氷の魔法使いは愛されたくて

sweetheart

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舞い散る雪。
凍える寒さ、それらすらも今の私には心地よい。

葵い髪に深紅の瞳、頬がほんのり赤みを帯びているのは寒さだけでは、ないのだろう。
振り上げた手が、虚空を掴んでいる。

離せばきっと粉雪が舞い散るだろう。
この体のせいで、この周辺は魔力マナ
つまり体内の波動オーラが強い。
この世界の魔力とは人の波動によって形を成している。
人には生まれた時から魔法の根源魔力があり、
それを認識し発動することで波動となる。

「寒いのは私のせいか」

この女性も本来なら、生まれた時、それは高い魔力を有していた。
しかし、認識して波動とした時、特異体質に変化してしまったのである。

そして、学問の魔法スクールを強制退学させられて転々として今、ここにいる。

私の名前は、リアナ·オルグード·アルディオン。
本来なら由緒正しい魔法使いの名家、アルディオン家の人間である。

指を振り、魔力で浮かせて荷物を運ぶ。
先程、切った木を家に浮遊させて運ぶためである。

「雪はいや」
「お前が振らせているのだろう?」

お父様が私によく言われた言葉である。
その瞳は、なんでこんな子が生まれてしまったんだと、私を瞳で軽蔑していた目だった。

思えばあの時から私の周りを見る目は、
とても蔑んでいた気がする。

それはなぜか?
特異体質の雪降らせのせいで魔力が
コントロール出来ずにあちらこちらで
雪が降ってしまう。

ただでさえ、名家に産まれた重圧もあるというのに、魔法スクールを入学当日に
皆に魔法をお披露目しようと言う話になった時、
私は、コントロール出来ずに吹雪かせてしまい
クラスからも危険人物扱いされてしまったが、
その頃はまだ担任のミセス先生は味方して
くれていた。

「この世に生まれてしまれてはいけない命なんてないのですよ、貴女もいつかはね」

そう言ってくれていたのに、私がスクールを強制退学で去る時は、
何も言ってくれなかった。

「私のせい……」

全ては、あの日、変わってしまった。
氷の魔法だって意味があるはずと
私は男子のいじめっ子ロイとの
魔法決闘マジックバトル
乗ってしまい大怪我をおわせてしまったのだ。

