40 / 49
#33 アジテーション
#33 アジテーション
しおりを挟む
頬に温みを感じて、ミハイルは執務机の上で目を開けた。
ミズキをなんとか助ける方法を模索していて、そのまま机の上で眠ってしまったようだ。周囲を見るとすでに日が昇り、かわいらしい小鳥の鳴き声が聴こえてくる。穏やかな朝だ。
だがこの朝の静けさとは裏腹に、ミハイル自身は時間の無さに焦りを感じている。この数日、いろんなことが起こりすぎて正直へとへとだ。
もともとワーカーホリック気味なところはあるけれど、ひとりの人間の、しかも敵国の人間のためにこんなに悩むのも初めてだ。
疲れはとれていないが、今日は今日とてまた仕事もある。疲れたなどと言っていられない。
ミズキの裁判がいつ始まるのか、そして自分の処分もどうなるか、それがわからないから、時間の区切りが不明だ。「その日」が来るのは今日かも知れない。
自由に動けるうちに出来ることをやっておきたかった。
「ブライデン大将、いるかな?」
せっかちにもほどがあるくらいの短いノックのあと、ドアを開けて入ってきたのは意外な人物だ。
軍総長のヴァリマンド。クラリス軍を束ねるトップがわざわざミハイルの元にやってきた。特に訪問の用件などを聞いていなかったミハイルの頭にあれこれと彼がやってこなければならない理由を探すが、寝起きの頭はよく働かない。
ミハイルはその場に立つと、最敬礼の姿勢をとった。
「その顔ではろくに寝ていないな? ブライデン大将」
ヴァリマンドがニヤリと笑い、ミハイルの肩に手を置いた。
「いいから座りなさい。顔が真っ青だ。疲れがたまっている顔をしている」
「いえ、休養は十分とっております」
「その割には目の下に色濃い隈ができている。色男が台無しだ。女性の人気が落ちてしまうぞ?」
「特段女性には興味はありません。まだそんな余裕を持てるほど、私は立ち回りが上手ではありませんよ」
「そんなことはなかろう」
ほら座れと両肩を押され、ミハイルは椅子に座る。ヴァリマンドもそばの来客用ソファーに腰かけ、うーんと全身を伸ばすと、姿勢を正してミハイルに向き直る。
「君は長兄亡き後、あのやんちゃな末っ子を引っ張ってよく頑張った。ハノン大将失踪後も、君がいてくれたからクラリスは戦争で勝利を掴むことができた。むろん、兵士の皆が頑張ってくれたからだが、戦犯を捕らえた君の功績は何より大きい。軍総長を代表して、君に礼を言う」
ヴァリマンドが深々と頭を下げる。
「やめてください総長殿。私は私の仕事をしたまでです」
「とはいえ、誰もあの狙撃手を捕らえることはできなかった。君たち兄弟が協力してくれたから、ディスタンシアの懐刀をこちらへ連れてくることができたんだ」
「いえ……」
本当はミハイルの手引きではない。
これはアルベルトが講じた一計だ。
それをさも自分の手柄みたいに褒められるのは、正直違和感でしかない。
「だがなブライデン大将。捕らえたからには、彼の裁判を行いたいのだ」
「裁判……」
「今回の騒動で海軍大将が戦犯に良からぬことをしたというのは、どうやら本当の事だったようだ。いろいろと足取りを追ってみたが、不可解な行動が多数見受けられた。想像の範囲でしかないが、どうも戦犯に対し、君が言った通りのことをしていたのだろう。それを頷ける証拠が戦犯の身体にあるのだからな」
「……」
当たり前だが、ミズキが怪我をして手術を受ける際に、軍医によって身体の隅々まで点検されている。
ディスタンシア人は身体に危ないものを埋めている、というのが、クラリス軍の常識だ。
クリスタライズが仕込まれていれば、一緒に摘出手術を行うことになるが、ミズキのクリスタライズは起爆が事実上できなくなったのと、本人の怪我の程度が大きかったので、今のところはそのままになっている。
いずれ時期が来たら、シュラルドはミズキのクリスタライズを身体から抜き取る処置を行うのだろう。
シュラルドはミズキの身体を本当に隅々まで調べた。身体から検出された他人の体液の有無までしっかりと報告書に記載していたという。
薬剤も使われていたため、シュラルドはミズキの血液を抜いてそれを分析し、軍部に保管していたものと同じなのかどうかまで調べたともいわれている。
