミズキはクラリス軍人を何人も殺したのだ。
今、ここで働いている人が、その遺族だってあり得るのだ。
任務とはいえ、自分のしでかした罪の大きさを知る。平和な場所であるほど、自分の身体から漂う、犠牲者の血の匂いが濃くなるような気がする。
戦争だったから仕方ないと、そう割り切れるほど心は強くない。
ミズキの今いる場所は、非戦闘員が集まる場所。つまり戦争において、いちばん戦地から遠い場所にいるのに、いちばん戦争の大きな害を被る人たちということになる。
そんな人たちを前に「仕方なく殺した」なんて言えない。
これから食事だというのに、気分が一気に重くなるが、身体は正直に空腹だと告げている。
「ほら、きましたよ」
ミハイルがにっこり笑って、給仕から皿を受け取った。丸い木製の皿の上には、トマトやアスパラガス、ハムなど色鮮やかな野菜の上に、白くとろりとしたものがたっぷりとかかり、湯気が立ち上っている。食欲を刺激するいい香り。重くなっていたはずの胃が、興味も手伝って、少しだけ軽くなる。
「これ…は?」
ミズキが皿を指さしながら聞くと、ミハイルは丸いカッターを手に、その皿の上に載っているものを8等分に切り分けた。その中の一つを小皿にとりわけ、ミズキに差し出す。
「食べてごらんなさい。熱いから気をつけて」
「どうやって?」
「手に持ってかぶりついてもいいでしょうし、ナイフやフォークを使って切って食べてもいいですよ。ご自由に食べやすい方法でどうぞ。冷めないうちに」
ミハイルから言われて、ミズキはしばし悩んだが、それをくるくると丸めてみる。
横から零れ落ちる真っ赤なソースと格闘しながら、かぶりついた熱々の初めての味に一気に心を奪われる。
「あ……」
「おいしいですか?」
放心したようにミズキが頷くと、ミハイルは「そう、よかった」と満足げに笑う。
「それはピザという料理です。イタリアの料理だとか。なんでもイタリアではこれは母の味なのだそうですよ」
「お母さんの味?」
「ええ。女の子はこれが作れないといけない。そしてこの味は家庭によってこだわりがある。だから作る人の数だけのピザがある……と聞いたことがあります。その赤いトマトソースなどは特にうるさいそうですよ」
野菜の甘み、トマトの酸味、そしてこの白くとろとろしたものがそれらを包み込んでいる。野菜がのる、薄く香ばしい生地も小麦の味がして、ほんのり甘くておいしい。
「この白くとろりと伸びる食べ物は?」
「これはチーズといいます。牛のミルクから作られますが、ほかにもヤギの乳などから作られるものもあります。作る乳によって風味もコクも違ってくるんですよ」
「ミルク……」
「ええ。まさかミルクすら飲んだことないとか?」
「さすがにそれはない。ミルクくらい知ってる」
ディスタンシアではまともな食べ物などめったに入らないから、野菜といえば草のつるとか、何かの根っことかそんなものだ。毒の見極めだって必要だし、ミルクも最後に飲んだのはいつだったか。
ディスタンシアでは、どのようなものであれ、食べ物を得るのは命がけだ。
それなのに。
物資の違いとはこういうものなのか。
クラリスでこんなごちそうを毎日食べることができているのなら、食糧不足で体力的にも精神的にも参っているディスタンシアが、戦争で勝てるわけがない。
捕らえられ、捕虜になり、こうして敵国の物量の豊かさを見せつけられる。自分のしたことは、クラリスにとって本当に「打撃」となりえたのか、考えたくもない。
無駄弾を撃っただけなのではないか。
「食事の時に暗い顔をするものではありませんよ」
ミハイルに言われ、ミズキがハッと顔を上げる。頬杖をつくミハイルと視線がぶつかる。
「故郷に思いでも馳せていたのですか?」
「そうじゃない」
「では何を考えているんです?」
「……いや。ぼーっとしてただけ」
「まあいいでしょう。ほら、メインディッシュが来ましたよ」
見れば、先ほどオーダーを取りに来たジュリアが丸い器を二つ持ってやってきた。
それをミズキの前に一つ置く。
ほわんと湯気の立つ麺がこんもり盛られている。それにとてもいい匂いだ。
「にんにくと唐辛子のペペロンチノだよ。冷めないうちに召し上がれ」
ミズキは目を丸くして女性に聞き返す。
「ぺぺろんちの?」
「あんたまさか、ペペロンチノを知らないのかい? まさか、ほかの料理も口に合わなかった?」
「ううん、とっても美味しい。ただ、ここで出される料理は、いろいろと初めてなのでびっくりしてしまって……すみません」
「初めて?」
「料理自体も、食べ方も。すべてが初めてで気後れしてしまって」
ミズキが頭を下げて謝ると、女性はミズキを指さし、ミハイルに向かって大げさにため息をついた。
「ちょっとミハイル、あんた、とんでもない田舎の子を連れてきたもんだね?」
ジュリアが呆れていると、ミハイルははははと笑った。
