氷の魔法使いは愛されたくて

sweetheart

文字の大きさ
2 / 25

2、

しおりを挟む
「全く、貴女はそんなだからダメなのですよ? 早く起きなさい、さもなくば私も……」

彼の甘い声音と共に、ふわりと香る薔薇の香水が私を包む。
私は彼の腕に包まれながら、目を開けた。

「おはようございます、ミセス先生」

そう言うと、ミセス先生は私に微笑むと

「いい子です、レディ、昨日はよく眠れましたか?」
「はい、先生の香水の匂いがします、凄く落ち着きます」

するとミセス先生は

「その言葉を聞くために毎日あなたを起こしているのですよ、レディ」
「そんな冗談ばかり言って、本当は他の生徒さんにも言っているんじゃないですか?」

少し拗ねた顔でいると

「こんな言葉は貴女以外には言いませんよ」

そう優しく頭を撫でられた。
それだけで胸が熱くなる。
本当にこの人はズルい!

「ほら、朝食ができています、食べてくださいね」
「はーい、ミセス先生」

そう言って席につくと温かい料理が並べられている。

「ミセス先生、いつもありがとうございます」
「いいんですよ、レディ、さぁ食べてください」

そういわれて食事を頂くことにした。

「美味しいです、ミセス先生、いつもありがとうございます」
「どういたしまして、レディ」

そんな会話をしながら、食事を終えた後は皿洗いをする事にする。
そうすれば2人で一緒に入れるからだ。

「じゃあ、皿洗い終わったらまた勉強を始めましょうか、レディ?」
「はい、ミセス先生、ところで今日は何を教えてくださるのでしょうか?」
「そうですねぇ、今日は魔法の練習をしましょう」
「はい! ミセス先生」

そう言って2人で外に出る。

「レディ、昨日だしては見ましたがもう一度出してみて?」
「はい、ミセス先生」

そう言われて魔法陣を展開させる。
すると、ミセス先生は、驚いたように私を見た。

「これは驚きました、昨日よりも魔力コントロールがうまくできていますね」
「本当ですか? 嬉しいです!」
「その調子です、レディ」
「はい、頑張ります! ミセス先生」

そう言って魔法を解いてしまう。

「レディ、もう一度繰り返してください」
「はい、先生」

そう言うと今度はゆっくりと氷の粒を生成していく。
しかし、今回は少しばかり、大きくなっていた。

「レディ、すごい上達スピードです、これからはこのくらいを目標に頑張りましょう」
「はい、先生!」

そんなやり取りをしながら一日の鍛錬を終えた。

「ミセス先生、今日もありがとうございました」
「いいえ、レディ、今日は楽しかったですよ」

そう言いながらそっと微笑むと家の扉を開けて

「そろそろ入りましょうか? 外は冷えますよ」
「はい、ミセス先生」

そう言って家に入る。

「いい子です、ところで上達が早いのでなにかご褒美を上げたいのですが、何がいいですかね?」
「わ、私じゃダメですか?」
「は?」

声のトーンが少し怒っているように感じた。

「私、先生のことが好きです」

そう告げると、ミセス先生は少し考えてから、私に近づいてきた。

「レディ·アルディオン、それはどういう意味ですか?」

私はそのまま彼に抱きつくと彼は優しく抱き返してくれた。
そして耳元で囁くように言われる

「貴女は、私の生徒ですよ? それ以上でもそれ以下でもありません」

そう言われた瞬間に涙が溢れてくる。
わかっていたことだけれど……それでもこの気持ちを抑えることができなかったのだ。

「ごめんなさい……」

そう言うとそっと離れていった。

「さぁ、寒いからそのような冗談も出るのでしょう? お風呂に入っていらしゃい」

そう言われても私は動けずにいた。

「レディ?」
「嫌です、ミセス先生」
「……」

怖い、ミセス先生は、ただ何も言わずに私を見つめていた。

「私を嫌いにならないで……」

そう呟きながら泣き続ける私の頭をそっと彼は撫でてくれた。

「仕方ないですね、レディ」

そう言うとミセス先生の顔が急に近づいてくるとそのまま、私のおでこにキスをしてくれる。

「好いてくれてありがとう、さっ行きなさい」

その言葉に勇気をもらいお風呂場に向かう。

教師と生徒である。
ここに先生が来たのだって仕事なのだ。 
それ以外でも以上でも無い。
私は服を脱ぐとそのまま風呂場の脱衣所のカゴに入れる。
そのまま洗うタオルを持って中に入った。

「ミセス先生……」

私の思いなんてきっとどうでもいいのだろう。
彼は……私の教師なだけなのだから……。
そう思いながらもシャワーを浴びるのだった。
浴び終わり、湯船に浸かる。

「先生が、彼氏だったらいいのに」

そう思いながら、ため息をつく。

「あぁぁぁぁぁ!」

大きな独り言を言うと私はそのまま浴槽から上がることにした。
タオルで体と髪の毛を拭くとタオルを巻いて、そのままリビングに向かうとそこにはミセス先生がいたのだった。

「先生?」

そう声をかけると彼は優しく微笑んでくれた。
そんな彼の笑顔を見るだけで胸が高鳴ってしまう。

「どうですか? 綺麗でしょ?」

諦め切れずにタオル姿で出て来たことに恥じらいを覚えるが今はそんなことはどうでもいい。

「服を着なさい」

少し呆れたような
声で言われたがそれでも私は止まらない。

「先生、私を見てください」

そう言いながら自分の胸に手を当てる。

「……レディ……貴女は……」

そう言ってため息をつく彼にさらに詰め寄るとそのまま押し倒してしまう。

「ねぇ? いいでしょう?」

もう後戻りはできないかもしれないけれどそれでもいいと思った。

「やめなさい、レディ·アルディオン!」

そんな私を彼は静止させたのだ。

「なぜですか!?」

そう聞くと彼は静かに答えた。

「……貴女は私の生徒だからです」

その言葉に胸が締め付けられ、涙が溢れた。

「すまない、レディ」

その言葉に首を横に振りながら彼に抱きついたまま泣き続けた。
するとミセス先生はそっと私の頭を優しく撫でてくれた。
その優しさに甘えてしまう自分が情けなく思うがそれでも離したくはないと思ってしまった私はそのまま先生を押し倒した状態でいることを辞めることができなかった。
そんな時、先生に言われた言葉が引っかかる

「じゃあ、意地悪してください」
「は?」
「だって、先生、こう言いましたよね? 生徒だからって、ここには私と貴方しかいないのに、好きにしてくれていいですよ、なのに、先生はどうしてそんなに」

そう言ったらもう止まらなくなっていた。
何度もミセス先生の白銀の服に拳を振り下ろす。
葵髪の毛が揺れる都度、涙を流す。

「めちゃくちゃにしてもいいのに、先生になら何をされたって!」

私の声を無言で聞いてくれるミセス先生は、大人なんだと思う。

「はぁ……」

やっと出た言葉に絶句する。

すっと縁なしのメガネを外すとすぐ横においていきなり私の身体を蹴り上げた。
いきなりの事で息が出来ずに激しくむせると

「お灸が必要だと思い蹴ってしまい、申し訳ない」

即座に謝られても何も言い返せない。

「最初に言わせて欲しいのは、こちらは何度も言ったはずですよ? レディ?」

そう言いながら私の元に歩き始める。
その瞳がぞっとするほど感情が読み取れなくて、ブルブル震え始めればそっと抱きしめてくれた。

「もう一度言います、貴女と私は、生徒と教師です、分かりますね? レディ?」

そう言いながらそっと頭を撫でてグイッと引き寄せられる。
身動きが取れなくなれば、耳元でこう言われた。

「君ほど聞き分けの無い子は初めてです、だから、少し怖い思いをさせたのも謝ります、ごめんね、怖かったでしょう?」

そっと優しいく頭を撫でてくれるその温もりに甘えそうになるが次の瞬間凍りついた。

「次同じ事を口にした場合、大人を怒らせるとどういう目に会うのかを教えてあげましょう、それでも今のまま同じ言葉を言うかは貴女におまかせいたします」

とても冷たい声で言われた私は、恐怖から頷くしかなかった。

「いい子ですね」

そう言ってクシャッと笑いながらおでこにキスをしてくれたのだった。

嬉しい反面とまどえばそのまま私に

「さっ、レディ、ご飯にしましょうか? その前に服を着るように」

そういわれてハッとした。

「せ、先生!」

急いでタオルを腰に巻きながら彼の顔を見るとミセス先生は優しく微笑んでくれた。

「せっかく作った料理が冷めてしまいますよ、早く着ていらっしゃい」
「は、はい」

そう言って私は慌てて着替えるのだった。

☆★☆

食事が終わり片付けも終わり2人でソファーに座るとミセス先生が私に話しかけてきた。

「……レディ?」

そう呼ばれて振り向くと彼は少し困った顔をしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~

双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。 なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。 ※小説家になろうでも掲載中。 ※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

処理中です...