結果、身内の恥をさらすような海軍大将殺害事件は、軍内部で盛り上がったものの、噂は終息に向かっている。
あまり騒ぎにならなかったはずだが、ヴァリマンドは険しい顔をしている。
「どうかなさったのですか?」
嫌な予感がする。ミハイルが問うと、ヴァリマンドは重い口を開いた。
「一部のマスコミが海軍大将死亡のニュースを聞きつけ、連日軍本部に夜討ち朝駆けの取材を敢行している。おかげでこの話が民衆にまで広がり、またあの狙撃手を処分せよとの論調が巻き起こっている。軍に度胸があるなら、あの戦犯の狙撃手を公開処刑にしろ、とな」
「……」
開いた口が塞がらない。
処刑は見世物などではない。命を奪われる方も、奪う方も痛みを伴うものだ。
それゆえ、重要で厳かな中で、この儀式を執り行わなければならない。
犯人が処刑されたとして、被害に遭った家族や友人を失って心にできた、大きな淋しさと憎しみを埋められずに戸惑うばかりだ
罪人が処刑されようがされまいが、大切な人は二度と戻らない。
命の代償として金銭をもらっても、この手に還してほしいのはそんなものじゃない。
新たに虚しさが生まれ、自らの心に暗い影を落とすだけだ。
戦争が終結してから、マスコミは舌鋒鋭く軍と国の在り方を批判している。
戦争を起こしたのは軍だ。戦争の被害者であり、家族を失った民衆には何の保証もなく、捕らえた戦犯を厚遇している。これが国の在り方か、恥を知れ――。
刺激的ともいえる言葉を多用し、たくさんのメディアを使い、彼らは民衆をどんどん煽っていく。冷ややかに見守るものもいるが、貧困層になればなるほどマスコミの甘い誘導に載せられてしまうようだ。
マスコミが自らを導く教典であるがごとく右に倣えで同調し、過激派的な行動を起こそうとする者まで現れる始末。
ヴァリマンドはこの事態を憂慮していた。
「彼の姿を私も見た。聡明そうないい目をしている。君が庇いたくなるのもわかるが――」
「私は彼を庇ってなどいません」
ミハイルはヴァリマンドの話を遮った。
「軍の手続きに法るために、彼の回復を待っていただけです。なにせ錯乱して普通の会話すらままならなかった。長い時間を掛け、やっと私たちに心を開いてくれたのです」
「その矢先に……海軍大将にひどい目に遭わされたというわけだな?」
「そうです」
「しかし、彼はお客様ではない。犯罪者だ」
そう言われ、ミハイルは表情を崩さず無言を貫いた。
「彼が本来の意味で自由になるには、彼が犯した罪の重さを深く内省させ、犯した罪の重さを理解してもらうことだ。しかしブライデン大将、私は少し違う考えを持っている」
「違う考え?」
「彼は父親が軍の斥候であると聞いた。そしてその血を引く彼はクラリス人のはずだ。なのにディスタンシアに加担した」
「そうです」
「彼にディスタンシアという国を、皆に話してはもらえないだろうかと考えている」
「総長殿……」
「戦争は終わった。もう戦わなくていいし、憎しみあうこともない。彼の口から、かの国を語ってほしいのは、互いを知り、今後の正しい道筋を皆に考えてほしいからだ」
「と、申しますと?」
「戦争など、二度と起こすものではないということだ。まずは謎に満ちたあの国の理解から始め、煽動に踊らされている輩を味方にできれば……彼を助ける道があるかもしれん」
「総長殿……」
「憎しみは連鎖する。続くんだ、どこまでも。なら、残った者でそれを断ち切るべきだ。私はそう考えているが、ブライデン大将はどうかな」
ほっとした。少なくとも、ヴァリマンドはミズキを傷つける気はなさそうだ。
「総長殿……」
「君の長兄を殺した犯人であることは承知しているが、君は彼をあの場所へ送って満足するか?」
「敵討ちをするつもりなら、とっくにやっています。私がその気なら、彼はもうこの世にはいませんよ」
「そうだな。黒衣の悪魔に捕まったのだ。今まで生きていること自体が、私の問いに対する今の君の答えだな?」
「はい」
「そうか。ならば、早急にマスコミを黙らせないといけないな」
ヴァリマンドは席を立った。
「裁判を行う。それに伴い尋問を始めると彼に伝えてくれ」
「それは軍事裁判ですか」