「それだけディスタンシアは食べるものがないのですよ。おそらくこの子もパンと水、もしくはわずかな野草の薄いスープくらいの食事が常だったのでしょう。だから色々食べさせてやりたいと思ってここに連れて来たんです。おいしいものを食べれば、身体だけじゃなく心が満たされる。彼はいろいろあって、心身ともに疲れ切ってしまっているから、ジュリア姉さんの料理で彼を元気づけてやりたいのですよ」
「ふうん……」
ジュリアは何か訝しがりつつも「ま、そんなことなら、あたしが腕を揮うしかないね」といい、厨房へ戻っていった。
その後ろ姿を見ながら、ミハイルが呟く。
「あれは私の姉です」
「中将のお姉さん? それにしてはあなたと全く似ていない」
「姉といっても義理の姉。私の兄、ヘンドリックの妻でした。クラリスが本格的に交戦状態になる前は、世界中を飛び回って料理の修行に明け暮れていたんですよ」
店の奥、客と客の間から、垣間見える厨房がぼっと明るくなり、その周囲の客が「おおう!」と感嘆の声を上げる。油が弾ける大きな音、そして香味野菜の何とも言えない香りが漂ってくる。
「料理上手でしてね。口癖は『料理は実験』でした。レストランでおいしいものを食べては、家でその味を再現して、私や兄にごちそうしてくれました。世界中を飛び回っていたから、家にはいないことのほうが多かった。それでも兄は『そのほうがジュリアらしい』といって、軍の仕事をこなしていました」
「軍人の給金なんてしれてるでしょうに」
ミズキ自身は給金をもらったことなどないが、アルベルトがよく「軍人は安月給で命を懸けてる」とぼやいていたことがある。
「よく奥さんの我が儘を通せましたね」
「有能な人で、軍での地位も高かった。ジュリアが留守がちだったので、ほぼ独身みたいでしたが、幸いにしてお金には事欠かなかった。すれ違いの多い二人でしたが、夫婦仲はとても良かったんですよ。戦争が終わったらジュリアと一緒に料理店を開くのが夢だと、私にいつも話してくれました」
「あなたのお兄様はどちらに?」
フォークでパスタをすくいながらミズキは訊ねた。
「兄は戦死しました。二年ほど前に」
「亡くなった?」
「ええ。敵の狙撃による暗殺です」
ミズキは思わずフォークを取り落とした。喧騒の中から自分だけ切り取られたように、ゆっくりと床に落ちるカトラリー。かしゃんという音を合図に、ミズキの周囲の景色を過去へと塗り替える。
「あ…」
動揺を隠したくて、フォークを拾おうとしたミズキをミハイルは手で制した。
「落ちたカトラリーは自分で拾う必要はありませんよ。新しいのを持ってきてもらいましょう」
「え、う、うん…」
ミハイルの鋭い刃の如き視線とかち合う。それは罪の槍となり、ミズキの心臓をザクリと正確に貫いた。
狙撃で命を落としたのなら、やったのは間違いなくミズキだ。
不意にミッションの風景が頭をよぎった。狙いはいつも正確だ。ロックオンしてターゲットを追い、速やかに射殺して離脱する。その時の自分は殺戮機械だ。
スコープの向こうで絶命するターゲット。
たった一発の銃弾で、クラリスの要人や軍の関係者を次々と天国へと送った。
できるだけ苦しまないで済むように、全員頭を吹き飛ばしてやったけれど、その中にミハイルの兄も入っていたのだろう。
ミズキはターゲットの背後にいる人々の笑顔まで撃ち砕いたのだと思うと、両手がぶるぶる震えてくる。
その人はどんな人だろう。無性に知りたくなる。
「あの……」
「すみませんでしたね」
開きかけた口をミハイルが止めた。
「食事中にする話ではない。私が無粋でした。兄の死はあなたのせいではない。今は戦時中、悲しいことは日常茶飯事です。早く平和が来ることを祈るだけです」
「でも」
言いかけたミズキの口を手で軽く抑え、ミハイルは「何も言わなくていい」とばかりに、横に首を振る。
「さあ、温かいうちに食べてしまいましょう。残すのは、作ってくれた人に対するマナー違反ですよ」
ミハイルは言いながら、ピザをミズキに取り分けた。
平静を装っているのに、その視線は翳っている。
彼らの大切な人を、夢を、希望を、明日を、未来を壊したのはミズキだ。
ここで激しく詰ってくれればどんなにか楽なのに、ミハイルは何も言わない。
それが逆につらい。罪悪感に苛まれ、いっそ今すぐここを飛び出したい衝動に駆られる。
ミハイルの元から逃げてしまえば、ミズキはこの場で銃殺だ。
ミズキが死ねば、少なからずジュリアの恨みも悲しみも和らいでいくに違いない。
美味しいものがたくさん並んでいるテーブルは、とても豪勢なのに、とてつもない悲しみに彩られた食卓になっている。
食欲などとうに吹き飛んだ。だけど、ジュリアは怨嗟を胸の奥に閉じ込めて、ミズキのために こんなおいしい料理を作ってくれた。
――憎きディスタンシア人のために。
残さず食べることが、彼女への最大限の礼儀だ。
ミズキは冷めかけたピザをかじり、その平和の味をかみしめた。
20
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる