西からきた少年について

ねころびた

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プロローグ〜

プロローグ

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 花は何処にでも咲く、ということはない。

 青い空は何処までも広がっている、ということもない。

 清らかに流れる川も、可愛らしい小鳥のさえずりも、ましてや優雅に行き交う馬車の姿など想像すらできない。

 ここは、ちょっとした山ほど巨大なドラゴンと、大岩に擬態ぎたいした蛇のようなバジリスク、火や氷を吹く怪鳥と、丸々と肥えたオークの群れ、時々どこからか現れるスライム等々、所謂いわゆる魔物と呼ばれるものばかりがのさばるだだっ広い荒野である。

 空はいつも分厚い黒雲に覆われていて、晴れより雨の日の方がずっと多いのに安定して流れる川も出来ず、植物の芽すら生えない。そのくせ魔物の数は減ることなく、毎日あちらこちらで縄張り争いと狩りが行われていて酷くうるさい。

 たまに地面の割れ目からマグマが吹き出たかと思えば、瞬く間に猛吹雪に見舞われたりもする。すなわち、到底とうてい普通の人間の立ち入れる場所ではないのだ。
 
 ところが、このような荒野にぽつりと建つ簡素な石造りの小屋がある。マグマが噴いても豪雪が吹いても不思議とびくともしない奇妙な小屋。魔物達も小屋には近付かない。


 この小屋に住まう少年こそが、今回の物語の主役である。

  
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