「そうなるな。戦犯を裁く裁判だ。他にも戦犯はいるだろうが、まずは彼から始めよう」
「裁判の結果は……」
「どうなるかわからないが、それまで君の処分はいったん保留だ。異色光彩の狙撃手が裁かれるとなれば、海軍大将の話はしばらく彼の話題に埋もれるだろう。私はマルチタスク型の人間ではないのでな、ひとつひとつクリアにする」
そう言い残すと、ヴァリマンドは部屋を出て行った。
ヴァリマンドのことだ、そうそう悪い方にはもっていかないだろう。
しかし、ミズキをこのままにできない事情もある。
ならば、面倒ごとをすべて片付ける方が、処刑される身をじっと待つよりよほどいいに違いない。
「ミズキに伝えなければ……」
彼は……どういう反応をするだろうか。
連行したばかりのミズキをふっと思い出す。
あの時の彼は「殺せ、さっさと殺せ」とミハイルをきつく睨んで毒づいた。死など怖くないと嘯いて強がっていた。
そのくせ、人を恋しがっていた。
何も知らないヒナが初めて見たものを親だと思うものと、同じようなものかもしれない。たまたまミズキの心の空いた場所にはまったのがミハイルであって、それは恋心などではなかったのかもしれない。
それでもミハイル自身も、自らの復讐心を彼にぶつけられなかった。振り上げた拳を、ミズキに下ろすことができなかった。
それどころか、彼が今もいとおしくて仕方ない。
ーーそれだけで十分だ。
自らの内にあった恨みは、すべてミズキの瞳に吸われたのだ。
どんな手を使ってでもミズキを救いたい。
ミズキには申し訳ないが、彼の話題で国中が大騒ぎするなら、その間に打てる手をすべて打っておきたい。
「戦後最大の大仕事になりそうだ」
ミハイルはふふっと楽しげに笑い、机の上の受話器を取り上げた。
意識しなくても動く指。もうこの番号にかけるのも慣れてしまった。
受話器を耳に当て、まもなく相手が出た。
「シュラルド先生。おはようございます」
『あ、ミーシャか。早いな、どうした?』
「早くなんてありませんよ。実は……」
軍医である彼に電話をした理由は明確だ。
ミズキに裁判を受けさせるため、彼の体調を聞いておかねばならなかった。
****
同じころ、グスタフは自室で、ヴィルヘルムと朝のニュース番組を見ていた。
決して広いとは言えない軍の独身者用寄宿舎。ベッドと小さなクローゼットを置けばすぐに一杯になってしまう寝室にソファーとテーブル、テレビ以上は置けない狭いリビングがある。
グスタフとヴィルヘルムはソファーに並んで座っていた。
テレビの司会者やリポーターは朝から激しい言葉でミズキのことを詰っている。
いつ撮影されたのか、写真のミズキはクラリスの街を歩いていた。黒いパーカーにGパン、土汚れでぼろぼろの編み上げブーツを履いて、背に大きなデイバックを抱えている。
今よりも表情が幼いが、目つきがギラリと鋭い。目立たないように俯き加減ではあるが、その眼光が周囲に警戒網を張り巡らしているように周囲を窺っている。誰かを殺したミッション帰りか。
『戦犯の拘留日数は現在で三か月を超えます。これほどまでに長い期間、重罪人が生きているというのは、クラリスにおいての法律では異例です。しかも噂では、尋問すら開始されていないとも聞きます。彼の裁判が終わり、処刑されるその日はいったいいつになるのでしょうか。戦犯が生きているという事は、この戦争はまだ終わっていないということ。軍には家族や友人を失った民衆の声が届いていないのでしょうか』
リポーターが興奮ぎみに喋っている。オーバーアクションにも見えるが、煽動とはこういうものなのだろう。
「ミズキ殺したって、戦争で死んだ奴は戻らねえよ。マスコミは馬鹿か」
唾でも吐き捨てるかのように、低く毒づくグスタフに、ヴィルヘルムがなだめるように言う。
「国民の溜飲を下げるのはいつだってこういうことだ」
「じゃああんたはミズキ殺して気が晴れるのか、永久二番」
「死ぬのは何もミズキ・ブランケンハイムでなくてもいい。彼らは単純に、人が苦しむ様を見たいだけだ。魔女狩りのような展開を望んでいるのさ」
「趣味が悪すぎるぜ」
