名探偵に憧れた私はついうっかり異世界に探偵事務所を構えてしまった

冬月光輝

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第60話:レッスン2と満身創痍と虹色

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「レッスン2は【力】の出力調節を覚えてもらう。そうしないと日常生活に支障が出るし、自分の体にも負担がかかるからねぇ」
 立花の説明は続く。

「難しいと思うけど。さっきイメージした扉を半分だけ開くことは出来るかな?」
 立花はあたしに尋ねる。

「半分だけ開く‥このくらいかなあ‥どうですか?」
 あたしは言われた通りにやってみた。
【力】の熱い感じがかなり抑制されているように思えた。

「順調過ぎて怖いねぇ。そこからちょっとずつ扉を閉めてみて‥4割、3割、2割、1割、ストップ」
 立花があたしのイメージを止める。

「今の感じが、大体君の出せる【全力】の10パーセントくらいだよ。普段はこれくらいに抑えて置かないと、体が保たないからねぇ。このイメージを何も考えなくても維持出来るようにしたまえ」
 立花はあたしに説明する。

「仄かに暖かい感じになりました。この状態は閉じているより気分が楽ですね」
 あたしは立花に感想を伝える。

「まあ、閉じ込めておくと【力】の行き場が無くなって爆発してしまうからねぇ。少しはガス抜きしないと、逆に危険なんだ」
 立花は腕を組みながらあたしに言った。

「じゃあ、そのままレッスン3だ。まあ生きていく分にはレッスン2までで大丈夫なんだけど、念の為にね。レッスン3は‥‥」
 立花とあたしの特訓はもう少し続いた。

――ヒースの家の外――

「あかんやん、そんなに弱かったんか? 結構尊敬してたんやぞ、兄さんのこと」
 アレックスの攻撃で鎧がボロボロになったヒースは満身創痍だった。

(ルーシー様が亡くなられたと聞いた時から俺の中で何かが壊れた。しかし、これほど影響があるのか……)

「兄さん、もうあかんわ。寝といたほうがええで」
 アレックスは杖に力を集中し、先程以上に赤く光り輝く。

(俺は何の為に戦っているんだ、カズヤか? あの探偵か? いや違う……)

――監獄への出発前――

『ヒースさん、よろしくね』

『お嬢様、俺を許してくださるのですか?』

『まあ、思い込みが激しくて、人の話を聞かなくて、ちょっと迷惑だったけど……。それだけ母を大事にしてくれてありがとうございます』

『おっお嬢様……』

――現在――

「うおおおお! お嬢様ぁ!」
 ヒースの勇者の鎧と剣が虹色に輝き出した。

「勇者にこんな貧弱な攻撃がぁ聞くわけなかろうがー」
 激高したヒースはアレックスの杖を弾き返す。

「やるやん、そうこなくてはおもんないわ」
 アレックスはニヤリと笑った。

 真っ赤な杖と虹色の剣のぶつかり合いが始まった。

「ぐぬぬぬ、小癪なマネをするなぁぁぁぁ!」
 ヒースの剣は強かったが、杖の重く素早い攻撃に段々手数が足りなくなってくる。

「確かにさっきよりは強うなってんのやけどな、まだそれじゃあワイの方が強いですわ」
 アレックスは杖をヒースの腹に当てて吹き飛ばす。
ヒースは完全に意識を失い鎧の虹色の輝きも失われた。

「堪忍してな、ヒース兄さん」
 アレックスは少し暗い顔をして、とどめを刺そうと杖を振る。

「‥‥‥‥‥。何でなん?」
 確かにヒースは意識は無かった。
しかし、勇者の剣は輝きを失わずアレックスに突き刺さる。

「大した忠誠心もっとるなあ、自分」
 アレックスはそう言うと、バタリと倒れた。


「あれれー。アレックスちゃんも負けちゃったのお、ショックなんだけどー。もうー情けないのねー。こっちは、キャハハ、ちゃんと終わったのにねー」
 フィーネが笑いながら見ている方向には、ニーナが血まみれで倒れていた。
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