怪奇ファイル

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怪人カメムシ男

仮面ライダーラビリンス

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アリスが飲んだ小瓶の中身は異界の入り口を見つける薬彼女は鍵を拾い兎と出会った。
「もしそなた誰かを探しておらんか」「どうしてわかるの。私白い兎を追ってきたんだけど見失なっちゃって」「お嬢さん魚釣りしたことがあるかい?」「いいえでもいつかやってみたいとは思っているの」「魚だっていつも堤防や浅瀬や絶好の釣りスポットみたいなとこ泳いでいるわけじゃないんだ。それでだね近寄ってくるように餌を撒くんだけどねそれを撒き餌って言うんだ。もうわかっただろう。お嬢さんが追いかけていた兎はお嬢ちゃんを異世界に誘うための撒き餌みたいなものなのさ」
「君は迷い込んだことを楽しむ不思議好き冒険好きな女の子なんだ」
アリスが迷い込んだ世界では世界は『ええモン』と『ワルモン』という二大勢力による拮抗したバランスで平和が保たれていた。それを退屈していた魔女が高見の見物などしているわけがなかった。魔女は苛立ちを隠せずにあとアクビ十回ののちにハプニングやサプライズなどが起こらない時はその魔力で世の中に少し混乱を招いてやると意気込んだ。果たしてその十回目のアクビが彼女の口を吐いて出た。
第一善悪が均衡を保っているということが気に入らない。
異次元からトラブルの元を連れてきてやる。仮面ライダーだと!それなら怪人を相手にして初めて仕事が成り立つというものだ。そうであろう皆の衆!
「お説ごもっとも!」
「エーんエーんドル~ドル~」
「どうしたんだいお嬢ちゃん」
「仮面ライダーのおじさん、お母さんがね、『ワルもん』にお父さんはホモですよって言われて壊れちゃったの」
「それは大変だね。例えばどんなふうに壊れたのかな」
「ご飯を作るのが下手になったの。今日はハンバーグ素麺よって、それもジングル付きでジャーンとかってふざけんな食べられるわけないだろって話でしょそれも手ごねハンバーグだって下拵えに40分かけたやつ早く食べられるもの作ってくれる方がよっぽど美味しく食べられるでしょ?素麺のダシに沈めないでって泣きたくなったわ」「よっぽどショックだったんだねホモだなんて」「ホーホホホ仮面ライダーの何だか知らないが俺はワルもん怪人ホモカメレオン、俺と勝負しろ」
「つまらん次!」ワルもんの組織ソッカーの首領が下流怪人にチェンジを言い渡すと今こそ頭角を現さんと欲して名乗りを上げたのが怪人アリギリスだった。吊り上がった目を血走らせ青白い頬の痩けた首領が問う「では聞かせて貰おうかアリギリス、お前の立案した作戦を」「首領様よくぞお尋ねくださいました。私の思いついたものはですね、罹患した人間を死に至らしめる殺人ウイルスをばら撒
き人間社会をめちゃくちゃにしようと、とここまでは奴らの狼狽も目に浮かぶ騒ぎであります。実は、その後がキモになるのでございます。アフター殺人ウイルスとでも言いましょうか、冬の間せっせと働いたアリがそうでないキリギリスの凋落を横目にこの世の春を謳歌するが如く殺人ウイルス流行中にソッカーが政府に紛れさせた工作員に働きかけ戒厳令を敷き人間共の生産手段を弱体化させて」「わかったもうよいアリギリス。さすが幹部を目指そうという意欲に溢れた怪人幹部候補生出世も真近い。褒めてしんぜよう中々の名案だ。今後も精進するがよいではアリギリス、アフター殺人ウイルス作戦実行してみよ!」
「お呼びでございましょうか首領様」
青白い顔に目に隈ができた男たちを一瞥し首領は言った。「怪人製造部隊!お前たちの緩慢な仕事ぶりにいつまでも付き合っていられるほどワシは温厚ではないぞ!」「ハッ!首領様もう次なる死客の準備は完了してございます。」「マジで?」「大マジでございます。今度の怪人は獏と獅子を掛けた改造人間です。「ではここへ呼べぃ!
「何か見た目は弱そうだな大丈夫か」「実は首領様、手前味噌でございますがこのバクシーシもソッカー怪人中でも屈指の攻撃力を誇る上級怪人にございます。「バクシーシ!ポゥエトリィリーディング!そうさ僕たちは世界中で互いに助け合ったはずさあのウイルスが無ければ知ることはなかったね。人間の素晴らしさ困難に手を携えて乗り越える今度はそれをイカそうよだからウイルスをばら撒いた国なんか恨んじゃダメさ。ましてや戦争ではっきりさせようなんてもっとダメ!まさに悪夢さ僕たちは試されてるんだ力を合わせて乗り越えようよ!悪夢は僕の好物さ悪夢をバクバク美味しいねバクさんだよ必殺カクテル!喰らえスピリタス!前後不覚になってわしの言うことを聞け!
戦争反対笹持ってこい!パンダに笹をあげようよ」パンダの糞が良質の肥料になるって知ってましたか?ええ!それは初めてです。パンダをエコのシンボルにという運動が大量消費社会を批判する世界中の若者の間で活発なのをご存知ですか?この動画サイトに出ている動画からでもよくわかりますよね
何か胡散臭いな裏垢っぽい即席なハンドルネームだし連呼厨から連呼取ったような稚拙なメッセージ性と言いこれアンタが作ったんじゃないの?そこに赤い仮面の戦士が無言の口上を放ちつつ壁上に立つ既視感のあるそのシルエットは3番目の仮面ライダーV3に違いない。すると下手なポエムを朗読した方の存在は怪人か?確かに意味から言えばどう見ても怪人に違いない。そこへまた怪人が増えた。派手な衣装を纏った男は年甲斐もなくコスプレを楽しむという風には見えない
ヘルメットの鍔の下に覗くギラついた目がギョロリと動くアブラギッシュないかつい強面顎周りに付いた肉の上に髭を蓄えた男が強調する。「この世界ではラァイダヴィスリーだ」