「大義名分をたてて、ぎゃあぎゃあとみんなで口撃すれば、それが民衆の声だとマスコミが騒ぐ。さらにのせられる奴が増える。声がでかくなれば、関係各所はそれを鎮めようと手を打たざるを得なくなる。結局一番残酷なのは敵ではなく、民衆だ。数の暴力で白を無理やり黒に変える。一人一人の責任もあいまいだ。実に素晴らしい。数の暴力というものは」
ヴィルヘルムははあと長く深いため息をついた。「実に嘆かわしい」と。
「己で受け止め、分析し、考えて判断をしない。ちょっと立ち止まってその波を眺めてみればいいのだ。己は今、波に乗っているのか、溺れているのか、彼らはそれすらも気づかない」
「ふうん。あんた難しいこと言うよな」
「ならば理解できるように考えてみればいい。私の話だって私の考えに過ぎない。それが正しいか、そうでないか、判断するのは君自身だ」
ヴィルヘルムはグスタフの頭をくしゃりと撫でた。
最近はこうして、プライベートでは二人で部屋にいることが多くなった。
仕事が終わるとヴィルヘルムはグスタフの部屋にやってくる。グスタフもまたヴィルヘルムが来るであろうことを予測して、帰宅するようになった。そのころには部屋にジュリアの夕食が届いているから、それをつまみに酒を酌み交わしているといったような状況だ。
ミズキの一件以降、ヴィルヘルムとの距離が縮んだように思うが、それを不快どころか、少し楽しみにしているのを、グスタフは感じていた。
ふたりで話すことといえば話題はもっぱら、マスコミが騒ぐミズキの話と、軍内で噂になっているミハイルの事だった。
グスタフは兄のことが気になるし、ヴィルヘルムのほうは海軍大将になれた要因がミズキに手を出した前任者の行いなのだから、二人にとってミズキとミハイルの騒動がどう決着するのか、気が気でないのだ。
ヴィルヘルムにしてみれば、尊敬していた上官がミハイルの手によって殺された。さぞかし怒り心頭かと思いきや、意外にもヴィルヘルムは「仕方のないことだったのだろう」と冷静だ。
噂の真意を知っているわけではないが、あの不可解な行動を目の当たりにした人間の目線とでもいうのか、どちらにしろ海軍大将は尋問の名のもとに妙なことをしていたようなのは間違いない。
噂のソースを若干握っているので、あまり騒動に興味はないようだった。
「ああ、もう時間だな。一度部屋に戻ってシャワーを浴びないと」
ヴィルヘルムが時計を見て、腰を上げるが、わずかにバランスを崩したのか、テーブルに両手を軽く突いた。そのままふうと息を吐くと、スッと立ち上がる。
「それでは私は戻る。少尉も遅刻などせぬようにな。ミハイルの評判が下がってしまうぞ」
「あんたもな。暫定とはいえ大将だ。俺ら下っ端に範を示せよ」
「心得ておこう」
ヴィルヘルムが背中を向けた。
「ではな、少尉」
「ちょっと待てよ、永久二番」
背中に声をかけると、ヴィルヘルムが「なんだ?」とグスタフを振り返る。
「少尉、どうした?」
「これ持って行けよ」
グスタフはズボンのポケットから迷彩柄の小さなきんちゃく袋を出し、ヴィルヘルムに放り投げた。彼は片手でその袋を受け取ると、小首をかしげてグスタフに「これは?」と訊ねた。
「少尉、なんだこの袋は。底が破けているぞ」
「そういうところは見なくていいんだよ。中には兄貴が常用してる熱さましが入ってる。効果は折り紙付きだが、副作用の方も強い。よく眠れるから飲んで寝ろ。さっさと治せ」
「まったく、君は優しいのかそうでないのかわからないな」
ヴィルヘルムはくすっと笑う。
「君の厚意に感謝する。明日には体調も戻るだろう」
「うるせえ、さっさと休めよ、永久二番」
「どっちにしろ、その物言いではあまり嬉しくないが、君から呼ばれるのなら、それも不快ではないな。不思議なものだ。じゃあおやすみ。少尉も早く休むのだぞ」
「はいはい」
「いまのところ、戦犯が処刑台に送られるのは200%確定している。彼に奇跡や恩赦を願うわけではないが、時間はそんなにないはずだ。倒れている暇などないのだからな」
「うっせぇな。わかってる」
「わかっているなら結構。ではな」
ヴィルヘルムはそう言い置き、ドアを閉めた。
遠ざかる靴音と引き換えに、部屋に静寂が戻る。
ヴィルヘルムの言うとおりだ。
残された時間は、もうそんなにはない。
それだけが唯一はっきりしていることだった。
