名探偵に憧れた私はついうっかり異世界に探偵事務所を構えてしまった

冬月光輝

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第35話:短剣と腹心と双竜

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 立花達はやっとの思いで最初の部屋の扉を抜ける。
次の部屋は扉以外に何もないガランとした空間だった。

「何だ、この部屋は素通りか?」
 レオンは辺りを見渡して言った。

「あの扉に何かあるのかもしれないねぇ」
 立花は腕を組みながら話した。

「またトラップか、全く気分が悪いよ」
 レオンがため息をついて、扉に向かって歩いて行った。

「お命頂戴した!」
 床が盛り上がり、影がレオンを襲う。

「キンッ!」
 レオンは影から出てきた刃物を剣で受け止める。

「ふぅ、僕をあまり舐めないで欲しいな。姿を消すのならその五月蝿い呼吸音も止めなきゃ意味ないよ」
 レオンは剣を構える。

「ほう、お主中々に強いな」
 覆面をした小柄な男が短剣を構えた。

「拙者こそ、フィリップ殿の腹心中の腹心。名はジローと申す。お主の名は?」
 ジローと名乗った覆面の男はレオンに名前を聞く。


「僕を知らないのか?まあいい、僕はサンポルト騎士団第二師団長レオン=ド=セイファーだ。時間が勿体無いから早く終わらせたいのだが‥」
 剣を構えたレオンの身体は金色に輝いた。

「お前たちは、手を出すな。戦闘(こっち)は僕の土俵だ」
 そう言いながら、レオンは一撃をジローにお見舞いする。

「パワーもスピードも申し分ない。気に入ったぞ」
 ジローは難なく短剣でレオンの攻撃を受け止める。

「お主はこれを見切れるかな?」
 ジローはレオンの間合いに入る瞬間に姿を消す。

「二度も同じ手を使うな。そこだろ?」
 レオンは床の盛り上がっている一部分を素早く見つけて攻撃する。

「かかったな! お主の負けだ!」
 背後から現れたジローが攻撃を繰り出す。

「さっきも行ったがあまり僕を舐めるなよ。追跡する鎌鼬(トレイサーソード)」
 振り向く瞬間に突き出される強力な突風にジローは吹き飛ばされた。

「なるほど、勘は鋭いようだ。面白い」
 ジローは楽しそうな声を出した。

「ん、お前は誰だ? 最初に言ったはずだ、隠れるなら息の音くらい止めろと……。ジローとやらはこっちだろ?」
 レオンは後ろを剣で指し示す。

「ほう、何と驚いた。そこまで見抜いていたか」
 レオンの後ろからもう一人ジローが現れた。

「拙者は、ジローの兄のイチローと申す。これから先は我ら2人がお相手差し上げる。そちらも人数を増やした方が良いのでは?」
 イチローと名乗る男はレオンに忠告する。

「必要ない。これぐらいちょうど良いハンデだ」
 レオンは髪をかき上げながら答える。

「自分の実力を過信すると死にまするぞ」
 イチローとジローは同時に短剣をレオンに突き立てる。レオンは皮一枚で突きをかわし続けた。

「何故、我らの攻撃が当たらぬ。なんと面妖な‥」
 ジローは攻撃が当たらないことに驚愕していた。

「確かにお前たちの動きはよく訓練されている。大した動作だよ。ただし、呼吸があまりにも読みやすい」
 レオンは余裕そうな表情を見せる。

「さっきも、言ったとおり時間が惜しい。そろそろ決めさせてもらうよ」
 レオンは少し腰を落として上段に剣を構える。

「セイファー流、奥義、双竜絶技(トゥワイスブレイド)」
 レオンは高速で動くことで残像が出来る。
 まるで2人に分裂したような、レオンの剣技は瞬く間にイチローとジローを撃破した。

「ふふっ我ら2人を倒すとは見事なり。しかし、我ら兄弟にも……ぐはっ……」
イチローはそう言い残して倒れた。

「ふぅ、まあ普通の戦闘ならこんなものさ」
 レオンが立花達に近づいた……。
 その瞬間、天井からレオンに1つの影が襲いかかる。

「兄者ー、このサブローが仇を取りまするぞー」
 完全にレオンの死角からの不意を付いた攻撃に反応が一瞬遅れる。

(しまった。完全に気配を消せる奴が居たとは‥間に合わない‥)
 レオンは死を覚悟した。

――ドスッ

 刃物が体に突き刺さる鈍い音がする。しかし、倒れたのは影の方だった。
 
 なぜならニーナの剣が影を貫いていたからである……。

「ご無事ですか?お兄様‥」
 ニーナはレオンの身の心配をする。

「うるさい、余計なことをするな。全く相変わらず仕方のない奴だな、ニーナ」
 レオンは文句を言ったが、今までになく穏やかな目だった。

(お兄様が私の名前を呼んだのは何年振りですの?)
 ニーナは少し嬉しかった。


約束の時間まで後、12時間55分
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