「兄ちゃん勘定してくんねえ」「ね、猫が喋った!」「兄ちゃん、その猫が蕎麦食った時に驚きな。遅ぇんだよ」「今何時だい?」「8時41分です841弥生式土器で頭ガーンとな!「ウッお客さん何するんですか!」「知れたこと、この世界じゃええもんと悪モンがせめぎ合うのが世の常さ」「待てい、改造人間」また濃いのが現れたな蕎麦屋のモノローグはそこまでだった。「ネコが食べてもワンコ蕎麦たぁこれ如何に。粋じゃないねえ仮面の兄さん。この戦乱の世にオイラみたいな蕎麦屋で勘定ネコババしようってケチな奴即ち強そうじゃねえ奴を狙って懲らしめようなんざ正義の名を借りた弱い者虐めじゃねえのかい?そうまでしていいカッコしてぇかい」
『怪人カメムシ男』
「ガブガブガブガブ~!」「うわわわああ~!」痩せこけて目の周りが真っ黒な人間がいきなり齧り付いてきて男は驚いた。常識的に考えて人の体に突然齧り付く者に話が通じると思えないだから男は何をするなどと罵声を浴びせるなどしなかった。無論齧られるままになるなどもなかった第一昼の日中にこんな非常識も甚だしいことをする輩に碌な奴なんていやしない。不幸にも人通りが途絶えているらしく誰の目にも付いていないようだ。悪運もそれまでだ。見回すと建築現場らしくはつったコンクリート片や形を損なうことのないブロックや鉄パイプ木材などが散らばっていた。適当な物を手に取り力任せに振り被った。来たる近未来とある核保有国の横暴により地上のかなり大きな面積に放射線の被曝が起こり環境は手の付けようのないほど徹底して破壊されたその後その横暴により束の間政治的実権を握った某国の通達によれば全世界規模で環境破壊による食料危機を乗り越えるべきと前時代的なお触れがあったその某国に付き従う民族がお触れをありがたく頂戴して真っ先に『昆虫食』に手を付けた。昆虫食に認定された昆虫に、降りかかった災難に当の昆虫は堪ったものではないと憤慨したがウンカの如き飢えた人間には捕食を待つ以外術がなかった。そんなある日その昆虫の一群に変化が訪れるそのグループの周りの昆虫が突然変異で異臭を放つようになった個体の群れが出す臭気で一度に数匹も絶命する。
「おお、これなら外敵からの捕食も免れよう」昆虫達のリーダーは訪れた少し明るい展望にひと心地付くしかしこの世のあらゆる生き物を食べずにはいられない大食漢民族の存在の恐ろしさにまだ気付いていなかったに過ぎない。何でも食べたいけど他民族からの世間体を気にする彼らは特定の正義を翳す団体から目の敵にされる生き物も食べたくてしょうがなかった。だから財力に飽かせてプロパガンダに余念がなかった。そんな中『アングリーホエール』は生まれたクジラの怒り少々語感の良くないそれは怒クジラと呼ばれて周辺国に配給されてそこそこ興行収入を獲得した
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