ミズキをなんとか助ける方法を模索していて、そのまま机の上で眠ってしまったようだ。周囲を見るとすでに日が昇り、かわいらしい小鳥の鳴き声が聴こえてくる。穏やかな朝だ。
だがこの朝の静けさとは裏腹に、ミハイル自身は時間の無さに焦りを感じている。この数日、いろんなことが起こりすぎて正直へとへとだ。
もともとワーカーホリック気味なところはあるけれど、ひとりの人間の、しかも敵国の人間のためにこんなに悩むのも初めてだ。
疲れはとれていないが、今日は今日とてまた仕事もある。疲れたなどと言っていられない。
ミズキの裁判がいつ始まるのか、そして自分の処分もどうなるか、それがわからないから、時間の区切りが不明だ。「その日」が来るのは今日かも知れない。
自由に動けるうちに出来ることをやっておきたかった。
「ブライデン大将、いるかな?」
せっかちにもほどがあるくらいの短いノックのあと、ドアを開けて入ってきたのは意外な人物だ。
軍総長のヴァリマンド。クラリス軍を束ねるトップがわざわざミハイルの元にやってきた。特に訪問の用件などを聞いていなかったミハイルの頭にあれこれと彼がやってこなければならない理由を探すが、寝起きの頭はよく働かない。
ミハイルはその場に立つと、最敬礼の姿勢をとった。
「その顔ではろくに寝ていないな? ブライデン大将」
ヴァリマンドがニヤリと笑い、ミハイルの肩に手を置いた。
「いいから座りなさい。顔が真っ青だ。疲れがたまっている顔をしている」
「いえ、休養は十分とっております」
「その割には目の下に色濃い隈ができている。色男が台無しだ。女性の人気が落ちてしまうぞ?」
「特段女性には興味はありません。まだそんな余裕を持てるほど、私は立ち回りが上手ではありませんよ」
「そんなことはなかろう」
ほら座れと両肩を押され、ミハイルは椅子に座る。ヴァリマンドもそばの来客用ソファーに腰かけ、うーんと全身を伸ばすと、姿勢を正してミハイルに向き直る。
「君は長兄亡き後、あのやんちゃな末っ子を引っ張ってよく頑張った。ハノン大将失踪後も、君がいてくれたからクラリスは戦争で勝利を掴むことができた。むろん、兵士の皆が頑張ってくれたからだが、戦犯を捕らえた君の功績は何より大きい。軍総長を代表して、君に礼を言う」
ヴァリマンドが深々と頭を下げる。
「やめてください総長殿。私は私の仕事をしたまでです」
「とはいえ、誰もあの狙撃手を捕らえることはできなかった。君たち兄弟が協力してくれたから、ディスタンシアの懐刀をこちらへ連れてくることができたんだ」
「いえ……」
本当はミハイルの手引きではない。
これはアルベルトが講じた一計だ。
それをさも自分の手柄みたいに褒められるのは、正直違和感でしかない。
「だがなブライデン大将。捕らえたからには、彼の裁判を行いたいのだ」
「裁判……」
「今回の騒動で海軍大将が戦犯に良からぬことをしたというのは、どうやら本当の事だったようだ。いろいろと足取りを追ってみたが、不可解な行動が多数見受けられた。想像の範囲でしかないが、どうも戦犯に対し、君が言った通りのことをしていたのだろう。それを頷ける証拠が戦犯の身体にあるのだからな」
「……」
当たり前だが、ミズキが怪我をして手術を受ける際に、軍医によって身体の隅々まで点検されている。
ディスタンシア人は身体に危ないものを埋めている、というのが、クラリス軍の常識だ。
クリスタライズが仕込まれていれば、一緒に摘出手術を行うことになるが、ミズキのクリスタライズは起爆が事実上できなくなったのと、本人の怪我の程度が大きかったので、今のところはそのままになっている。
いずれ時期が来たら、シュラルドはミズキのクリスタライズを身体から抜き取る処置を行うのだろう。
シュラルドはミズキの身体を本当に隅々まで調べた。身体から検出された他人の体液の有無までしっかりと報告書に記載していたという。
薬剤も使われていたため、シュラルドはミズキの血液を抜いてそれを分析し、軍部に保管していたものと同じなのかどうかまで調べたともいわれている。
結果、身内の恥をさらすような海軍大将殺害事件は、軍内部で盛り上がったものの、噂は終息に向かっている。