そして、強制退学後お屋敷に強制送還された。
私は、お父様からこう言われてしまうのでした。

「いつか何かすると思っていたがまさか、
この家に泥を塗るとは! お前など、
アルディオン家にふさわしくない! 
出ていきなさい!」

そう叫ばれて魔法で攻撃されてしまい、私は、
そこで意識を失った。

最愛の父親の攻撃は、それほどきついものでは、
なかったが、それでも敵意が感じられて、
私は、慌てて逃げ出したのでした。

やっとの思いで、たどり着いた。
この山脈の森の奥で今は1人で暮らしているので、
ある。

私はゆっくりと意識する。
全てには意味があるのだと思いゆっくりと目を閉じて、波動を高めると
周りを認知して行く。

暖かな光が2つ、ゆっくりと移動しているものと
早く移動している。
これは……動物のものではない?
私は、浮けっと強く願った。

身体が浮遊し、ゆっくりと目を開くと、
そのまま氷の粒を振らせて浮遊している事に、
気がつく。

「初めてできた」

少し嬉しそうに自信を抱きしめていたが、
ここからどう動いていいか分からない。
とりあえず高く浮遊したいと思いそのまま、
高度を上げて行く。

何か武器が欲しいと思った私は、
自分が魔法決闘時に咄嗟に使えた魔法を
唱えてみる。

「アルディオンが命ずる、氷よ、武器となれ!」

その言葉に旺子するかのように形がなされていく。
最初は小さな氷の短剣だったが、
これでは飛んで行かないと行けないし
間に合わない。

「それじゃない! 弓とかできないの?」

自分の魔法だと言うのにもどかしい!
少し間が空いた後、
ゆっくりと短剣が豹変して行く。

今度は、生成するのが時間がかかってしまい
間に合わない私は俯くと涙を流した。

「なんでもいいから、早くちょうだい!」

そう叫んだ途端、氷の粒に変わり無数の粒が
浮遊して行く。

「魔法には、言霊が必要なのよ」

ミセス先生が1度だけ落ち込む私に言ってくれた
言葉通りに告げる。

「わ、我、アルディオンが命ずる、氷の粒よあの敵を、全滅し、彼の物を守りたまえ!」

そう叫んでも動かない。

「は? 言霊として認識しない?」

そうつぶやき焦ると

「違う違う、嬢ちゃん、それは言霊になっていない」

いきなりの声に戸惑い声のした方を
見たら瞳から涙が溢れた。
そのまま、その人物に抱きついてしまう。

「こらこら、少し離れなさい、嬉しいのは分かりますが」

男性にしては少しハスキーな声。
少し、聞いた事のない独特の言葉ですら
懐かしく思う。

「先生、ミセス先生? どうして?」
「話は後にしましょうか? あの子を助けたいのでしょう? レディ·アルディオン?」
「はい、先生」
「その魔法の名は氷魔法、氷とは魔力をアイシクルということで答えは?」
「前にでしたっけ?」
「いいえ後ろにです」 

そう言われて私は頷く。

「わ、我、アルディオンが命ずる、氷の粒よあの敵を、全滅し、彼の物を守りたまえ! アイシクル、えっと」
「雨は? なんと言いますか?」
「レインです」

無言で頷かれて私は言い直す。

「アイシクル·レイン」

そう呟いた途端、波動が言霊を認知した。
いきなり身体が暖かくなりそのまま、
魔法陣が形成されて行く。

「さすがは、アルディオンです、レデイ」

そう言いながらそっと頭を撫でてくれる。
氷の粒が雨となりその物に襲いかかれば、
やがて消えて行く。

「先生、助けてくれてありがとうございました、
ところで何故、ここに?」
「貴女って子は最後まで聞こえていなかったのですね、もう一度言います。レディ·アルディオン、
スクールは退学ですが、私は貴女の教師です。
このままでは、魔力をコントロールさせぬままではいずれ貴女は人すらも殺しかねない、
ですから、退学はいたし方ないですが、
私が貴女を一人前の魔法使いにいたしますと言ったと思うのですが? 
貴女ときたらこんな所まで逃げるなんて」

そう言われても戸惑うというものです。

「わ、私は、アルディオン家から追い出された身、先生のお手を煩わせたくは」
「……」

いきなり無言になられても困る。

「貴女は、何を一人前の様な事を、先程の物ですら私がいなければ助けられなかったのに?」
「痛いこと言わないで下さいよ」
「仕方ないですね、自覚が無いようですから、少し教えますか?」

何をと思い戸惑ってるいるといきなり身体が、
浮き上がる。
しかも、私がした物より優しいなんてものでは無い。

「せ、先生?」
「私よりできると言うのなら見せてご覧なさい、納得すれば帰ります」

なんて意地悪なのだろう?
私が認識しても解けることは無い。

「下ろして」
「嫌です」

なんで、少し怒っている気がする。

「先生? なんか、怒ってませんか?」
「物分りがいい子だと思っていたのに、ガッカリです」

ため息までついてやれやれっと首を振られる始末である。

「おかしいでしょ? 自分の教え子に、なんで、こんな!」
「素直にならない子は先生、嫌いですよ」

いきなりの言葉に絶句する。
このままでは降りることすら出来そうにない。

「先生、わかりましたから、助けていただきたいです」

そう言った途端、ヒリついていた空気が解放されて、身体が軽くなる。

「一緒に住みます、レディ、宜しいですね?」
「えっ、一緒に住むんですか? スクールは? 普段、授業がありますよね?」
「その時間は宿題をしてもらうけど、帰ってきたらちゃんとみますよ」

抜かりはないらしい。

「わかりました、宜しくお願い致します」

そう言いながら、そっと、嬉しそうに、ミセス先生に抱きついた。
そんな、甘える私の頭を撫でながら

「家はあそこなのね?」
「はい」

そう言うと先生と歩き出す。
こうして彼ミセス先生と私、リアナ·オルグード·アルディオンの2人だけの生活が始まるのでした。

☆★☆

「レディ·アルディオン、いつまで寝ているのかな?」

ミセス先生に起こされる朝はとても気持ちが良い。

「ミセス先生、後、5分だけ……」

私が掛け布団を握りしめる度に、ミセス先生は少し困ったように優しく微笑みながら私の頭を撫でるのでした。
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