名探偵に憧れた私はついうっかり異世界に探偵事務所を構えてしまった

冬月光輝

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第44話 信仰と救出と間一髪

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 手加減しているとはいえ、ヒースの猛攻は人外と言っても過言では無かった。

 一見ただ振り下ろしているだけに見える攻撃は、重い上に信じられない程速く躱しきれない。

 こちらの攻撃は全て鎧に弾かれる。
 圧倒的不利な状況でニーナとレオンは互い庇い合うことで何とか1時間程度身を持たせていた。

「これでは、ジリ貧すぎる。隙も見当たらんぞ」
 レオンは既にかなりダメージを受けている様子だ。

「あちらの攻撃もとても避けきれませんわ」
 ニーナもかなり疲れているようだ。

「うーん、今思い出したんだけど、彼は【勇者の剣と鎧】を装備しているみたいだねぇ。あれは大切な人を守りたいという気持ちが強ければ強い程、力が増す特殊な装備らしい。今はその対象が涼子くんみたいだねぇ」
 立花はヒースを指さしながら話していた。

「守りたいと思うだけであの強さなのか?」
 レオンは信じられなかった。

「うーん。その気持ちを忠誠心と言い換えてもいい。彼の涼子くんへの忠誠心のレベルは【神】への信仰に等しいのだろう」
 立花は髭を触りながら説明する。

「涼子様が神様なんですの?」
 ニーナはよくわからないみたいだった。

「彼にとってはという意味さ。信仰とも言える狂信的な心は時にはこれ程の力を見せるということだねぇ」
 立花は腕を組みながら話した。

「どうにか、ならんのか? 流石に手が付けられないぞ!」
 攻撃の余波を受け止めながらレオンは叫んだ。

「もし、涼子くんが彼の忠誠心の対象ということが彼の勘違いなのであれば、あの力を無効にすることができる可能性があるが……。それでも彼は人の話を聞かないタイプだからねぇ」
 立花も実際に困っているみたいだった。

「一番厄介なのは、勘違いではなく事実だった場合だねぇ。そうだった場合は勝ち目は0に近くなるなあ」
 立花はそう言いつつも、勝てる方法を考えていた。

「とりあえず、このままだと涼子くんが危ない。まずは、彼女の救出に専念しよう」
 何かを思い付いた表情で立花はニーナに話す。

「専念と言われましても、それが出来たら苦労しませんわ」
 ニーナは不安そうな顔をしていた。

「私に考えがあるんだ。とりあえずニーナくんは例の眼鏡をかけてくれたまえ」
 立花はニーナに指示を出す。

「承知致しましたわ」
 ニーナは言われた通り眼鏡をかけた。

「フィリップ程観察できた訳ではないから精度は低いけど、一撃くらいは何とかなるかな。ニーナくん、これを渡すよ」
 ニーナは立花から【ある物】を渡した。

「作戦を立てても無駄だぞ!」
 ヒースの容赦の無い攻撃がニーナを襲う。

 ニーナは避けきれないまでも、一番衝撃が少ないポイントに移動する。

「この体制なら、追跡する鎌鼬(トレイサーソード)」
 ニーナの突きから出る風圧は兜の【隙間の目の位置】を確実に捉えた。

「作戦成功ですわ」
 ニーナは攻撃が狙った位置に当たってホッとしていた。

「少し俺の顔にダメージを与えたことはほめてやる。だが、この程度では1000発当てても倒せないぞ」
 ヒースは激昂して剣を振るった。

 ニーナはかろうじて剣圧を受け止めたが、吹き飛ばされてしまう。

「お手柄だよ、ニーナくん。ダメージを受けたと言うことは、生身に攻撃が当たったということさ」
 立花はニヤリと笑った瞬間、彼の姿とヒースの姿が消えた。

 そして、立花とヒースはお互いの【位置】が入れ替わってしまった。

「お待たせ、涼子くん。間一髪だったねぇ」
 立花は涼子を抱きかかえて微笑んだ。

約束の時間まで後、【1分】
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