名探偵に憧れた私はついうっかり異世界に探偵事務所を構えてしまった

冬月光輝

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第34話:試作品と忠誠心と自爆装置

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第34話

「鍵を開けるぞ、全く面倒な場所だな」
 レオンは扉の鍵を開けた。

「あーあ、開けちゃいましたネ。ククク」
 膝をついたスミスが笑い出す。

 扉を開いた瞬間無数の槍がレオンを貫いた。

「ヒャヒャヒャのヒャ。鍵が奪われるまで計算ずくデスヨー。旦那様、私の迫真の演技でまずは一人殺りまシタヨ」
 スミスは勝ち誇った顔をした。

「うーん、中々良くできたトラップだったよ。でも君の演技は少々臭いねぇ」
 立花は残念そうな顔をした。

「何がどうなっているんだ?僕に何をしたペテン師!」
 串刺しになったはずのレオンの声が立花の後ろから聞こえる。

「この間から転移魔法絡みの事件によく遭遇したものだからねぇ。研究のついでにアイテムの試作品を作ってみたんだ。これを着けると任意のタイミングでダミー人形と入れ替えることが出来る。いやあ、成功して良かったよ。」
 立花はニヤリと笑って説明した。

 よく見ると串刺しになったのは人形だった。

「お前、試作品の実験に人を利用したのか?というか、そんなものを着けていたことをなぜ黙っていた?」
 レオンは戦慄した、顔をした。

「すまないねぇ、何度も試しているから大丈夫だと確信していたよ。ただ、君も演技が上手そうなタイプじゃないからねぇ」
 立花は頭を掻きながらレオンに謝った。

「死神を倒したら覚えてろよ」
 レオンは立花を睨みながら言った。

「じゃあ、ニーナくん手っ取り早く彼を気絶させてくれたまえ。とりあえず、物騒なものを取り外したいからねぇ」
 立花はニーナに指示を出した。

「でも、彼がもう1つスイッチを持っていたらどういたしますの?」
 ニーナは不安そうに言った。

「エクセレント!ニーナくん中々良い指摘だねぇ。でも大丈夫、彼は自爆出来るような忠誠心は持ってないよ。そもそも、スイッチなんて無くても強い衝撃を与えればいつでも自爆出来るんだ。それをしようとする気配は無かったし、何ならスイッチが奪われてとき、彼は少しほっとしていたんだ」
 立花は説明した。

「ぐぐっ、私の忠誠心を疑うなんて失礼デスネー」
 スミスの顔が赤くなった。

「まあ、それすらも演技だったらアカデミー賞ものだよ。俳優になることをオススメするくらいね。でも最初から思っていたのだけど、君ってとても嘘臭い」
 立花は苦笑いして言った。

「貴様、言わせておけば…。」
 スミスは怒りの形相を見せる。

「大丈夫、彼は自殺なんて出来ないさ。例えスイッチを持っていてもね」
 立花はニーナの肩を叩いた。

「承知いたしましたわ」
 ニーナはスミスに近づく…。

「やめろ、本当に自爆しますヨ、本当にやめてー」
 スミスは懇願したが、数秒後には白目を向いて倒れていた。

「いやあお見事だね。ご苦労様」
 立花はニーナを労った。

「さあて、ここに放置しておくわけにはいかないし、時間は惜しいけど…」
 立花はスミスの自爆装置の除去を開始した。

「ふぅ、流石に複雑だねぇ。時間がかかりそうだ」
 立花はブツブツ言いながら作業を進める。

――1時間が過ぎた…。

「これで安心だ。しかし、彼自体はそれほど脅威じゃなかったのに、確実に時間を使わせてくるねぇ」
 立花は少し疲れた顔をしていた。

「終わったか?さっさと行くぞ」
 レオンは苛立った様子だった。

「てっきり、先に行くとか言い出しそうだったけど、少しは団体行動出来るじゃないか」
 立花は嬉しそうな顔をしていた。

「勘違いするな、死神を確実に葬るためにはお前たちを利用したほうが楽だと考えただけだ」
 レオンは顔を背けながら言った。

(違う、お兄様も先生を認めだしたのですわ。あれほどプライド高い方ですのに)
 ニーナは心の中で思った。

「しかし、死神も人望が無いな。こいつにもっと【覚悟】があれば、より厄介だっただろう」
 レオンは吐き捨てる。

「まあ、狂信的な忠誠心なんか持ってても誇れるとは私は思わないけど、そういう感情をもつ相手というのは手強いねぇ。」
 立花は倒れているスミスを見ながらそう言った。

 しかし、その【手強い】相手と対峙する時が近づいていることをまだ彼らは知らない。

約束の時間まで後、13時間10分
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