あまり騒ぎにならなかったはずだが、ヴァリマンドは険しい顔をしている。
「どうかなさったのですか?」
嫌な予感がする。ミハイルが問うと、ヴァリマンドは重い口を開いた。
「一部のマスコミが海軍大将死亡のニュースを聞きつけ、連日軍本部に夜討ち朝駆けの取材を敢行している。おかげでこの話が民衆にまで広がり、またあの狙撃手を処分せよとの論調が巻き起こっている。軍に度胸があるなら、あの戦犯の狙撃手を公開処刑にしろ、とな」
「……」
開いた口が塞がらない。
処刑は見世物などではない。命を奪われる方も、奪う方も痛みを伴うものだ。
それゆえ、重要で厳かな中で、この儀式を執り行わなければならない。
犯人が処刑されたとして、被害に遭った家族や友人を失って心にできた、大きな淋しさと憎しみを埋められずに戸惑うばかりだ
罪人が処刑されようがされまいが、大切な人は二度と戻らない。
命の代償として金銭をもらっても、この手に還してほしいのはそんなものじゃない。
新たに虚しさが生まれ、自らの心に暗い影を落とすだけだ。
戦争が終結してから、マスコミは舌鋒鋭く軍と国の在り方を批判している。
戦争を起こしたのは軍だ。戦争の被害者であり、家族を失った民衆には何の保証もなく、捕らえた戦犯を厚遇している。これが国の在り方か、恥を知れ――。
刺激的ともいえる言葉を多用し、たくさんのメディアを使い、彼らは民衆をどんどん煽っていく。冷ややかに見守るものもいるが、貧困層になればなるほどマスコミの甘い誘導に載せられてしまうようだ。
マスコミが自らを導く教典であるがごとく右に倣えで同調し、過激派的な行動を起こそうとする者まで現れる始末。
ヴァリマンドはこの事態を憂慮していた。
「彼の姿を私も見た。聡明そうないい目をしている。君が庇いたくなるのもわかるが――」
「私は彼を庇ってなどいません」
ミハイルはヴァリマンドの話を遮った。
「軍の手続きに法るために、彼の回復を待っていただけです。なにせ錯乱して普通の会話すらままならなかった。長い時間を掛け、やっと私たちに心を開いてくれたのです」
「その矢先に……海軍大将にひどい目に遭わされたというわけだな?」
「そうです」
「しかし、彼はお客様ではない。犯罪者だ」
そう言われ、ミハイルは表情を崩さず無言を貫いた。
「彼が本来の意味で自由になるには、彼が犯した罪の重さを深く内省させ、犯した罪の重さを理解してもらうことだ。しかしブライデン大将、私は少し違う考えを持っている」
「違う考え?」
「彼は父親が軍の斥候であると聞いた。そしてその血を引く彼はクラリス人のはずだ。なのにディスタンシアに加担した」
「そうです」
「彼にディスタンシアという国を、皆に話してはもらえないだろうかと考えている」
「総長殿……」
「戦争は終わった。もう戦わなくていいし、憎しみあうこともない。彼の口から、かの国を語ってほしいのは、互いを知り、今後の正しい道筋を皆に考えてほしいからだ」
「と、申しますと?」
「戦争など、二度と起こすものではないということだ。まずは謎に満ちたあの国の理解から始め、煽動に踊らされている輩を味方にできれば……彼を助ける道があるかもしれん」
「総長殿……」
「憎しみは連鎖する。続くんだ、どこまでも。なら、残った者でそれを断ち切るべきだ。私はそう考えているが、ブライデン大将はどうかな」
ほっとした。少なくとも、ヴァリマンドはミズキを傷つける気はなさそうだ。
「総長殿……」
「君の長兄を殺した犯人であることは承知しているが、君は彼をあの場所へ送って満足するか?」
「敵討ちをするつもりなら、とっくにやっています。私がその気なら、彼はもうこの世にはいませんよ」
「そうだな。黒衣の悪魔に捕まったのだ。今まで生きていること自体が、私の問いに対する今の君の答えだな?」
「はい」
「そうか。ならば、早急にマスコミを黙らせないといけないな」
ヴァリマンドは席を立った。
「裁判を行う。それに伴い尋問を始めると彼に伝えてくれ」
「それは軍事裁判ですか」
「そうなるな。戦犯を裁く裁判だ。他にも戦犯はいるだろうが、まずは彼から始めよう」
「裁判の結果は……」
「どうなるかわからないが、それまで君の処分はいったん保留だ。異色光彩の狙撃手が裁かれるとなれば、海軍大将の話はしばらく彼の話題に埋もれるだろう。私はマルチタスク型の人間ではないのでな、ひとつひとつクリアにする」
そう言い残すと、ヴァリマンドは部屋を出て行った。
ヴァリマンドのことだ、そうそう悪い方にはもっていかないだろう。
しかし、ミズキをこのままにできない事情もある。
ならば、面倒ごとをすべて片付ける方が、処刑される身をじっと待つよりよほどいいに違いない。
「ミズキに伝えなければ……」
彼は……どういう反応をするだろうか。
連行したばかりのミズキをふっと思い出す。
あの時の彼は「殺せ、さっさと殺せ」とミハイルをきつく睨んで毒づいた。死など怖くないと嘯いて強がっていた。
そのくせ、人を恋しがっていた。
何も知らないヒナが初めて見たものを親だと思うものと、同じようなものかもしれない。たまたまミズキの心の空いた場所にはまったのがミハイルであって、それは恋心などではなかったのかもしれない。
それでもミハイル自身も、自らの復讐心を彼にぶつけられなかった。振り上げた拳を、ミズキに下ろすことができなかった。
それどころか、彼が今もいとおしくて仕方ない。
ーーそれだけで十分だ。
自らの内にあった恨みは、すべてミズキの瞳に吸われたのだ。
どんな手を使ってでもミズキを救いたい。
ミズキには申し訳ないが、彼の話題で国中が大騒ぎするなら、その間に打てる手をすべて打っておきたい。
「戦後最大の大仕事になりそうだ」
ミハイルはふふっと楽しげに笑い、机の上の受話器を取り上げた。
意識しなくても動く指。もうこの番号にかけるのも慣れてしまった。
受話器を耳に当て、まもなく相手が出た。
「シュラルド先生。おはようございます」
『あ、ミーシャか。早いな、どうした?』
「早くなんてありませんよ。実は……」
軍医である彼に電話をした理由は明確だ。
ミズキに裁判を受けさせるため、彼の体調を聞いておかねばならなかった。
****
同じころ、グスタフは自室で、ヴィルヘルムと朝のニュース番組を見ていた。
決して広いとは言えない軍の独身者用寄宿舎。ベッドと小さなクローゼットを置けばすぐに一杯になってしまう寝室にソファーとテーブル、テレビ以上は置けない狭いリビングがある。
グスタフとヴィルヘルムはソファーに並んで座っていた。
テレビの司会者やリポーターは朝から激しい言葉でミズキのことを詰っている。
いつ撮影されたのか、写真のミズキはクラリスの街を歩いていた。黒いパーカーにGパン、土汚れでぼろぼろの編み上げブーツを履いて、背に大きなデイバックを抱えている。
今よりも表情が幼いが、目つきがギラリと鋭い。目立たないように俯き加減ではあるが、その眼光が周囲に警戒網を張り巡らしているように周囲を窺っている。誰かを殺したミッション帰りか。
『戦犯の拘留日数は現在で三か月を超えます。これほどまでに長い期間、重罪人が生きているというのは、クラリスにおいての法律では異例です。しかも噂では、尋問すら開始されていないとも聞きます。彼の裁判が終わり、処刑されるその日はいったいいつになるのでしょうか。戦犯が生きているという事は、この戦争はまだ終わっていないということ。軍には家族や友人を失った民衆の声が届いていないのでしょうか』
リポーターが興奮ぎみに喋っている。オーバーアクションにも見えるが、煽動とはこういうものなのだろう。
「ミズキ殺したって、戦争で死んだ奴は戻らねえよ。マスコミは馬鹿か」
唾でも吐き捨てるかのように、低く毒づくグスタフに、ヴィルヘルムがなだめるように言う。
「国民の溜飲を下げるのはいつだってこういうことだ」
「じゃああんたはミズキ殺して気が晴れるのか、永久二番」
「死ぬのは何もミズキ・ブランケンハイムでなくてもいい。彼らは単純に、人が苦しむ様を見たいだけだ。魔女狩りのような展開を望んでいるのさ」
「趣味が悪すぎるぜ」
「大義名分をたてて、ぎゃあぎゃあとみんなで口撃すれば、それが民衆の声だとマスコミが騒ぐ。さらにのせられる奴が増える。声がでかくなれば、関係各所はそれを鎮めようと手を打たざるを得なくなる。結局一番残酷なのは敵ではなく、民衆だ。数の暴力で白を無理やり黒に変える。一人一人の責任もあいまいだ。実に素晴らしい。数の暴力というものは」
ヴィルヘルムははあと長く深いため息をついた。「実に嘆かわしい」と。
「己で受け止め、分析し、考えて判断をしない。ちょっと立ち止まってその波を眺めてみればいいのだ。己は今、波に乗っているのか、溺れているのか、彼らはそれすらも気づかない」
「ふうん。あんた難しいこと言うよな」
「ならば理解できるように考えてみればいい。私の話だって私の考えに過ぎない。それが正しいか、そうでないか、判断するのは君自身だ」
ヴィルヘルムはグスタフの頭をくしゃりと撫でた。
最近はこうして、プライベートでは二人で部屋にいることが多くなった。
仕事が終わるとヴィルヘルムはグスタフの部屋にやってくる。グスタフもまたヴィルヘルムが来るであろうことを予測して、帰宅するようになった。そのころには部屋にジュリアの夕食が届いているから、それをつまみに酒を酌み交わしているといったような状況だ。
ミズキの一件以降、ヴィルヘルムとの距離が縮んだように思うが、それを不快どころか、少し楽しみにしているのを、グスタフは感じていた。
ふたりで話すことといえば話題はもっぱら、マスコミが騒ぐミズキの話と、軍内で噂になっているミハイルの事だった。
グスタフは兄のことが気になるし、ヴィルヘルムのほうは海軍大将になれた要因がミズキに手を出した前任者の行いなのだから、二人にとってミズキとミハイルの騒動がどう決着するのか、気が気でないのだ。
ヴィルヘルムにしてみれば、尊敬していた上官がミハイルの手によって殺された。さぞかし怒り心頭かと思いきや、意外にもヴィルヘルムは「仕方のないことだったのだろう」と冷静だ。
噂の真意を知っているわけではないが、あの不可解な行動を目の当たりにした人間の目線とでもいうのか、どちらにしろ海軍大将は尋問の名のもとに妙なことをしていたようなのは間違いない。
噂のソースを若干握っているので、あまり騒動に興味はないようだった。
「ああ、もう時間だな。一度部屋に戻ってシャワーを浴びないと」
ヴィルヘルムが時計を見て、腰を上げるが、わずかにバランスを崩したのか、テーブルに両手を軽く突いた。そのままふうと息を吐くと、スッと立ち上がる。
「それでは私は戻る。少尉も遅刻などせぬようにな。ミハイルの評判が下がってしまうぞ」
「あんたもな。暫定とはいえ大将だ。俺ら下っ端に範を示せよ」
「心得ておこう」
ヴィルヘルムが背中を向けた。
「ではな、少尉」
「ちょっと待てよ、永久二番」
背中に声をかけると、ヴィルヘルムが「なんだ?」とグスタフを振り返る。
「少尉、どうした?」
「これ持って行けよ」
グスタフはズボンのポケットから迷彩柄の小さなきんちゃく袋を出し、ヴィルヘルムに放り投げた。彼は片手でその袋を受け取ると、小首をかしげてグスタフに「これは?」と訊ねた。
「少尉、なんだこの袋は。底が破けているぞ」
「そういうところは見なくていいんだよ。中には兄貴が常用してる熱さましが入ってる。効果は折り紙付きだが、副作用の方も強い。よく眠れるから飲んで寝ろ。さっさと治せ」
「まったく、君は優しいのかそうでないのかわからないな」
ヴィルヘルムはくすっと笑う。
「君の厚意に感謝する。明日には体調も戻るだろう」
「うるせえ、さっさと休めよ、永久二番」
「どっちにしろ、その物言いではあまり嬉しくないが、君から呼ばれるのなら、それも不快ではないな。不思議なものだ。じゃあおやすみ。少尉も早く休むのだぞ」
「はいはい」
「いまのところ、戦犯が処刑台に送られるのは200%確定している。彼に奇跡や恩赦を願うわけではないが、時間はそんなにないはずだ。倒れている暇などないのだからな」
「うっせぇな。わかってる」
「わかっているなら結構。ではな」
ヴィルヘルムはそう言い置き、ドアを閉めた。
遠ざかる靴音と引き換えに、部屋に静寂が戻る。
ヴィルヘルムの言うとおりだ。
残された時間は、もうそんなにはない。
それだけが唯一はっきりしていることだった。
10
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる